« Groundhog Day | トップページ | ロンドンフィルのコンサート、放送します…(〃⌒ー⌒〃) »

ばらの騎士@シカゴリリックオペラ

rosenこちらのページの方が読みやすいかも。内容は同じです。

約2年半のアメリカ生活中、これまでにこちらで3回オペラを見ました。いずれも地方の劇場ですが、ちゃんと都市の規模によって、レベルに格差があるのが、いかにもアメリカらしいな…と思っていました。

シカゴリリックオペラ(Lyric Opera of Chicago)は、アメリカのオペラハウスの中ではかなり知名度も高く、日本でも知られているかと思います。帰国前の話の種に、一度くらいは行っておこうかと思い立ちました。

ヨーロッパで活躍中の歌手達の名前も散見します。これは、今までの地方劇場ではなかったことです。

座席はUpper Balcony 1 の前から7列目、ほぼ端っこの安い席。ドイツの劇場と違って、馬蹄形ではないので、バルコニー席の端でも死角がなく、舞台全体が見渡せるのは有難いですが…
Upper Balcony 1 ということだったので、2階席なのかな?と思っていたら、なんとエレベーターで昇った先は5階!!
さすがは座席数約3500のオペラハウスです。全体が見渡せるとは言っても、歌手の顔なんて、肉眼では判別できません(^^;

ちょうど、N●Kホールの最上階から見渡したような感じだと、相方が申しておりました…

(そもそも、劇場にエレベーターがあること自体、いかにもアメリカ的^^;)

加えてちょっと体調が悪く、上演が始まる前に薬を飲んだ為、時差ぼけでもないのに睡魔と戦う羽目になり、私の状態は決して良いとはいえませんでした。
3幕の前半は、ウトウト(〃´`)〜o○◯・・・

ただ、音響は思ったよりも悪くないどころか、ちょっと不自然に感じるくらい、良い音で聴こえました。こんな遠くなのに、すぐ近くで歌っているように感じると言うのか…ダイレクト感は皆無ですけどね。

大きいとはいえ、幅よりもタテの空間が異様に長い感じがしたので、そのせいでよく響くのかもしれません。

1911年・ドレスデンでの初演時の舞台をほぼ忠実に再現したという、落ち着いた色合いの、美しい舞台。衣装もオーソドックスなものです。

「まぁドイツの舞台に比べると、刺激には欠けるけれど、安心して観られるわね」と、ベルリンかぶれのヴァランシエンヌさん、ちょっとスノッブぶってみたりしてf(^。^;

オクタヴィアンはスーザン・グラハム。さすがに世界的に活躍中のメゾというだけあって、艶やかで美しい声でした。ゾフィーのCamilla Tillingも強靭な声で、この2人のアンサンブルは非常に聴き応えがありました。声の相性もよかったと思います。

アメリカでオペラを観ていて、可笑しいことの一つに「観客が字幕を観て反応し、大笑いをする」ということがありますが、今回も随所でそういうことがありました。
定期会員が90%を占めると言われるシカゴリリックですが、この劇場ですら、オペラの筋もよく知らずに、観に来ている人が大半なのかもしれません。

隣の席は、若い男女のカップルで、男性が私と隣り合わせていたんですけど、彼はしょっちゅうクスクス笑い(3幕で私がウトウトしているとき、彼の笑い声で目が覚めました^^;)大詰めの3重唱の後は…泣いていました。

隣の彼女の手をしっかりと握り締めながら涙と鼻水を拭い、オクタヴィアンとゾフィーがうっとり寄り添えば、彼らもうっとりと…

(尤も、うっとりしていたのは、このカップルだけではなくって、結構年配のカップルでも相方の肩を抱いて頭を寄せ合っている場面が随所に…^^#)

そう、「ばらの騎士」は、しっとりしたオトナの作品でありながら、随所に笑いを取り入れ、ドタバタシーンもあるけれど、最後はホロリとさせて、そしてHappyendで終わる…というわけですから、舞台上で起こっていることに素直に反応し、感動できる…なーんていう、こんなお客さんが沢山いたら、シュトラウスもホフマンスタールも泣いて喜びそうじゃないですか(^。^!

