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R.シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》 ザルツブルグ1965年

輸入版リージョンフリー この映像、去年こちらにも感想を書いていますが、久しぶりに見直してみました。

古きよき時代を感じさせる、とても質の高い演奏ですが、改めて見直してみると、やはり時代性は否めないかな…と思いました。

演出は古式ゆかしき、オーソドックスな形ですが、決して歌手は突っ立っているだけではなく、ちゃんと演技しているのですが、どこか没入できません。オーケストラもどこか、のんびりしたような…

もしかしたら、演奏スタイルの時代性も関係しているのかも…と思いました。

作曲家と音楽教師作曲家、見た目も美しく、役柄によく合った容姿だと思いますが、歌だけだと、ちょっと間が持たないかしら…
割と好きな歌手さんなのですが、あまり歌い回しが器用ではないように感じます。というよりも、これも時代性の問題なのかもしれません。

せっかくかわいい踊り子なのに… ツェルビネッタ、去年の感想にも書きましたけど、本当に動きが軽やかで、まさに踊り子がそこにいる!という感じ。ステップの踏み方は、ホントにバレリーナのようです。

でも、声が細すぎるのかな…歌の方はかなり苦しそうに感じます。
こういうのは相対的な問題ですから、これだけしか知らなければ、勿論素晴らしいのでしょうけど…
こちらも、割と好きな歌手さんだけに、今回見直して見て「あれ??」と感じたのは、自分でも意外な気がしました。

古さは否めないかしら… この軽やかなツェルビネッタに対して、道化たちがあまりにも鈍重です。歌も動きも、リズムにのれない…
ツェルビネッタが軽やかに動けば動くほど、そのギャップが歴然と感じられて、見ているこちらの方がちょっと恥ずかしいような感じを受けました。
こういった小回りの必要な役柄は役作り、歌い回し共に、現代の歌手の方が遥かに気が効いていると、つくづく感じました…

それにやっぱり、今の感覚から見ると、少し老けすぎな気が…これも相対的な問題かもしれませんけど。

アリアドネとバッカスの出会い。大好きなシーン バッカスは声も、ちゃんとテノールの声に聴こえますし、本当はもう少し柔らかく歌って欲しいかな?って気もしますけど、あんまり文句ばっかり言うのもナンですから(^^;

見た目も、古い世代のハンサムさん!という感じですが、やっぱり素敵。スタイル抜群・ミニスカート?もよく似合ってます。「若々しい、美しい神!」のイメージは充分に感じられます。

ステキなバッカス、女らしいアリアドネ このディスクで一番印象に残ったのは、アリアドネです。とびきりの美女!というわけでもないですし、声もくぐもった声で、格別に魅力があるというわけではないんですけど、本当に歌に心がこもっている…と感じます。

こういう表情、いいです… そして、何よりも表情がとっても細やか。大げさな演技をしているわけではないのですけど、嘆きの様子もさることながら、徐々にバッカスに心を開いていく様子が、表情の変化からも伺えて、目が離せませんでした。

主な配役:
プリマドンナ/アリアドネ:ヒルテガルト・ヒレブレヒト(Hildegart Hillebrecht)
作曲家:セーナ・ユリナッチ(Sena Jurinac)
ツェルビネッタ:レリ・グリスト(Reri Grist)
テノール歌手/バッカス:ジェス・トーマス(Jess Thomas)
音楽教師:パウル・シェフラー(Paul Schoeffler)
舞踏教師:Jon van Kesteren

指揮:カール・ベーム
演出:ギュンター・レンネルト

《関連記事》

・2004年10月4日:速報!ベームの『アリアドネ』映像

・2005年10月27日:ドレスデン1999年 映像鑑賞メモ

・edcさん宅R.シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」ザルツブルク1965年

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オペラ:ディスク感想メモ」カテゴリの記事

コメント

次はこれ・・と来ましたか^^!

