アニヤ・シリア ロシア歌曲の夕べ@コーミッシェ・オパー・ベルリン
ある意味「ばらの騎士@ベルリン国立歌劇場」よりも、こちらをメインイベントとして旅立った感のある、弾丸ツアー@3月のベルリン旅行だったかも。
その割には、一か月以上も間があいてしまったので、既にぼんやりとした記憶しか残っていないのですが。
アニヤ・シリア(Anja Silja)は、ワーグナー好きの方ならお名前をご存じの方も多いと思いますが、1960年代(!)に、バイロイトをはじめ、ベルリン、ウィーンなど各地で活躍していた、往年のソプラノさんです。1940年生まれということですから、今年69歳なんですね。
近年は個性的なメゾの諸役を手掛けることが多く、同時期にコーミッシェでプレミエ公演のあった「スペードの女王」の伯爵夫人や、昨年末にはROHで「ヘンゼルとグレーテル」(トーマス・アレンがお父さん役で出たやつね^^ 5月23日には、BSハイビジョン・ウィークエンドシアターで放送されるそうですよ。詳細はしまさん宅へ⇒⇒⇒)の魔女役など、まだまだオペラの舞台でも、元気な姿を見せていらっしゃいます。
私にとってのシリアは、何と言ってもクレンペラー盤CD「さまよえるオランダ人」の、ゼンタ。まっすぐ、一途なソプラノ声で歌われるエキセントリック・ヒロインのゼンタは、大好きなテオ・アダムの、真摯なオランダ人とのコンビネーションがすっばらしく、とても好きなCDのひとつです。
今回のプログラムは、ロシア歌曲。曲目が全てドイツ語で書かれていた+コーミッシェは、基本的にオペラ上演は今でも独語上演の形式を取っていますから
「も…もしや、ドイツ語で歌うのかしら???」
と、微妙に心配してたのですが、ちゃんとロシア語で歌って下さいました(^^♪
女声で歌われるロシア歌曲のCDとして、ガリーナ・ヴィジネフスカヤとオリガ・ボロディナの歌うCDを持っていて、時々流して聴いてます。
ロシア物には条件反射的にピピッと反応しちゃいますし曲調は大好きなんですが、まだ、歌詞と曲を突き合わせて聴く段階までには至ってないのですが。
折しも同時期・私がベルリンに出発する数日前に、わがゴヒイキさんがモスクワでのリサイタルで(やっと!)歌いましたから、ロシア歌曲はおそらく、私がこれから長く付き合っていく、大きなテーマの一つ…となるでしょうね
なので、どの曲がどう良かった…とかいう感想よりも、私にとっては「CDで馴染みのある大歌手を、生で聴けた!」という感動の方が大きくて。
チャイコフスキーの物悲しいピアノ伴奏に合わせて、シリアの第一声が聴こえた途端「ああ~~~ホントにシリアの声だぁ…」と、涙が落ちそうになりました。
さすがに69歳ですから、中低音にはざらつきが感じられたますし、往年の瑞々しい声ではない…のですが、ピンと張りつめたような、真っ直ぐな高音はいまだに顕在。まさに、私が繰り返しCDで聴いた、ゼンタの声そのものでした。
御本人は「60歳を過ぎて娘役なんてもう…年齢に合わせた役選びをしないと」と数年前収録されたインタビュー番組
(クラシカ・ジャパンで放送した「アニヤ・シリアのポートレート」はなかなか興味深く、面白い番組でした)
で仰っていましたが、声だけならば、今でも娘役が十分に出来そうだよねぇ、なんて主人とも話していたのですが。
ところでこのリサイタル、最初ピアノ伴奏の譜めくりの方がおらず、空調の関係で、何度も譜面が飛びそうになってしまい
(しかも何故か楽譜は、紙切れをつなぎ合わせたような、すごくシンプルなもの^^;)
客席からはクスクス笑い声、シリアも思わず苦笑いして、なんとも微笑ましい場面ではありましたが、ピア伴の方は大変そうでした。
ロシア歌曲の合間に「はげ山の一夜」を演奏。さすがにこれは、ピアノ曲に疎い私でもわかったんですが(^^;
コーミッシェ自体、小さなオペラハウスですが、切符はパルケットのみの販売。観客と歌い手の距離感がぐっと近づくような感じのリサイタル。
なにはともあれ、ワーグナー好きのはしくれとしては、バイロイト黄金時代を支えた歌手さんを、生で聴くことが出来ただけで、感慨深い演奏会でした。行ってよかったです
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Liederabend Anja Silja … Russian Romance @ Komische Oper Berlin
Einmalig am … Sonntag, 8. Marz 2009, um 20:00 Uhr
Solisten … Anja Silja (Sopran), Andrej Hoteev (Klavier)
Programm … Pjotr I. Tschaikowski (1840-93) . 5 Lieder: Kein Wort, o
mein Liebster op. 6 Nr. 2; Warte nur op. 16 Nr. 2; Wieder, wie immer, allein
op. 73 Nr. 6; So schnell vergessen (1870) ohne op.; Sag' mir, wovon in der
Schatten der Baume op. 57 Nr. 1
Modest P. Mussorgsky (1839-81): Bilder einer Ausstellung
(Handschriftversion, 22.06.1874, St.Petersburg)
Alexander N. Scriabin (1872-1915): Klaviersonate La messe noire Nr. 9, op.
68
Sergei Rachmaninow (1873-1943) . 7 Lieder: Die Nacht ist traurig op. 26
Nr.12; Der Traum op. 8 Nr. 5; Ich warte auf Dich op. 14 Nr. 1; Singe mir
nicht, du Schone op. 4 Nr.4; Im Schweigen der heimlichen Nacht op. 4 Nr. 3;
Der Flieder op. 21 Nr. 5; Einsamkeit (Fragment von Alfred de Musset) op.
21 Nr. 6
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コメント
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こんばんは。
わざわざリンクまでして下さってありがとうございました。
私はシリアのことは「ヘングレ」で初めて知ったので、こちらの記事でどんな歌手さんなのかようやっとイメージがつかめました。
「ヘングレ」の魔女役は印象的でしたよ。メイクのせいで、こちらのお写真とは全然別人。
こんな美人さんだったら、シリアがお母さん役でもよかったかもー(笑)
投稿: しま | 2009/04/23 00:22
しまさん:
いえいえ。せっかく「ヘングレ」の放送があるんですし、宣伝しておかなくちゃね(^^!
私も放送を楽しみにしてます。
シリアは、上に書き忘れちゃいましたけど、「サロメ」のヘロディアスも歌っていますから(映像もあります)
ワーグナーには馴染みのないしまさんでも(笑)もしかしたら、またどこかで巡り合える可能性があるかもしれませんよ。
>美人さん
若い頃の写真を見ると、ホントにスレンダーで、モデルみたいな感じですよ。とてもオペラ歌手には見えない…
リサイタルで実際に見た感じですと、さすがに最近はフクヨカになっていらっしゃってます。雰囲気的には、ドイツのメルケル首相みたいな感じでした(笑)
投稿: ヴァランシエンヌ | 2009/04/23 09:23