091003 ヴェルディ・レクイエム@パルマ大聖堂
ホントは今回の旅行記は、時系列でじっくり振りかえりながら、あいだに鑑賞記を挟んで…という形を作りたかったんですが、それをのんびりやっていると、旅の終盤に聴いてきた「バビ・ヤール@ベルリン」は、下手すると年末ぎりぎりになりそうですしwww
「バビ・ヤール」を書くためには、パルマでのレクイエムを先にやっつけないと、自分の中では話にならん(笑)ので。
チケットの取り方とか、会場の様子とかは、また別途書きます。
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指揮:ローリン・マゼール
オーケストラ&合唱:テアトロ・レッジョ・パルマ
ソプラノ:スヴェトラ・ヴァシレヴァ
メゾソプラノ:ダニエラ・バルチェローナ
テノール:フランチェスコ・メーリ
バス:アレクサンドル・ヴィノグラドフ
大聖堂の中での演奏って、どーやるんだろう?と思ってたのですが、客席は木の椅子。ちょっとお尻が痛くなっちゃっいました。
音のバランスは申し分ないです。教会特有の残響は、人によって好き嫌いがあるとのことですが、私は気に入りました。ミサ曲なので、本来はこういう場所で演奏されるのが望ましいんでしょう。席はどの辺なのかとか、全然わからない状態でチケット買いましたけど、かなり後ろの方でした。
指揮はローリン・マゼール。彼のヴェルレクは、3年前の4月にNYフィルだったかな?の演奏を、ネット経由で聴いています。この時、思い切りオケを派手に鳴らしてたもんですから、派手派手にじゃんじゃか鳴らすのかと思ってたのですが、今回はそんなに大きく鳴らすわけでもなく。
盛り上げるところはきっちり盛り上げますし、静謐な部分は静謐に。ソリストの声も良く聞こえて、その点は良かったです。
ソリストでダントツに良かったのは、テノールのフランチェスコ・メーリ。実はわざわざパルマまで足を運んだのは、彼がテノールのパートを受け持つから…というのも、理由の一つでした。
(奇しくも)マゼール指揮のバレンシアでの「ドン・ジョヴァンニ」(ヴィノグラドフのレポレッロデビューの時)で、オッターヴィオを聴いています。この時、スコーンと抜けるきれいなテノール声だけど、イタリアのテノールらしからぬ(笑)節度のある歌い回しで、モーツァルトには向いている…機会があれば、また聴いてみたいと思っていたので、渡りに船だったというわけ。
あれから3年。重唱でもひときわ彼の美声はよく響いて、んも~~~、美しくも華奢な(笑)バスの声が、かき消えてしまったじゃないのよ(^_^;)
それでもヴィノグラドフとの声や、表現スタイルの相性はいいように感じましたから、また共演の機会があれば、聴きたいです。
女声は残念ながら好みではなく、特にソプラノのスヴェトラ・ヴァシレヴァは、発声が不安定なのでしょうか。お腹の支えが弱そうな、キンキンした芯のない声で、ハーモニーからも、ちょっと浮いてたように感じました。
この声でリベラメを聴かされるのか…と、最初からちょっぴりブルー
でももしかしたら、途中から良くなるかもしれないし…との願いもむなしく、やはり「リベラメ」は、間延びしてしまい、
時差の関係でちょうど睡魔が襲ってくる時間帯に差し掛かっていた+緊張感も緩んできた+何しろ疲れていた…という、私の「体調悪い条件」が3つ揃ったことも手伝って、もう、眠気をこらえるのに必死(^_^;)
(カーテンはないけどw)カーテンコールでは拍手も一番少なく、ブーイングも飛んでたので、それも仕方ないかも…と思いました。さすがにイタリアの観客、容赦ないです。
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最近の歌手はこういう曲でも、真っ直ぐ立ったまま直立不動で歌うわけではなく、感情を身体中に表しながら(つまり身体を揺らしながら、ビミョーに演歌ちっく(笑)に)歌うものなのねぇ…と思いました。NHKホールのソリスト達もそうだったし、今回も。
