110102 フィガロの結婚@ベルリン・ドイツ・オペラ
★なんか、アップしたら写真が変な風にレイアウトされちゃいましたけど、直すのがめんどくさいし、クリックすれば拡大しますので、このままにしておきます。ごめんなさい。。。
何回かベルリンに行っておきながら、実はベルリン・ドイツ・オペラに行くのは、2004年年末に「マノン・レスコー」を見て以来、実に6年ぶり。
ちなみに新国で今年3月にかかる上演は、このプロダクションのレンタルだそうです。興味のある方はこちら→→→をどうぞ。
(あんまりいいことは書いてないですが。。。)
それはともかく、この最初の印象があまり良くなかった為、結果的にベルリン=リンデン=国立歌劇場を中心に訪問することになったんですが、意図的に避けていたわけではないのです。なんというか…タイミングが合わなかったのですよ。
(例えば2009年秋に行った時は、シュターツカペレの「バビ・ヤール」とDOBの「影のない女」が重なったりとか)
「重なり」は、また今回もありまして、12月30日と1月2日、全く同じ日にシラーでは「コジ・ファン・トゥッテ」を、DOBでは「フィガロの結婚」を、という感じ。
シラーの「コジ」に2回行こうか、「コジ」と「フィガロ」一回ずつにしようかと散々迷いました。
とりあえず、優先順位としては「コジ」の方が上でしたから、まず12月30日の「コジ」を確保。1月2日の分は、どちらもチケットに余裕がありそうでしたから、現地へ行ってから決めようと思って、出発前には用意しませんでした。
12月30日に「コジ」を見て、面白かったですから、もう一度観ようか…とも考えたんですが、
せっかく違う演目を、違う劇場でやるんだったら、なるべく色々観た方がいいかな?と思って(ヴィノグラドフが絡まないと、おりこうオペラファンになりますw)結局1月2日はDOBの「フィガロ」を選択。
チケットは31日にボックスオフィスで購入しました。現地で調達するのは、初めての経験でした(笑)
一応、ネットで残席状況を確認していて、1.Rang(日本風に言うと2階席)の後ろから2列目の隅っこの34ユーロ(!)の席を狙っていたのですが、あっさりゲット。
この値段ならば、多少面白くなくても、そんなに腹も立たないでしょうし(^_^;)
6年前に来たときにも思いましたけど、この劇場の(観客側の)設備は本当に優れていると思います。建物はモダンな感じで、「オペラハウス」的な雰囲気には乏しいですが、広いロビーにクローク。クロークは列ごとに、身なりを確認できる鏡まで設置されています。
各フロアのロビーも広い。ホワイエの軽食もお洒落で、しかもアップルジュースは、シラー劇場と同じもの(ドイツではよく見かける瓶入りのもの)なのに、シラーでは4ユーロ、DOBでは2ユーロなり。どういうことだ(^_^;)
ホワイエには立ちテーブルだけではなく、ソファもふんだんにあり、休憩時もラクチン。
劇場の座席の椅子も、疲れにくくてものすごく快適なのです。見え方も(双眼鏡を使えば)歌手の表情まできちんと見えますし、隅っこでも舞台全体が見きれることなく、よく見えます。
これで34ユーロ(!)なら、文句はありません。演奏が良ければ、本当に言うことない!!と思いました。
ロビーの雰囲気や劇場内部の設計など、どことなく新国に似ている気がしました。というか、新国はこのオペラハウスを、かなり参考にしたような感が。
でも広さ、快適さでは、圧倒的にDOBが上。そんなにたくさんのオペラハウスを渡り歩いているわけではありませんが、私がこれまでに行ったハウスの中で「最も観客に優しいオペラハウス」だと思います。
…とまあ、劇場内部のことをさんざん振っておいて、肝心の演奏はどうだったのよ?!ということなんですが…
6年前の「マノン・レスコー」の時も、あまりオケは上手ではないと思ったんですが、でもあれはイタリアオペラ、今回はフィガロ。フィガロと言えば、ドイツの劇場では核になるレパートリー。
