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ワーグナー《ローエングリン》@バーデン・バーデン2006年

Lohen

こちらで話題にしたものを、全曲観終えました。

edcさんも書いていらっしゃいますが、正規版のローエングリン映像としては五つ目です。ウィーンでのドミンゴのものと、バイロイトのヘルツォーク演出の映像(こちらは未DVD化)の収録が1990年~91年あたりですから、実に16年ぶり(!)の正規の映像収録なんですね。ちょっとびっくりしちゃいました(^^;

演出についての細かい描写はedcさんが先にレポートして下さっていますので、そちらを合わせて読んで頂くと、わかりやすいかと思います。

1,2幕はいいな、と思いました。合唱団の動きが群集心理を巧く映し出していて、なかなか面白かったと思います。この作品は、テルラムント側、ローエングリン側、そしてハインリッヒ王の徴兵に対する群集の思惑が、その時々によって心理的優劣が行ったり来たりしますが、この演出では、この辺りの描き分けがとてもわかりやすいと思いました。

ブラバント軍云々については、もう2年以上前になりますが、お友達サイト《小さな音楽家》さんの御宅でお題が出たときに、edcさんと私が加わって、おしゃべりした企画が★こちら★で読めます。

改めて読み返してみたら、とても面白かったので、そちらも合わせて読んで頂くと、このDVDの演出について、より理解しやすいと思います。今回の設定は勿論10世紀ではありませんが、普遍的テーマは一貫していると思います。

3幕は、寝室の場面はちょっと間が持たない印象を受けました。出演者2人だけで、ごまかしがきかない場面ですから、やはり主役の二人に説得力が(特にローエングリンに)ないと、辛いですよね。

歌手は、特にテルラムントがよかったです。適度に立派で、適度に情けない感じが(^^;すごく大げさ!ってわけじゃないですけど、表情や演技も細かいですし。

オルトルート、最近は衰えを指摘されたりすることもありますが、この役だとまだまだ行けるかなって思いました。視覚的には、もう少し若い時に映像収録してあれば…との思いも若干ありますが、それでも充分美しいですし、役作りと歌の方は、むしろ長年歌いこんで来ているだけあって、いい状態かと思います。テルラムントとの相性もよかったんじゃないでしょうか。

ハインリッヒ王も、けっこう気に入りました。この役はこういう柔らかい感じのバス声で聴くのがいいですね。風采も立派ですし、表情付けも細かいし。
この役、なんというか、好戦的なはずなのに、けっこう心理的に揺れ動いているじゃないですか^^;最初はテルラムントを褒めちぎっていたにも関わらず、ローエングリンが勝ったら急に手のひらを返したかのような変わり身が…妙に人間的な感じがしませんか?^^;

ということで、以前から「好きなワーグナーのバス役」の一つなので…ダレカさん、ヴェルディのレパートリーが増えるのも勿論私にとっては嬉しいのですが、ワーグナーもダーラントと夜警だけじゃモノタリないから、そのうちやって欲しいなぁ…なんて願っていたりしてf(^^;

エルザ、最初は物足りなかったんですけど、だんだんいい感じになってきて、まずまずだと思います。少し嘆きすぎかなぁという気もしなくもないんですけど、舞台で観ればちょうどいいのかも。

伝令は、なんか、マジシャンみたい風貌で、笑っちゃいました(^^;
この役にはやっぱり合わないよなぁ~~と思いながら、声を張り上げるところになると「トレーケルさん、頑張ってo(^o^)o」って言っちゃうところが、微妙なファン心理だったりして。

肝心の?期待の?!ローエングリンですが、ローエングリンは、ワーグナーの英雄役の中では比較的甘め、ソフトな感じでもOKと言っても、やっぱりある種の男性的な強さと翳りは必要不可欠かと思います。

歌も併せて全体的な印象としては、今はまだ若葉マークかな~~みたいな感じを受けました。甘美さだけでは、少し物足りなかったかな。
もう少し大人の男性的魅力が欲しいところ…

それでも、やっぱり久々に聴く「若い声、容姿的にもまずまずのローエングリン」ということで、ワクワクしたのは事実。

オケは、もう少し金管がパパパパ~~ときらびやかに鳴ってよ~~とか思っちゃいましたけど、でも、演出が(私には)結構面白かったのと、全体的には出演者もOKということで、楽しく観られました。

インターバルを入れつつも、久しぶりに最後まで映像を飛ばさずに観られたのは、ワーグナーの音楽ゆえかもしれませんが、私ってやっぱりいんちきワグネリアンなのね、との思いを強くしたのでありました(^^ゞ

********************************

ワーグナー:ローエングリン
ケント・ナガノ指揮 
ベルリン・ドイツ交響楽団 マインツ・ヨーロッパ合唱協会
ニコラウス・レーンホフ演出
2006年6月、バーデンバーデン

