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アイドルを探せ!Vol.3 ローマン・トレーケル(Br)

trekel-01 この方は一応、前に取り上げた《日本のオペラ歌手に対する記事って? 追記》記事の中の、『旬の歌手』リストには載っていないのですが、コメントの中で彼の名前を挙げてる人がいました。

ですので、今更私がここで取り上げるまでもないし、日本でも既に御馴染みの方ですが、一応私が実演を聴いた、数少ない有名人ということで・・^^;

ローマン・トレーケル(Roman Trekel:1963年ドイツ・ピルナ※生まれ・Br)

※無駄話・ピルナは旧東独のザクセン州に位置します。ドレスデンから車で小1時間。東独随一の景勝地『ザクセンのスイス』の入り口と言えば、思い当たる方もいらっしゃるかと思います。エルベ川に沿った、こじんまりとした大変美しい街です。

ご本人の公式サイトは★こちら

経歴に関しては★このサイト★もわかりやすいと思います。

1988年からベルリン国立歌劇場の専属歌手として活躍中。(多分、終身専属だと思いますが…)'97ベルリン国立歌劇場来日公演でも『魔笛』のパパゲーノ役で来日してますし、またリート歌手としての単独来日も何度かあるのでは?と思います。

ですが、日本で最も話題になったのは、2004年新国立劇場での『神々の黄昏』グンター役でしょう。白いスーツ姿の、翳りのある若様・グンターということで、ワーグナー・ファンのみならず、この上演を見た人たちの間では、随分評判になったかと思います。
私はこの上演を見ていませんが、実際にご覧になった方から、「とっても素敵だった!」と伺い、気になったので、映像で追っかけしてました。

現在彼を見ることができるDVDは、いずれもベルリンでの『コジ・ファン・トゥッテ』ドン・アルフォンゾ『フィガロの結婚』伯爵)の他、チューリッヒでの『タンホイザー』ヴォルフラム)があります。

私は上記3つの映像の中では、 −この映像自体に思い入れがあるせいもありますが− 彼のシニカルな感じがピッタリ・・の、『コジ』のアルフォンゾが一番好きです。
でも確かに長身痩躯、顔つきは私好みの『東欧風憂い顔』で、演技は巧いし、歌心も充分なんですけど、何かハマりきれないもどかしさを感じていました。

映像を見た限りでは、真価が掴みにくいような気がしました。ですので、機会があればできればシリアスな役柄で、一度実演に当たってみたいな・・と思っていました。

それで、決して狙って行ったわけではなかったのですが(また同じかよー!もういい加減にしろ!!と石が飛んできそうですが・・すみません、実演経験自体が少ないので何卒、お許しをm(__)m)ベルリンでの『魔笛』パパゲーノで、思いがけず実演に当たったわけです。

上述した'97来日公演のことは、後から知ったので、彼がパパゲーノを長年レパートリーにしていることは知りませんでした。えー、あのシニカル貴公子のようなトレーケルのパパゲーノぉ??天真爛漫な喜劇性って、イメージが合わないけど、大丈夫なのかしら?!

・・などと、一抹の不安?を抱えつつ観劇に臨んだのでした。

そして、実際に目の前に出てきたのは・・『歌手ローマン・トレーケル』ではなく、解説などでよく目にする、『魔笛』初演時の衣装画(背中に鳥かごをしょって、羽だらけの衣装をつけたパパゲーノの絵)から、そのまま抜け出てきたような、長身痩躯、顔つきは私好みの『東欧風憂い顔』な、パパゲーノそのものでした。本当に少年のような美しさ!

しかも、アドリブを取り入れたコミカルな台詞回しと、生命感&ユーモア感たっぷり、サービス精神に溢れる演技力
床に這いつくばったり、壁によじ登ったりもしてたんですけど、これが決して大げさな身振り手振りではないし、体を張って、俺は頑張っているんだ!っていう感じは全然しないんです。
押し付けがましいところがなく、ちゃんと様式美を保ちつつ動いているのが、いかにも私好みでした。

肝心の歌の方ですが、彼もまた、声量豊かな美声というよりも、節度をもった表現と、演技力(+優れた容姿も、当然マイナスにはならないでしょう。髪の毛は・・その・・舞台にはカツラという強い味方がありますし^^;)で押していくタイプの典型だと思います。
大声熱唱型という歌唱スタイルをお好みの方には、不評かもしれません。ですが(というか、だからこそ・・と言うべきかしら?)私にとっては大変魅力的ですし、実演で見ることができて良かった・・と思っている歌手です。

レパートリーは、ヴォルフラムアンフォルタスクルヴェナール などのワーグナーの諸役が中心になりつつあるのかしら?
この辺は、専属のベルリンでは勿論ですが、バイロイトでも歌っていると思います。

