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プロコフィエフ:《三つのオレンジへの恋》のためのノート

Orange01

今回は閑古鳥覚悟だったのですが、予想に反してのたくさんのコメント&情報、ありがとうございました。お陰で全く未知の世界だった、この作品についても、とっかかりが出来たような気がします。

2月20日:★こちら★に連載形式でまとめました。読みやすいほうでどうぞ。

《あらすじ&登場人物》

あらすじは、ネットで簡単に読めるものを2点ご紹介しておきます。

1)こちらは、ゴッツィによる原作の寓話劇との比較が参考になります。
2)こちらは、オペラのあらすじとして、簡略にまとまっています。

もともと「世界一馬鹿馬鹿しい話を」という意気込みで作られたそうですから、ストーリー性は皆無。でも私が何よりもわかりにくかったのは、とにかく登場人物が多くて、関係を掴むのに一苦労。
せめて登場人物のキャラくらいは把握したいなぁ…って思って、リブレットと解説を読みながら、簡易的に★こんなもの★を作ってみました。

三つのオレンジへの恋 登場人物

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《上演状況の経緯》

前の記事のコメント欄で話題になった、この作品の言語形態の経緯ですが、簡単にまとめておきます。

ロシア語の台本に作曲がまずあって、作曲者自身シカゴでの初演のためにフランス語訳にして上演。(1926年)
その後、ドイツ語訳や、現地語訳が各地で上演されたが、ロシア語の録音が出たり、フランスでもロシア語上演があったりで、ロシア語優勢だったとのことです。
それが、1982年グラインドボーン音楽祭(嘗てLDで出ていたもの?)でひさしぶりにフランス語上演があり、その後フランス語上演が復活し、今に至るということです。

現在入手できる映像(edcさんが紹介して下さったリヨンの上演(edcさんの感想は★こちら★)と 2005年のロッテルダムでの上演) は、どちらもフランス語です。グラインドボーンのLDもフランス語ということは、ロシア語の映像は残っていないのかもしれませんね。

CDは、現在は日本語版は廃盤になっているゲルギエフのCDで、ロシア語歌唱が聴けます。ちなみにこのCDではニネッタ姫を、今をときめくアンナ・ネトレプコが歌っているんですね。

リヨンのは、音だけ(CD)も出ていて、これがフランス語版の初めての録音とのことです。

なんでロシアオペラなのに、わざわざフランス語で歌うのよーー;と、上演を知った時からとても不満だったのですが(^^;そういう事情で、現在はフランス語での上演が優勢のようですから、今後ロシア語で聴ける可能性は、ないとは言えませんけど、望み薄かもしれませんね。ちょっと残念。

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《チェリオに愛を込めて》

チェリオが出てくるところは:
1)1幕第2場:地下でのファータ・モルガーナとの賭けトランプの場面。ここでチェリオはモルガーナに負けた為、彼の呪文が効力を発さなくなってしまう。

2)3幕第1場砂漠。オレンジ探しの旅に出た王子とトゥルファルディンを探す為に、悪魔ファルファレッロを呼び出して居場所を尋ねる。
(魔法使いなんだから、自分が守っている人間のことは常に把握していないとマズイはずなんですけどね…)
そこで思い切り「お前はトランプで負けたから、お前の呪文は効かない」とののしられ、がっくりしているところに当の2人が!
この時、オレンジのあるクレオンタ城には恐ろしい料理女がいて、ひしゃくで殴り殺されるぞと忠告。このリボンを持って行って、彼女がそれに気をとられている間にオレンジを盗み出しなさい、そしてそれを割る時には、水のある場所でと助言。

3)4幕第1場:地下でチェリオとモルガーナがお互いなじり合う場面。すったもんだの末、奇人達の助力もあってなんとかモルガーナを塔の中に閉じ込めることに成功。これでやっと彼の呪文の効力が復活。