ひきかえ、私と来たら…
いくら体調が悪かった+席が遠かったとは言え「んーもう、オクタヴィアンの立ち居振る舞い、もう少し垢抜けないのかしら?!」「ゾフィーが嬉しいのはわかるけど、手を叩いて飛び上がりながら喜ぶのは、それはあまりにも庶民的じゃないかしら…」とか、世話焼きおばさんめいたことばかりが気になって、演奏そのものを楽しんだ…とは言い難く、なんてかわいくないんだろうーー;と、ちょっと自己嫌悪に陥りました(^。^;

とりあえず、好きな作品を生で聴けたことと、日米欧文化の違いを考える上で、非常に興味深いものだった…ということで、お茶を濁しておきましょう(^^;

この劇場へのアクセスや中の様子は、後日別トピックでまとめておきますね。

********************************

2006年2月4日 シカゴリリックオペラ

ドイツ語上演

指揮:Sir Andrew Davis   
演出:Bruce Donnell

オクタヴィアン:Susan Graham
マルシャリン:Anne Schwanewilms 
ゾフィー:Camilla Tilling   
オックス男爵:Franz Hawlata   
ファーニナル:Peter Sidhom
*********************************
《アメリカで観たオペラ・関連記事》
●サロメ
●エフゲニー・オネーギン(1)
●エフゲニー・オネーギン(2)

« Groundhog Day | トップページ | ロンドンフィルのコンサート、放送します…(〃⌒ー⌒〃) »

オペラ」カテゴリの記事

Viva! America」カテゴリの記事

コメント

お疲れさま^^!

オクタヴィアン、マルシャリン役の歌手の名前は見覚えがあります。オクタヴィアンの方はテレビで見たザルツブルクの「ナクソス島のアリアドネ」で作曲家でしたね。これはなかなかよかったですけど、オクタヴィアンは違う雰囲気が求められるでしょうけど.... ぴったりとはいかなかったのですね。まあ、仕方ないでしょう^^;

昨夜は新国でしたが、以前の「フィガロの結婚」でとっても魅力的なケルビーノだったドラベッラが・・・ あ〜〜がっくりでした(声は好みだし、歌もまあよかったと思いますけど???)

追加m(_ _)m

他の役も、ほれぼれなんてのはなかったです。
デスピーナは以前と同じによかったんですけど、周りが違ったせいかしらね〜〜〜 浮いちゃうのか、どうでもよくなっちゃいます。

オデュッセウスもサー・アンドリュウ・デイヴィス指揮の『ばらの騎士』、実演に接したことがあります。メト来日公演で、平日のNHKホールの後ろの方で観ました。値段も高かった~!!また、3階席の寂しいこと……。チケットの値段や販売方法、もう少し工夫しなよ~、なんて感じました。

舞台や上演レヴェルはまあまあでしたよ。尤も、歌手の顔は全く見えず、後で雑誌で見た写真で、おばあさん顔のオクタヴィアンに驚きましたが……。

シュヴァーネヴィルムスって、マルシャリンとか歌うんですね。特にコメントされてないところを見ると、いまいちの出来だったんでしょうか?

edcさん:

>ザルツブルクの「ナクソス島のアリアドネ」で作曲家

そうそう(^。^! 昨日見直してみましたけど、作曲家の方がいいと思いました。
でも、声は今のほうが充実しているかも。声だけだったら、現代最高のオクタヴィアンなんじゃないかしら…
ズボン役でも、求められるものが違うんですよね(^^;

オデュッセウスさん:

>メト来日公演

って、もしかして5年くらい前の、フレミング=マルシャリンだった時の公演ですか?
だとすれば、オクタヴィアン=グラハム、オックス男爵=ハウラータ…で、一致しているかも。(これを書くために調べていて気がつきました^^;)

ちなみに今回の席は$60でした。ドイツに比べると、こんなに遠くてこの値段?!と思いますけど、日本と比較すれば、まぁ許容範囲ですよね。特に来日公演の値段設定はあまりにも…
日本に帰っても、来日公演には手が出せませんよーー;

TAROさん:

>シュヴァーネヴィルムス

うっ(^_^;)
この前のリンデン@オランダ人のコメントで話題にしたばかりでしたよね(^^;
この役は今回が初めてだったそうです。
オクタヴィアンとゾフィーの声が大きかったことも影響しているんでしょうけど、3重唱では完全に彼女の声は掻き消されてましたーー;

本当は声の大きさ云々は言いたくないんですが、やっぱり聴こえないと、話になりませんよね…

そうは言っても、何しろ3500人収容の巨大ホールですから、もっと小さい所で聴くと、良さがわかるのかもしれません。

>声の大きさ云々
聞こえないのはどうしようもないですけど、
ひたすら大きすぎるのもね〜〜 耳が痛いだけです(慣用句ではありません、そのままの意味)
大きけりゃ文句ないだろ!!!って感じがしないでもないですぅ..... 昨夜のフェランドはその気ありだったわ^^;

>ひたすら大きすぎるのもね〜〜 耳が痛いだけです

ひゃはははは((o(>▽<)o))
あったな~~嘗て、そういうことが(^^;
夏の苦いボエームの時の、ロドルフォ…(● ̄▽ ̄●;

当に天井桟敷!

