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感情の表現手段・歌と演出

姉妹ブログのedcさんのお宅での話題にちょっと便乗。

【edcさん宅からの引用】

ペーター・ホフマンがこの演出に非常に抵抗があったのは:
演出家は「もっぱら指図」し、歌手に「創造させなかった」こと。そして、この演出家の
身振り分類」は「内面から生じたもの」ではなく、さらには「さあ、それを個性で満たしてください」と要求したのは、演技者にちょっと多めに責任を転嫁しているわけで、卑劣で、恥知らずであり、おまけに操り人形的動作をしながら歌うなどとんでもない。とにかく目立つことだけが目的の演出としか思えなかった

これ、とっても重要なことだと思います。

基本的に、私は演出自体は何でも有りだと思っていますし、奇妙キテレツな演出でも、歌手の表現がこちらに伝わってくるような様式感を持って、ピシッと動きが決まれば、別に設定はどうだっていい・・と思います。演出を生かすも殺すも、歌手次第・・でしょう。

最近の演出傾向で、色々やるのはケシラカンという話はもう、耳たこ(−−;ですが、実は演出・舞台形態そのものよりも、歌手の動き方に問題があるケース、結構あるんじゃないかしら?

気持ちの高揚感を表現する為の手段が『演技や歌の表現』であり、それは誰かに指示されてできるものではないと思います。また、非日常空間ですから、様式美も必要とされるでしょう。
それを、誰かの指示でしか表現できないようでは、歌手の方に甘えがあるというか、そこまで役を突き詰めていないということになるでしょうね。

やはり、歌手の歌に対する真摯な姿勢、内面からの感情の高揚、その他色んなものがこちらに伝わる時こそ『生き生きとした上演』に巡り合えるのではないかと思います。

演出家が出すぎて、歌手に必要以上の動きを求め、その為に歌唱がおろそかになる・・という意見もよく目にしますけど、果たしてそうでしょうか?本当に実力のあるプロの歌手ならば、特に現代の先端舞台に立つ歌手にとっては、そのくらいは折込済みなのではないかしら?

そういう舞台に立つ歌手がかわいそう・・と思うのは、聴き手側の感傷であって、こちらがあれこれ言うのは自由でしょうけど、本質とは違うのではないかと思います。

『内面からの感情の高まりもなく、楽譜の通りに歌った、演出家の指示通りに動いた』だけでは、聴衆の感動は得られないでしょう。
少なくとも私は、そういう歌手の演技歌唱では、満足できないと思います。そういうのは、何となく嗅覚が働くというか・・『あ、これはちょっと私には合わないみたい』と、感じますもの。

オペラは、感情表現の手段です。これは、歌曲にもあてはまるかと思います。好きで聴いているのは、勿論旋律が美しいから・・とか、面白いから・・というのもありますけど、やっぱり『脱・日常』とでもいうのかしら?気持ちの高揚感、没入感を味わいたくて聴いているのですから・・

とりあえず大声がワーンと響くのも、生理的快感は味わえるかもしれませんが、やはり歌ですから、そこに感情の付随がなければ、面白さも半減すると思います。少なくとも、私はそうです。

知らない外国語でも、感動できるのは、歌い手の適切な感情表現が伴ってこそ・・だと思います。こういうのを伝えたい・・表現したい・・というのが伝わるような、歌心が感じられないとね。

いくら容姿が素敵でも、歌手ですから歌と声と表現に共感できなくちゃね

edcさんが紹介なさっている『魔弾の射手』のシュトゥットガルト版、そういえば途中までしか見ていなかったのは、何となくそういう『生気のなさ』を感じ取ったのかもしれません(^^;この作品自体は大好き(^o^)丿ですので、またちゃんと見てみなくっちゃ。

ホフマンのような、表現に重きを置いている歌手にとっては、こういう演出家との仕事が最もやりにくかった・・というのは、何となく理解できる気がします。こういう時こそ、ホフマンの言うように『演出家が出すぎている』と言うのではないかしら?

もう一つ、edcさんが興味深い記事を書いて下さいました。

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オペラ」カテゴリの記事

コメント

便乗、ありがとうございます^^

ペーター・ホフマンは全然理解し合えないような演出家には出会わなかったそうですが、これが唯一の例外だとか(1983年の伝記)

edcさん、TBありがとうございました。新しい記事もリンクさせて頂いてます。
私みたいに注文の多い観客には、現役時代にホフマンも頭を痛めていたかもしれませんね(^^;

>私みたいに注文の多い観客

あら?! そうではなくて、ホフマンからすれば、ヴァラリンさんみたなのは間違いなく「理想の観客」のはずです~~~~( ^o^ )/

ワタシもヴァラリンさんのこの記事の内容、全面的の賛同しますもの・・^^

>「理想の観客」

まぁね。ブーイングもしないし、拍手もきちんと送るしね(^^; 

感情の放出手段としての表現方法が歌であり、演技である・・なんて、絵に描いた餅なのかなーー?とか、思うことが多くってーー;

賛同くださって、ありがとうございます^^

この記事へのコメントは終了しました。

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