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R.シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》 ドレスデン1999年

アメリカ版リージョン1のみ ヨーロッパ版PAL式 「プロローグ」の場面から、「オペラ」を見る為に集まったドレスアップした上流階級の男女(これがいかにも、ドイツの《ソウイウカンジ》な風貌の人たちが多くて、芸が細かい!と思いました^^;)が出入りし、そこから既に「劇中劇」が始まっているような感覚を受けます。

「オペラ」も、この同じ舞台の中で行われます。通常、「オペラ」には出てこない作曲家が舞台の端から、こっそりこの「オペラ」を覗いて見ていたり、それに気がついたツェルビネッタが、彼を舞台に引っ張ってきて、ツェルビネッタのアリアの伴奏をさせたりします。

バッカスとアリアドネの出会い。左側から老婦人がこの様子を見てます プロローグとオペラを、厳格に分けたい!という向きの方には、奇妙な感じを受けるかもしれませんが、こうすることによって、むしろ繋がりが明確に見えてきて、私にはとても新鮮に感じました。

オタクっぽい作曲家&少し蓮っ葉なツェルビネッタ 作曲家は、いかにも神経質そうなオタクっぽい風貌で、それがかえって現代的な感じがします。この役、ズボン役の中でもちょっと変わった役ですし、この役作りは、とても面白いと思いました。歌も丁寧で、心がこもっていると思います。

観客の男達、なかなかステキですね ツェルビネッタは少し年を取りすぎているかしら…?角度によっては可愛らしく見えますし、遠目で見る分には問題ないかもしれませんが、映像でアップになると、ちょっと辛いです…
少し蓮っ葉すぎる気もしますけど、「観客」の男達との絡みも加わっての「ツェルビネッタのアリア」は、なかなか面白かったです。

アリアドネは、結構貫禄あって(^^;「いかにも高慢ちきなプリマドンナ」という感じがします。この役なら、こういう容姿の方がかえっていいのかもしれません。歌の方はまずまずかな?

★2006年8月2日 思い出し追記(^^;★

このアリアドネ役スーザン・アンソニーは、その後2006年1月の「さまよえるオランダ人@ベルリン国立歌劇場」のゼンタ役で実際に聴くことができました。共演者(ダーラント&エリック)が素晴らしかったこともあるかもしれませんが(^^;狂気が内へ内へ向かっていく…というのを、嘘っぽくなく、女性らしい細やかな表現と演技で体現した、本当に素敵なゼンタでした。私の中ではゼンタ=彼女、という図式が成り立っています。

バッカスとアリアドネ バッカスは、大男ですね(^^;
この役にはなんとなしに思い入れがあって(シュトラウスのテノール役では、珍しいヘルデンテノールの役ですし^^!)ついつい色々求めたくなります…
折角の派手な旋律ですもの。演出がどうであれ、声や歌い方から受ける「若々しい、美しい神!」のイメージは崩して欲しくないんですけど…
でも実演で見ると、この大男のバッカスはそれなりに見栄えがしそうな気はします…

気になる道化くんたち・これからこのオペラを見るときには、要注目!^^; パリの放送録音のお陰で、めでたくアンサンブルの魅力に開眼した、気になる道化たちですけど、この映像の道化くんたちも若いです。
実際の舞台だと、若手の歌手がやる方が、よく動けるでしょうし、コミカルな感じがよく出て、面白いんじゃないかしら?この映像でも、この部分は気に入って、繰り返し見てしまいました(^^;

取り残されたハルレキン君… 道化仲間の中でツェルビネッタを射止めたはずの、ハルレキン君、最後の最後にツェルビネッタは作曲家を選んでしまい、エンディング場面で舞台の片隅に、ひとりぼっちで取り残されるのですが、道化ってやっぱり悲しいものなのかな…って、ズシンときました。

この映像、色んな意味で、色んな発見があり、色々考えたいことが出てきました。暫く、アリアドネブームが続きそう…

相変らず、頭が大きいな…個人的に嬉しかったのは、音楽教師としてテオ・アダム氏の元気なお姿を拝見できたことでしょうか(^^;
この当時、73歳だそうです。

地元ドレスデンの舞台には、現在でも年に1,2回出ているそうですが、ノーブルな美声と、語るような表現力は健在。矍鑠とした舞台姿、若手の歌手に混じってこういうベテランが脇役で出ると、舞台がとても締まると思います。

★2006年8月2日追記★

アダムは今年の8月1日で満80歳。今年の12月・ドレスデンでの《魔弾の射手》隠者役を最後に、舞台を引退すると発表しました。彼について簡単にまとめた記事はこちらからGo!