4)4幕第2場:鼠に変えられたニネッタ姫に元に戻れと呪文をかけて、彼女は元の姿に。

の4箇所で、物理的な時間にすれば、一番長いのが2)で、ここが10分弱。その他は合わせて10分程度なので、トータルで20分ちょっとと言ったところでしょうか。一応、王家の運命は彼の手にかかっているので、重要な役どころではあるんですけど、その割には、なんとも情けないような気もして…(^^ゞ

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放送を聴いている時に耳に残ったのは、やっぱり2)の冒頭、ファルファレッロを呼び出すところ。この「ファ~ルファレ~~ッロ♪」を一体何回歌ってるのか数えてみたんですけど、わかりますか?^^;

モルガーナとの2箇所の口げんかは、彼女に軍配でしょう(^^;ヒステリックに叫ぶモルガーナに対し、「ったくよ~~うるせー女だぜ」ってな感じで、一応相手を罵りつつも、あくまでも荘重にキメようとするチェリオは、歯が立ちませんf(^^;

それはさておき、こういう荘重路線でキメてくれるのは…

…すっごく好き。聴いているうちに、もうナニ語かなんて、どうでもよくなっちゃった(//∇//(//∇//(//∇//)

ま、まぁ、こういう現代音楽っぽいのは好みが分かれるでしょうけど、私は好きです。音だけでもハマっちゃいました(^^;なかなか聴く機会がない作品ですが、低ビットレートでも放送があってよかったと思います。

いつか、賭けトランプで負けて「ちっくしょ~~~っ!」って悔しがっている彼をこの目で観てみたいわ(笑)

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コメント

ヴァランシエンヌさん、そーそーそーそーなのようぉ、同業者に読ませたいワ、と思えども、ロシア語関係者は音楽知らず(ロシアもん以外は)、音楽関係者はロシア文化知らずが多いのですよねぇ...

で、シカゴにおける世界初演時のロシア語台本のフランス語訳(うは、ややこし)ですが、「作曲者とヴェーラ・ヤナコプロス〔誰?ファーストネームはロシア的だがファミリーネームはわからん〕による、というふうに白水社刊「新グローヴオペラ事典」日本語版には出ていましす。プロコ自身も仏語堪能だったのかどうかは、忘れてしまって、すみません。(ついでながら、この日本語版「事典」についての拙感想については、某SNSをご参照いただければ^^;)

このオペラはロシアで途切れることなく上演されてる(はず)。で、来年マリインカが日本に持ってくる(はず)の「オレンジ」は、当然、ロシア語歌唱(の、はず)ですね。はずはずはず。^^;;私もロシア語の「オレンジ」、現地の生舞台で何度か観たハズなのですが、あまりにも昔で、詳細忘れてしまいました。。。(恥~)

投稿: Sasha | 2007/02/09 21:42

Sashaさん:

いえいえ。こちらこそ色々教えて頂いて、助かりました(^^;
ありがとうございます。

どうして初演時にフランス語に訳したのかなぁという素朴な疑問は残っているんですが、それを追求する気力はないので、これだけわかれば充分です(笑)

いつかまた、ロシア語版が隆盛になるかもしれませんしね。

>来年マリインカが日本に持ってくる(はず)の「オレンジ」は、当然、ロシア語歌唱(の、はず)ですね。はずはずはず。^^;;

だとすれば、是非行きたいですね(^^!

投稿: ヴァランシエンヌ | 2007/02/09 22:08

詳しい情報盛りだくさんで勉強になりました(^o^)
好きな歌手のレパートリーから聴いていくタイプの典型なので、このあたりはホント疎かったのです。ありがとうございます。

彼氏さんが歌ってらっしゃるのをまず聴かせてもらいました。やっぱり「ファ~ルファレ~~ッロ♪」のインパクトが強烈・・・何回歌ってるのか数えようとしましたけど途中で挫折しました(^_^;)

>こういう荘重路線
ちょっと頼りない役回りらしい!?というのが信じられないぐらい、荘重で威厳がありますね。確かにザラストロっぽい路線ですよね。
聴きながら、ザラストロもこんな感じで歌われたのかな?と想像してみたり(*^_^*)

