100131 ばらの騎士@Metライブビューイング
今回の「ばら」で一番楽しみにしていたのは、オクタヴィアンのスーザン・グラハム。
ちょうど4年前の2月、在米時代最後の思い出作りに足を運んだシカゴリリックオペラの五階席(^^;での「ばら」鑑賞。
豆粒のようなお姿しか見えない中、彼女の艶のある声は、座席数3500のオペラハウスをも軽々と征服し、また機会があれば是非聞いてみたいと思ったメゾでした。
ただその時に気になったのが、歌と声はすっばらしいのに、遠目で観てもはっきりわかる、垢抜けない身のこなしっぷり(^^;
これはもう、「アメリカンレディ」だから、しょーがないかもね…と思ったものです。
そして、実は我が家には何故か「シュトラウス・ヒロイン」という、音質のとても良い、ルネ・フレミングのCD
があって(笑)
フレミングのマルシャリン×グラハムのオクタヴィアン
(ちなみにゾフィーは、バーバラ・ボニー。アメリカンレディ三つ巴(笑)ですが、なかなか良いんです~~今は残念ながら、廃盤になっているようですネ)
で「ばら」の主要重唱部分を、比較的よく聞いているので、この二人の組み合わせは、既に耳馴染みがあったというわけ。
そんな思い出のあるグラハム・オクタヴィアンですが、どうやらこのライブビューイング収録日は調子が悪かったそう。どんな感じなんだろう?とドキドキしていたのですが、
確かに1幕は、高音域の音色が多少薄いかしら?と思いましたけど、幕が進むにつれて、全く気にならなくなりました。
寧ろ、ゾフィーのクリスティーネ・シェーファーのほうが、最後まで調子が悪そうだったように私には感じました。
最後の2重唱では、そんな彼女を気遣うように、声を少し控えめに、抑え気味にコントロールしていたような。こんなに知的な歌い回しが出来る人なんですネ。
4年前のシカゴでは、とにかく声が大きくて、弱音のコントロールがままならないような感じさえ受けたのに、今回は(実演とライブビューイングの違いはあるでしょうけど)弱音のつやつやした音色にも、聞き惚れました。
全幕で殆ど出ずっぱりのオクタヴィアン(タイトルロールですもんね♪)がこれだけ素晴らしいと、やはり、このオペラの聴き応えに大きく差が出ます。
大好きな作品ですが、何しろ長丁場。映画館という特殊空間で最後まで飽きずに鑑賞出来たのは、グラハムの力に拠るところ大だと思いました。
で、懸案事項だった「所作、立ち居振る舞い」ですが(笑)
うん、これはもう「アメリカンレディ」だから、仕方ないのよ![]()
そうは言っても、顔が小さく、上背もあり、美しいおみ足にタイツもよく似合うし、とてもステキな「ロフラーノ伯爵」でした。
★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜
ルネ・フレミングのマルシャリンは、去年ベルリンで聴いて、私の好みのストライクゾーンにビシバシ直球を投げてきた(笑)アンゲラ・デノーケのマルシャリンとは、あらゆる意味で「真逆」。
フレミング自身が幕間でのインタビューで話していた「私の声によく合っているのよ」というご意見には「ん???」(ごめんなさ~~い^^;)
シュトラウス・ヒロイン(笑)は、もっと怜悧な声で歌われる方が、私は好きなのです。
それと、これも「アメリカンレディ」だから、仕方ないのよ
と割り切ってしまえばそれまでなんですけど、やはり、4年前のグラハムに感じたのと同様の、所作のカジュアルさが気になりました。
一幕のモノローグの最後では、本当に涙を流していましたし、三幕の三重唱では、もう、渾身の力を込めて、いてもたってもいられない…と言わんばかりに全身を使い、歌も思いっきり感情過多に振れていて、それはある意味、とっても「わかりやすい」マルシャリン。
しかし、動きは極力抑えて、感情もぐっと抑える方が、ほんのり色気を感じさせ、尚かつマルシャリンの内向的で複雑な感情が、よりいっそう際立つのではないかと思いました。
マルシャリンは「元帥夫人」身分の高い女性ですからね。このシーンでは、ベルリンでのデノーケが、知的さとほのかに色気を感じさせる、抑制ある立ち居振る舞いをしていたのが、頭の中にふとよぎりました。
これは好みに拠るところ大だと思いますし、デノーケとフレミングの、どっちが優れているとかいないという二者択一の選択ではなく、それぞれの歌手の個性だと思います。
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
ゾフィーのクリスティーネ・シェーファーは、巷で言われているほど、アップの老け顔が気になるとかいうわけではなく(^^;
向こうっ気が強く、三幕の「マルシャリンと鉢合わせ」場面でも、ウジウジモジモジしているだけではなく「負けないわよ
」的な意志の強さが感じられるなど、役作りもユニークで、好感度大でした。
でも、この劇場のサイズに、彼女の声は向いていないのでは?ということと
(インタビューでも、彼女はずっと表情が硬いままでしたし、調子が悪かったのかしら?)
