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《ルイザ・ミラー》2006年フェニーチェ DVD

気がついたら、一ヶ月以上放置してました(^^ゞ

アクセス解析したら、マメに覗いて下さっている方もいるようで…またもや更新がストップしてしまったこと、心苦しく思ってます。元気にしておりますので、心配しないで下さいね

たま~~の記事がこんなのばっかりで、恐縮ですけど

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Lmfenicedvd_2 今年1月下旬に、ヨーロッパで先行して発売されましたが、4月に入ってやっと、日本でも発売されました。一応、アレクサンドル・ヴィノグラドフの出演している正規盤DVDは、これが初めてなので、楽しみに予約を入れてました
ざっとのつもりが、かなり長くなってしまった感想です。

●同じプロダクションで、3つのメディアが手元に…

最初に聴いたのが、2年前にライブ放送されたときにリアルタイムで頑張って聴いた、修正・編集一切なしバージョン。それまで殆ど馴染みがなかった作品だったけど、一応夜中の放送に向けて、図書館からマゼール盤を借りてきて、一通り聴いておきました。だってヴァルター伯爵が何処で出るかくらいは把握しておきたかったですしね。

やっぱりあんまり面白くないなぁ…というのが、借りてきたCDの感想。

そんな感じで(あまり期待せずに)放送を聴いたら、意外と面白くて、睡魔にも負けずに頑張れた。伯爵ってけっこう歌うところあるのね、って感じ?

次に聴いたのが、去年5月に発売されたCD。これが…
序曲の勢いからして、イマイチ乗り切れてないというか、大事に行き過ぎているという感じで。編集しちゃったが故、音楽の勢いが死んでしまったかのような感じ…かな。

で、上演から2年経ってのDVD発売。ということで、同じプロダクションなのに、3つのメディアが手元にある、という。。。幸せといえば、幸せ…かなぁ。

一体どんな演出だったのかと気になっていたんですが、まずまずだと思います。特に奇を衒ったとかいうわけじゃないですが、直線的で、シンプル。場面ごとに壁面の写真が変わるんですけど、これもなかなかよかったと思います。

音源は、CDと同じかな?やっぱり音楽の流れが滞ってしまうようなところが感じられるのが、残念です。

映像があれば、音だけではなかなか把握できない人間関係や、情景が目で見られるのは嬉しいのですが、それでもやっぱり、指揮とオケがぬるいのは、もう耐え難い。
実はこの前のパリでのライブ放送(←寝坊したから、1幕はリアルタイムじゃなかったけど^^;)を聴いて、初めてこの作品も「ある程度オケが鳴ったほうが面白いし、縦の線をくっきりと聴かせてくれる指揮とオケで聴きたいっ」と思ったんです。そうでないと、初期ヴェルディの、単純だけどエネルギッシュな音楽の心地良さが、半減してしまうような気がして…

Wurm_2 歌手で一番良かったのは、ウルムのコチニアン。先日のアイーダ@新国のランフィスで来日してたそうですが、長身で見栄えするし(ヴィノグラドフとは全然違うタイプですけど)ドスの利いたイイ声だし、演技も現代的で、悪そうな身のこなしが上手い!斜に構えて、すらっと長い脚を投げ出して、しどけなく座りながらルイザに関係を迫るところ…殆どチンピラ的迫り方なのに、品が悪くなりそうでならない、その一歩寸前の悪どさに、ちょっとドキドキしちゃいました存在感がありますね~~

ウルムは、若い歌手がやればルイザに迫る「生身の男」としての色気が出てくるし、中年~年配の歌手がやれば、いかにも「嫌らしいオヤジが若い娘に欲情して…」っぽくなりそうで、どっちにも振れる可能性がある役だと思いますが、コチニアン・ウルムは間違いなく前者。この演出では、年相応(っぽく見えました^^)の役に、黒ずくめのカッコいい衣装で、一番得してたかも。

Miller ミラーのサレルノも、音だけの時はあんまり特徴ないなあ…と、印象が薄かったんですが(低声が三人も出てくると、絡み方次第では、誰がどこを歌っているのか、よくわからないんです^^;)映像で見ると、娘を思いやる朴訥なお父さん、という味わいがありました。やっぱり、観てみないとわからないことも、いっぱいありますね。