もう一つ嬉しいのが、ドレスデンでの録画…ということです。この劇場にも3回行きましたし、やっぱり実際に行ったことのある劇場の映像が見られると、何となく嬉しくなります。

そして何より、ドレスデンはシュトラウスとはゆかりのある劇場ですし、一度はこの劇場でシュトラウスの作品を思う存分、堪能したいものです…

主な配役:
プリマドンナ/アリアドネ:スーザン・アンソニー(
Susan Anthony)
作曲家:ソフィー・コッホ(Sophie Koch)
ツェルビネッタ:イリーデ・マルティネス(Iride Martinez)
テノール歌手/バッカス:ジョン・ヴィラーズ(Jon Villars)
音楽教師:テオ・アダム(Theo Adam)
舞踏教師:ヴェルナー・ギュラー(Werner Guera)

指揮:コリン・ディヴィス
演出:マルコ・アルトゥーロ・マレッリ

《11月1日 追記》
edcさんもこの映像についての記事を書いて下さいました。

《関連記事》

・2004年10月4日:速報!ベームの『アリアドネ』映像

・2005年10月28日:ザルツブルク1965年 映像鑑賞メモ

・2004年11月3日:ザルツブルグ2001年 映像鑑賞メモ

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オペラ:ディスク感想メモ」カテゴリの記事

コメント

写真もいっぱいでどんな演出か分かりやすいです!オタクっぽい作曲家は意外と面白いかも…。観客の男性達の渋さがいいですね♪

>舞台の片隅に、ひとりぼっちで取り残される
写真の顔も悲しい!若い道化だと、ふられちゃった悲しさも倍増して印象的だと思います。しかも、あのオタク作曲家に負けちゃったなんて(笑)

>色々考えたいことが出てきました
良い演出だったのですね!見終わった後にオペラを復習したくなる演出が好きなので、この映像も見てみたいものです。

このオペラ、美しいメロディーがけっこうたくさんありますね。聴いたり、観たりしているときは、いいなあって思うんですけど、なかなか鑑賞しようって気にならないのが不思議です^^; 

この映像、配役をみると、もうずっと以前に買ったきり、しまいこんでるのと同じみたい・・ 表紙が違うんですよ・・ブタの頭の人たちがいます。

思い切って、観てみましょう^^!

サルダナさん:

あれもこれも入れたいと思っていたら、ちょっと写真、載せすぎたかも…^^;でも参考にして頂けると嬉しいです。

>道化
>しかも、あのオタク作曲家に負けちゃったなんて

そうなのよね(^^;ホントに悲しそうですよねーー;
実は最初に見た時、ウルウル…状態に陥りました。

edcさん:

>表紙が違うんですよ・・ブタの頭の人たちがいます。

ああーっ、それは道化君たちです(^^;
その表紙は、もしかしてこれ↓じゃないですか?
http://images-eu.amazon.com/images/P/B00005B0ES.03.LZZZZZZZ.jpg
ヨーロッパ仕様だと思いますけど、この表紙の方が可愛くて好きです(^^;

>聴いたり、観たりしているときは、いいなあって思うんですけど、なかなか鑑賞しようって気にならないのが不思議です^^; 

それはひとえに、バッカスに問題があるからでしょう(^^!
ホフマンで見たい!聴きたい役はいっぱいあるんですけど、この役こそNo.1なんですよねぇーー実は(笑)

あのハンブルクの写真だけでも、すっごく魅力的じゃないですか。きっと「チルチェ♪」も、上手く歌うはず…

>思い切って、観てみましょう^^!

やったぁ(^o^) 今度は《アリアドネ祭り》…かな?^^;

>プリマドンナ/アリアドネ:スーザン・アントニー
このソプラノさんは、新国のワルキューレで、ジークリンデ(Aキャスト)でした。楚々とした美人という感じでしたが、Bキャストの蔵野蘭子さん(黄昏では存在感抜群のグートルーネ)が強烈で、ちょっと印象が薄かったです・・・

>テノール歌手/バッカス:ジョン・ヴィラーズ
このテノールさんは、テレビで観たザルツブルクのぶっとぶほどでもないけど、ちょっと目をそらしちゃう場面ありのでも同じ役でした。まあ、こういうぼ〜〜としたバッカスもありね・・って感じでした。誤解かもしれないけど、精神病を患ってる方々かしら・・なんて演出でしたし。

>ホフマンで見たい!
そりゃあもう・・ せめて声だけでも・・って思いますけど、無理な予感・・

>音楽教師:テオ・アダム
これには、ちょっと驚きました。そうなんですか・・
早く見なくちゃ・・^^!

ヨーロッパ版の表紙の写真、追加してみました…
こっちの方がかわいいですよねぇ?!

