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101005 R.シュトラウス アラベッラ@新国立劇場(2回目)

Ko_20002512_chirashi ★一回目(初日)の感想は⇒⇒⇒

初日はC席4階、今回はS右サイド一階前方だったんですが、一階席に座るのは本当に久しぶり。新国では3年前の「カルメン」最終日以来じゃん!!ということに気がつきました(笑)

やっぱり近くの席で観ると、感動が深まります 現金ですが「ああ、値段って正直かもぉ…」と、思いました
やはりこの作品、秀逸です。大好き!!2回観られて幸せです

本当はもう少し間隔を開けて鑑賞した方が良かったんでしょうけど、後の日程になると、フィガロと連チャンになりますから、それを避けて2回続けての鑑賞となりました。

平日マチネということもあったのでしょうが、初日よりも空いてましたし、特に一階は年齢層が高かった…

席のせいなのか、私の慣れの問題なのか、結論から言うと「今回は当たり」でした。演奏者も、いい意味で力が抜けてきたというか、初日はなんだか借り物のような感じがしなくもなかったのですが、昨日はよくまとまっていたと思います。

やっぱり音も熱気もダイレクトに感じられ、歌手の表情も良く見える前の方での鑑賞は、何物にも代えがたい贅沢だわ…と思いました。
いいものを観た、聴いた…という満足感でいっぱい、足取りも軽く、可能ならもう一度観たい!!と思いつつ、気持ち良く帰路につくことができました。

(以下、内容に触れる部分がありますので、観劇予定がおありになり、その点が気になる方は公演をご覧になった後で、目を通して下さいませ)

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

さて今回「前回、遠目肉眼で観てケチ付けた^^;新国肝入りのお衣装の細部を、一階前方席から双眼鏡を使ってガン見すること」
が最大の私の目的だったと言っても過言ではないのですが、はい、サテンにシルク、カシミヤ、毛皮…高級感溢れる生地たちでございました。
デザインの好き嫌いはともかく、衣装、布フェチの人は、この舞台、一階の近くから観ると面白いです。そして可能なら、双眼鏡で細部を観てみて下さい

実は衣装だけではなく、小物も凝っているということに気がつきました。初日の感想で「マンドリカがいかにも成金っぽくて…」といったニュアンスを目にしていて「いやー、立ち居振る舞い的には、そんな風に感じなかったけど…」と、微妙にいぶかしく(笑)思ってたんです(^^;

Arabella02 しかし、新国サイトの舞台写真ではよくわかりませんが、近くで観るとマンドリカはけっこう、光り物(笑)を身につけているんです 
金のジャラジャラしたネックレスや、最初に出てきた時、身につけているえり巻(笑)はキツネのファーだったり、
2幕以降の(これだけは遠目で観た時から、洗練されているわーと感心した)スーツ姿での腹巻⇒サッシュはなんと豹柄、その下のベルトもキンキラキン…って感じ

しかも、マフラー?(スーツの襟に添わせてまとっているイロモノの布…正式名称は何?)は、遠目で観た時には、単に花柄プリント?色が少し入っているけど…程度にしかみえなかったんですが、これがすんごい、キンキラキンのスパンコールが、びーっしり!!!

…うん、確かに成金っぽい(笑) 私は個人的に、これが一番ツボでした。

そしてその成金衣装を身に纏った、マンドリカを歌ったトーマス・ヨハネス・マイヤー、彼は近くで聴いた方が、絶対に良い◎と思います。昨日は彼が、一番良かったです。

実は去年「ヴォツェック」で3階バルコニーから聴いた時や、今回4階で聴いた時に、表現は上手だけど、細かいパッセージがあまり聴こえなかったところがあって(1幕の、ヴァルトナー伯爵との場面など)その辺りがちょっと不満だったんですが、
昨日は迫力十分、声量が足りないと思うことはありませんでしたし、感情表現や演技も細やか、双眼鏡で覗いても耐えうるマスクに、成金お衣装が、嫌みなく良く似合っていて、思わず惚れそうになりました 

マンドリカってけっこう、野性味溢れ豪快なフリを装いながら、ウジウジして(笑)
アラベラとケンカした後も「もう出て行く」と言いながら、最後までウジウジ自分を責めつつ、居残っているじゃないですか。
男として、もしかしたらあまり器の大きな人ではないのかもしれませんが、人間誰しも弱い所があるんですもの。そんな葛藤感を、上手に演じていたと思います。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