《7月29日追記》

trekel-wolfram

バイロイトでのヴォルフラム、私にとっては久々に大当たりのヴォルフラムでした(^^)
彼、伝令のような『声を張り上げる』役よりも、やっぱり私の予想通り、こういう禁欲的な役の方が向いていると思います。 これ!と思う理想的なヴォルフラムはなかなかいませんが(F=Dが理想的です…)トレーケルは久々に大当たりでした。もう少し、額が隠れるカツラなら、翳りがますます出て、尚素敵だったことでしょう(^^;
いずれにしろ、チューリッヒの素頭ヴォルフラムの映像よりも、遥かに素敵ですし、歌も今回の方がいいと思いました。

ベルリンでは過去に『ラ・ボエーム』のマルチェッロや『セビリアの理髪師』のフィガロ、『ペレアスとメリサンド』のペレアス(これは、大変評判が良かったそうです)等の非ドイツオペラの諸役も手掛けています。

個人的に興味をそそられるのが、来年1月の『ドン・カルロ@ベルリン』のロドリーゴかしら?かなり心理表現を要求される演出ですので、彼には向いているのではないかしら?と期待してます。

また上述したように、リート歌手としても活躍中で、6月15日には日本でもリサイタルが行われます・・って、まぁ!明後日じゃないですか(^^;

リートのCDもいくつか出ています。『冬の旅』をネットで試聴しましたが、劇的な感じで、なかなか良かったです。

《9月15日追記》
ヴォルフ/メーリケ歌曲集についてはこちらを参照下さいね。ちょっとしっとりした声+劇的さと、弱声を使うべきところでは巧く声色を使い分けていて、ああやっぱりこのひとは、むしろオペラよりも歌曲に向いているのかもしれない…と、強く思いました。
でも勿論、オペラでも「ハマれば」素敵です(^^) やっぱり実演で見るのが、一番いいように思います。彼の舞台役者振りを堪能できますし…

フンメルさんが、9月11日に上演された、ベルリン国立歌劇場での「パルジファル」について詳しいレポートを書いていらっしゃいます。アンフォルタス、よかったそうですよ(^^)

trekel-02 余談ですが、彼のお母様はメゾソプラノのウテ・トレーケル・ブルクハルト(Ute Trekel-Burckhardt:1938年生まれ)です。彼女は1964年にコーミッシェオパー(Komische Oper Berlin)の終身メンバーになっています。

現在は息子ローマン氏と同じ、ベルリン国立歌劇場のゲストアンサンブルにも所属しています。カーチャ・カバノヴァーのお姑さんなどの、メゾの渋めの役どころで、今も現役として歌っています。

ローマン氏は、お母様によく似た面差しですね。親子で一緒の舞台・・というのはないのかしら?^^?

《関連記事》
・日本のオペラ歌手に対する記事って?
・日本のオペラ歌手に対する記事って? 追記
・ベルリン国立歌劇場 2005−2006シーズン日程
・アイドルを探せ!Vol.1 ルネ・パーペ(Bs)
・アイドルを探せ!Vol.2 アレクサンドル・ヴィノグラドフ(Bs)
・アイドルを探せ!Vol.4 ハンノ・ミュラー=ブラッハマン(Bs-Br)
・ヴォルフ/メーリケ歌曲集 ローマン・トレーケル(Br)

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コメント

新国立劇場「神々の黄昏」で、かっこいい!と惚れ惚れさせていただいたくちです^^; で、アリア集があるじゃないか?!とろくに確かめずに注文して、届いたのがなんと、お母さんのアリア集。びっくりしましたけど、なかなかの美人のお母さんに、やっぱり息子は母親に似るものだ・・と納得したものです。

投稿: edc | 2005/06/13 10:21

>やっぱり息子は母親に似るものだ・・と納得したものです。

似てますよねー!私もそのCD聴きました(^^;
それとお母さんには、私は未見なんですけど、'76にコーミッシェで録画された、『フィガロ』のケルビーノの映像があるそうです。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005HY28/qid=1118626047/sr=1-10/ref=sr_1_2_10/249-2041532-7493940

ちょっと見てみたいかも・・^^;

投稿: ヴァラリン | 2005/06/13 10:30

えーーーーっ!
ロマン・トレーケルって、ウテ・トレーケル・ブルクハルトの息子さんなんですか。ビックリ。
息子の方は良く知らないんですが、お母さんは「タンホイザー」のヴェーヌス(だったと思います、たしか)を聞いたことがあります。

投稿: TARO | 2005/06/13 22:56

TAROさん、そうなんです(笑)
お母さんの方、来日公演もあったそうですね。その時にお聴きになられたのですか?

