« ショスタコーヴィッチ「リア王」から「道化の歌」その2 | トップページ | ごめんなさ~い(>_<; »

ショスタコーヴィッチ「リア王」から「道化の歌」その3

★2009年11月5日:Youtubeに再生リストをアップしました。

「道化の歌」その1 その2からの続きです。

この曲は、1曲当たり1分前後の短い曲を10曲合わせて、それをチクルスとしているのですが、実はネステレンコ版では 1-2-3-4-6-9-5-8-10-7 という順番で歌われています。

ピアノ版だとこの順番で演奏されるのが「決まり」なのかどうかは、手元の資料のみではわかりません。何方か詳しい方がいらっしゃれば、ご教示願えれば…と思います。

私見ですが、幕の順番&音楽の盛り上がり度から判断すると、ヴィノグラドフがコンサートで歌った時の順番の方が、収まりがいいような気がするのですけどね…

でも、慣れの問題かもしれません。ネステレンコ版の順番も、初めは「地味ねぇ」と思っていたんですが、「劇的度」は多少下がっても「哀愁度」が上がるような気がします(^^;

「その1」で引用した部分に書いてありますが、道化の年齢は60歳くらいだとか。だとすれば、確かにネステレンコの歌だと、このくらいの年齢の人物を彷彿とさせますね。ちなみにネステレンコがこのアルバムを録音したのは’76年(あれま。ダレカさんが生まれた年だわ~~)38歳の時とのことです。

ダレカさんは…この時29歳になったばっかりですし、う~ん、もう少し若い道化さんかな、という感じかしら?ロシアのバス歌手の大先輩を差し置いて、なんたる発言!ですが、贔屓の引き倒しとは承知してますが、時折ユーモアも感じさせる皮肉の利かせ方は、こっちが洗練されているかな、という気がします。時代のせいもあるんでしょうネ。

決してピアノ伴奏+順番のせいだけではないと思うけど、ネステレンコ版を聴いていても、煽られて思考停止状態には、ならないのですが…^^;

…もう、こんな内容なのに、そんな風に感じさせてちゃダメヨ…まだまだ表現に甘さがあるんだわ、なーんて思ってみたり…

とかいう、くだらん話は置いといてf(^^;最後の3曲の歌詞紹介です。

※歌詞引用は「ショスタコーヴィッチ歌曲集(発売元:ビクター音楽産業株式会社 VICC-40082-83)」より。

8.第3幕第2場 まず何をなすべきか。

音声クリップ

Shtani nuzhni,day u vam slovo,
No priyuti bashku sperva,
Il obovshiveet bez kroba
T voya sedaya golova.
V kom serdtse zhostkoe,kak pyatka,
Tekh ne smutit chuzhaya bol',
No spat' oni ne budut sladko,
Kogda natrut sebe mozol'.
ズボンが入り用なのは本当、
だか、まず頭をかくしなさい、
でないと、お前さんの白髪頭は
しらみだらけになりますぞ。
心がかかとのように固い奴は
他人の痛みには平気の平左。
ところが、自分にまめができてみろ、
さすがの奴らも安眠できずさ。

9.第3幕第2場 このチクルスの圧巻。軽快なテンポで、この世に悪がなくなったらどうなるか、なに、ふつうに歩くだけよの意。

音声クリップ

Kogda otkazhetsa svyashchennik
Krivit' dushoyu iz-za deneg
I perestsnet pivovar
Vodoyu razbablyat' tovar,
Kogda naskuchit kavaleram
Uchit'sa u portnikh maneram,
Kogda eretikov monakh
Szhigat' ne stanet na kostrakh,
Kogda sud'ya greshit' ne budet
I bez prichini ne zasudit.
Kogda umolknet kleveta,
Zamok povesiv na usta.
Kogda bludnitsa khram postroit,
A rostovshchik sund uk otkroet,
Togda-to budet Al'bion
Do osnovan'ya potryasyon,
Togda khodit' mi budem s vami
Vverkh golovami,vverkh golovami,vniz nogami'.
坊主が 袖の下のために
嘘をつくのを やめたら、
ビール造りが 商品に
水を加えるのを よしたら、
伊達男が 仕立て屋のとこで
流行を教わるのに あきたら、
修道士が 異端者どもを
火あぶりにしなくなったら、
裁判官が 罪を犯さず、罪なき者も 罰しなくなったら、
口に 錠前がかけられて、
誹謗が 黙りこんでしまったら、
淫蕩者が 教会堂を建立し、
高利貸が 金庫をあけたら、
そんなことになったら この英国(アルビオン)も
土台から ひっくり返ってしまい、
わしらは 誰もが歩き出すのさ、
頭を上にして、頭を上にして、足は下にしてな!

