文章を読みやすく、美しく見せるコツ
先日TAROさんのお宅で、外来語の言い換えについて話題になりました。そちらのコメント欄では、なるほど…という意見が色々ありましたので、私なりに少し考えてみました。
カタカナ語も日本語のひとつですから、既に定着しているものについては、普通に使えばいいと思うのですが、今回の国立国語研究所の外来語委員会の35の提案(TAROさん宅の記事参照)については、中には首を傾げたくなるようなものもあります。
私が使うとすれば、今回の例ですと、「トラウマ」「リバウンド」「リリース」くらいでしょうか、カタカナで当てるとすれば。
オペラ関係の記事や、お料理のレシピ等、お遊びで外国語を訳してみたりするときには、安易にカタカナ語にならないように気をつけています。なるべく、日本語の表現で該当するものがあれば、不自然にならない程度にきちんと日本語にしていくべきだと思います。
もう一つ。
これはTAROさんのお宅の記事とは直接関係がないのですが、
私自身は、日本語の文章の中で、やたらとアルファベットを多用するのが、好きではありません。
見た目の統一感が取れなくて、美しくないのと、何となく嫌味な感じがするからです(^^;
(後者は単なる私のひがみかもしれません^^;)
人名や作品名で、どうしても読めないものや、定着していないものならばそのまま表記でもいいと思うんですけど、例えば"Wagner"や"Mozart"などは、既に『周知の事実』だし、わざわざ書き換える必要はないと思います。
ですので、オペラ関係の記事を書く時(例えば鑑賞記を書く時など)は、配役表は、劇場のサイトからそのままコピペして、そのままアルファベット表記を使いますが、鑑賞記本文内では、極力カナに当てるように心がけています。
で、極力カタカナで置き換えたいなぁと思って、無理やり当てはめたりするのですが、これが難しいです…特に人名、地名。
先日話題にしたアーヴィン・シュロット(Erwin Schrott)の名前も然り。(「エルヴィン」「エルウィン」「アーヴィン」「アーヴィン」と、様々なカナ表記があるようですが、どれが一番普及しているんでしょうね?o?)
Alexander Vinogradovに関しては、私が勝手に「アレクサンドル・ヴィノグラドフ」と当てて読んでいるのですが、この"Alexander"も曲者(ー。ー;
ロシア語だと「アレクサンドル」ドイツ語だと「アレクサンダー」さらに英語だと「アレキザンダー」などなど、言い出したらキリがないので、えーい、ロシア人だから「アレクサンドル」で行くかぁ…と、勝手に決めました。(^^;
ちなみにこの名前、ロシア人男性名では一番多い名前だそうです。
ついでに言うとVinogradovを「ヴィノグラードフ」と表記してあるものもあります。
実際にこの名前を「音」で聴いたことがないので、「ヴィノグラドフ」とそのまま書いていますが、一応、数学者で有名なイヴァン・マトヴェーエヴィッチ・ヴィノグラドフ氏(Ivan Matveevich Vinogradov)の紹介記事などを検索した結果、こう書くことにしました…
この方も「ヴィノグラドフ」「ヴィノグラードフ」と、両方の表記がありますが、前者の方が多いようですので。
(今度のラジオ放送では、配役&名前を呼んでもらえるかな?フランス語だと、また違う読み方なのかしら…)
細かいことを言い始めると、そもそもロシア語での表記(Виноградов)を、便宜上アルファベットでVinogradovと当てているわけですから、コレ自体間違っているかも…とか思い始めると、キリがありません…
極力、それぞれのお国事情にあわせたカナ表記を心がける…という《気遣い?》は、日本人独特の発想ですね。(カタカナが日本語独特だから、当たり前なんですけどね^^;)
先日こちらのラジオで《エフゲニー・オネーギン:Eugene Onegin》の放送がありましたが、アナウンサーの発音は「ユジーノ・ニェーギン」でした…
(Eugeneって、 ドイツ語で「オイゲン」というのはぼんやり認識してましたけど、英語だと「ユージーン」だったんですね…知りませんでした(^^ゞ)
☆名前のカナ表記一覧…面白いサイトはこちら
話が飛びまくりましたが、外来語のアルファベットをサイト名や、コンテンツの見出しなどに、ちょろっと使うのは、照れ隠しみたいな面もあります…
これは文章と言うよりも「見た目」の問題かな?