とは言っても、これは音○の友社出版の『栄光のオペラ歌手を聴く!』から仕入れたネタです。
英語(とドイツ語もちょっとだけ・・)で読める彼の情報の中で、今回リサーチした範囲では、このことについて触れた記述はありませんでした。

でもまぁ、これだけ似てれば、まさか間違いだということはないでしょう(^^;

投稿: ヴァラリン | 2005/06/14 01:14

はい、来日公演で聞きました。

それにしても笑っちゃうくらい、そっくりですね。
ローマンさんが不調の時には、お母さんが鳥の羽根付けて出てくれば、立派にパパゲーノくらいやってのけられそう。

投稿: TARO | 2005/06/14 15:13

ウテ・トレーケル・ブルクハルトさんのアリア集の写真をアップしておきましたので、好奇心旺盛な方はどうぞ^^;

投稿: edc | 2005/06/14 17:58

好奇心旺盛なので、見せていただきました。
キリ・テ・カナワを骨っぽくしたような。

投稿: TARO | 2005/06/14 18:43

>キリ・テ・カナワを骨っぽくしたような
ほんと、
二枚目はマイヤーにも似てなくもないですね。
トレーケルの写真、もうちっといいのなっかったですか。

最近の演出家は禿げは禿げのまま舞台に立たせる主義だかなんだか・・・・あきれるようなのもありですけど、新国のグンターは、髪もブロンドで大病院の御曹司というかんじでステキでした。
新国でエドガルド役のフロンターリも凛々しい武将でしたが実は禿げ、セビリアの理髪師の陽気でハンサムなシラグーザのアルマヴィーヴァ伯爵もマルコメ君なんですね。
舞台では、ちゃんと化けてくれていて、とてもよかったです。
トレーケルは日本にいるみたいですね。

投稿: keyaki | 2005/06/14 20:01

TAROさん:
>ローマンさんが不調の時には、お母さんが鳥の羽根付けて出てくれば、立派にパパゲーノくらいやってのけられそう。

ヾ(≧▽≦)oひゃっはっはっ!!

親子でパパゲーノとパパゲーナ・・は、メゾだから無理でしょうけど、もしやってたら可笑しいでしょうね!

edcさん:
お母さんの写真UPありがとうございます!
私も最初に見た時、マイヤーの化粧前、化粧後かしら?!って思ったんですよ。
化粧栄えする顔立ちですよね(^-^)

keyakiさん:
>トレーケルの写真、もうちっといいのなっかったですか。

うっ・・;ご、ごめんなさい(^^ゞ 色々画像検索したんですけど、こういうのしかないんですよー!!
この写真は、どちらかというと硬い表情の写真が多い彼が、珍しく微笑みを浮かべているのが気に入ったので採用しました。
でもやっぱり、カツラナシでは若様・グンターのイメージダウンかしら??

年々頭髪は後退なさっているような気がします。まだ42歳なんですけどねぇ・・

カメラが戻ってきたら、来日公演の「魔笛」映像で、アップの場面を撮影してUPしようかしら?

>トレーケルは日本にいるみたいですね。

リサイタルは明日ですね。
あれ?そちらの時間だと既に「今日」ですね^^;

投稿: ヴァラリン | 2005/06/15 01:38

わーい、トレーケルだ~。本当に今が旬の歌手ですよね!東独出身とは知りませんでしたが、顔立ちには確かにそんな雰囲気が漂ってますよ。このごろはバリトンに良い歌手が多くて私としては嬉しい限りなのですが、生のトレケルはまだ未聴!ぜひ近いうちに聞いてみたい歌手の一人です。ロンドンに来てくれ~。それにしても母子そっくりですね!(笑)

投稿: Sardanapalus | 2005/06/17 21:00

Sardanapalusさん、お帰りなさい!!
スペイン、楽しかったようで何よりです。

トレーケル、ご存知でしたか。ドイツ国内での活動が多いので、イギリスでの知名度はどうなのかしら?と、ちょっと気になってました。
ロンドンにも行ったことはあるみたいですね。オペラではないようですけど・・

機会があれば是非。生の方が、絶対にいい!と思います^^

投稿: ヴァラリン | 2005/06/17 23:19

トレーケルは、確かにイギリスではなくて日本で知りました。そういえば、どこで名前見たんだろ?私はまだこっちにきて2年とかだし、よく日本に帰っているのであまり参考にならないと思いますが…(^_^;)イギリスでの知名度は…う~ん、言われて見ればあまり高くないかも。リートならゲルネ(Goerne)がいるし、イギリスはバリトンいっぱいですからね。

>ロンドンにも行ったことはあるみたいですね。オペラではないようですけど・・
いやいや、コヴェント・ガーデンの「魔笛」でパパゲーノ(キーンリーサイドとダブル)やってるんですよ!ただ、この演出は彼のイメージとは今一合わなかったようなんですけど。(2003年・DVDはキーンリーサイド)だから、そろそろ再渡英してくれないかな~?って。リサイタルでも良いんですけど、やっぱり生で聞かないと、ですよね!

投稿: Sardanapalus | 2005/06/18 07:58

>コヴェント・ガーデンの「魔笛」でパパゲーノ(キーンリーサイドとダブル)

ええーーっ?!(゚○゚)そうだったんですか。
割と器用で、どんな演出にも対応できそうなタイプだと思いますけど、あの演出は彼には合わないでしょうね・・

どこのオペラハウスにも、好まれる歌手の傾向がありますよね。
コヴェントガーデンには、コヴェントガーデンの好み?(聴衆側にも、劇場側にも)があるでしょう。
トレーケルは雰囲気そのものが違うかな・・という感じがします。

投稿: ヴァラリン | 2005/06/20 20:55

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