<>

10.第3幕第2場 王の発狂を暗示する伴奏。

音声クリップ

Gey,go,gey,go!
Tot,kto v neschast'e vladeet soboy,
Molniya,grom i grad.
V buryu i v dozhd' ne drozhit pred sud'boy,
Bud' oni sutki porvad.
V buryu i v dozhd' ne drozhit pred sud' boy.
Bud' oni sutki porvad.
ヘイ、ホ、ヘイ、ホ!
不幸不運に耐えうる者は
稲妻、雷(いかずち)、嵐にも、
あられや雨にもたじろがぬ、
一日中かわるがわるにこようとも。
あられや雨にもたじろがぬ、
一日中かわるがわるにこようとも。

« ショスタコーヴィッチ「リア王」から「道化の歌」その2 | トップページ | ごめんなさ~い(>_<; »

オペラ以外のクラシック音楽」カテゴリの記事

ロシアもの:オペラ&歌曲」カテゴリの記事

コメント

音楽好きだけじゃなく、シェイクスピア好きとしても楽しく読ませていただきました。ロシア語の訳詩、ちゃんと韻を踏んでいて凄いですね。こういうのが日本語だと無理なんですよね~。

>道化の年齢は60歳くらい
これはあくまでも「定説」の話ですので、演出家によっては若い道化を起用する場合もありますよ。ということで、ヴィノグラドフは若い道化ってことで、良いじゃないですか!年寄りの道化はこれから何十年先になっても歌えますから。

サルダナさん:

地味な内容なのに、反応して下さって嬉しいです!!本当は自力で訳するともっとカッコイイんでしょうけどね。とりあえず、手がかりが見つかっただけでもありがたいです~~

>ロシア語の訳詩、ちゃんと韻を踏んでいて凄いですね。

そういえば、そうですね(言われてみて初めて気がつくオバカ…^^;)

アルファベットの綴りだと、どうしても英語とかドイツ語で(頭の中で)読んでしまうので、タイプしにくくて…タイプミスしてないことを祈ります(^^;

本当はキリル文字の読み方をちゃんと勉強してからやった方ががいいんだろうな、と改めて思いました。

音を便宜上、アルファベットで「当てて」るわけで、曲を聴きながら、字面だけ追っかけていても、早すぎて追いかけきれなくて。
とりあえず、日本語での大意がわかれば、今のところはいいかな、と…^^;
リア王をちゃんと読むか、舞台を見ると、もう少し理解できるかもね。

>年寄りの道化はこれから何十年先になっても歌えますから。

ま、まぁねf(^^; それでなくても、年寄りの役が多いのに…

少しご無沙汰してました(^^;)

ショスタコーヴィッチで「リア王」があったんですねぇ?!
ロシアものはあまり触れる機会が無かったのでネステレンコの「道化の歌」は貴重でした。
しかし道化がテーマになった曲って何となくこっけいな感じで面白そうですが、ロシアものはちょっと重みがある様な感じに思えます。(^^;)

YUKIさん:

オペラとしての「リア王」ではなく、演劇につけた「劇音楽」というジャンルだそうです。私も、好きな歌手が歌ってなかったら、恐らく知りえなかっただろうという曲ですねf(^^;

「劇音楽」ってことは・・・もしかするとオラトリオみたいな感じとか。。。
ベルリオーズの「ファウストのごう罰」も「劇的物語」ってなっているのでそれに近いものでしょうかねぇ?
違ってたらすいません。(^^;)

YUKIさん:

ショスタコーヴィッチについては、日本語で読める詳しいサイトが沢山あるので、私もそれらを読んで、只今勉強中の身ですので「こうですよ!」とはっきり断言できないのがもどかしいのですが(^_^;)
興味があるようでしたら、「その1」にもリンクした以下の2つのページが参考になると思います。

http://develp.envi.osakafu-u.ac.jp/staff/kudo/dsch/cd-orc.html#58

http://www2u.biglobe.ne.jp/~smacky/kakure.dsch.lear.htm

「リア王」に関しては全曲通してというよりも、「道化の歌」と「コーデリアのバラード」(これもバスの為の歌曲で、とても美しい歌曲です)という2つの声楽曲が「聴きもの」という感じみたいです。

この記事へのコメントは終了しました。

« ショスタコーヴィッチ「リア王」から「道化の歌」その2 | トップページ | ごめんなさ~い(>_<; »

Search




  • WWW here

カテゴリー

2020年9月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
無料ブログはココログ