ホームページやブログの場合は、紙と違ってデザインも関係してきますので、こういうのも、嫌味にならない程度(隠し味程度)に、適度に使いこなしていくのが、文章を美しく見せるコツかしら?などと思ってます。
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コメント
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>極力、それぞれのお国事情にあわせたカナ表記を心がける…という《気遣い?》は、日本人独特の発想ですね。
そう。《気遣い》ですよね・・
かつて、漢字圏の語(人名、地名その他)を日本語読みしてきたのに、いつごろだったか、誰が言い出したのか、《それってすっごく傲慢!》みたいな感じで、各言語本来(に近い)発音をするようになって、かえってピンと来ないし、覚えられなくなって、遠い印象になりました。あちら様は相変わらず、日本人の名前だって地名だって、自分の言語読みしちゃうのに・・(日本語読みしてる人もいるかも?ですが)そうされて、日本人のほうは喜んでる雰囲気ですものね。(例:スマップのクサナギくん^^?)
お隣のお隣の《将軍様》なんて、まだ先代とごちゃごちゃになるし、後継者候補様、お二人もぼんやり。ご長男様は《マサオ》さんですね、なんてテレビのゲスト氏も確認してました^^!
《モウタクトウ》の時代はその国にの有名人けっこう認識してたんですが、《マオツェトゥン?!》と言わなきゃいけない?!時代になってからは、もう全然わかりませ〜〜〜〜ん。
投稿: edc | 2005/10/14 07:46
TBとリンク、ありがとうございました。
私も日本語の文章の中に、必ずしも必然性がないのにアルファベットを挿入するというのは、以下の4つぐらいに限られますね。
1)固有名詞で読み方が分からない時
2)アルファベットの方が分かりやすい時(略語など。たとえばメトと書くよりMETの方が、ソニーより SONY の方が、みたいな)
3)特別な効果を出したい時(貞淑な人妻のブログになんですが、例えば SEX とか)
4)文章の見た目が単調で、変化をつけたいとき。(ひらがなカタカナが続く時には、時にアルファベットを入れて変化をつけたい)
日本語の文章の中に Wagner や Mozart までもが原語表記で入ってくるのは、かなり異様だとは思いますが、なにか余程ポリシーを持ってるんでしょうね。美しさより正確さを優先したいということなのでしょうか?
たしかに例えば私の好きなカバリエは、スペイン語・カタルーニャ語ではカバリェとカバイェとカバジェを足して3で割ったような発音になり、カタカナ表記は不可能なので、Caballe と書けば正確ではあります(カバリエ、セビリヤなどのカタカナ表記は原語発音とはかけ離れた便宜的表記)。しかしネットの場合は誰が読むかわからないし、必ずしも音楽好きの人だけが読むとも思えませんしね。
さらに問題なのは普通書かれた文章を読む場合、実は頭の中では発音しながら読んでいるわけで、それが読めないという事態が発生するのが嫌ですね・・・
英語はまだしも、全ての人がドイツ語やイタリア語やフランス語を出来るとは思えませんし。
自己満足のみのために書く文章ならいいんですが、読んでいただく文章と考えるとねぇ。
投稿: TARO | 2005/10/14 13:45
edcさん:
>漢字圏
んーーそういえば、こちらの方は想定外でした(^^;こういうのが、西洋かぶれとか、西の方ばかり向いて!って言われる所以なのかしら?^^;
とはいえ、自分の国と同じ文字を使っていれば、おのずと読み方が自国流になるのは、ある意味当然ですよね…
英語の「ゆじーの・にぇーぎん」だって、文字が同じ(この場合、正確にはちょっと違いますけど…)だからこういう呼び方になるんですし…
>そうされて、日本人のほうは喜んでる雰囲気ですものね。
○○に付ける薬はないというか…恥ずかしいですねっ(●`ε´●)
(ああん、まだ体調がイマイチなので、暴言失礼しますm(__)m)
投稿: ヴァランシエンヌ | 2005/10/15 03:29
