エレクトラ・ノート その1 対訳との突き合わせ
さて、今回のシンガポール行きの目的は「コンサート形式のエレクトラ@シンガポール交響楽団30周年記念ガラコンサート」を聴くこと。
先の記事に書いたように、ワーグナーもシュトラウスも大好きな私ですが「エレクトラ」は、実はちょいと手を焼いていた作品。
繰り返しになりますが
・同系統の「サロメ」は、ワーグナーに慣れてきた頃、CDを聴いてすぐにハマったので「エレクトラ」もその延長で、比較的早い段階で手を染めたんですが、ここまでオーケストラが大編成+不協和音の連続、女声が叫びまくる作品となると、さすがの私?も、いささか「うるさい!」と思った
・不思議と、不快になる音楽ではなく…なんというか、思い切り気分がハイテンションの時か、逆に思い切りブルーの時、つまり「普通の精神状態ではない時」だと、すーっと入ってくる、実に奇々怪々、不思議な音楽で「ずっと気になる作品」であった
さっと聴いて「あ!エレクトラの音楽だ!」と理解できるのは、例のエレクトラの最初のモノローグ「アガメ~ムノ~~ン♪」くらいで、実はオレストに関しては、ほとんど意識して聴いたことがなかったんですが
エレクトラとオレストの邂逅は、近親相姦的な危険な香りをまとっていなければならない」なんてことだけは、ちゃっかり認識していたのです(^^ゞ
オペラをコンサート形式で聴くのは初めての経験ですし、余計な演出・装置がないということは、100%音楽に集中しなくてはなりません。
どっぷり浸る為には、まず全体の音楽の構築を、自分なりに理解しておかないと
「オレストが出てくるまでには、一時間ぐらいかかるので、それまで爆睡しちゃったら、た~いへん!!」
なんてことになりかねないので、棚の奥に仕舞い込んでいた、エレクトラのCDやDVDを引っ張り出してきました。
年末のせわしい一ヶ月間、ほとんど毎日部分的にでも「エレクトラ」を聴き、比較対象の為に時々つまみ食いしたくなった、同系統の「サロメ」をはじめ「ばらの騎士」「アリアドネ」「アラベラ」など、シュトラウス全般の作品ばっかりに浸りきったこの一ヶ月間、作品に対する理解もかなり、深まった…というか、私なりにこの作品を、ようやく噛み砕いて消化することができそうだわ…という段階にまで辿り着けました。
何をやったかと言うと「ドイツ語歌詞と日本語対訳を突き合わせながら、CDを聴きまくった」という、至極オーソドックスな方法。
スコアが読めるなら、そっちと突き合わせする方がもちろん、もっとしっかり理解できるんでしょうけど、残念ながら読めないので
【歌詞の内容と、メロディライン、語感のイメージを自分なりに一致させて「あ、ここはこういう内容のことを歌っているんだ」という情景描写が脳内でスムーズにできるようになればOK】
という目標を立てて、全体は数回ほど、部分的(いわずもがな、オレストが出てくるシーン)には数え切れないほど、やりました。実は行きの飛行機の中ででも、2回繰り返して、やっていたんですよ。暇だったから…ってのも、あったんですけどね(^^ゞ
しかし、この方法が私にとっては、大変効果的でした。日本語訳付きのDVDも間に見ているんですが、やはり、歌詞対訳ほど突っ込んだ訳ではありませんし、かなり端折っているので、細かいところのニュアンスまでは、カバーできてないんですよね。
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コメント
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すごい!さすがに、きちんと予習をされて行かれたんですね!
私には未知の世界です、「エレクトラ」
バスの誰かさんも歌うことがあるかしら?
その節は、よろしくご指導くださいませ♪
投稿: 娑羅 | 2009/01/16 00:05
娑羅さん:
いやいや。娑羅さんだって、バスの誰かさん(笑)の「ファウストの劫罰」のWebラジオ放送の時、頑張っていらしたじゃないですか
私は、前から好きになれそうな要素は十分持ち合わせていたけれども、なかなかとっかかりが持てない、でもこんなチャンスが訪れてくれたんだし、周囲のひんしゅくを買いながら行くからには、何が何でもこれを機会に克服するわ!という必死の思い(笑)から、やっただけ(^^ゞ
楽譜が読めない私にとって、対訳は大事なソースなんですよ。とはいっても、言葉を越えた音楽の力、声の魅力が、それを凌駕することもありますけどね
投稿: ヴァランシエンヌ | 2009/01/16 18:23