ヴィノグラドフも、さすがに現代っ子。その例外ではなく(笑) これにはちょっと意外な気がしました。
それでも、4人の中では一番控え目でしたけど。
(一番派手だったのは、メーリ^^; やっぱりイタリア人気質でしょうか(笑))
1月のシンガポールでの演奏会形式「エレクトラ」は、タキシードではなく、ノーネクタイのラフなスーツで、軽く演技もつけて…という形式でしたから、正式なコンサート=タキシードで歌うのを、私が実際に聴いたのは、今回が初めて。
3年前の4月に、ヤンソンスと一緒にやったバイエルン放送交響楽団のネットラジオで聴いた時(Youtubeのプレイリストはこちら)の歌い方と基本的には変わってないけど、その時いっぱいいっぱいだった高音域が、無理なく力強く出るようになってましたし、"Mors stupebit" の最低音部分は、その時よりもぐっと湿っぽく響いて、ゾクゾクしました。
でもその時ほどのストイックさが多少薄まってきて、節度はあるけど、オペラティックというか、ドラマチックに振れてきてる気がしました。今回の彼のアプローチは、冥土の番人のような、死の淵に引きずり込まれるような感じ…ではなかったかな。
ここ1年ほどの彼は、以前よりもコンサートの公演数が増えています。
生真面目な歌い口は相変わらずですが、やっぱり公演数が増えても、コンサート歌手ではなく、オペラ歌手だよねえって思いました。3月のモスクワリサイタルで取り上げた歌曲にもそういう傾向を感じたので、過渡期みたいなものかも知れません。
面白いですよね。レパートリーも随分増えましたし、色々歌うことによって、以前から歌っている作品への、見えない相乗効果が表れるのかな。それを重ねることによってアプローチや、表現方法も多彩になるのでしょう。
根本的に私は、彼のストイックな表現が好きだし、ミサ曲はその方がいいんじゃないかと思いますが、ヴェルレクの場合、他のミサ曲とは位置づけが微妙に違うと思いますし、ストイックなだけでは、物足りないのも事実なので(^_^;)
この辺りの表現方法が、この直後のベルリンでの「バヒ・ヤール」には、巧く作用するかもしれない…と感じました。
そんな感じで、没入した!とかいうほどのめりこんでいたわけではない、どこか頭の中で、冷めた部分を残しながらの鑑賞の中、双眼鏡で覗いたり外したり…を繰り返してましたけど、
はずみで自分の頬に指が触れた瞬間、その熱さに自分でも驚きました。その時「ああ、10か月ぶりに、私は大好きな声に浸っているのね」と、なんとも言えない感情の高まりが襲ってきて、ほんの少し私の涙腺を緩ませました。
どうでもいい話ですが、双眼鏡で男声2人を覗く度に、メーリの顔の大きさにはびっくり(@。@;させられました
ヴィノグラドフと身長は同じぐらいなのですが、顔は1.5倍ぐらいあります^^; あれだけ顔と頭が大きければ、頭蓋骨に声がよく響くわけだよね~~とも、思ってました
(ついでに言うと、ヴィノグラドフがすんごい短髪になってて(笑)「んも~~、コンサート続きだからって、そこまで短くしないでもいいでしょっ」とか、いらんことばっかり思ってました
一番上の大聖堂の中の写真は私が撮ったものですが、ソリスト達の2枚の写真は、イタリアのサイトで拾いました。撮って下さった方、ありがとう!!)
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
Cattedrale di Parma
giovedi 1 ottobre 2009, ore 20.00 fuori abb.
sabato 3 ottobre 2009, ore 20.00 fuori abb.
