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君の微笑み

エットレ・バスティアニーニ がんと闘い、歌に生きたその生涯と芸術
マリーナ・ボアーニョ&ジルベルト・スタローネ共著 辻 昌弘・辻 麻子 訳 フリースペース社発行

(2004年12月21日 (火) 記 『何見た?何読んだ?!』から転載)

バスティアニーニ氏は、キャリア最盛期・僅か44歳にして喉頭がんで生涯を終えた、'50〜'60代の代表的イタリアのバリトン歌手です。
(イタリアのバリトン歌手の中では、ヴァランシエンヌが最も好きな歌手さんです(#^.^#))

勿論、残された録音(一応DVDも2点あるのですが、鮮明な画像とは言い難い)でしか愛でておりませんが、録音を聴く限り『この人ほど、悩ましげなイタリアのバリトンは他にいないわよ^^:』と思えるくらい、大変にセクシーな歌声の持ち主です。

そんな彼も、現役時代には特定の批評家から、不当な批評を受けていたとか。
病のことは、誰にも打ち明けず、やせ細っていく声に対して『不摂生がたたった』『無理な発声で、声がだめになった』などの厳しい批評もあったとのことです。

この本は、彼の知られざる私生活での苦悩、また病を知った時の苦しみなどを、直接彼とは面識がなかった(しかし、彼の大変なファンである)著者が、様々な証言や文書などを綿密に裏づけをとりながらまとめてあります。
また、翻訳なさったご夫婦も、彼の大ファンということだそうです。とっても愛情に満ちた訳文となっています。

前半はさまざまなエピソードをまとめた『伝記』後半は、彼と直接面識があった演奏家(歌手・指揮者・演出家など)たちが語る『バスティアニーニ像』の二部構成です。

冒頭には舞台写真も数多く載せられており、巻末には詳細なディスコグラフィも記載されています。

個人のオペラ歌手に関する(日本語の)本の中では、数少ない良識のある本でしょう。

お気に入り度・・★★★★★

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コメント

>病のことは、誰にも打ち明けず、
不思議なのは、こういうとき、病気を疑う人がいないらしいことです。その人の不節制やら、思想信条、仕事のやり方、生活態度などに原因を求めたいもののようです。P.ホフマンの場合も同様ですね。事態が判明したあとも、それは後のことだと譲らない人たちも存在するんですから。愛がないってそういうことなんだと思います。家族や友人はそんなことはないと思いますけど、どうかしら?

>その人の不節制やら、思想信条、仕事のやり方、生活態度などに原因を求めたいもののようです。

そうですね・・ある意味健康であることが前提のように語られることが多いでしょうね。

芸術家は孤高を持するというのを、無意識のうちに求めているのかも。
痛々しいです・・

そういう意味でも現在のP.ホフマンの奥様の愛情は、本当に深いんでしょうね(#^.^#)
病のことを受け入れて、ご一緒に生活なさっているんですもの!

MIXIから飛んできました。 
私もバスティアニーニの大ファン。。。と言っていいと思います。
たぶん、今現在の時点ではフローレスより好きかもしれません
。。。と言うか、バスティアニーニには恋い焦がれてます^^;;。
10月にシエナまでバスティアニーニ参りをしましたが、
どうやらそれ以来、バスティアニーニの亡霊ならぬ魅力に
いよいよ本格的に取り憑かれてしまったかもしれません。

babyfairyさん:

私はイタリアオペラは、ヴェルディの中期~後期のもの+プッチーニが主なので、あんまり聴いてないといえば、聴いてないんですけどね(^_^;)
やっぱり、ルーナ伯爵が一番好きかなぁ。
音は悪かったけど、スカルピアも面白かったですよ。悪役を悪役と感じさせないのは、元の声質が高貴だから、なんでしょうね(^^)

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