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オペラ歌手と年齢

オペラの役柄と、実際に歌う人の年齢のギャップについては『とりあえず20歳は割り引いて考えよう!』という説があるそうです。

そうね・・ジークムントとジークリンデは10代のティーンエイジャーだし、トリスタンとイゾルデだって、10代後半のはず。

『妻は私の白髪を見て愕然とした・・』と嘆いている『ドン・カルロ』の父親・フィリッポ2世も、15歳でエリザベートがお嫁に来た頃には33歳。男盛り・・というにも、まだ早い?!
『ばらの騎士』のマルシャリンは32歳、オクタヴィアンは17歳、そしてあのオックス男爵だって、まだ35歳なんですよね(^^;

ということで、本当はそれ相応の年齢の方に歌い演じて欲しい!という気持ちは、おそらくシロウトオペラファンの方なら、一度くらい思ったことがあると推察しますm(__)m

私自身は、オペラ入門時にお世話になった、’84シュタイン盤『マイスタージンガー』の配役+プロフィール表を見て『ゲッ?!騎士ヴァルター、40歳過ぎてるよーー;』とか『ザックスよりもヴァルターの方が、2歳年上なのって・・なんか変じゃない??』

(J.イェルザレム・・1940年生まれ、B.ヴァイクル・・1942年生まれ)

と、かなりショックを受けた記憶があります(^_^;)

さすがに最近は、オペラ慣れしたお陰か?毒されたせいか?ちょっとやそっとのことでは驚かなくなりました。

でもね・・やっぱり、特にテノールに関しては、ある程度の年齢になったら、若い英雄役からは退いて頂きたいわ・・というのが本音です。テノールは、その辺りの匙加減が最も難しい声域かもしれません。

テノールに限らず、老練な熟達!ベテランの味わいも捨てがたいですが、今のところ、実演でも映像でも『若さとフレッシュな勢い!』を感じさせてくれた上演の方が、感銘度が高かったかな・・
とりわけ実演では強く感じました・・

ちなみにワタクシ&仲良しのえうりでぃちぇさんのご贔屓歌手・P.ホフマンは、36歳でバーンスタイン指揮での『トリスタン』(演奏会形式)にチャレンジしてますが、録音では最年少トリスタンだそうで、今でもこの記録は破られていない・・のかな?

(次点はR.コロの43歳だったかしら?)

このくらいだったら、20歳割り引いてもちょうど納得行く年齢ですよね(^^/

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オペラ」カテゴリの記事

コメント

お気持ちはわかるんですが…人間の「声」のトレーニングや声帯の「安定度」を考えて欲しいと思います。台本には確かに年齢の指定こそありますが、それをいってしまうと、上演できるオペラ、一つもなくなっちゃいます(;_ _)。
60になってもすさまじい歌を歌っている「大歌手」が今、この時代を生きて素晴らしい「演奏」を与えてくれることにじぃは感謝したいです。デヴォールやシュナウト、バルツァ(来シーズン、ヴィーンでオルトルートとクンドリに挑戦します)をじぃが追っかけるのもそこにあります。若い頃から大きい役をバリバリ歌いまくると、声は確実につぶれます。ホフマンの場合もその例に漏れないと思います。彼の場合、別の病気があり、そのことを忘れるわけにはいかないのですが、レニーの「トリスタン」の7年後、バイロイトで歌ったジークムント、決して感心できる歌唱ではなかったです。迫力はありましたが…。歌手としての「いきの長さ」をどう維持するのか、それを考えると、「若さとフレッシュさ」だけでは…と思う繰り言です(;_ _)。「じぃの繰り言本館」で、指揮者のシリーズを一区切りさせたら、歌手のことを書こうと思っていました。

オペラに限らず舞台物は、演じる人の年齢が役の年齢より高くなるのは仕方ないのですが、やはり観客を全然だませないようではねぇ・・・ 演劇だと、女の一生の杉村春子をいつも思い出してしまいます。晩年でも十代の少女に見えたとか? 身体的演技力では素人同然の歌手も少なくないですから、オペラというのは観客に過大な想像力を要求するということになりがちですね。

>20歳割り引き
ぐらいなら、プロなら、衣装、メーク、声&身体の総合的演技性でカバーできなくてはいけないでしょう。でも、どうにも苦しい歌手さんも少なくない・・・オペラ好きとしては頑張って想像力を高めるしかないということですわね^^;

1分違いでかぶってしまいました。私もですが、ヴァラリンさんも別に役そのままの年齢の歌手を望んでなんかいらっしゃらないと思います。

また耳たこのホフマン評が出ましたので、ファンの繰り言をば一言。

人間、一瞬先のことはわからないのです。その時々の判断でその時を精一杯生きるしかないのです。>60歳でもすさまじい歌を歌っている「大歌手」は幸福な人です。ホフマンはぎりぎりのところで、大勢の観客を魅了し、心に響く歌唱を残してくれたのだと思います。地方劇場の専属歌手としての生活の中で、与えられたレパートリーだけを歌って飛躍することがなかったとしても、同じように病気になって、私などはその存在を知る事もなく、ひっそりと引退したことでしょう。

