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レパートリーから:コッリーネ(Colline:ラ・ボエーム)

《ラ・ボエーム》のコッリーネと言えば、バス歌手にとっては、珍しく等身大の「若い男性の役」

この役で有名なのは《外套の歌》ですが、自称「コッリーネおたく」としては、他にも注目すべき点が色々とあるのです。

ソロで歌う部分は限られていますけど、出番のない3幕以外のアンサンブルでは、音楽的にも、台詞(歌詞)の上でも、絶妙な絡み方をしています。
なんてったって哲学者ですから、主役の夢見がちの自称詩人?!ロドルフォよりも、詩的で含蓄ある歌詞もありますし(^^;

ということで、私も便乗して、《外套の歌》以外は殆ど注目されることのないコッリーネについて、書いておきます。

折りしもカレが、この役で10月23日に英国ロイヤルオペラデビューしますし、ネ。
その「おめでとう記念」を兼ねて。
無事に出てくれること&公演の成功を、そーっと祈っています。.:♪*:・'(*⌒―⌒*)))

●コッリーネだって、若い男性なのよ!!

ろくに床屋にも行った事がない熊野郎のモテナイ君・哲学者コッリーネですが、女性に殆ど関心を示していないように見えても、そこはやっぱり若い男性。さりげないつぶやきに注目!すると、なかなか面白いのです。

一応、ムゼッタのことは「彼女は美人だし…俺だって目が見えないわけじゃないさ。でも俺はああいう面倒はゴメンだ。葉巻や文法の本の方が面白いんだ」ってさり気なく言ってるんですよね。

葉巻は健康の為には、あまり吸いすぎない方が。というか、やめたほうがいいと思いますけど(←余計なお世話)
可愛いじゃないですか、こういう男性。

え?歌う人に拠る…の…かな…f(^^;

この辺りは、映像の字幕だけではカバーできていないことも多いので、気になる方は、リブレットを丹念に読んでみることをオススメします。スコアが読める方は、そっちを見ても面白いかも。

●コッリーネだって、色々工夫しているのよ!!

コッリーネには、場面場面でひと声だけ聴かせる、台詞のようなフレーズがいくつかあります。それぞれの歌手によって、表現方法はさまざま。これを聴き比べるのも「コッリーネおたく」の楽しみのひとつです。

1)ショナールが食物とオカネを持って帰ってきたときに、みんなで大騒ぎする時の Bordo!(酒だぁ!)
2回歌われますが、最初がコッリーネ、2度目はマルチェッロです。
いかにも「酒かよ!」って感じの、ものすごい威圧的な「ぼるどー!」やら、「やっりぃ!!酒じゃねぇか~~(^^)v」って、かる~く弾むようなのまで、さまざま。

2)その直後、ショナールがばら撒いたお金を拾う時の"Raccatta, raccatta!"(拾おうぜ~~っ)も、たのしそ~に拾っているのが、目に浮かびそう(^^;

3)武勇伝を語るショナールの話は全く聞かずに、飲み食いを続けるロドルフォ、マルチェッロ、コッリーネの3人。
「オウムが死んだんだぜ」に対してChi?!..(誰が?!)って・・・
ん。もう…ぜーんぜんひとの話、聞いてなかったでしょっ。
ここを聴くと大抵、へぇ~~やっぱりこの役歌う歌手って、声低いんだわ~~って意識するんですよね…

4)クリスマスだからお前も床屋くらい行けよ!ってマルチェッロに促され、意気揚々と?床屋へ向けて出発するコッリーネですが、暗闇の階段で足を滑らせて、階段から落っこちます。
そこで捨て台詞のAccidenti!!(痛ってぇぇぇ)

実はさして気にしたことがなかった台詞ですが、去年の秋の~ナントヤラ~~♪で、カレが派手に転んでいるのが耳に留まって、この台詞に気がついたというわけ。その後、手持ちの録音録画で、ここの箇所をチェックしたんですが…
こんなに派手に転んだコッリーネ、他にいないんじゃないの??ったく、もぉ…(///

5)カフェ・モミュスでのヒトコマSalame!!
大抵は「さら~め!」ですけど「さ~らめ!」と歌う歌手がいるのだということに、気がついた去年の秋の~ナントヤラ~~♪(←しつこい^^;)

●外套の謎:

劇の最終部で、ミミの為に売ろうと決心するコッリーネ愛用の『外套』ですが、さて、コッリーネはこの外套をいつ手に入れたのか、ご存知ですか?
映像によっては、最初からコートを着ているものもあるので、長年彼が着続けていたコートだと思っていたんですが、実はあのクリスマスの夜に、古着屋さんで買ったものだったんですね。コッリーネを気にしてチェックするようになる前は、知りませんでした…

ってことは、そーんなに彼自身が長年着てきたものではなく、古着屋さんで入手したものですから、恐らく彼のような若くて貧乏な哲学者たちが、何か事情が出来た時に売って、そしてまた誰かが買って…を繰返してきた《外套》なのでしょう。