ローエングリン:クラウス・フロリアン・フォークト
エルザ:ソルヴェイグ・クリンゲルボーン
オルトルート:ヴァルトラウト・マイアー
テルラムント:トム・フォックス
伝令:ローマン・トレーケル
国王:ハンス・ペーター・ケーニヒ(*)

(*)あれま、折りしも話題の?!《ドン・カルロ》の大審問官@ドレスデンで、実演で一度当たっていました(^^; あら~~この時はこんなに恰幅が良い方だとは思っていませんでしたが、声の感じは、あの時もけっこういいじゃんって、思ったんでした(^^ゞ

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オペラ:ディスク感想メモ」カテゴリの記事

コメント

リンク&TB、ありがとうございます。

>16年ぶり(!)の正規の映像
光陰矢の如しですねぇ・・・ それにしても、う〜ん、ローエングリンの新映像がなかなか登場しなかったのはなぜだろう???
>「若い声、容姿的にもまずまずのローエングリン」
これが不可欠だと思われたのかしら???

edcさん:

早速ありがとうございます(^^!
それにしても16年ぶりって、改めてビックリですよねぇ。それと同じくらい間が開いているのが「オランダ人」じゃないですか??

こっちも90年代の初めに、あの北欧の音楽祭でのグルントヘーバーとベーレンスの映像と、未DVD化ですが、LDで出ていた、ミュンヘンでのヘイルとヴァラディの映像が出たっきり、新しいのが出てないんじゃないかしら??

タンホイザーは21世紀に入ってからザイフェルトのあの映像が出ましたし、パルジファルもフェニーチェでしたっけ?出てますよね。

マイジンもあの、チューリッヒでのやら、メトのが出てますし。

最近、意外と多いのが、上演の質を保つのが難しいと言われるリングや、トリスタンの映像なんですよね。

この辺り、けっこう不思議な感じがしますけど???

楽しみです!!G.フリードリヒ/P.ホフマン/バイロイト『ローエングリン』もまだ未視聴なので、3月の実演前にまとめて観ようと思います。我慢できずにもっと早く観るかも!?

オデュッセウスさん:

>3月の実演前

あれ?3月ってオランダ人@新国じゃなかったでしたっけ?ローエングリンもあるんですか?

>我慢できずにもっと早く観るかも!?

はは^^;観たら感想、お待ちしてますね~~

新日フィルの定期演奏会で『ローエングリン』全曲が採りあげられます。演奏会形式(?)での上演で、指揮はオーストリアの俊英クリスティアン・ティーレマン、じゃなかった、クリスティアン・アルミンクです。

>新日フィルの定期演奏会
そうですね。アニア・シリアがヘロディアス役で、出演するというので、サロメに行きました。正装しての演奏会形式だと思ってたら、相当本格的なお芝居で、とっても得した気分でした。若くてハンサムな指揮者ですしね^^! ローエングリンねぇ・・どうしようかしら。

オデュッセウスさん&edcさん:

>>新日フィル

ありがとうございます。これ↓ですね。
http://www.njp.or.jp/njp/programinfo/2006-07/20070321_24t.html

レイフェルクスがテルラムントの予定なんですね。ちょっと興味あったりして(^^ゞ

>装しての演奏会形式だと思ってたら、相当本格的なお芝居で、とっても得した気分でした。

中途半端な仮装コンサートタイプ(笑)のオペラ上演よりかは、その方がかえっていいかもしれませんね(^^! 悩んじゃう…

>パルジファルもフェニーチェでしたっけ?出てますよね。
これよりちょっと前にバーデンバーデンのも出てて、テレビ放送もされましたね。

リングやトリスタンはまるでラッシュだし・・ ホフマンファンとしては憮然だわ^^;

edcさん:

>>パルジファル
>これよりちょっと前にバーデンバーデンのも

あ、そうだ忘れていました(^^ゞ

もう、パルジファルはホフマンの映像が出ない限り、もう映像はいいわって感じもしますね…カラヤンの録音があればいいわ。なんて。

今日誕生日の人が、私の希望通り、グルネマンツをやってくれて、録音か録画(でも、またおじいさんですね…聴きたいことは聴きたいですけど、積極的に観たくないかも(^^ゞ)してくれれば、コレクションが増える可能性もありますけどねぇ…

>リングやトリスタンはまるでラッシュだし・・ ホフマンファンとしては憮然だわ^^;

異存なしです(笑)

TBありがとうございます。
>ハインリッヒ王
同感です。いい感じで役柄が出ていたと思います。
演出もわりとよかったですね。
しかしやはり主役が・・・・

しばさん:

こちらのTBがなかなか巧く送信できなかったんですが、今日改めて送信してみたら巧くできました(^^ゞ

>しかしやはり主役が・・・・

う==ん、う==ん…
まぁ「若葉マーク」かなってことで(^_^;)

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