人気歌手なら過労に陥ることも避けられないでしょう。健康なら休息、挽回も可能かもしれません。
>7年後、バイロイトで歌ったジークムント
が感心できなかったとしても、健康なら絶好調と絶不調の範囲かもしれません。記録が残っているものがすばらしければ(他の人にはどうであれ、どの記録も見る喜び、聴く喜びを私に与えてくれます)、ファンとして満足です。

まあ、婆の繰り言ですけど。

じぃさんへ
>若い頃から大きい役をバリバリ歌いまくると、声は確実につぶれます。
こういうことをおっしゃる方が多いですね、でもいつも違和感を覚えます・・・
せっかくですから、お尋ねしてよろしいでしょうか。
じぃさんの「若い頃」とは何歳くらいを想定しておっしゃているのでしょうか。
オペラで主役をはるような歌手さんたちは、みなさん若い頃から大きい役をバリバリ歌いまくっているのではないですか。
若い頃からバリバリ歌ってもらわないと一番輝いている時期の歌声が聴けないじゃないですか。
実際にオペラ歌手さんが言っているのは、喉に負担のかかる役は連続して歌わない、少なくとも中二日は休養するとか、自分の音域に合った役を選ぶとか、同時期に重い役と軽い役をやらない、重い役をやった場合は、2、3週間かけて調整する・・・ということではないですか? これも人それぞれで、主役をはるような歌手さんたちは自分なりのルールでやっているのではないでしょうか。
小さい役からはじめるのは、声云々ではなく、舞台に慣れるという意味合いのほうが大きいと思います。
ですから、才能のある歌手は、2、3年もすれば、主役級の役をバリバリ歌い始めるわけですから、普通ですと25とか26歳くらいでしょう。

ところで、若い頃から大きい役をバリバリ歌って声がつぶれた例としてホフマンをあげるのはいかがなものでしょうか。
だって、パーキンソンでなければ、不調の時はあっても「いきの長さ」を誇る歌手でいた可能性のほうが大きいと思いませんか。それを声がつぶれた例にあげるのは、あまりにもひどいとおもいます。
ということで、参考までに若い頃から大きい役をバリバリ歌いまくって声を確実につぶした歌手を教えてください。

>ヴァランシエンヌスさん
トピずれかもしれませんが、じぃさんのコメントに対する質問ですのでお許しを。

「オペラ歌手と年齢」については私もとても関心がある話題です。
なにしろ63歳でドン・ジョヴァンニをやっちゃいましたから、ファンとしてはファルスタッフをやってくれているほうが平穏な気持ちでいられるというか、複雑な気持ちです。
私もブログで取り上げてみようかなぁ。

ヴァランシエンヌさんのご考察、じぃ。さん(こちらでははじめまして)とedcさんのコメント、たいへん興味深く拝見いたしました。

歌手の実年齢と役柄についてですが、私は聴く時はともかく、観る時に関しては、できるだけ割り切って考えようと思っています。言い換えると「諦め」です。それこそ、-20歳、-30歳の法則を使っています。こと映像になると、舞台ではわりと平気で受け止めることができた容姿や演技でも、どうしても気になってしまうということがありますよね。難しい……。
ヴァランシエンヌさんが挙げていらっしゃるシュタイン盤『マイスタージンガー』は、エーファちゃんがちょっと老けているのを除けばみんな、ヴィジュアル面でもさほど無理がないように思ったのですが……やはり私は歌手の容姿に関しては甘いかも。

じぃ。さんのおっしゃる、「若いうちにヴェルディやヴァーグナーの諸役など咽喉に負担の大きい役を歌うと声をつぶす」というのは、大学の合唱サークルにヴォイス・トレーナーとしていらしていた先生(プロの声楽家)からもうかがったことがあります。私がヴァーグナー歌手の容姿に関してことに甘いのは、そのせいもあるのかもしれません。
ただ、20代前半(1941年)でジークリンデ役でデビューして、60年代までホーホ・ドラマティッシャー・ソプラノとして大活躍しその後もメッゾに回って長いキャリアを誇ったヴァルナイのような人もいますし……うーむ。
じぃ。さんの挙げられたバルツァや、他にはサザーランドやグルベローヴァのように長いキャリアを楽しむ歌手もいれば、カラスのように短期間の全盛期に強烈な印象を残す歌手もいるわけで、どちらがより優れているとは一概にはいえないのでは、とも思います。

