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101230 コジ・ファン・トゥッテ@シラー劇場(ベルリン国立歌劇場)

TVでも放送されたことがあるし、DVDにもなっていますし、今ではYoutubeでも見られる、ドイツの女性映画監督、ドリス・デーリエ女史の演出した、今でもリンデンでは人気の高い、名演出です。

年末ということもあり、かなり観光客が多かったように感じました。特に私たちの周囲は、イタリア人が多かったような。。。

ベルリン国立歌劇場に興味を持ち始めた頃から「いつかリンデンで、この演出を見てみたい」というのが、長年の私の夢でした。
残念ながら本家リンデン(国立歌劇場)は、現在修復作業中の為、仮小屋(笑)のシラー劇場での上演ですが、それでも充分、満足できました。夢が一つ叶って、幸せです

DVDの感想は、こちら⇒⇒⇒

さて上演前に、劇場係員の方が出てきて何やら説明。

当初予定されていた、フェランド役のJeremy Ovendenが風邪を引いて声が出なくなったので、彼は演技だけして、歌は急きょベルリンドイツオペラからレンタルしてきたGregory Warrenという、若いテノールがウラで楽譜と首っ引きになりながら歌うことに。

こういうケース、時々耳にしますけど、実際の場面に当たったのは今回がお初。これはこれで、貴重な体験だったのですが、1月2日にはやはり回復しないオーヴェンデン(でいいのかな?)に代わって、パヴォル・ブレスリクが代役に立つのを知って、がぁぁぁぁぁ…・ん。。。

…1月2日は、DOBのフィガロとシラーの「コジ」が重なっていて、迷った挙句DOBを選んだのに、ああ、2日も「コジ」にしておけば、ブレスリクも久々に聴けたのに。。。これだけが今回の鑑賞旅行で、唯一残念だった点です。

ま、そうは言っても今回のキャストのお目当ては、もちろん(笑)
グリエルモ役のハンノ・ミュラー=ブラッハマン(Hanno Muller-Brachmann)

この2日前に見た「魔笛」のパパゲーノでも、アドリブを交えて完璧に歌い、演じてましたが、この夜は更に素晴らしかった。DVDの頃には、まだ声も歌も硬くて、少し窮屈な感じも受けましたけど、さすがに歌いこんでいるだけあって、今では余裕の表現

演技達者なので、いかにも歌い崩していい加減に、ナンパな感じで歌うように見えてしまう時もあるんですが(パンツ一丁になる場面もあるしね^^;)
実は歌はとてもストイック。

特にこの夜は、テノールが急きょ登板で、あまりまだ歌に慣れていない歌手とのアンサンブルを、さりげなくリードするのも◎。でも出過ぎるわけじゃないんですよね。
映像収録された2002年には32歳だった彼も、今は40歳。この演出では何度も歌っているでしょうし、名人芸の域に達しているかも(笑)

今回、パパゲーノとグリエルモ、二つの役を実際に聴いてみて、今、モーツァルトのこういう役を歌うバリトンでは、もしかしたらNo.1の実力があるんじゃないかと思いました。やっぱり、彼のフィガロも聴いてみたいわ。

しかし、実は最も驚いたのが、アルフォンゾ役のアンドレアス・バウアー(Andreas Bauer)。リンデンの専属若手バスですから(当然?!)名前だけは知っていたんですが、実際に見聞きするのは今回が初めて。

実はチケットを買った10月下旬の段階では、アルフォンゾは映像と同じ(そして今年6月新国立劇場にも久々に登場する予定の)ローマン・トレーケルでした。

トレーケルも好きですから(笑)楽しみにしていたのですが、いつの間にかバウアーに代わっていたので、

「んー、ま、いっか。ハンノさんが聴ければ」

と、実はあまり期待していなかったの・に。

…う、うまい!この人!
しかもいい声!いい男!(←また^^;)

いや~~ん、ヴァラリン、浮気しちゃうわ~(#^.^#←ほっといて下さい)

映像のトレーケルは、この役にはちょっと声が高すぎるのと、シニカルを通り越して、陰険ですらある(笑)のに対して、
バウアーはもっと深い声で音域的にもぴったり、しかも、トレーケルよりもガタイがいいので、あのスーツ姿はよりよく似合うし、わけしりオトコっぽいイメージは残しつつも、こちらの方が、人間味が感じられます(笑)

…さすが、リンデン男子高品質低音組(←kametaroさん命名)所属、ほんっと~~~に、侮れません

とはいえ、実はこの作品の中で、一番好きなのはテノールのフェランド役。なんとなく女性蔑視的な側面が垣間見えるグリエルモよりも、こちらのほうが誠実な感じがしますし(^^;
フェランドとフィオルディリージの2重唱は、モーツァルトのオペラの中でも、私がとりわけ好きな2重唱であります。