数々の優れた録音もありますし、遠い過去のライブCDでは、日生劇場こけらおとしの来日公演(1962年)での、ベーム指揮の名演のCDも残ってるぐらいの実力のあるオケのはず。
いくらなんでも、今回は上手に演奏してくれるだろう…と期待していたのですが。。。
…正直なところ、唖然としました。これなら、10月の新国フィガロの時の、東フィルの方がうんと上手だと思いました。指揮もダルい感じだったんですが、各楽器もなんだかぱっとせず。
演出は、かのゲッツ・フリードリッヒが1978年(!)に出したもので、この夜が126回目の公演。
ええっ、今でもまだやってるの?!とビックリだったのですが、これは当たり◎
今観ると、かなり古式ゆかしきロココな味わいではありますが、人物の動かし方など、当時はさぞ斬新だったんだろうなあと思いました。
ここから
ビデオも観られます。
(その割には、どこがどうだったのか?と、はっきり思い出せない^^; 観たのは一番直近・まだ4日前なんだけどなぁ~~^^;)
しかし、いくら「当時は斬新だっただろうなあ、良い演出だし、30年も前にこれを出したフリードリッヒは、さすがだわね」とフリードリッヒの業績を称えたところで、やはり、そろそろ新しいものが必要とされているんじゃないかなぁ?
観光客として、ふらっと立ち寄って一度観るだけなら、これでもまだ充分に通じると思いますが、地元の人にとっては、それこそ
「僕は今32歳。赤ちゃんの頃から観ているけど、まだ同じなんだよ」
という感覚ではないでしょうか?
そう!観客の入りが…パルケット(一階席)はどの程度だったのか、はっきりわかりませんが、2階に関しては、おそらく3分の1ぐらいだったと思います。
実は私達が隅っこに座っていた34ユーロ(!)の、前から6列目(後ろから2列目)は、殆ど空席で…
それより前の列も、全部埋まっている席はありませんでしたし、恐らく3階席のチケットを持っていた人が、あいている場所を確認して、移動してきてやっと「ガラガラ」感がなくなったかな?と言う程度。
ヴァラリンも初めて、列はそのままで、位置だけ少し中央よりに移動しました。つまり、隅からそのあたりまで、私達夫婦以外は誰もいなかった、ということ。
もっと真ん中まで移動しようと思えばできたんですが、夫は「僕はここでいいよ」と隅のままでしたし、あまり離れてしまうのも、なんだったので…(^_^;)
それでも「前後左右に誰もいない状態」でしたもの。かしこまってきちんと座って…なんていう緊張感はゼロ、元々あまり圧迫感のない空間に、更に開放感が加わり…
ええ、思い切り眠ってしまった瞬間、ありましたわよ(^_^;)
歌手は、女性陣の圧勝。特に伯爵夫人を歌ったJacquelyn Wagnerは、若くてちょっとアンニュイな感じの伯爵夫人を好演。この古式ゆかしい演出によく合った伯爵夫人にふさわしい容姿で美しいですが、声も豊麗で、その上、歌はモダンスタイル。
新国で評判の良かったパパタナシュよりも、私は好感が持てました。
実はこの作品における伯爵夫人の旋律、特にかの有名な「手紙の二重唱」が、あまり好きではないのですが
(だから新国フィガロの時のレポに、伯爵夫人のことは殆ど書いてないでしょ…って、あれはフィガロがナニだったからでしょー、ってだけではなかったのですよ、実は(^_^;))
今回は退屈せずに聴けました。カーテンコールでの拍手も、一番大きかったです。
(お客さんは少ないけれども、やっぱり皆さん聴く「ツボ」は外してないんですよね。。。)
また機会があれば聴いてみたい、アラベラや、マルシャリンなどシュトラウス・ヒロインをも歌えるソプラノさんだと思いました。
ケルビーノのJana Kurucovaは、新国フィガロの時のゼーリンガーとタイプは違うけど、やっぱり少年にきちんと見える容姿で、お歌も上手。もうけ役、役得と言ってしまえばそれまでですが、演技の上でもキーパーソンですから、上手に超したことはないですものね。
