100601 影のない女@新国立劇場(2回目)
★★一回目の感想はこちら→→→
「残念!やっぱり開眼とまでは、行かなかったわ^^;」
というのが、正直な感想です。
私の体調の問題(前日夜更かししていたとか^^;)もあるのですが、1幕では眠気をこらえるのに必死。更には1度目に観た時には「わかりやすくて助かった」と感じた字幕が逆に、この物語(というか、台本)の荒唐無稽さを露わにしている感じさえ受け、終わった後は疲労困憊でした。
幕間では「影のない女」大好きレディのgalahadさんとお喋り。奇しくもgalahadさんも、私と同じく23日の公演を既にご覧になっていらっしゃるのですが、
「全体的に23日の演奏の方が良かったかしらね?!」
というのが、双方の結論でした。
部分的には涙腺を刺激する旋律が確かに存在し、23日同様に美しく、且つ強靱な声を聴かせてくれたバラクの妻、ステファニー・フリーデの熱演熱唱と、皇后のエミリー・マギーの立ち居振る舞いを含めた美しい舞台姿とリリカルな声には、深く感動しましたが、どこか消化不良な感じ。
ネットで色んな方の感想を読ませて頂いて気がついたのが、今回の演出は魔法ちっくな部分、つまり、ファンタジーとしての側面をバッサリ切ってしまった、そのことが不満だった…という意見が少なからず多いこと。
そしてこれは、たとえば18年前のバイエルン来日公演や、その前のハンブルク来日公演(=日本初演)を実際にご覧になった方や、元々この作品に深い造詣のある方、お詳しい方ほど、そういう感想を抱いていらっしゃるような気がしました。
言われてみればなるほど、その面をバッサリ切ってしまうと、安手のホームドラマ風になるのは否めないと思います。たとえばオーソドックスな演出の《魔笛》のように「これってファンタジーなのよ♪」と、無理矢理こじつけてしまうほうが、かえって理解しやすいのかもしれません。
しかし、どうもそれだけでは腑に落ちない。個々の歌手に凹凸があれども、上演のレベル自体は決して低くなかったと思う実演に接しても、この「何とも言えないもやもや感」 を払底できなかった最大の理由は:
「ファンタジーのヴェールを被せようが、演出家が《バラクの妻の妄想》と解釈しようが、この作品の根底にある《試練に打ち勝ち、真の愛をつかみ取る》だの、《夫婦愛バンザイ、子供バンザイ》という道徳的且つ観念的なテーマに対して、この大げさな音楽のギャップが、どうにも居心地が悪い」
ということに尽きるのです。私にとっては。
(同じような理由で《フィデリオ》も、どうにもなじめない作品の一つ。道徳観念に欠如している故?夫婦愛をテーマにした作品は、鬼門なのね)
シュトラウスの大げさな音楽が決して嫌いではない、寧ろ大音量のオケを聴くのは大好きですし、ハッピーエンドだってキライではない(笑)んですけど、
勧善懲悪、且つあけすけの夫婦礼賛では、スパイスが足りないような気がして。
「ばら」にしろ、「アラベラ」「アリアドネ」だって最後はハッピーエンドですけど、そこには微かな苦みが効いているハッピーエンド。だからこそ、あのシュ トラウスの官能的サウンドと合致して、相乗効果を得るのではないかと思うのです。
その上
「所詮オペラなんだし、歌詞や設定に深い意味はないんだから、余計なことは考えずに音楽の美しさに耳を傾け、極上のシュトラウスサウンドに身を浸せば、おのずとわかるわよ」
というほど、親しみやすい音楽ではない。これだけメッセージ性が高い音楽だと、何も考えずに感じるだけ…という選択は、非常に困難だと思います。つまり「感性<理性」というか、本能で聴くよりも、頭で聴くタイプの音楽ではないかと。
上演回数が少ないのは、演奏自体が難しいことに加えて、あんがいその辺りにも理由があるんじゃないのかな…と感じました。
一回目の「やっぱり素晴らしい、シュトラウスの音楽って♪」という感想は嘘ではないし、では二回観たから、いいイメージが悪くなったんじゃないの?!がっかりだね…というわけではないのです。
適正検査を受けて、いったんは陽性反応を示しそうになったけれども、結果はやっぱり陰性だったね…そういう感じでしょうか。