↓DVDになっている、熱唱フィオルディリージが心を打つ?!ドロテア・レッシュマン&誠実フェランド・ウェルナー・ギューラの2重唱

なので、この役が私にとってはかなり重要なのですが。。。
裏で歌っていたGregory Warrenは、急にこんな場面で歌うことは、もちろんとっても大変ですし、頑張って歌っていたと思います。

最後のカーテンコールでは、体調不良を押して、演技ですごく頑張っていたオーヴェンデン

(彼はなんとなく、風貌がDVDのギューラーに似たような感じの、いわゆる「イケメン」ではないのですが、人の良さそうな感じだったので、この演出には良く合っていたと思います)

と並んで大喝采を受けてましたし、もちろん、私もしっかり拍手を送りました。

でももし、元のオーヴェンデン若しくはブレスリクが歌ってくれていれば…もっと感動の度合いが増した可能性があるかもなぁ…と思うと、ちょっと残念。

女性陣は。。。
デスピーナのAdriane Queirozは、2日前の「魔笛」昼公演の清純パミーナよりも、こういうはすっぱ的な役柄の方が、見た目も声もぴったり。この演出では、姉妹の朝ご飯のココアをくすねる代わりに、キッチンドランカー的にお酒をぐびっとやるんですけど、も~~そこのところ、似合いすぎです(^^;

彼女も(プレミエのメンバーではないけれど)この演出には何度も出ているので、堂に入ってます。歌の方もばっちり、女性陣では一番安定してました。

ドラベッラのRachel Frenkelは、まだ若いけど艶のある声がとても魅力的。見た目もナイスバデー(笑)で美人ですし、奔放な妹として、適役だったと思います。
この演出では、恋人達出陣の前にフェランドが彼女に贈るロケットの代わりに、彼女の胸元をはだけさせて、身につけているブラジャーにフェランドが「F」とマジックで書くんですけど(^^;
そこんところを双眼鏡でじーっと覗いていた私(←すみません)を、隣のオヤジがニヤニヤしながら

「うらやましい…わしにも貸して欲しい

的な目で見ていたのが、可笑しかったです

貞淑で堅物、でも揺れる心を抑えるのは、あまりにも切ないわ。。。的な、いかにも私好み(笑)の性格設定のフィオルディリージ。だ・け・ど、歌は容赦なく難しい。
加えてこの演出では、通常のお嬢様的フィオルディリージの性格から一歩発展して、コメディエンヌとしての側面まで求められますから、歌う方は大変だと思います。

Maria Bengtssonは、アンサンブルではよく合わせていたし、頑張っていたと思いますが、いかんせんアリア(しかも長いのよね^^;)になると、まだ表現力が浅い故?ちょっと冗長に感じられたのが惜しい。
見た目的には、黒いボブカットのカツラよりも、金髪の方がうんとお似合い(プロフの写真を観ると、金髪美人さんなのですね)でした。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

6 人しか出ないオペラで、アンサンブルオペラの極みとも言える作品。個々の歌手の力量に多少の凹凸はあれども、皆さん合わせるべきところでは、本当に息のあったところを聴かせてくれましたし、何よりもオケ!「コジ」のロマンティックな側面を余すところなく聴かせてくれました。

ああいうオケの息づかいは、やっぱりリンデンならではかも。
いえ、「だと」固く信じてます。劇場がシラーに変わっても、あの強固なアンサンブルには、なんの変わりもない!と思います。借り物じゃない、その土地に根付いているものです。

演出的には、DVDよりも多少簡略化した?という部分もあったりで、まあ、歌手によっても少し変わるのかもしれません。
あ、グリエルモがライトで照らしてくれるのは「アリ」でしたよん

それから、想像以上に「横に長い」舞台だなあと感じました。これは、シラー劇場の舞台が長いという意味ではなく(魔笛の時にはそう思わなかったですし)
映像で部分的にクローズアップされている時には、気がつかなかった…ということだと思います。

それと、せっかくこの演出を生で観るならば、思い切って一番前とか、せめて3列目ぐらいの「前の方」に座ると、より面白い!!と思います。
せり出し舞台の上で、思い切って歌手さん達が演技してくれますから、一体感が味わえること請け合いです私、11列目の端っこ…にしちゃいましたが、ちょっと残念でした(笑)

(もっと前の方に座っていたら、ハンノグリエルモ(笑)がライトで照らしてくれたかもしれないし

機会があれば、違うメンバーでも、もう一度観てみたいなぁ…と思います
(だったら1月2日に観とけば…ってことは抜きネ^^;)

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

Cosi fan tutte
Ossia la scuola degli amanti | So machen's alle oder Die Schule der Liebenden
Oper von Wolfgang Amadeus Mozart

Musikalische Leitung : Christopher Moulds
Inszenierung :Doris Dorrie
Buhnenbild und Kostume :Christian Sedelmayer
Chore : Eberhard Friedrich