中低音の響きが薄く感じたこと。ゾフィーって、高くて細いだけの声では物足りないんだ…と思いました。極端に声の細い人なので、もしかしたら声そのものが、この役に合ってないのかもしれません。
「おっ?!」と思ったのが、陰の主役:オックス男爵のクリスティン・ジグムンドソン。この役は非常に難しく(笑)一歩間違うと下品になりかねないし、でも貴族なんだから、ある程度の風格、気品、粋が必要だと思っているのですが、
残念なことに、今のところ実演ではなかなか、満足のいくオックスに巡り会えません![]()
しかしこのジグムンドソン氏は、なかなか良かったです。
(この上演で、2メートル近いんでない?という、この人よりも大きな人はいないだろうな~~と思ったら、警官役のバスさんが、彼をさらに上回る長身でした^^;;;;; バス歌手ってやっぱりみんな、でかいのね(^_^;))
大げさになりすぎず、適度に下品
でも愛嬌たっぷり、憎めない役作りで、観てて安心&暖かみのある低声は、聴いていて心地良かったです![]()
身体の大きさにはのけぞりましたが
オックスには、あのぐらいの体格が必要かも…とも思いました。
トカイワイン
もぐびぐび飲んで、ファーニナルお父さんが、ビックリしてましたしね![]()
(あああ、我がダーリンにいつかオックスを歌って欲しいと密かに願っている(←バス歌手のファンなら、誰しも抱く願望?????)んですが、やっぱりバス歌手の中では、小さいほうですもんねぇーー;)
そしてゾフィーのお父さん・ファーニナルは、しまさんのハニー
トーマス・アレン。ちょっとお声が上ずってる?!って部分もナキニシモ…でしたが、さすがに芝居上手。アレンの持つ胡散臭い雰囲気(ごめんなさい
)が、この役の小市民的さとよくマッチしてました(^^;;;;;
脇に、こういったベテランがキャスティングされると、舞台が締まりますね。アレンが登場したとたん、客席から拍手がわき起こったのも、愉快でした![]()
脇と言えば、ヴァルツァッキとアンニーナの、いんちきコンビ(笑)も、とても良かったです。
4年前のシカゴでも感じましたが、アメリカでの「ばら」上演は、ミュージカルの延長上にあるコメディとしての側面が大きく突出する、そんな気がします。ウィーン風を気取っておきながら、決してそうではない。
フレミングとグラハムの、所作のカジュアルさにもそれはよく現れていて、これが「アメリカ文化というフィルターを通した《ばら》」なんだ…と思います。
指揮も良かったですし、今回はホント、メトらしからぬ?!脇役に手抜きが一切感じられないキャスティングで、大満足でした。ライブビューイングの映像は全てがDVD化されるわけではないそうですが、これは是非、DVD化して欲しいです。
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
今回のインタビュアーはドミンゴ先生。フレミングとグラハムの才女(二人ともお喋りがとっても上手!)には、何気にタジタジな感じでしたけど(笑)
しっかりご自身の「シモン・ボッカネグラ」の宣伝&メトへの寄付のお願いもなさってたのが、愉快でした。
来週の「カルメン」も興味はあるんですが、さすがに二週続けてのお出かけは、ちと億劫かもぉ…せめて、一ヶ月後とかだったら行くんですけどねぇ![]()
我が家のご常連・お友達のgalahadさんと娑羅さんとしまさんが、それぞれ秀逸な感想を書いていらっしゃいます。遠くに住んでいるお友達とも、同じ上演の感想をシェアできるのは、ライブビューイングならではのダイゴミかも(^^)
そちらも是非、ご一読を![]()
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ばらの騎士@Metライブビューイング
2010年1月31日 新宿ピカデリー
<出 演>
元帥夫人:ルネ・フレミング
オクタヴィアン:スーザン・グラハム
ゾフィー:クリスティーネ・シェーファー
オックス男爵:クリスティン・ジグムンドソン
ファーニナル:トーマス・アレン
Annina.......................Wendy White
Valzacchi....................Rodell Rosel
Italian Singer...............Eric Cutler
Marianne.....................Erica Strauss
Mahomet......................Nicholas Crawford
Princess' Major-domo.........Bernard Fitch
Orphan.......................Belinda Oswald
Orphan.......................Lee Hamilton
Orphan.......................Patricia Steiner
Milliner.....................Charlotte Philley