以上、実演経験の全く乏しい小娘の生意気でした……。

>「若いうちにヴェルディやヴァーグナーの諸役など咽喉に負担の大きい役を歌うと声をつぶす」

若いうちっていったい何歳なんでしょうか。人間が、おそらく歌手も、声も容姿も、一番充実して輝く30、40歳代の時期に、全力を尽くして最高の舞台を見せてほしい。それで、もし燃え尽きたとしても、その歌手の価値が下がることはないと私は思います。
>歌手としての「いきの長さ」
などは、勝手かもしれませんが、歌手の問題であって、観客の頓着することではないはずです。私は最高に美しいときに最高に輝く歌手の舞台を見たい!ホフマンはそのように生きた歌手だと思います。

マイケル・J・フォックスの本によれば、自覚症状が出るまで、10年もの潜行進行期間があるという難病を抱えてしまったのは、悲劇としか言いようがないですが、伝記を読むと、病気を知らなかったころに書かれた伝記(1983年刊)、進行するのみで、治るということのない難病を得ての闘病の中で書かれた伝記(2003年刊)との間に断絶感がないことに驚かされます。私としては、歌手としても、一個人としても、その生き方に感銘を受けました。

馬鹿なファンの繰り言だと思ってくださってけっこうです。100人が100人に賛美されるヒトなんてどこにもいないのですから。

余談ですが、
>60になってもすさまじい歌を歌っている「大歌手」
も、30、40代には、もっと輝いてバリバリ歌いまくっていたのではないかしら? 何歳だろうが、観客を巧くだましてくれれば、つまり、感動を与えてくれれば、年齢はどうでもいいことです。

ごめんなさい、誤解を招きそうなので……。
>「若いうちにヴェルディやヴァーグナーの諸役など咽喉に負担の大きい役を歌うと声をつぶす」
の、「ヴェルディやヴァーグナーの諸役など」は、じぃ。さんのお言葉ではなくて私のヴォイス・トレーナーの先生のお言葉の引用です。

edcさん、その先生のおっしゃるところによると、まだ声の安定しきっていない二十代の頃にヴェルディやヴァーグナーもののドラマティックな役をフルヴォイスでバリバリ歌っていると声が磨り減ってしまう、むしろモーツァルトなどから歌い始めてゆくのが良い……ということでした。三十代以降については特におっしゃっていませんでした。

昔の歌手は、三十代からヘルデンな役も結構歌っていたみたいなのですが……メルヒオールやローレンツがバイロイトに初めて登場したのは三十代前半~半ばだったはず。前のコメントにも挙げたヴァルナイの例もありますし、「ヴァーグナーの重い役は年をとってから」というのは意外と近年の“常識”なのかもしれない!?

私自身は、この年齢とレパートリーと声の問題に関しては、むしろ生まれ持った声質そのものの問題が大きく関わっているのでは?と疑っているのですが(ホーホ・ドラマティッシャー・ソプラノにメッゾ上がりが、ヘルデン・テノールにバリトン上がりが多いのはなぜか、ということも含めて。そういえばホフマンも最初はバリトンでしたね)……。ちょっと自分でも調べてみようかな、と思います。

keyakiさん、お久し振りです!

ユルシュールさん、こんにちは。こちらこそ、ただ単にほぼ同じ内容なので、近い方を引用しただけで、引用文がヴォイストレーナー氏の発言だということは承知しています。じぃ。さんは「大きい役」と書いていらっしゃいますから、主役級はすべてということなのかもしれません。

ホフマンの場合、デビューは28歳、主役級の契約でリューベック歌劇場の専属歌手になったそうです。細かいことは置いておいて、今現在、もう10年以上も治る見込みのない闘病生活を余儀なくされているヒトを、引き合いに出すのは理解に苦しみます。不調の時が多くなったと言われる80年代後半というのは、病気が潜行していた可能性の高い微妙な時期であり、そのまま自覚症状の発現、診断へとなだれ込むわけですから、何と言われても反論、挽回の余地がないのです。診断後は投薬によってコントロールしながらの音楽活動を継続していますが、さすがに他者との関わりの占める部分が大きく、長時間舞台に拘束されるオペラは無理だったのだろうと思います。明らかな自覚症状の発現前及び診断前の時期というのは投薬も何もないわけですから、身体の具合が悪くてもどうしようもないという状況で、具合が悪い場合は最悪だっただろうと推察できます。

明らかな自覚症状というのは、身体の左右どちらかの一部、指とか手とかが、安静時に不随意的に震えるのだそうです。

トラバ有難うございます。m(__)m
オペラのキャラは10代も多いですよねぇ。
蝶々夫人も15歳ですが、本当の15歳が歌ったら声が付いてきませんからねぇ。(^^;)

YUKIさんも参加して下さって(^^;ありがとうございます。
他の方へのレス+見解は、別件で昨日の記事として立てましたので、ご了承下さいね。


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