>古い世代のハンサムさん!
ですね。人の顔が変わる?のか、好みが変わるのか?
写真技術のせいもあるかな? とか思いますが、
どうしても、古さを感じますね。

最近、1953年制作の日本映画を見ましたが、解説者曰く「永遠の二枚目、上原謙」が主役なんですけど、う〜〜ん、これが永遠の二枚目だったんだ・・?! 海外数カ国の若い人たちにも、「これがハンサム?!」って言われちゃいました^^; 女優さんは、即美人認定でしたけど。(ちなみに、杉葉子、岡田真梨子 私もとても美しいと思います)

話がずれました・・ m(_ _)m

edcさん:
>人の顔が変わる?のか、好みが変わるのか?
>どうしても、古さを感じますね。

そうなんですよね。いい男にも流行って、絶対あると思います。

演奏スタイルや、演出にも同じことが言えるのかも…と、久しぶりに真面目に見て、つくづく思いました。
(特に道化くんたちにはうるさくなったかも^^;)

アリアドネとは関係ないんですけど、まだ10月なのに、もう初霜ですか!ブルブル・・・

レリ・グリストは超高音は、そんなに得意じゃないのかも。コンサート・アリアなんかでも結構苦しそうだったりしますね。声の音色自体が魅惑的なので、多少苦しくても大好きなんですけど。

>時代性の問題
歌い方やテンポの取り方、道化の動きなどは時代によって変わってきて当然でしょうね。40年も前の演出ですから、今から見ると「ちょっと違う?」という部分も多いのでしょう。それでも、古い舞台がこうして映像として見れるのは嬉しい事ですけどね♪

>バッカス
>ミニスカート?もよく似合ってます
こういう衣装の時は、こういうタイプの顔の人がぴったりだと思います(^_^;)

あと、記事には関係ないですけど、初霜とは早いですね!こちらも朝霧が出るようになってきましたけど、この週末は気温は穏やかなようです。そうそう、日曜日の冬時間変更も気をつけておかないと!(笑)ん?となると私のページに書いてあるラジオ放送時間が違ってくるわ…(^_^;)あぶないあぶない。

TAROさん:

>レリ・グリストは超高音は、そんなに得意じゃないのかも

やっぱりそうですかぁ。声が細くて高いので、いかにもすんなり出そうな感じがするんですよね。
彼女のスザンナやデスピーナは私も大好きです(^o^)
でもホント、声もかわいいんですけど映像で見ると、あの軽やかな足さばきには見入ってしまいますし、あんなに優雅に歩ける歌手さん、滅多にいないんじゃないかしら?

サルダナさん:

>それでも、古い舞台がこうして映像として見れるのは嬉しい事ですけどね♪

そうですね。愛聴盤…とまではいかなくても、演奏スタイルの変遷を確認する為の資料としての価値としてだけではなく、色々興味深い点もありますしね(^^!

>初霜

あれ?仙台もロンドンも、まだですかぁ?^^;
今朝は少し暖かかったんですけど、もう既に何回か、毎朝車の窓ガラスと格闘してますよ(^^;
(安アパートだから、ガレージが無いんです><;)

始めまして。if と申します。
レリ・グリストのファンサイトを運営させて頂いております。

しばらく前から、ヴァランシエンヌ様のレビューのうち、
http://www.geocities.jp/traeumereienvalencienne/cd-02.htm
http://valencienne.tea-nifty.com/brot/2004/10/post_1.html
を、当サイトで引用させて頂いておりますが、
よろしかったでしょうか?
当該 URL は
http://reri-grist.net/links.html
の「コジ」と「アリアドネ」の項です。
事後報告のようになってしまい、誠に申し訳ございません。

今回のヴァランシエンヌ様の再評価を拝読致しまして、
少なからずショックを受けてます (^^;;

ifさん:

初めまして!コメント&リンク報告、ありがとうございます。
留守にしていたので、お返事遅れてすみませんでした。

グリスト、可愛らしいですよね。アリアドネと同時期のスザンナ@ベームの映像のことも書かなくちゃ…と思いつつ、後回しになってます(^^;

またいつでもいらして下さいね。お待ちしています。

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