Animal Vendor................Kurt Phinney
Hairdresser..................Sam Meredith
Notary.......................James Courtney
Leopold......................Stephen Paynter
Lackey.......................Daniel Clark Smith
Lackey.......................Kenneth Floyd
Lackey.......................Marty Singleton
Lackey.......................Robert Maher
Faninal's Major-domo.........Ronald Naldi
Innkeeper....................Tony Stevenson
Police Commissioner..........Jeremy Galyon
Widow........................Ellen Lang
<指 揮>
エド・デ・ワールト
<演 出>
ナサニエル・メリル
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コメント
どもども、リンクありがとうございます

ヴァラリンさん、「ばら」お好きだったんでしたね♪
お好きな作品はやっぱり厳しくなったり、見るところも細かいですよね。
フレミングのマルシャリンは好き・嫌いが分かれるかな~とも思いましたが、あの親しみやすさ、ヴァラリンさんが仰るところの“カジュアルさ”が人気の秘密なのかなと思い始めています。
アメリカ人にウケる顔立ち、役作り、そしてファンサービスが人気の秘密なのでしょう。
かく言う私も、彼女のタチヤーナは手放しで大絶賛!というわけにはいきませんでしたし
バス歌手のファンの方は、オックス男爵をいつかご贔屓さんに歌ってもらいたい!と思うのですか!?
う~む・・・私はカナダの王子様とオックスは結びつきませんでした
投稿: 娑羅 | 2010/02/03 23:15
娑羅さん:
別の地域に住んでいる者同士が、TV以外の媒体で同じ上演を共有出来る機会って、滅多にないですもん。
娑羅さんがこちらをご覧になっていらっしゃって、とても嬉しかったです
>フレミングの人気の秘密
仰る通りでしょうね。彼女の「魂の声」読んでみようかな(笑)
>贔屓バス歌手とオックス
フフフ…オックスは、ただの下品オヤジではない!ということを、是非我々の王子様を通して提唱して頂きたいのですよ(^^♪(←巻き込むな
)
)
(ほら、インタビューでもジグムンドソン氏が「男性なら誰でも、ああいう部分を持っていると思いますよ」と、とても紳士的に話してたでしょ
カナダの王子様は上背がありますし、(映像で観ると)胸板も厚くて立派な体格ですから(笑)
やってみたら、なかなかステキだと思いますよぉ(^^♪
ドイツ物もお歌いになりますし
ヴィノさんは一般人の中に混じれば、充分大男の部類だと思うんですけど、やはり185センチ以上の方々が、その大半を占めるバス歌手としては、そんなに大柄な方ではありませんから^^;
ってくらい、恰幅が良くなる可能性もあるわ~
)
お腹にたくさん詰め物して、頑張って頂きたいものです
(尤も、何年か先になって「今度歌うんだ~~」という頃には、詰め物なしでも充分オッケー…
投稿: ヴァランシエンヌ | 2010/02/04 07:36
リンクありがとうございます。
なるほど、「アメリカンレディ」というのがキーワードですね。 ひとことで表していると思います。
今日も「カルメン」の席の予約に行ったのですが、激混み必至のようです。
投稿: galahad | 2010/02/04 21:35
galahadさん:
いえいえ。こちらこそ、落ち込んでいた時の起爆剤にもなりましたので(笑)
>「アメリカンレディ」
はは^^; 要はメンタリティ、の違いだと思うのですよ。
読者の方々には、これは決して貶める意味で使っているのではないことをご理解頂ければ嬉しいんですが…
このことについては、考えてみたいと思うヒントを、さる所から頂いたので、また折を見て書きたいと思います。
>カルメン
ドミンゴ先生渾身の?!宣伝が訊いたんでしょうかね?^^;
名古屋を始め、地方は上演箇所が一か所しかない所が殆どですから、評判が上り始めると、席の確保も大変になってくるかもですね。
(首都圏の場合は、労を厭わなければ新宿、銀座、川崎…と、選択肢が一応はありますが)
投稿: ヴァランシエンヌ | 2010/02/04 22:00
ヴァランシエンヌさん、
やはり、コメント欄を通してお話させていただくきっかけともなった『ばら』の記事にコメントするのが筋!と思い、こちらに書かせて頂きますね。
>ドミンゴ
>何気にタジタジな感じでしたけど
私も思いました!
