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ロンドン一人旅その6 ロンドンで一番心に残った美術館

今更私が取り立てて言うことではありませんが、ロンドンには、無料で楽しめる博物館・美術館が沢山あります。これらの凄いところは、中身も凄いということでしょう。

私が今回足を運んだところを列記しておきます。

・ナショナルギャラリー(National Garally)
・テート・ブリテン(Tate Britain)
・ヴィクトリア&アルバート博物館(Victoria & Albert Museum)

・大英博物館(The British Museum)Holbornのアパートメントホテルに滞在していたにもかかわらず…一番近い博物館だったので、後回しにしたのがアダになり、結局アフタヌーンティの為に中に入っただけで、展示物は見てないのです(^^; 次回の宿題です。

★12月15日追記:お友達のサルダナパルスさんが、ロンドンの小さな美術館「ウォルス・コレクション」を紹介して下さってます。詳しくは⇒⇒⇒こちらへ

・コートールド協会美術館(Courtauld Institute of Art Gallery)
今回、一番心に残った美術館です。無料の美術館が多いなか、ここは5ポンドの入場料がかかります。(月曜日の10:00~14:00は無料)

日曜日の午前中に行ったせいか、入場料がかかるのがネックなのかこじんまりとした館内は閑散としていて、ゆったりとした気分で絵画鑑賞できました。

そもそも、観光最終日の日曜日の午前中こそ、ご近所の「無料で入れる大英博物館」に行くつもりだったのに
それを後回しにして、わざわざここへ行ったのは、ガイドブックの「印象派の傑作が揃っていて圧巻」(ルノワール好きだし)という文字が、不意に目に止まって、なんとなく呼ばれるような気がしたから。(←またあ?!とか、突っ込まないように この感覚、大事なんですのよ)
それに、5ポンドくらいならば払ってもいいかなぁという気持ちもありましたし。

2008falllondon06 もちろん、ルノワールをはじめとする印象派も傑作ぞろいだったし、多くの人が、それらの絵画に感銘を受けるのでしょう。

しかし私が、観た瞬間に「ビビビッ」と来たのは、この絵。
キース・ヴァン・ドンゲン(Kees van Dongen:1877-1968)の裸婦像(Torso[The Idol 1905])

絵画鑑賞は、嫌いではないんですけど、いつまで経ってもぼーっと眺めて「ふ~ん」「へぇ~」「わあ、すごい!」から、なかなか先に進めません。実は画家の名前も、絵画史も非常にアヤシイですし。

そのくせ、オーディオガイドを借りて聴くとか、事前に解説を読むとか、そういうことはしたくないので
(知識が先に入ってくると、先入観で感性が曇りそうだから ← 結構大胆
いわゆる「名画」も、数的には相当観てるはずなんですが、心に残っている絵はほんの数枚。

その私が、時間を忘れるほど見入ってしまったこの絵。滅多にやらないことですが、絵葉書まで買ってきちゃいました。

単なる裸婦像ですし、同じ裸婦像でしたら、もう一枚ここの所蔵の、モディリアーニの方が、たぶん有名でしょう。(こちらもついでに絵葉書買ってきました)独特の物悲しさを帯びていて、これはこれで、好きです。

しかし、ドンゲンの絵の骨太さと、退廃的な香りを漂わせながら、胸(あらわになっているbrestsじゃなくって、目に見えないheartのほう)の奥底にくすぶり続けているであろう、生々しい苦しみに耐えているような、芯の強さを感じさせるところが、私の気性にマッチしているのでしょう。

余談ですが、たぶん、私が最も好きな画家は、マックス・ベックマン(Max Beckmann:1884-1950)。ライプツィヒ生まれで、晩年はナチスに追われ、アメリカで没したドイツ表現主義の画家です。
彼の絵は、アメリカ在住時代によく行った、セントルイスの美術館(The Saint Louis Art Museum) に膨大なコレクションがあり、ここですっかり、魅了されました。何度も観にいったものです。

ドンゲンとベックマンに接点があったのかどうかまでは、調べていないのでわからないんですが、世代的にもほぼ同世代ですし、共通点があるように感じました。
どうもこの手の、微妙に退廃的な香りを漂わせた、ダークで骨太な絵が好きなんでしょうねえ。ルノワールの優しげなタッチや、モディリアーニの物悲しさも好きなんですが。

そういう嗜好が、この年齢になって、やっとはっきりしてきたのは、一応「わからなくても、チャンスがあれば旅先の美術館にも、積極的に足を運ぶこと」を、夫と一緒に続けてきたからだと思います。

