女の顔
仕事に行けば、貸し出し、返却作業に加えて、返却本を棚に戻したり、新刊本が入ってくれば、その装備をしたりと、ソノ都度一日に何百冊という本と触れ合っているわけですが、ごくたま~~~に、わけもなく、ビビッと来る本、というのがあります。
本の方が「あなたの手に取って、読んでみて!」と訴えている…とでも、いうのかな。
この本は、もともと’76に文庫化されていたものが(初出は’69日経新聞の連載小説 ⇒ ’70にハードカバーで出版)昨年、再販されたものが「新刊本」として入ってきた時、たまたま私がカバー掛けの装備をしたものです。
その時に、なんとなくビビッと来て以来、ずっと気になっていました。
40年近くも前に書かれた小説ですから、設定には多少の古さや「うーん、このシチュは、創作ならではよね^^;」と思う部分もありますが、そういうことが、読んでいる最中には気にならないほど、のめり込んでしまいました。
心理描写、文章の運び方には、寧ろ全く古さを感じないと思います。
500ページ近くある上巻は、3時間ほどで読み終え、下巻も途中、雑事をやりながら、2日ほどで全て読んでしまいました。
こういう読み方をした小説は、本当に久しぶりです。
ヒロインには好感が持てますし、こういう情感豊かな、清々しい女性になれたらいいな、と、自然に思えます。身につまされるところもあり、涙を流しつつ読んだ箇所も…
でも、彼女の周辺の女性たちの脆さ、エゴイズム、ドロドロした感情、そして男たちの愛情、思惑、欲…人間の色んな部分が、過度に美化も卑下もされることなく、丁寧に描かれていて…
そういう部分にも、平等に共感を持てるし、決して反感を持たないような運びになっているところが、さすがに長い間読み継がれてきた、人気作家ならではの作品だなぁ、と思いました。
実は彼女の作品を読むのは、初めて。
有名な「御宿かわせみ」も題名しか知らなくて、時代小説作家という認識だったのですが、こういうものも沢山書いていらっしゃるのですね。寧ろ、20代の時よりも、今の自分の身の丈に合っているとも言えるかも。その頃には、作品の良さが理解できなかったかもしれません。
読書もタイミング…そしてどんな本が今の自分に合っているのかを察知するのは、直感なのかも
いずれにしろ、平岩弓枝シリーズは「御宿かわせみ」も含めて、暫く、ハマって読んでしまいそうです
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