私にとってこの作品は、ズデンカの身体を張った捨て身の行動が何よりも心を打ち、最初に観たメトの映像から、ずっと私の中では「ズデンカLove」で、
主人公アラベラの、ある意味ちょっぴり打算的なイメージと、音楽だけは美しいけど、マンドリカとアラベラの、一見甘いお菓子系、ご都合主義的なラストがあまり好きではありませんでした。

アラベラは、ようやく見つけた、自分を委ねようと思った相手から、公衆の面前で罵倒され、究極の屈辱感を感じて、いったんは絶望します。
でも、色んな事を鑑みて、冷静になって、妥協して相手に歩み寄る…あのラストのコップの水の場面の直前は、彼女にとって「考える時間、心を落ち着かせる時間」として必要なのでしょう。

昨日のヨハネス・マイヤーの「成金で野卑だけど、ちょいかっこいい(笑)」マンドリカと、ミヒャエラ・カウネの細やかなで、少し物憂げな表情と仕草が秀逸だったアラベラのラストシーンは

自分たちがしてしまったことに対する後悔と自責の念はある、でもそれを、なんとかして二人で解決していきたいんだけど…
でも、相手は自分を許してくれるだろうか?
私は相手を許すことができるかしら?

という、心のキャッチボールのようなやり取りが、目の前で、まるで本当にボールが飛んでいるかのように見えた、感じた…

この作品のことは、自分なりによくわかっているつもりで、長年親しんできましたが、ラストシーンがこんなに心に響いて、涙腺がじわじわしたのは、初めてでした。
「大人の決断は少し苦いけど、そこには希望が見えるラスト」を、初めて自分の感覚として、受け入れることが出来た気がしました。

カウネは、特に初日は高音部がかなり苦しく、いっぱいいっぱい感が漂っていたような感じで、肝心の主役がこれでは…と、気がかりだったのですが、彼女も昨日の方が断然良かったと思います。
やっぱり高音部は苦しいし、長いモノローグでは、表現が多少冗長に感じられましたが、丁寧に心をこめて歌っているのが、表情を伴うとよく伝わってきました。歌手としてはかなりの美人さんで、立ち居振る舞いも美しいです。

シュトラウスの煌びやかで美しい旋律にふさわしい、ふくよかな声はもちろん必要ですが、オペラって決してそれだけではない。一流キャストのCDやDVDでは得られないない何かが、実演で得られることもある…
そんなことがあるから、一度聴いて好みではなかった…だからダメ…と、一刀両断するのは早計なのですね。

で、ケチ付けた(笑)アラベラのお衣装ですけど、ドレス単体として、お金がかかっていそうで美しい…とは思うのですが、やっぱり私はあの青いドレスのカッティングは好みではありません。
双眼鏡でしみじみ観てみましたが、やり方次第ではもっと良くなったんじゃないかな?という思いが、ますます強くなった感じ。

Arabella03 アラベラのいくつかの衣装で、一番私好みで、カウネに良く似合っていると思ったのは、一幕最後のモノローグで着ていた、シルクシフォン?のワンピース。ショートブーツとの相性も良かったと思います。
現代の感覚(というか、ドレスダウン傾向の私の感覚という方が正解かな^^;)だと、この衣装のまま舞踏会でも、そんなに違和感はなかったんじゃないかな…と思います。

オケも初日ほどの「無理やり感」が軽減され、こなれてきたと思います。完全ノーカットバージョンも、予め織り込み済み(ショルティ盤CD,ずっとかけていたので^^)だと、繋がりもスムーズに聴こえました。これは私の方の、慣れの問題も大きいでしょうね。

それから、昨日は本当に久しぶりの「おひとり様鑑賞」だったことも、感動を大きくした要因だったかもしれません。
ここんとこ、お友達や夫と一緒に行くことが増えてきて、それはとても楽しいし、幸せなことですけど、時には一人っきりで、作品や演奏者とじっくり向き合い、考える時間が私には必要なんだ、と強く感じました。

(幕間でコーヒーを飲んでいたら、年配の方に声をかけられて、知らない方とのお喋りも楽しみましたし^^;これも「おひとり様」ならではの楽しみでしょうね(笑))

でもキホン、この作品は「喜劇」です。お芝居としてその辺りがもう少し、自然な感じで出来れば、もっと良くなるんじゃないかな?と思います。

♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:♪:;;;:

アラベラ@新国立劇場

2010年10月5日 1階前方右サイドで鑑賞

【指揮】ウルフ・シルマー
【演出・美術・照明】フィリップ・アルロー
【衣装】森英恵

キャスト

【ヴァルトナー伯爵】妻屋秀和
【アデライデ】竹本節子
(記事では触れませんでしたが、お二人の雰囲気◎でした^^)

【アラベッラ】ミヒャエラ・カウネ
【ズデンカ】アグネーテ・ムンク・ラスムッセン
【マンドリカ】トーマス・ヨハネス・マイヤー
【マッテオ】オリヴァー・リンゲルハーン
【エレメル伯爵】望月哲也
【ドミニク伯爵】萩原 潤
【ラモラル伯爵】初鹿野 剛
【フィアッカミッリ】天羽明惠
【カルタ占い】与田朝子

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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実演鑑賞記」カテゴリの記事

コメント

アラベラですか・・・。

一応シュトラウス大好き人間ではありますが、何故か???「アラベラ」はまともに聴いたことがありません。縁が無いというか???(汗)

今回の公演は森さんが新聞に載っていたので知った程度ですが、ヴァランシエンヌさんの熱のこもった投稿を拝見したら興味が湧いてきました。

新国ではアリアドネを見たことがあるだけで、全体の公演のレベルも想像つきませんが、機会があったらまた行ってみたいですね。

やはり日を追って演奏も良くなっていくんですね。 お衣装の詳細もありがとうございました。 お金がかかっているのは間違いない!? 綺麗な舞台はやはり近くで観るのがいいですよね。私も昨日歌舞伎を近くで観てそう思いました。 ほんとにぜいたくでいい気分になります。 好きな演目であればなおさらです。

2回目、とても楽しめたようで良かったですね~。
私も、今回の演出は、アラベラとマンドリカが良いと思います。特にフィナーレはけっこうジーンと来ました。
マンドリカのマイヤー氏はいいですよね。おっしゃるように、一見豪快そうですが、実はウジウジしている所がマンドリカの表現としてはいい感じだと思います。
これから「フィガロ」楽しみですね。私も、仕事が早く終わる可能性が出てきたので、後半だけ見られるかも知れません。また、レビューを楽しみにしております。

ヴァラリンさん 詳細なレポありがとうございます。

確かに座席の良し悪しで評価も左右されますよね。私もできるだけ近くで見たいんですが、そうばかりも言ってられなくて(笑)

ドレスのカッティングですが、舞台衣装とコレクションなどの服の違いがあるんじゃないかと・・つまり、ああいうデザイナーの方は、普段は理想的なプロポーションのモデルがキチンと着こなしてくれるので、体型に考慮するとか、その人がよく見えるように考えて作るとかする必要がなくて、結果、モデルのようなプロポーションの人以外が着ると、あれれ?・・となっちゃうんじゃないかと。
デザイン自体はよくあるというか、特に奇抜なものではないので、そんな事を思ったりしました。当日ディテールにも注目して拝見したいと思います。

ユキタロウさん:

ご訪問、ありがとうございます。
あれもこれも書いておきたい…と思うと、ついついまとまりなく、長々と書いてしまうのが欠点ですが、
そう仰って頂くと、書き手冥利に尽きます

新国の上演レベルですが、まあ、色々アラを探せばきりがないですが
・オペラ専用のホール
・海外の引っ越し公演のお値段と比べると安価
・ソリストも(超売れっ子歌手ではなくとも)それなりに実力のある歌手を使ってくれる
・合唱団のレベルはとても高い
などの点においては、私は満足しています。

私もアリアドネも、大好きです(^^) 新国で「影のない女」を上演してくれたお陰で、シュトラウス&ホフマンスタールコンビの作品で、まだ実演を観たことがないのは「アリアドネ」だけになりましたから、次回は是非、期待したいです(^^)

またいつでもお立ち寄り下さいね。嬉しいコメントありがとうございました!

galahadさん:

galahadさんからのミッションを敢行するべく、頑張ってみました(笑)
もしテレビ放送があれば、かなり綺麗に見える可能性大だと思います。

>近くで

そーなんですよねぇ。まあ、演奏の出来不出来もあるので一概には言えないんですが
「影のない女」も2回のうち1度は近くから観ていたら、感想が違ったかも…
あのバラクの妻を歌っていた、ステファニー・フリーデの声を近くで堪能したかったなぁ…と、ちょっと後悔してます。

回数も行きたいけど、やはりここぞ!という時にはケチらずに…の精神が大切かも。。。

wagnerianchanさん:

いらっしゃいませ!!