投稿: ナオ | 2007/02/09 23:20

>●三つのオレンジへの恋 登場人物
おかげさまで、人物関係がとてもよくわかりました。機会があれば、映像も、新国でやってくれれば実演も観てみたいです。グラインドボーンのLDも今見ればおもしろいかもしれませんね。楽しめるかどうかはこちら側の問題の部分も少なくないということだと思いますから。

投稿: edc | 2007/02/10 16:58

ナオさん:

私も

>好きな歌手のレパートリーから聴いていくタイプの典型

なんですよ(^^;
オペラ聴き始めの頃から何となくロシアものには興味、関心があったんですけど、なかなかキッカケがなくて。
知らないものでも、「今度はこれを歌う」ってのが近づいてくると、自動的にそれモードになってしまう、便利な脳なんで(^^ゞ
この役、この作品はどんな感じかな?と考えるだけでも楽しいですしね。

そういう意味でも、この人がオペラ以外の声楽曲も含めていろいろ歌ってくれるのは、私にとって、とてもありがたいですね。
お陰で去年一年だけでも、随分レパートリーが増えました。

>「ファ~ルファレ~~ッロ♪」

聴いて下さって、嬉しいです(^^!
あ、挫折しました?^^; 答え ⇒ 20回です。
15回目からスピードアップするんです(^^;

>ザラストロもこんな感じで歌われたのかな?

へへ、久々に思い出して、ニヤニヤしてましたf(^^;
でも低音は今の方が、よりカッコいいですよ。
今の声で、もう一回(オーソドックスな演出で^^;)聴きたいわ~~ザラストロ。

投稿: ヴァランシエンヌ | 2007/02/10 20:57

edcさん:

>おかげさまで、人物関係がとてもよくわかりました。

付け焼刃の割には上出来かなぁ?^^;
リヨンの映像、近いうちに見れると思いますので、見たら感想書きますね。

ホントに
>映像も、新国でやってくれれば実演も観てみたいです
ですよね!

>楽しめるかどうかはこちら側の問題の部分も少なくないということだと思いますから。

こういうことがあるから、「あんまり面白くなかった」⇒ すわ、処分…って、なかなか出来ないんですよねぇ(^^ゞ

(それで、「積ん読」ならぬ、う==ん、なんていうんでしょ、要するにそういう状態のものがいっぱい増えちゃうってわけですね)

投稿: ヴァランシエンヌ | 2007/02/10 21:01

これは役に立ちますね!

バスティーユでも05年12月にデフロの新演出が出ましたが(06年11-12月に再演)、仏語上演でした。人気がある作品とは思えないけど、05年12月上演はクリスマス用公演で、美味しそうな巨大なオレンジが出てきたりして子供でも楽しめるので、家族連れなんかで大入りで、ちょっと驚きましたね。82年にオペラ・コミックでもやって、露語上演だったような気がするのですが、思い出せません。手元の資料見たら大半仏人歌手なので、仏語上演かな。

私も気に掛かってたので、少し調べてみました。

【オリジナルは確かにロシア語】

ゴッツィの原作を演出家メイエルホリドが、ウラディミール・ソロヴィヨフとコンスタンティン・ヴォガク(って読むのかな。Vogak/Wogak)の協力を得て露語戯曲化し、雑誌に発表していた。プロコフィエフ自身が、それを下敷きにメイエルホリド承認の下に、露語でオペラ台本化した。

プロコフィエフは、シカゴ・オペラ支配人のカンパニーニからオペラ作曲の依頼を受ける以前から、この戯曲のオペラ化を考えていた。

ロシア系仏人論者によると、音楽は明らかにロシア語の音律に従って書かれており、仏語の音律とはずれている部分が多い。プロコフィエフはロシア語で考えて作曲したと思われる。

