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バビ・ヤール(ショスタコーヴィチ交響曲第13番) 予習に使ったメディア

音楽というのは、聴覚という非常にあいまいな、自分以外の人間に、自分がどう感じているのかを説明するのが非常に困難な感覚を駆使して楽しむものですから、
歌い手にしろ、何某かのソフトにしろ、作品そのものにしろ、私が気に入ったからと言って、それを人様におすすめするのは、おこがましい+押しつけがましい気がして、迷うことも多いのです。

それに加えて、感じたことを書くのは、とっても難しいですし、時間もかかります。
ですが私にとっては何よりも難しい反面、どんな作業よりも楽しく、やりがいのあることなのです。

とどのつまりは

「音楽なんだもの、できるだけ偏見や先入観なしで、聴いてもらいたい」

ということを、言いたいのです。
ここ数回にわたって、言葉足らずながらも《ロシア音楽とは何ぞや?》とか、色々書いてますが、どうしてもロシア物に関しては、言葉の問題もありますし、とりわけショスタコーヴィチに関しては、

・作品そのものにも、彼そのものにも強い関心を抱くマニアックな人たちが多くいる半面、好き嫌いが非常に分かれる
・その中でも13番については、書物にしろ、ネット上にしろ、初演の際のゴタゴタやら、歌詞の強烈さ故?異様に煽りモードな感じの文体が非常に多く散見するような気がする(しかも圧倒的に、男性が書いたものが多い)

ように感じるので、多分、ある種の偏見とか、先入観を持っている聴き手が、少なからずいらっしゃるのではないかと思います。

ショスタコーヴィチ独特の音楽自体を、生理的に受け付けない…という場合は、もう仕方がないと思いますが、
そうではなく、単に食わず嫌いで避けているんだったら、怖がらないで耳を傾けてもらいたい…

私のように、男声ソリストに関心を持って、そこから作品に入って行くのは(特に男性の聴き手からすれば)邪道極まりないでしょう。
でも、こういう馴染み方もあるんだよ…ということを、頭の片隅にでもおいて頂ければ…

そして、アレクサンドル・ヴィノグラドフに関わらず、ロシア系の歌手、ロシア系の作品をレパートリーに入れるバス歌手に関心を持ったら、《バビ・ヤール》は是非チェックしてもらいたいな、と思います。
(普段目立たない)バス歌手が、独唱で一時間、バスの合唱団を従えて、かっこいい旋律をぐいぐい引っ張っていくなんて、他にこんな作品はありませんもの(^_-)-☆

生半可な作品ではないが故、どの歌手もきっと、渾身の力を込めた歌唱を聴かせてくれる…と思います。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

ということで、予習で私が使ったCDを、独断と偏見の★付きで紹介しておきます。

゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

・アシュケナージ指揮 NHK交響楽団
 セルゲイ・コプチャク(バス)
 二期会合唱団(男声) 
★ 音楽の造りがちょっと平坦な感じで、個人的には、あまり好きにはなれませんでした。

。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚。。+゚゚

・ロストロポーヴィチ指揮 ナショナル交響楽団
 ニコラ・ギュゼレフ(バス)
 ワシントン・アート・ソサエティ合唱団
★★★ 現在は全集として入手するのが望ましいでしょうか。最初はゆったり(=ゆっくり)しすぎのテンポに馴染めないかも…と思いましたが、何度か聴いているうちに、スケールの大きさを感じるようになりました。

★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜

・コンドラシン指揮 モスクワ・フィル
 アルトゥール・エイゼン(バス)
 アカデミー・ロシア共和国合唱団
★★★★★ コンドラシン盤はいくつかあるそうですが(ここでは紹介しませんが、マニアックな話が色々あるらしいですから、興味のある方は検索して下さい^^;)入手しやすいのは、下記の全集でしょうか。名盤の誉も高いです。
私が好んで聴いている理由は、独唱のエイゼンの声が、ロシアのバスとしては、非常に洗練された美しい声+歌い回しも過度に感情に流されず、でも平坦ではなく…という表現が気に入ったからです。

♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:

CDを入手するほどでもないけど、手っ取り早く聴いてみたい方向けに
Youtubeで全曲聴ける、交響曲第13番《バビ・ヤール》を紹介しておきます。
(実はこの記事を書こうと思い立ってから、知りました(笑))

http://www.youtube.com/view_play_list?p=FA4390C1B2C61860

ゲルギエフが指揮したプロムスの映像のようですが、文字が読めず、情報がわからん(^^; ⇒ 一体この(イケメンの^^;)ソリストは誰?!いつのプロムス?!と検索してみたところ、