でも、一対一になると、そうでもなく、
フレミング一人にインタビューしている時は、
段々彼女ににじり寄っていって、
彼女の方が後ずさりしているのが面白かったです。
何かおじいちゃんで、異様に相手に顔を近づけて話す人がいますけど
(耳が遠くなるからかな?)
ドミンゴもそうなっちゃったのかしら、、?と、、(笑)
私のブログに頂いたコメントへのお返事にも書いたのですが、
もしよろしければ、こちらのブログ、
ブックマークに加えさせて頂けたらと思います。
よろしくお願いいたします。
これからも楽しみに読ませていただきますね。
投稿: Madokakip | 2010/02/08 15:16
Madokakipさん:
いらっしゃいませ!
こちらからお邪魔させて頂いたのに、ブックマークの件、お申し出頂いて恐縮です。もちろん異存はございませんので(笑)今後とも宜しくお願いします
(私もMadokakipさんのブログ、登録させて頂きました)
>>ドミンゴ
…(笑)(笑)(笑)
」(←以前読ませて頂いてます^^)ほどのパーソナルな遭遇ではないんですけど、2メートルぐらいの距離で、偶然お見かけしたことがあるんですよ。詳細は↓
実は私も、Madokakipさんの「メトの水飲み場でのランデブー
http://valencienne.tea-nifty.com/brot/2009/04/200-9187.html
ちょうど、一年前のメトのガラコンの直前の頃、ベルリンでパルジファルに出演なさってたので、
その合間を縫ってコンサートにいらっしゃってたんだと思うんですけど、
その時は
「おじいちゃん」という感じは受けなかったのですが、先日のライブビューイングの時には
「一年で随分、おじいちゃんっぽくなっちゃったかも…」とも思いました。時の流れには、逆らえないのかもしれませんーー;
そんな感じで、素のお姿が垣間見える場面では、何気に老いを感じる瞬間があれども、
)をこなしていらっしゃるんですから、感服します。誰にでも出来ることではありませんものね。
舞台に指揮、合間にはああしてオペラ普及の為、自ら宣伝活動もなさったり、若手の育成にも力を入れたりと、超人的なハードスケジュール(そういえば、近々来日もなさるんでした
投稿: ヴァランシエンヌ | 2010/02/08 17:48
遅まきながら「ばら」の感想アップしたのでご挨拶に参りました。
グレアム、素晴らしかったですねぇ。私2回も行っちゃいましたよ(笑)
アレンも元気そうでよかったです。
ROHのファニナルはまるで化け物ですが(笑)、メトの衣装はまともでしたね。
>「私の声によく合っているのよ」というご意見には「ん???」
同感です(笑)
でも、それくらいの気持ち(思い込み?)で歌っているからこそ、なんですね。
フレミングの元帥夫人は仰る通りとても「わかりやす」く、そのわかりやすさのお陰で感動できたので、私的には満足です。
今回の「ばら」のDVD化は難しいのかもしれませんが、こんなに出来がいいんだから、なんとかならないかなぁなんて思っています♪
投稿: しま | 2010/02/14 19:23
しまさん:
リンクもありがとうございます(^^)
アレンのお陰で、しまさんはもとより、私までいいものが見られて良かったですよ。
感謝です(*^_^*)
>「ばら」のDVD化
フレミングの「ばら」のDVDが、既にデッカから出ているらしいんですよね。なので難しいかもしれない…ということらしいんですが、あれだけ完成度が高い舞台で、映像収録してあるんですから、何とかならないでしょうかね?
スーザンのオクタヴィアンは、やはり正規のCDかDVDで残しておくべきだと思いますし(^^♪
投稿: ヴァランシエンヌ | 2010/02/14 22:44