091009 今更ですが(^^; サロメ@ベルリン国立歌劇場
やれ仕事が忙しい(ちょっと落ち着きました…現在、9連休中♪)だとか、●十肩(^_^;)だとかで、すっかり昨年秋のベルリン&ちょっとだけイタリア旅行記は尻切れトンボになってしまってますが、記録しておきたい部分だけでも、また少しずつ書いていきます。
再開第一弾は、バビ・ヤール@コンツェルトハウス・ベルリンの翌日、昨年10月9日にリンデンで観た「サロメ」です。
…と言っても、実はこの日、半分以上…いえ、もしかしたら3分の2は眠っていたというていたらく(^_^;)
怒濤の8泊10日・ベルリン滞在最終日+バビ・ヤール鑑賞で、思い切り幸せ疲れしたせい+私が宿泊していたホテルは、旧東側エリアのU-Bahnの駅からすぐのホテルでしたが、この日から3日間、地下鉄の集中工事のために、その最寄りの
U-Bahnの駅が使えなくなり(^_^;)
終演後は一駅向こう側のS-Bahnの駅から、夜道を10分ほど歩いて帰らなくてはならない…という切迫感もあっ
て、落ち着けなかったのでした。
パル マでのヴェルレクも、微妙にうつらうつらする瞬間はあったのですが、完全に船漕ぎ状態、記憶がすっかり飛んでいる部分がはっきりしているのは、こ れまでの鑑賞経験中、初めてだと思います。そういうわけで、非常に「恥ずかしい」思い出の鑑賞体験となってしまいました。
そんな状態に陥ったのは、そういう理由もあることはあるのですが、しかし最大の理由はやはり「演奏がぬるかった(^_^;)」ということに尽きる…のでしょう。
(だから今まで書けなかった…というか、このまま放置してしまおうかとも思ったんですが^^;)
前日の「バビ・ヤール」での、鉈で大木をめりめり切り倒すようなシュターツカペレとは、まるで別物?!
このオケは時々「あ~~やっちゃった(^_^;)」的な演奏をすることがある…とは、以前書いたことがありますが、この夜はまさにその状態、悪く言えば
「手慣れた作品を、いかにもルーティンでやってます」的な感じがしたのです。
この晩の指揮はフィリップ・ジョルダン。若手の人気指揮者ですが、残念ながら私は彼の紡ぎ出すリズムと非常に相性が悪く、以前もここで聴いた「ボエーム」の時に、何となくリハーサル不足なんじゃないかな?と思ったことがありますが、この夜もそんな感じ。
好きの度合いで言えば、それこそ「バビ・ヤール」と同じぐらい大好きな「サロメ」なのに、流れがブチブチ切れるような感じ。こんな平坦に演奏されちゃあ・・;と、とても歯がゆく思いつつ、いつの間にか眠りの精がやってきて…という状態に陥ったのでした。
もう一つ、タイトルロールのEvelyn Herlitziusが…すんごい大声、なんですが、細やかなニュアンスが感じられません。
私は「サロメ」には非常に思い入れが強く(笑)もし、私がソプラノ歌手だったら、一番歌ってみたいのは、サロメの最後の長い長いモノローグなのです(ああ、書いちゃった^^;)
そのぐらい、好きな役です。女性だったら誰しもこういう「ダークな部分」は持ち合わせていると思うし、身も心も掻きむしられそうな衝動に駆られつつ、男性を欲する時もあるんですから(笑)
サロメには確かに、オケを突き破るだけの大声は必要ですけど、ずーっと叫んでいるだけでは(その体力には感服しましたけど^^;)、サロメのヨカナーンに対する小悪魔的誘惑から、女の本能むき出しの欲望へ変貌する過程も見えてこないし、欲しかったもの(=ヨカナーンのキス)を手に入れた時の、狂気に満ちた危険な歓喜の爆発も、相対的に薄まってしまう…と思うのです。
その辺の味付けが(大声によって)希薄になってしまったのは、とても残念でした。
4月に再演があり、そちらのタイトルロールは昨年3月の「ばらの騎士@リンデン」のマルシャリンで心酔した、アンゲラ・デノーケでしたから、彼女で聴きたかったなぁ(ToT)
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
そんなわけで、あまり良い印象の残らなかった演奏ですが、この6月をもって、リンデン=ベルリン国立歌劇場は3年間閉鎖して大改修工事を行うため、私が「この」劇場で観た最後の演目になりました。
私はリンデンには、深い思い入れがあります。
初めて行ったのは2004年7月。大論争を巻き起こした「ドン・カルロ」のプレミエ上演の最終日でした。凄まじいブーイングと拍手の応酬、演奏者もお客さんも真剣勝負、本場の、音楽界の先端を行く劇場の、入魂の上演とはこういうものか…!と、肌で感じた、素晴らしい演奏でした。