ロドルフォのサッバティーニは、音だけ聞いてたときは「まあこんなもんかしら?」って感じで、あんまり気にならなかったんですが、パリの放送でのラモン・ヴァルガスを聴いたアトでは、微妙な違和感が…

サバティーニよりも、ヴァルガスの方が、若干声質が暗めなのと、歌い方が、私の好みに合うのです(^_^;)
役作りも、少しわかりにくいというか、父親に反発しながらも、好きな女性となんとかして一緒になりたい、という意欲?が見えにくいというか、キャラが立たない、とでも言うのかな…

同じことは、ルイザのタコヴァにも言えて。。。
音だけで聴いていた時は、特に可でも不可でもなく…という感じだったんですが、映像を伴うと、ちょっとつらい…
素朴な村娘、っていうには、仕草とか、可愛らしく見えなくってーー;感情移入がしにくかったです。
悲恋モノ作品の主役に感情移入できないと、やっぱり作品の良さも、見えにくいと思います。この辺りがちょっと、もどかしかったです。

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Walter2 で「ふ~~ん、それで?ヴァルター伯爵はどうよ?!」って。。。(^^ゞ

「まだ若い(青い)わね」←このひと言に尽きます(あれヴァラリンさん、久々のツンデレモード炸裂かもぉぉぉ^^;)

老けメイクは、遠目で観る分には問題ないですし、ファー付きのロングコートを着て、お帽子をかぶった時は「やっぱり寒い国の人よねぇ。毛皮が似合うわ♪すてきっ」(←バカ…^^;)って思えるけど。

大柄なメンツの中に混じると、やっぱり小柄だし、今回みたいに共演者が揃いも揃って大柄だったり巨漢(ううっ、実はけっこう絡みの多いフェデリーカが、とても恰幅のよいご婦人で^^;;)だったりすると、やっぱり華奢に見えるのは否めないわ(ToT)

でも…

伯爵は、確かに陰険だけど、ウルムみたいに単純な悪人ではないと思います。不当に得た地位と名誉ではあるけれど、それを守ろうとし、歪んではいるけれど、息子のことは愛しているんですもの。
だから、高貴な雰囲気は絶対不可欠だし、ルイザに対しては、冷血極まりない振る舞いをするけれど、息子に対しては「お前の為を思って、私はこうやってるんだ」と、殆ど押し付けがましい、身勝手な(笑)愛情を注いでいるわけで。

ミラーがルイザを愛しているのとは、カタチは180度違うけれど、でもどちらも「親だからこそ、子供には幸せになってもらいたい」と願っている根っこの部分は同じかな、なんて…

2幕の最終部、ロドルフォがウルムに決闘を迫って、じたばたするところでも、ちゃんと伯爵は彼に対して「父を信じなさい」となだめています。
こういうところの、(それが凄く屈折してるけども、一応)思いやりというか、愛情表現は、上手いというか「あ、そうか、そういう役なんだ」と思わせる、とでも言うか…

その点では合格(って言うのも変ですけど)だと思います。でも足りないのは、やっぱり陰険さと、冷酷さ。その辺がこの映像だと、もどかしい、やっぱり若さが露呈しているな、って思うのは事実。

でもまあ、この映像を観たあとで(2年間全くこの役から遠ざかっていて、殆ど準備期間もナシに歌った)先日のパリの放送を聴くと、やっぱり声も深くなったし、表現も細かくなったし、弱声の処理とかも、上手になっている(って、私が言うのはおこがましいんですけど^^;)思いっきりが良くなったと思うし。

なので、テレビカメラが入っていたという噂のパリの上演も、早く映像で見たいです。
音だけで色々妄想しているのも楽しいんですけど、観てみないとわかんないこと、いっぱいありそうだから。うふふ

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演出:アルノー・ベルナール
Director: Arnaud Bernard

指揮:マウリツィオ・ベニーニ
Cond.: Maurizio Benini

ロドルフォ:ジュゼッペ・サバティーニ
Rodolfo: Giuseppe Sabbatini

ルイザ:ダリナ・タコーヴァ
Luisa: Darina Takova

フェデリーカ:ウルズラ・フェッリ
Federica (Duchessa d'Ostheim) :Ursula Ferri

ウルム:アルチュン・コチニアン
Wurm: Arutjun Kotchinian

ミラー:ダミアーノ・サレルノ
Miller: Damiano Salerno

ヴァルター伯爵:アレクサンドル・ヴィノグラドフ
Il Conte di Walter: Alexander Vinogradov

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コメント

そろそろDVDの感想が出る頃かな...と思ってました。
演出も穏当なもので、よかったですね。好きな歌手は、やっぱり、あんまり変な演出には出演してほしくないですもの。
この演出は、ベルトリッチ監督の「1900年」という映画にヒントを得た..とかどこかに書いてあったような記憶があります。「ヴェルディが死んだぁ〜」ではじまる有名な映画ですが...