>>プリマドンナ/アリアドネ:スーザン・アントニー
>新国のワルキューレで、ジークリンデ(Aキャスト)

へ~~そうなんですか。年始のリンデンでの「オランダ人」でゼンタなんですよ。ダーラントはダレカさんですけど、体格で見劣りしそう…^^;

>>テノール歌手/バッカス:ジョン・ヴィラーズ
パリの録音もこの人でした。パリの方では、声が随分重たくなっている気がしましたけど、この方って殆どバッカス専門みたいですよね~~

>>音楽教師:テオ・アダム
是非是非^^なかなか味わいがありますよぉ(^^;

この映像はNHK-BSで放映されたものを観ました。演出・演奏など、結構気に入ってますが、ヴァラシエンヌさんも触れているツェルビネッタの容姿がどうも……。

ザルツブルクの『アリアドネ』は恥ずかしくて観ていられませんでした(笑)。

>ザルツブルクの『アリアドネ』は恥ずかしくて観ていられませんでした(笑)

ツェルビネッタと仲間たち、相当えげつないですね・・・ 

ザルツブルクの『アリアドネ』に限りませんが、最近のオペラ歌手って本当に大変だなぁ~、と感じることが多いです。新国『ルル』での佐藤しのぶさんの演技なんか、ファンの方からすれば卒倒ものでしょうね(笑)。

それほどえげつなくはなかったですが、バイロイトでのタンホイザーとヴェーヌスの絡みも結構恥ずかしかったです。この場面、Hな振り付けや衣装のバレエが登場することが多く、そういう場合はあまり気にならないのですが、現在のバイロイトのプロダクションだとほぼタンホイザー役とヴェーヌス役しか舞台に登場しないので、逆に恥ずかしかったです。しかもタンホイザー役はスケベ顔なので特に……。ホフマンがタンホイザー役だったら様になったでしょうが……。

オデュッセウスさん&edcさん:

>ザルツブルクの『アリアドネ』
>ツェルビネッタと仲間たち、相当えげつないですね・・・

えっ(^_^;)
この映像、近日中に見られると思いますので、楽しみにしてるんですけど(^^;

>バイロイトでのタンホイザーとヴェーヌスの絡みも結構恥ずかしかったです。
>しかもタンホイザー役はスケベ顔なので特に……。

う==ん、そうでしたか(^_^;)
なるべくそういう先入観ナシで見たいなとは思うんですけど、この手の場面が《恥ずかしく見えるかそうじゃないか》は、演技者に拠る所大でしょうね…

オデュッセウスさん:

アリアドネとは全く関係ない話ですけど(^^;パリでの《リング》に興味があるようでしたら、私のブログからリンクさせて頂いている《パリ音楽日誌》さんのお宅でちょっとだけ話題になっています。

もしよかったら、ご覧になってみて下さい。ザイフェルト夫妻が双子を歌ったとのことです。
気の長い話ですけど、来年4月にはネット放送も予定されているようですね。

http://www.radiofrance.fr/chaines/france-musiques/emissions/soirees_lyriques/avenir.php?e_id=26

ヴァラシエンヌさん、ありがとうございました!!早速《パリ音楽日誌》に訪問してきました。

それにしても、世界中に日本人の皆さんは進出しているんですねぇ~。こういった情報は本当にありがたいですよね。『音楽の友』などの情報は遅いし、注目上演(新演出などの)しか情報がないので、こういったサイトは見ているだけでも本当に楽しいです。

オデュッセウスさん:

>こういった情報は本当にありがたいですよね。

ホントに。いながらにして、好きな歌手の追っかけがネットで出来るのも、現地在住の方からの情報が入りやすくなったお陰です(^^;

パリのリングは、4月に通し上演されるんですね。その時はドミンゴがジークムントだそうですけど…

>パリのリングは、4月に通し上演
>ドミンゴがジークムント
ま、またですか?彼はジークムントに活路を見出したのか!?と言いたくなるくらい最近はジークムント尽くしですね。確かに私が見たROHのものも良かったですけど…。

ヴァラリンさん
相互TB、ありがとうございます^^! アリアドネ祭り、
あと二つ映像があります・・・

サルダナさん:

>ドミンゴがジークムント
ま、またですか?

そうなのよ~~正直言って、来年メトの日本公演以外では、歌わないのかと思っていたんですけどねぇ…

edcさん:

今回は完全に私の趣味に付き合って頂いてありがとうございます(^^!
私もあと2つ、映像がありますわよ(笑)

ヴァランシエンヌさん、こんにちは。TBありがとうございました。
テオ・アダム、80歳ですか!それはまた息の長い歌手さんですね。引退後はゆっくり過してほしいものです。

TB返しさせていただきました。

Orfeoさん:

TBありがとうございます(^o^)丿

>引退後はゆっくり過してほしいものです

ええ、本当に(笑)

この記事へのコメントは終了しました。

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