恐らく2006年8月のプロムス、独唱はミハイル・ペトレンコ(Mikhail Petrenko)だと思います。
実際にお聴きになられた方のブログ記事は⇒⇒⇒

なかなか激しい(^_^;)演奏です。さすがゲルギエフ…という感じでしょうか。
本当はもう少し、オケが揃っている方が好き、合唱にはもう少し、憂いを持たせてね…とか、色々思うこともあるんですが、この作品には、こういう荒っぽい部分も不可欠ですから、その点を鑑みると、けっこういい…のかもしれません。しかもYTで気軽に聴けるのが、いいじゃないかと。

ゲルギエフの秘蔵っ子と言われるペトレンコって、名前だけは聴いたことがあったんですが、今回初めて見聞きしました。

長身痩躯、金髪碧眼の、こんないい男なら、話題に上るのもうなずけます。来日もけっこうしているみたい(今もしてるらしい)
「死の歌と踊り」歌うんですね。ちょっと、行ってみたい気も(笑)。。。

声は、ロシアのバスとしてはかなり明るくて軽いんじゃないでしょうか。低音部はかなり苦しそうですが、でもそれだけに、かえってもっさりした(失礼^^;)中年のオヤジを彷彿とさせるバス声よりも、現代人にとっては聴きやすいかも。

…しかし、ゲルギー様が若いバスを使って、こんなスバラシイ映像収録なさってるんだから、是非バレンボイム先生も(せっかく若いバス…もう少し声の低いバスよ♪ を使ったんだから^^;)映像収録してくれれば良かったのに。ベルリンで

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バビ・ヤール(ショスタコーヴィチ交響曲第13番)鑑賞プロジェクト」カテゴリの記事

コメント

ゲルギー先生のは初めて聴きました。画質と音質がきれい。演奏は意外なほどスカッと明るく聴こえます(笑)
実は昨年、ヴィノさんがバビ・ヤールを歌う!と話題になった時に、興味が湧いてこそっとYoutubeで探して第一楽章だけ聴いてみたんだけど、その時聴いたのは音質のよくない古い演奏だったんです。
でも、陰々と続くバス独唱&合唱のド迫力には、私も「すご…」と思いました。適切なたとえかどうか分からないけど、お経に引き込まれるのと同種の陶酔感を感じます。バス歌手が1人、男ばかりの合唱を背後に従えて佇む姿は、絵的にもかっこいいし(笑)

まあ、やっぱりゲルギー様は野蛮な演奏ですね。でも好き(゚▽゚*) ご自分の不穏な演奏と容姿を中和させようとしてイケメンバスを起用しているのかしら? やはりこの曲にはやや重量級のバスのほうがいいと思うのです。 バレンボイムとヴィノさんでしたら、もう少し洗練された演奏だったんじゃないかな?と予想中・・・。
今回のゲルギー様ツアー私も聴きにいく予定ですが、当地ではチャイコフスキープログラムで残念。 お歌聴きたかった。

Naoさん:

いやー、YTにこれだけ良質の「バビ・ヤール」が上がってくると、この作品の普及活動には、多少は役に立つんじゃないかしら??
(元の情報がギリシャ文字…ってのがネックだけど^^;)

>お経に引き込まれるのと同種の陶酔感

ああそうそう、そういう感じするでしょ。
鐘の音のお話も、そこいら辺を意識して読んで頂けるとわかりやすいかもね。

>バス歌手が1人、男ばかりの合唱を背後に従えて佇む姿は、絵的にもかっこいいし(笑)

ええもう、それはそれはもう、りりしかったですわよ
(髪型さえ短髪じゃなければね…あれでね…ったくもうーー;)

galahadさん:

>ご自分の不穏な演奏と容姿を中和させようとしてイケメンバスを起用

ぎゃははは(笑)
どうやら、ペトレンコはこの時、代役だったそうなんですが、それにしては大健闘だと思いますよ。私ももっと重量級の声のバスの方が、この作品には適しているかと思いますが、映像収録のことを思えば、イケメンは好感度大かと。。

>バレンボイムとヴィノさん

そうですね。この映像のお陰で、頭の中でぐるぐる考えていただけのものだったのが、説明しやすくなったかな…と思います。
感想まであと一息ですので、もう少しお待ち下さいね。

>今回のゲルギー様ツアー

相変わらず精力的ですよねぇ~~~ペトレンコの「死の歌と踊り」には興味はあるんですが、その日はお仕事だわ。残念。
(でもでも、いずれにしてもベルリンでの「バビ・ヤール」2回分のチケットよりも高い金額は払いたくないし~~←本命以外にはケチなヴァラリン)

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