●ということで、やっぱり《外套の歌》

お歌としては、派手なフレーズがあるわけでもないですし、とても淡々とした、どちらかというと「語る系」のものだと思います。某解説書にも「哲人コッリーネの人柄をしのばせるような暖かさに満ちたバスのアリア」と書いてありますが、まさにその通りでしょう。

このアリアのあと、ショナールに「二人だけにしてあげようよ」と語ります。この部分を歌い上げている歌手さんの方が多いと思いますが、ロドルフォとミミに気付かれないように、ぐっと声をひそめるような感じで、ショナールだけに聞こえるように「ささやく」ほうが、私は好き……(v_v*)

★ちょっと小さいですけど、つい最近ですが、去年のパリでの舞台写真が見つかったのが、嬉しい!!左からロドルフォ、コッリーネ、マルチェッロの3人。4幕前半のふざけ合っているところでしょう、ネ。精度は落ちますが、ちょっと大きめに拡大したものは★こちら★  
あ~~ん、欲張りなので、もっと大きくて精度が高いモノが見たいわf(^^;

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《関連記事》
ボエーム 手持ちの映像&CDリスト 
『ラ・ボエーム』in ベルリン国立歌劇場
とりあえず、幸せ…かなf(^^;

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コメント

わーい、ボエーム。

実はちょっとボエームオタクなりょーです(笑)だって初めて買った全曲盤OperaのCDってボエームなんですもん。面白くて、それこそリブレットを舐めるように読みましたよ~。

盛り上がってるロドルフォとマルチェッロの横でニヤニヤしてちゃちゃを入れるショナールとコッリーネのコンビ大好きです。

そう、そう!あの外套はその時に買ってますよね!「本とコートで幾らだ?」とかって言って。あそこの会話を聞き取るのは大変ですけど、よく聞くとほんっと可笑しいですよね。そういう細かいところの辻褄が合っていてこのOpera好き(笑)

salame!・・・ほんとだ(笑)音符としては普通の「さらーめ!」って言うのと同じですけど、saで思いっきりタメてますねっ(笑)

あと、モミュスに出かけていくときの「andiam,andiam,andiam…」の最後の〆になるコッリーネも大好きですよー。ボエーム、久しぶりに聴きたくなってきました。

さっすが観察が細かい!!
舞台写真、いいですね。動いている映像で全部観たいわ。それより、新国で、こういう若々しいメンバー(もちろんコッリーネは決まりです)で、再演してほしいです。プレミエがかったるかったので、最初の再演はパスしちゃいました。

りょーさん:

>リブレットを舐めるように

私は、コッリーネを歌う歌手のファンになってなかったら、真面目に読んでなかったと思いますけどね(^^ゞ
お陰で、違う面から《ボエーム》を見聴きできるようになったのは、ナントカのなせる業ですねf(^^;

>salame!
>saで思いっきりタメてますねっ(笑)

でしょう?^^;去年放送を聴きながら「やるじゃん(^^!」って、嬉しくなったんですよ。

>「andiam,andiam,andiam…」の最後の〆

この一年でぐーっと声が深くなったから、今年は、もっと巧く歌うんじゃないかなぁ。

>ボエーム、久しぶりに聴きたくなってきました。

やっぱり秋冬のオペラかなって感じがしますね。
ロンドンの公演は丸セロマルちゃんとの共演だし、放送してくれないのかなぁって、取らぬ狸してたんですけど…

BBCの予定見たけど、今のところ放送予定はなさそうですね。残念だわーー;

edcさん:

>さっすが観察が細かい!!

あはは。歌う箇所が少ないってのは、イイ事もあるんですよね。ちょっとしかないから、聴き逃したくないわ!って気持ちが働くので、結果的に細かく聴いてしまうという…(^^ゞ

>舞台写真、いいですね。

えへへ。ありがとうございま~す(^^!
一年も見つからなかったのに、ロンドンでの公演が近づいた途端に見つかるのも、不思議なものですよね。

精度は落ちましたが、ちょっと拡大してUPしてみたので、眺めてやって下さいませ。もう少し大きいと尚いいんですけどねぇ。

コートの下は、去年見て下さった方のお話によれば「キツネ色のセーター」だそうです。よく似合っていたと仰って下さいました。それを聞いて、写真だけでも観たいよ~~って思ってたので…
この格好だけでも見れて、本当に嬉しいです(*^_^*)

http://homepage2.nifty.com/valencienne/photoclip-23.htm
拝借先もそちらからリンクしてます。

>動いている映像で全部観たいわ。

動いている映像は、シュロット君で堪能して下さいね(^^;
こういう役で映像残してくれると嬉しいんですけどね…

>新国で、こういう若々しいメンバー(もちろんコッリーネは決まりです)で、再演してほしいです。

ですよね~~その時には全公演、顔がちゃんと見える席をゲットしますって…
(なんか最近、こればっかり…)

この役はいずれ歌わなくなっちゃうだろうし、歌ってくれるうちに、観ておきたいという気持ちが、また復活してるかも…

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