二回足を運んで、それがはっきりわかったことは、決して無駄ではないと思います。違う実演に接する機会、違うCDやDVDに当たれば、その時には感じ方が変わるかもしれませんけど。
そうは言っても、フリーデ、マギーという、ステキなソプラノさん達を二回堪能できたことは、何者にも代え難い喜びでした。特にフリーデは、いろいろな方の感想を読むと、ほぼ満場一致で、今回のベストの歌い手さんではないでしょうか。
一人で歌うところは声量たっぷりで熱唱しますが、アンサンブルで合わせるところでは、決して自分一人だけ目立とうとせず、きちんとコントロールしているところにも好感が持てました。
この人のイゾルデ(レパートリーに入れているのかな?)を是非、聴いてみたいです
♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:
《影のない女》@新国立劇場 2010年6月1日 3F2列目左サイドにて鑑賞
* 2009/2010シーズン
* 2009/2010 Season Opera
[New
Production]
Richard Strauss:Die Frau ohne Schatten
リヒャルト・シュトラウス/全3幕
【ドイツ語上演/字幕付】
《スタッフ》
【指 揮】エーリッヒ・ヴェヒター
【演出・美術・衣裳・照明】ドニ・クリエフ
【企 画】若杉 弘
【芸術監督代行】尾高忠明
【主 催】新国立劇場
(指 揮)
エーリッヒ・ヴェヒター
(演出・美術・衣裳・照明)
ドニ・クリエフ
《キャスト》
【皇帝】ミヒャエル・バーバ
【皇后】エミリー・マギー
【乳母】ジェーン・ヘンシェル
【霊界の使者】平野 和
【宮殿の門衛】平井香織
【鷹
の声】大隅智佳子
【バラク】ラルフ・ルーカス
【バ
ラクの妻】ステファニー・フリーデ
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団
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コメント
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私このオペラ大好きなんですけど(といまさらまた言わんでも)、実は最初に聴いたときから観客が物語から直接うける印象はたぶんよくないのではないかと思っているんです。 自分自身がドメスティックな感覚を持っている人間ではないので、居心地の悪さというのは感じます。 バイエルンのプロダクションはとてもファンタジーだったのであまりそういうところは気にならなかったのですが…。
自分でガイドを書いている時も極力その点には気をつけていたつもりです。
音楽はやっぱり大好きだし、今回の演奏もよかったと思いますが、ホームドラマが敗因でした。
フリーデさん、イゾルデもレパートリーに入ってましたよ!
いつか聴きたいですよね。
投稿: galahad | 2010/06/04 21:50
galahadさん:
今回は一緒に遊んで頂いて+丁寧なガイドもありがとうございました楽しかったです^^
実は一回目の鑑賞の後、galahadさんが演出の「ちちんぷいぷい」的なところがない…と仰っているのを読ませて頂いて
「それって、そんなに重要なことかなぁ???」と微妙にいぶかしく(笑)思っていたんですよ
でも、魔法もこの作品の重要なファクターの一つではあるんですよね。
マリインスキーの演出は、どんな感じになるのか楽しみですね
>観客が物語から直接うける印象はたぶんよくないのではないか
はい。まんまとそのワナにひっかかってます
これはまた、改めて書いてみようかと思っていますが、私は元々音楽的な素養が皆無のせいか、オペラに対して物語性をけっこう重要視するタイプの聴き手だと思いました。
上で一例に挙げた「フィデリオ」以外にも、筋書きがダメ(一般的にダメというわけではなく、私にとってという意味です)で、そのオペラそのものが苦手…という作品が、いくつかありますし(笑)
>フリーデさん、イゾルデもレパートリーに入ってましたよ!
わーい♪ もしも新装リンデンで歌ってくれちゃうなんていう時には、一緒に追っかけしましょう
投稿: ヴァランシエンヌ | 2010/06/04 23:01