>歌手で一番良かったのは、ウルムのコチニアン
男性の場合は、「色の白いは七難かくす」じゃなくて「"背が高い"は七難かくす」ってとこがありますよね。
このウルムという役は、ポール・プリシュカが、オテロのヤーゴに匹敵する魅力的な役なんだ....とか語ってます。彼は、ヴァルター伯爵も歌ってますけどね。役としてはウルムの方が、演じがいがあるってことかな.....
ライモンディがヴァルター伯爵の役は好きじゃないと言っているのも、そのへんに理由があるのかもしれません。
とはいえ、ヴィノグラドフは、やっぱり伯爵のほうが、お似合いですものね。

私もヴァランシエンヌさんのおかげで、フェニーチェのライブ、バスティーユのライブを楽しませてもらいました。
このDVDも、日本語字幕があれば買いたいな、なんですけど。CDと同じDYNAMICが発売すれば、日本語字幕がついたはずですから、ちょっと残念です。

読み応えのあるレビュー、ありがとうございます。
ナオからローマ字に変わったNaoです、よろしく(笑)
(呼んでいただくのはどっちでもいいんですけどね^^ゞ)

これ、上演されたのはもう2年前になるんですね。
オペラのDVDは、収録から割とすぐにリリースしてくれるのもあるけど、今回みたいに、しばらく経ってから発売されるものも多いですよね。
その間にファンのほうは、歌手の成長・変化をリアルタイムで見てるわけで。
はるか以前に収録されたライヴ映像がやっと発売されて、いざ観てみて「うわっ、若い…」と、色々な意味で笑ったり突っ込んだり、感慨にふけったり(笑)したこと、私にも経験ありますです(^^ゞ

同じ作品のメディアばかり幾つもリリースされると、「え~またぁ?」と思うこともあるけど(ダレカさんのマルケとか^^;)見て聴いて比較するのがまた楽しかったり。
先日のパリの映像も待ち遠しいですね。あの演奏気に入ったので、発売されたら私も観たいです。

最後に、毛皮付きロングコート+帽子のヴィノさん…なかなか美オヤジ♪

keyakiさん:

>>コチニアン
>男性の場合は、「色の白いは七難かくす」じゃなくて「"背が高い"は七難かくす」ってとこがありますよね。

そうですね。しかも、どてーっとでっかいわけではなく、バランスが取れていて、スタイリッシュに見えるものですから、尚更カッコよく見えますね。ワイルドな風貌も、この役にはぴったりだと思いました。

《アイーダ》見に行っておけばよかったと、ちょっぴり後悔してます(^^ゞ

ウルムとヴァルター伯爵、両方歌う人も、けっこういるみたいですね。
もしコチニアンとヴィノグラドフの二人が入れ替わっていたら、どんな感じになったんだろう??と、想像してみたんですけど、やっぱりイメージが湧かなくて。

>日本語字幕

ですね…あまり映像の種類もない作品ですしね。国内版、出るといいんですけど、どうかなあ…

Naoさん:

HNがローマ字に変わったということで(笑)こちらで呼ばせて頂きますね。

>しばらく経ってから
>その間にファンのほうは、歌手の成長・変化をリアルタイムで見てるわけで。

そうですね。普段はあまり意識していなくても、同じ役を、多少なりとも年数を経て聴き比べると、ずーっとその役ばっかり歌っているわけじゃないのに、変化はやっぱり感じられるんだなぁ、と、妙な感慨が(笑)

>美オヤジ♪

実演では何度かオヤジ役を見ているけど、映像では初めて。
萌えました(笑)(笑)(笑)

ちょい役を含め、ヨーロッパでTV放送されたもの+先日のカルメンのハイライトを含めると、なんだかんだで、もう4つめの映像ですし、
いい加減に「あ、あの…映像で見るの、なんだか恥ずかしくって(*vv」とカマトトぶるのも、おしまいにしないと(^^ゞ

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