>特にフィナーレはけっこうジーンと来ました。

ズデンカに焦点を当てた演出で~~という触れ込み(笑)だったので、その点を大いに期待していたんですが、フィナーレは本当に、二人の心理が丁寧に表現されていましたね。
アラベラが水を持って部屋から出てきて、行こうかしら…どうしようかしら…と迷っている間の、マンドリカの落ち着きのなさったら(笑)

あのあたりの二人の葛藤は、音だけではなかなか伝わりにくい…やはり劇場で、歌手の仕草や表情がプラスされることによって、理解しやすくなるかもしれません。
今回は本当に、二人とも適切な演技だったと思います。

>「フィガロ」

うわ~~~~~~っ、ありがとうございます!!!
もう、後半だけでもなんでも、ええ、一部だけでも観て頂ければ、本望でございます(笑)

straycatさん:

>私もできるだけ近くで見たいんですが、そうばかりも言ってられなくて(笑)

全くです(笑)
私も上に書いたように、新国では3年ぶりの1階席でしたから
フィガロは4回のうち,2回は1階にしてありますから、毎回比べちゃお(^^

>舞台衣装とコレクションなどの服の違いがあるんじゃないかと・・

それはあると思います。デザイナーにも、得意分野ってありますもんね。
たとえば、ROHの来日公演「マノン」の衣装は、パリのランジェリーデザイナーのシャンタル・トーマスでしたが、実際に観てはいないので写真だけの印象ですが;

あの(産後太りからなかなか戻らない)ふくよかなネトレプコの体型を、非常に綺麗に見せていた…と思います。無駄がないと申しましょうか。
ああいうのが、私好みなんです(笑)

でも、ディテールはやはり凝ってますし、可能なら双眼鏡で是非、ガン見(笑)して下さい^^
straycatさんの感想も、楽しみにしてます(^^/

はじめまして

 時々おじゃましています。
 私も二日目見ました。

 >心のキャッチボールのようなやり取りが、目の前で、まるで本当にボールが飛んでいるかのように見えた、感じた…

 の表現に反応してついコメントしてしまいました。まったく同感です。第3幕は天井桟敷でもそのキャッチ・ボールが見えました。ほんと、素晴らしかったと思います。
 私もかなり涙腺じわじわきました。50過ぎのオジサンが恥ずかしかったです。

 またおじゃまするかもしれません。
 
  

コバブーさん:

はじめまして!嬉しいコメントありがとうございます

映像で観ていても、今までああいう雰囲気は感じられませんでした。
やはり、劇場という特殊空間の中でのみ、味わえる感覚かもしれませんね。

>50過ぎのオジサンが恥ずかしかったです。

いえ!!決して恥ずかしくないですっ!
1回目(初日)に同行したわが夫も、恐らくコバブーさんと同年代ですが
(あの日はそのぐらいの年代の男性が4階席の大半を占めていました…「神々の黄昏」「影のない女」の時も感じましたが、やっぱりドイツオペラはミドルエイジの男性に人気があるんでしょうね^^;)
ああだこうだと文句が多くて(笑)

確かにあの日は、低調気味ではありましたけど、え~~そんなに言わなくても(・・;
と、多少引いてしまいましたから(笑)
コバブーさんのように、素直に感動できるかたは、素敵ですよ。

>またおじゃまするかもしれません。

はい!これから暫く、新国フィガロ一色になりますが(笑)
いつでもいらして下さい今後とも宜しくお願いします。

 もうオペラでめったに涙腺にくることはないんですけれど、今回はヤバかったです。
 おっしゃるとおりに、私もこのオペラ自分なりによくわかっているつもりだったんですけど、真の魅力をわからせてくれた演奏だったと思います。指揮・オケと歌手のアンサンブルのすばらしさでしょうね。

 フィガロは最終日に行く予定です。オススメのヴィノグラードフ、楽しみです。

>コバブーさん:

はい、私も最近は、オペラ観始めの頃に比べると、感動の度合いが少なくなってしまったなぁーー;と思ってたんですが、いい意味で、心地よい感動を得ることができて、嬉しかったです。

>フィガロは最終日

ありがとうございます(笑)
アラベラ同様、自分では「よくわかっているはず」のフィガロですが、なんと実演は今回が初めてなので(^^;
(よって、例の再演に再演を重ねた段ボール演出も、初見です)
アラベラに引き続き、フィガロでも新たな感動を得ることが出来れば、幸せですね

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