Messa da Requiem
Musica di GIUSEPPE VERDI
Soprano SVETLA VASSILEVA
Mezzosoprano DANIELA BARCELLONA
Tenore FRANCESCO MELI
Basso ALEXANDER VINOGRADOV
Maestro concertatore e direttore
LORIN MAAZEL
Maestro del coro
MARTINO FAGGIANI
ORCHESTRA E CORO
DEL TEATRO REGIO DI PARMA
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コメント
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教会のあの木の椅子は座りにくいし、長時間座るのには不向きです。あれも修行かと思うことさえあります。
ヴィノさんの髪、ほんとに短いですね。でも正装によくお似合いではないですか。
>ヴェルレクの場合、他のミサ曲とは位置づけが微妙に違う
そうですよねー、あれはオペラよりでしょう。 あの曲でミサをあげてもらおうとはなかなか思われないかと。
今回のヴェルレクに関してのヴァラリンさんの論調から、いかにショスタコ13番が素晴らしかったかがうかがえるような気がします。 続きを楽しみにしてます!
投稿: galahad | 2009/10/31 18:17
galahadさん:
>ヴィノさんの髪
>正装によくお似合い
ありがとうございます~~でも私、ボサボサでもいいので(笑)もう少しくしゃっとした感じの方が好きなんですよ^^;
20日経って、少し伸びたみたいです(笑)
(シモン・ボッカネグラ@リンデンのチョイ役のカーテンコール写真で確認してきました^^)
>ヴァラリンさんの論調から、いかにショスタコ13番が素晴らしかったかがうかがえるような
えっ(///
もしも、この演奏だけを聴いていたら、それでもかなり、満足した…と思います。
でもやっぱり、ソリストは彼一人+1時間ぐらいずーっと出ずっぱりの作品を、連日2度も聴いてしまうと、どうしても…ね。
なるべく早く書きますね(^^/
投稿: ヴァランシエンヌ | 2009/10/31 23:12
ヴェルディの生地の教会でヴェルレクを(しかも大好きな声で)聴けるなんて、本当に滅多にできない体験ですよね。いいなあ(笑)
石造りの教会の、全身を音で包み込んでくれるような残響感、私は大好きです。
> 没入した!とかいうほどのめりこんでいたわけではない、どこか頭の中で、冷めた部分を残しながらの鑑賞
生鑑賞も回を重ねると、時にはこういう「のめりこむまではいかないな」という公演もあると思いますが、それはそれでいいものですよね。どっぷり没入して聴いている時とはまた違った発見があったりして。
で、ヴィノさんの写真、話に聞いていたとおりド短髪
私はなかなかイイと思います(笑)
投稿: Nao | 2009/11/01 00:25
Naoさん:
>ヴェルディの生地の教会でヴェルレクを(しかも大好きな声で)聴けるなんて
そうですねぇ(笑) 普通の教会でも、なかなか聴けないですが、パルマはヴェルディの生地=聖地でもあるんですよね。
お洋服のことはまた改めて書きますが、行く前には「イタリアはドイツよりもドレスコードが厳しそうだし、黒いワンピースの方がいいのかな…」とも思ったんですが、結局迷いに迷って、一泊用のボストンバックに押し込んだのは、例のベルベットワンピですよ。あの派手派手の(笑)
でもね、それで正解でした。赤いワンピースでいらしている年配のご婦人もいましたし、派手なピンクのスーツの若い女性もいましたし、皆さんとてもお洒落でしたから、やっぱり「着たい服で行かなきゃね!」ってことですね
>生鑑賞も回を重ねると、
ははははは(笑)
数えたら、このヴェルレクが、なんと16回目ですよ(^_^;)
まあ、そのうちの7回は、リンデン来日の時のマゼット+新国のエスカミーリョですけどね(^^ゞ
んで、バビ・ヤール2回を合わせると18回。聴いたレパートリーが10。マゼットとレポレッロが同じ演目でダブっていますから、演目は9つ。
追っかけ歴5年弱で、この回数ですからねぇ。在アメリカ時代も含めて、地球の反対側から飛んでいるのよ…と思えば、けっこう頑張っているのではないかと。
>ド短髪
私はやっぱり、もう少し長い方がいいわ
投稿: ヴァランシエンヌ | 2009/11/01 22:50