私にとっては、非常に心を揺さぶられた絵ですし、一人旅の途中で、自ら選んで入った美術館で、そう思える絵に出会えたのは幸せです。

やっぱり、ロンドンに行って良かったと思います、ハイ

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2008秋・ロンドン一人旅」カテゴリの記事

コメント

コートールド美術館は、こじんまりしてるけどなかなかの秀作があるし、ゆったりとした雰囲気も好きなので、日本からのお客さんをよくお連れします。
月曜の日中の何時間かは無料なんですよ。月曜日はロイヤルオペラハウスのクラッシュルーム(シャンデリアのある小部屋)でランチタイムに無料ミニコンサートがありますので、まず朝10時頃にROHでその切符を確保し、1時開始までの間を歩いてすぐのコートールド美術館で無料で絵を鑑賞する、というのが(私はできませんが)月曜日の優雅でしかも安上がりな半日の過ごし方ですので、次回は是非お試しください(ヴァランシエンヌさん、今回月曜日はロンドンにいらっしゃらないという日程だったのでお勧めしませんでしたが)。
尚、コートールドのあるサマセットハウスには他にも2つ博物館があり、ギルバート・コレクションはなかなかいいですよ。

椿姫さん:

>月曜の日中の何時間かは無料

ありがとうございます!ガイドブックを見直したら、10:00~14:00とのことだったので、追記しておきました。

>月曜日の優雅でしかも安上がりな半日の過ごし方

そうですね、次回は月曜日にも滞在できるような日程を組めるように(笑)

あのぐらいの規模の美術館が、私にはちょうどいいサイズなのかもしれません。
ナショナルギャラリークラスのサイズになると、なかなか絞り切れずに、回っているうちに疲れてしまって(^^;
でもロンドンに住んでいて、無料なのをよいことに足しげく通っていると、必ず自分のものになるだろうなぁ…と思います。

しかし何よりも、次回の最重要課題は
「アフタヌーンティ以外で大英博物館の中にきちんと入って、展示物を観る!」です(笑)

おお~大英博物館は見逃しても、あちこち回られたのですね~。どの美術館も広いし興味深いしで、一度入ると出てこられないので困っちゃいます逆に、ロンドンで時間つぶしに困ったことはないですけどね。

>「印象派の傑作が揃っていて圧巻」(ルノワール好きだし)という文字が、不意に目に止まって、なんとなく呼ばれるような気がしたから
ロンドンで印象派の絵がある場所といえば、ここかNational Galleryですものね。こういう「呼ばれた」感覚、私も直感に従うようにしています。その方が面白い出会いがありますしマックス・ベックマンがお好きなら、ロンドンよりもドイツとかウィーンの美術館に多数所蔵されている、青騎士グループと同時代の画家が好みなのではないですか?エルンスト・キルヒナーとか、エゴン・シーレとか、オスカー・ココシュカとか、ダークで骨太じゃないですかって、こんなオタクトークしちゃってすみません

コートールド美術館ていうのは初めて知りました。印象派が多くあるというなら一度は行ってみたいですね。
私もロンドンで何が羨ましいって、美術館や博物館がタダっていうこと。ほんとあっちに住んでたら、ナショナルギャラリーに入り浸りになるんじゃないかと思うほど

日本だと展示品も厳重に管理してあるという感じですが、あちらはすぐ近くまで寄ってまじまじと眺める事ができるし、展示も無造作に貴族の館の一室に掛かってるって感じが好きです。

このドンゲンの絵を見てると、骨太っていうのじゃないけれど、ロートレックの油絵と通じるものがあるんじゃないかと感じたりしました。まあ、私がロートレックが好きだからかもしれませんが

サルダナさん:

>どの美術館も広いし興味深いし

そうなんですけどねぇ…広すぎてどうも雑然とした感じもしちゃうんですよねーー;
体力も必要だし。やっぱり、短期間の旅行では限界を感じます。

>ロンドンよりもドイツとかウィーンの美術館に多数所蔵されている、青騎士グループと同時代の画家が好みなのではないですか?

ハイ。ベルリンにもありましたし、マドリードのティッセン=ボルネミッサ美術館にもありました。
その頃はあまり意識してなかったんですが、確かにこの手の絵画に、食指が動く自分がいたような気がします(笑)

>オタクトーク

いやいや。私はそういうわけで絵画にはとんと疎いので、いろいろ教えて下さい(笑)
画集とかも、職場にはたくさんあるので、時々眺めてみなくちゃだわ。。。

straycatさん:

>あっちに住んでたら、ナショナルギャラリーに入り浸りになるんじゃないかと思うほど

ですよね~~凄いのは、そこだけじゃなくって、他も殆どが無料だということですよね
よりどりみどりですもん。

>展示

そうなんですよ。それと、建物自体の天井が高いので、圧迫感が少ないんですよね。
だから自由に観れる感じも強いんだと思います。

絵画は、音楽を語るよりも私には手ごわいです(^^;
感性を曇らせないため云々よりも、基礎知識ぐらいは身につけておかないと

のんびり書いているロンドン旅行記で、ロンドンの小さめの美術館ウォレス・コレクションについて書いた記事に、こちらの記事をリンクさせていただきました。お時間のあるときに覗きにきてくださいね。
http://sardanapalus.blog.so-net.ne.jp/2008-12-14

サルダナさん:

リンク&またまた素敵な美術館の紹介、ありがとうございます!こちらにも貼らせて頂きました。
こういう穴場的美術館が、またいいんですよね~~ここもぜひ、次回には足を運んでみたいと思います。

この記事へのコメントは終了しました。

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