あの体験がなければ、その半年後にまた行こう…なんて酔狂なことは思わなかったでしょうし、そこで出会った素晴らしい?!年下の(笑)バス歌手を追いかけて(→注:この人のこと^^; 今年10月の新国フィガロ・タイトルロール。宜しくね♪)その後何度も、あの劇場に足を運ぶことはなかったと思います。
ネームバリューの低い、若手の歌手ばかり使うのは予算が少ないからだとか、変な演出(^^;が多くてケシカランとか(^_^;)何かと風当たりも多い劇場ですし、
個人的に嬉しかったことも悲しかったことも、腹が立ってしょーがなかったことも(^^;いっぱいありますが、そーいうことを含めて(笑)本当に私は、この劇場が大好きでした。
料金も良心的で、観光客のためではない、市民のための劇場。
そこに時折アウトサイダーとして混じって、素晴らしいオペラ鑑賞体験をさせてもらえたこの数年間を、心から嬉しく思うと同時に、気軽にこのエリアに足を運べる時代に生きている幸せに感謝しています。
閉鎖中の3年間は、仮小屋(笑)シラー劇場で、国立歌劇場としての演目が上演されます。新しいHPは→→→
さしあたって、年末には思い出深い演目の「魔笛」がありますが、リンデンおたくとしては一度はシラー劇場にも行っておかないと…な気分にさせてくれるには、じゅーぶんお釣りが来そう(笑)
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Salome
Oper von Richard Strauss
October 9th,2009 @ Staatsoper Berlin
Musikalische Leitung:Philippe Jordan
Inszenierung:Harry Kupfer
Herodes:Reiner Goldberg
Herodias:Daniela Denschlag
Salome:Evelyn Herlitzius
Jochanaan:Mark Doss
Narraboth:Stephan Ru"gamer
Page:Andrea Bo"nig
1. Jude:Peter-Ju"rgen Schmidt
2. Jude:Florian Hoffmann
3. Jude:Patrick Vogel
4. Jude:Peter Menzel
5. Jude:Bernd Zettisch
1. Nazarener:James Homann
2. Nazarener:Viktor Rud
1. Soldat:Arttu Kataja
2. Soldat:Dionysos Tsantinis
Cappadocier:Bernd Zettisch
Sklave:Borjana Mateewa
Staatskapelle Berlin
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コメント
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サロメはぬるかったんですね。 バビ・ヤールが熱すぎちゃった? たしかにSKBはメンバーがごっそり代わっているのかと思う時もあります。
リンデン改修期間、3年って長いですよね。 私はある理由があってあの劇場の音響が好きなのですが、バレンボイム先生はお気に召していないということをききました。
だからそこが変わってしまうといやだなと思っています。
>変な演出(^^;が多くてケシカラン
とこもいいんじゃないかと。 そういうとこも変わってほしくありません!
再開旅行記、続きをお待ちしてま~す。
投稿: galahad | 2010/04/27 22:02
galahadさん:
>バビ・ヤールが熱すぎちゃった?
はい(笑)
しかも3分の2以上寝ておきながら、悪口(笑)しか言ってないというのも、我ながらケシカラン気分でもあるんですが(^^;
まあ、当初バビヤールを聴き終えた翌日に帰ろうと思っていたんですが、やはり好きな演目ですから、せっかくだし一日余分に休みをくっつけてしまえ!ということにしたんです。
でもそれはそれで、良い選択だったと思います。
>リンデンの音響
硬いんですよね。私も好きなんですけど、某歌い手曰く「あんまり美味しくない^^;」らしいですよ。でもあの劇場のサイズ、ケシカランさ(笑)も含めて、それがリンデンらしさでもあると思いますからねぇ。
どんなふうに変わるのか、楽しみに待っていましょうね(^^♪
投稿: ヴァランシエンヌ | 2010/04/28 14:05