そうですそうです、そのキャストでした。フレミングの元帥夫人もよかったですが、フランツ・ハウラータのオックス男爵が特によかったなぁ~。

本題とずれるかもしれませんが、あんなに空席を残して、本当にもったいないなぁ~、と上演中もそればかり気になってしまいました。正規の金額で購入した人のことを考えているのかもしれませんが、売れ残ったものがディスカウントされるなんて当たり前だと思うのですが……。学生さんなどに格安で販売すればいいのにと思うのですが、ヴァラシエンヌさんはどう思います?まぁ、安く買った学生さんらがうるさかったりすると頭にきますが……。

とらさん:

>当に天井桟敷!

ですね(^^;
でも、もう少し小さい劇場のほうが私は好きです(^^;全体が見渡せるのは嬉しいんですけど、表情も何も見えませんから(^_^;)

オデュッセウスさん:

>「売れ残りチケットをディスカウントで」
という考えには賛成です。

平日の公演では、なかなか席を埋めるのは難しいのかもしれませんね。
招聘元や主催者側がちゃんと考えた上で日程を組むとかする工夫が必要なのでしょうけど、なかなか…というところでしょうか。

とにかく、現状のお値段設定では、たとえ来年のリンデン来日公演にダレカさんが来たとしても、手が出せませんよーー;

それと、こちらこそ全く関係ない話ですが(^^;
バーンスタインのトリスタン、お聴きになられたんですね。続き、楽しみにしてます(^^!
(オデュッセウスさんが今まであれを聴いたことがなかった…と伺って、えーっ?!ってびっくりしたんですよ@。@!)

>>>「売れ残りチケットをディスカウントで」
単なるうわさですけど、新国のコジ・ファン・トゥッテ、そういうことをしたみたい.... チケットがずいぶん余っているから、半額で行かないか?....という話があったのですけど、ほとんど満席でした。なんとなくですが、学生かな?と思われる若い人が、外国人も含めて多かったような感じがしました。(私はすでにシーズンチケット確保で、ちょっと残念でしたけどね^^!)

>>バーンスタインのトリスタン、お聴きになられたんですね。

オデュッセウスさん、こんにちは。私も、嬉しい気持ちで、読ませていただきました。あれがはじめてのトリスタンの私にとっては、あれで最後という感じです。あれ以上の録音に出会うことはあるまいという予感です...少なくとも私は。

>続き、楽しみにしてます(^^!
同じくです。待ってます!

ヴァラシエンヌさん、エウリディーチェさん、お返事ありがとうございます。

そうなんですよよ、音大などに対して非公開の形でそういったことが行われているのは聞いたことがあります。ロビーなどでの会話でわかります。

でも、これではダメなのでは?公演に行きたいのは音大生だけではないはずです。もっとオープンな形でできないものなのでしょうか?例えば、公演1ヶ月前になったら2割引、1週間前になったら半額など……。

関係ない話題ですみません。

連続で失礼します。

バーンスタインの『トリスタン』は今週末に3幕を聞く予定です。楽しみ!!

オデュッセウスさん&edcさん:

>非公開の形
>公演に行きたいのは音大生だけではないはず

仰る通りだと思います。なんか、日本の密室体制がこういう形でも行われているのかと思うと、暗澹たる気持ちになりますねーー;

そもそも、来日公演にあの大きなホールを使うのも、なんだかなぁって感じがするんですけどね。せっかく国立のオペラハウスを作ったんですから、そっちを使うわけにはいかないのかしら?

たとえばリンデンがスペインのマドリッドに遠征した時は、ちゃんとテアトロ・レアル・マドリッド劇場を使ってますし、演奏する側だって、ちゃんとしたホールの方がやりやすいと思うんですけどねぇ…

>>>バーンスタインの『トリスタン』

ふふ。edcさん共々、楽しみにしてますわよ(笑)
機会があれば、ディオニソスさんからあの秘蔵映像をお借りして、見てみて下さい。
視覚に訴えてくる分、より感動的ですよ(ネ、edcさん^^!)

Susanは大好きです❤️Susanは薔薇の騎士も皇帝ティートの慈悲もウェルテルもとても魅力的で目が離せないオペラ歌手の1人です。私はまだ15歳なので海外にオペラを観に行くことはできませんがSusanがオペラ歌手を引退するまでには実物を観に行きたいです。
ところで2017年はメトのライブビューイングでエリーナ・ガランチャとルネ・フレミングの薔薇の騎士が公演される予定なのでとても楽しみです。

Nさん

古い記事にコメントありがとうございます。
スーザン・グラハムいいですよね!私が聴いてこれを書いたのはもう11年も前の話です。
薔薇の騎士、お好きですか?私も大好きなオペラです。Nさんがグラハムの実演をお聴きになれる日が来るよう、私も祈ってますね。日本にも来て下さるといいのですが・・・

この記事へのコメントは終了しました。

« Groundhog Day | トップページ | ロンドンフィルのコンサート、放送します…(〃⌒ー⌒〃) »

Search




  • WWW here

カテゴリー

2020年9月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
無料ブログはココログ