【シカゴ初演に仏語上演を希望したのは誰で何故なのか】

シカゴ・オペラのカンパニーニ支配人の希望だったのか、プロコフィエフ自身の発案だったのか、これが一次資料がないようで、明記してる本はありませんねぇ。

ただ、プロコ自身は米観衆を意識して、このオペラは前作「賭博者」に比べて、音楽的にも分かりやすく、言葉と音楽の関係もより緩やかなものにと考えていたようです。
そしてプロコは、「露語は米聴衆から最も遠く、露語に音楽的に最も近いのは仏語」と考えていたそうです。

要するに、プロコも「米聴衆に受け容れられやすく、かつ露語から遠くないのは仏語」と納得して、仏語版を作製したと言うことなんでしょう。

【プロコは仏語ができたのか】

プロコの父親は裕福な手工業工場経営者で、音楽家の母親は教育熱心だったそうです。
母親は、パリ出身の16歳の貧しい仏人少女ルイーズ・ロブランを家庭教師兼遊び相手に雇ってます。ルイーズは2年間プロコ家に滞在しますが、露語はまるでダメだったそうで、プロコの仏語上達は早かったようです。ルイーズの後もドイツ人少女が数人家庭教師に雇われてます。ですからプロコは独仏語がかなり自由だったようです。

仏訳台本作製にはヴェラ・ヤナコープロスというブラジル出身の歌手が協力しています。ブラジル生まれ育ちながら、パリとベルリンで勉強し、プロコのピアノ伴奏でリサイタルも開いています。何歳くらいの時にパリに行ったのかとか、それ以上のことは不明ですが、名前からして両親はギリシャとロシア系とかかも知れませんね。

要するに露語上演が理想なのでしょうが、現在でも西欧では仏語上演が多いのは、プロコも仏語版に一応納得してるという口実があるし、合唱団員も仏語の方が負担が少ないとかの実用的理由によるものでしょうかね。


投稿: 助六 | 2007/02/12 10:25

助六さん:

私が似非解説を書くと、ダレカさんが歌った役に対して、あれこれ自分勝手に考えた挙句、記事の大半を勝手な考察に割いてしまうので(←主役は誰?状態^^;)こういう方面からのフォローは有難いです。ありがとうございます(^^!

> バスティーユでも

こちら↓ですね。
http://www.operadeparis.fr/Saison0607/Spectacle.asp?Id=1013

> 美味しそうな巨大なオレンジが出てきたりして子供でも楽しめるので

確かに(^_^;)
「魔笛」に通じる点も多いですし、風刺的な内容とは言っても、道化役あり、魔女あり、魔法使いあり、王子と王女は最後はHappyendってことになれば、目で見ても充分に楽しめますものね。

> ロシア系仏人論者によると、音楽は明らかにロシア語の音律に従って書かれており、仏語の音律とはずれている部分が多い。プロコフィエフはロシア語で考えて作曲したと思われる。

なるほど。だとすれば、最初に聴いた時、どう聴いてもロシア語にしか聴こえないわーー;と感じた私の耳も、的外れな聴き方ではなかったということでしょうか?^^;

また感想を書こうと思ってますが、上のほうで話題になっているリヨンの映像を途中まで観てみましたが、こちらは主要キャストは殆ど仏語圏(チェリオは、アメリカ人ですがフランス国籍取得している人)のせいか、なんとなくまろやかな感じに聴こえるんですよね。

これもシロウトの勝手な推測ですが、
> ロシア語の音律に従って書かれて
いるものを、ロシア語のネイティブシンガーがフランス語で歌うのは、フランスオペラをフランス語で歌うよりも、苦労する点が多いのではないか?なんて思ったのですが…

> 要するに露語上演が理想なのでしょうが、現在でも西欧では仏語上演が多いのは、プロコも仏語版に一応納得してるという口実があるし、合唱団員も仏語の方が負担が少ないとかの実用的理由によるものでしょうかね。

そうですね。そう考えると収まりがいいです(^^)

こちらこそ、色々と勉強になりました。
また何か補足点があったら、是非教えて下さいね。宜しくお願いします。

投稿: ヴァランシエンヌ | 2007/02/12 22:08

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