Dorabella :Rachel Frenkel 
Fiordiligi : Maria Bengtsson
Despina : Adriane Queiroz
Guglielmo : Hanno Muller-Brachmann 

Ferrando : Jeremy Ovenden (演技のみ) | Gregory Warren(歌のみ)
Don Alfonso : Andreas Bauer

Staatskapelle Berlin
Staatsopernchor

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コメント

いいないいな~ 私がすごくうらやましがってるの、ヴァラリンさんはおわかりですよね~。 アンドレアス・バウアー、私も見ましたよ。 カルメンのスニガ歌ってました。 あの時ほかの人たちが(カターヤくん以外)かなり苦戦していたけど彼は上手かったです。 ルックスも良かったし。 
グリエルモの Donne mie la fate a tanti の時に懐中電灯で客席の女性を照らすのはありました? あそこがすごく好きなので、気になります。

galahadさん:

お待たせしました(笑)
はい、記事に追記しておきましたが、ライトの場面はばっちり!!ありましたよ。ほんと、もっと前の方の席にすればよかったワ

是非是非、今度カターヤグリエルモの際には、前の方に座って、ライトを照らしてもらって下さい!!

さすがgalahadさん、バウアーも聴いていらっしゃいましたか。スニガも良さそう

バウアーは2回聴きましたが、2回とも「パルジファル」のティトレル・・・
しっかり歌う人ということは覚えてますが、他にもっとインパクトのある人たちが多くて^^;
若手なのですね。
写真では南欧風イケメンでしたが、ティトレルだと年齢不詳でした。
あまり大柄な人ではないですよね。
まだおったか・・・ですね^^。

とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。

kametaroさん:

>バウアー
>ティトレル

だと、よほどのことがない限り、目立ちにくいかもしれませんね(^^;
けっこう大柄だと思いますよ~~(横にって意味じゃなくって、タテに(笑))
ブラッハマンよりかは、背が高かったと思いますし、そのブラッハマンも、決して小さい歌手ではないですしね。

旧東ドイツのイエナ生まれだそうです。

>まだおったか・・・ですね^^。

まさしく(笑)(笑)(笑)
これだから、リンデンから目が離せなくなるのです!!
(でもな~~テノール卒業生のブレスリクも聴きたかったなぁ…やっぱり

職務履歴書の書き方見本さん:

コメントありがとうございます。
またいつでも、いらして下さいね。

はじめまして!こんにちは。ベルリン在住ヴィオラ弾きのびよらと申します。

私も第2クリスマスに魔笛、そしてつい最近Cosi 観ました!
実は実は、私もハノのファンなんです。

2009年の魔笛でファンになりました。昨年12月の魔笛でもっと惚れてしまい、年末年始の第9には行けませんでしたが、1月半ばに劇場フロアで行われていたハノの講習会まで聴講し、アマゾンでCD(もちろんCosiのDVDも)を買い集め、彼の歌声に包まれながら家事をしております。

Cosiでは、グリエルモの照らす懐中電灯の光がまぶしく眼に入った瞬間、かなり熱い視線を送ってみたのですが、素通りされました・・・・・・。

ところで、彼のサイトによると、「お別れコンサート」なるものが!
アンサンブルからひょっとして抜けるのでは・・・!? と、どどーーーーんと落ち込みモードになっております。

ハノの事ばかりですみません。ヴィノグラードフさんのザラストロもむちゃくちゃ好きです。

ヴァランシエンヌさんのこのサイト、読み応えがありますね!すごく面白いです。
まだ初心者の新参者ですが、これから少しずつ読みます!
毎日の楽しみができました~~!

びよらさん:

はじめまして!!ベルリン在住者ならびにハンノさんファンの方からのコメント、すっごく嬉しいです
ありがとうございます。

そうそう、第九にも出ていらっしゃったので、彼はこの年末年始、大忙しでしたね!
でも魔笛とコジ…この2つが、一度の渡航で聴けたので、ホントにありがたかったです。
やっぱり、1月2日にも行けば良かったかな~~と、びよらさんのコメントを読みながら、ちらっと思ってしまいました(^^ゞ

>グリエルモの照らす懐中電灯の光がまぶしく眼に入った瞬間、かなり熱い視線を送ってみたのですが、素通りされました・・・・・・。

むむ、やはりそう簡単には行かないですか

もしも、彼がアンサンブルから抜けたとしても、年に数回はベルリンで歌うことがあると思いますよ。彼にとっても、縁が深い場所でしょうし。

魔笛の感想、もう少しお待ち下さいね。今週中にはなんとか、アップしたいと思ってます。

ハンノさん&ベルリン繋がりのことも含め、お喋り大歓迎ですので、またいつでもいらして下さいね。

今後とも宜しくお願いします

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