TAROさん:
こちらこそいつも、便乗させて頂いて…ありがとうございます(^o^)
>必ずしも必然性がないのにアルファベットを挿入する
TAROさんの文章が読みやすい理由がわかりました(^^!4つの理由は、私も納得です。
>日本語の文章の中に Wagner や Mozart までもが原語表記で入ってくるのは、かなり異様だとは思いますが
う==ん、ネットを徘徊していると、こういうのに行き当たる確率、決して低いとは言い難いような(ー。ー;
それこそ
>自己満足のみのために書く文章ならいいんですが、読んでいただく文章と考えるとねぇ。
の主旨から、外れていると思うんですけどね。
サイトやブログの鑑賞記、コメント欄などで、これが頻繁に続くと「俺(あるいは私)は、頭がいいんだぞー!」というのを、これみよがしに見せ付けられているような気分になりますもの…
本文でも触れた《嫌味な感じがする》というのは、まさにTAROさんが仰る
>実は頭の中では発音しながら読んでいるわけで、それが読めないという事態が発生するのが嫌ですね・・・
>英語はまだしも、全ての人がドイツ語やイタリア語やフランス語を出来るとは思えませんし。
ということです。最初から外国語の文章を読んでいるのとは、ワケが違うので、いちいち辞書で調べる気にもなれませんしね。
(しかもそんなところで好きな演奏家について批判されていると、時空を飛び越えて石を投げてやりたくなります^^;)
いずれにしろ、TAROさんの4つの主旨を見習って、私もなるべく読みやすい文章に、拘って行きたいですね(^^!
でも一番重要なのは、内容なんですよね…f(^^ゞ
投稿: ヴァランシエンヌ | 2005/10/15 04:16
近年、日本のニュースで聞き慣れない外来語が増えて来たなと思い、すぐにカタカナで輸入するのもいかがなものかと思っていたところで、TAROさんとヴァラりんさんのお話、興味深く読ませていただきました。
私が故意にアルファベット表記を選ぶのは、
1.日本語訳では伝わりにくい微妙なニュアンスがあると判断した場合
2.アルファベットで見慣れている固有名詞を、カタカナ表記にすると違和感を覚える場合
どちらも私の独断と偏見で選んでしまうんですけどネ。
2の例?は、X−ファイルの「Mulder」捜査官です。日本では「モルダー」でしたが、私は「マルダー」の方が合っていると思っています(笑)。番組終わっちゃいましたが。
文章の美しさ、読みやすさは、自分で書くぶんにはあまり気にかけたことがありませんでした。人の目にとまるものですものね、もっと気を配らなくては。
「ヴィノグラードフ」対「ヴィノグラドフ」ですが、
長母音対短母音を特に区別しない言語はあります。
英語、フランス語、スペイン語などはそうです。
例えば「マドリッド」は「リ」にアクセントがあるため、日本人の耳には「マドリード」に聞こえることがあるかもしれませんが、スペイン人が発音するときは「リ」の母音を他の母音よりも長くのばしているという意識はないはずです。
だからヴァラりんさんが思うほど「ヴィノグラドフ」氏は気になさらないかも知れませんよ。
投稿: 雪虫 | 2005/10/19 00:47
雪虫さんが仰る「故意にアルファベット表記を選ぶ」理由に挙げていらっしゃることも、よくわかります。2の例、何となく想像が(笑)
大丈夫、雪虫さんの文章は充分に美しく、読みやすいですから(^^!
>長母音対短母音を特に区別しない言語はあります。
言われてみれば確かに…拘るのは寧ろ、日本人のほうかもしれませんね。
>だからヴァラりんさんが思うほど「ヴィノグラドフ」氏は気になさらないかも知れませんよ。
だと嬉しいなf(^^;
それにしてもヒマジンのなせる業とは言え、こんな瑣末なことで悶々としている私って一体何?と、時々頭を抱えたくなりますけど…(● ̄。 ̄●)
投稿: ヴァランシエンヌ | 2005/10/19 09:45
スペイン語では母音の長短を「区別はしない」が「そのように発音されることはある」。LL はエリェが本来の発音。
投稿: | 2005/11/29 21:33