スザンナのMartina Welschenbachは、とっても美人さん。最初は聴いていてかなり苦しいかも…と、ちょっとブルー気味だったんですが、後半は頑張ってました。私の大好きな「早くおいで、すばらしい喜びよ」は、初々しい若妻(キャッ)らしいトキメキが欲しいんですけど
(だって、伯爵を誘っている歌ではあるけど、ウラでフィガロが聴いているのをちゃんと知ってて。。。結果的にはフィガロに向かって歌っているんだもんね♪と思っているw)
ここ、とても良い感じ◎でした。
伯爵のSimon Paulyは、演技は良かった。歌の方も、表現の方向性は間違ってないと思うんですが、声にもう少し厚みがあると良かったかな。
…そんな感じで、終わってみればそれなりに楽しめたんですが、とにかく、あまりの空き具合と、モダンで妙に居心地の良い設備とのギャップに、なんともいえない複雑気分を味わいつつ、帰路についたのでありました。
本当に勿体ないです。あんなに立派な設備が整っているのに、宝の持ち腐れ…全然生かしきれてないんですもの。
(まあ、大晦日にパトリシア・チョーフィーが歌った「椿姫」なんかは、かなり盛況だったみたいですし、新演出の時はまた違うんでしょうけど。。。)
立て替え中の(ぜんっぜん、快適ではない^^;)シラー劇場=リンデンにも引き続き頑張って欲しいですが、DOBにも頑張って欲しい…と、心から思います。
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
Libretto von Lorenzo da Ponte
Uraufführung am 1. Mai 1786 in Wien
Premiere an der Deutschen Oper Berlin am 14. Dezember 1978
In italienischer Sprache mit deutschen Übertiteln
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コメント
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あれ?
ヴィノさんのザラストロは後まわしですか?
時間をさかのぼってのレポですね。
DOBは広々として仰るように快適ですが、新しい建物なのでリンデンのような趣きがなく、観客もカジュアルですよね。
ところでリンデンは外観はあのままにするのでしょうか?
内装は同じ雰囲気を残すような話は聞いたことがありますが・・・。
シラーは今ひとつのようですね^^;
投稿: kametaro07 | 2011/01/07 21:50
kametaroさん:
はい、ザラストロはきちんと記憶しているので、一番後回しです(笑)
というのは、今回のは先に書いておかないと、忘れてしまいそうだったんですよ。
>リンデンの外観
うーん、どうなんでしょうね?
外壁はきもーち、きれいに塗り直している感がありました。
もっとがっつり壊されているかと思ってたんですが、意外と?元型を留めていたので、外観はあのままなのかもしれません。
シラーは、また改めて書きますが劇場としては「まあ、こんなもん」なんですが、クロークとロビーが、ちょっと。。。なんですよね。
(しかも、お手洗いの数も全然少ないですしーー;)
あそこで聴くなら、2階席の方をオススメします。一階は閉そく感ありすぎ・・;
でも場所が変わっても、強力なアンサンブルは何も変わってないですよ。やっぱり、不自由だわーー;とは思いますが、あのアンサンブルを聞く為なら、多少の不自由はいとわないわ!と思わせるものは、健在ですので
投稿: ヴァランシエンヌ | 2011/01/07 22:06
ヴァラリンさん、おかえりなさい~
確かにホワイエのあたり、新国立に感じが似てますね。
なんと30年も同じ演出をやってるんですね、それじゃ年季の入ったファンは見に行こうという気も失せますね。(予算があまりまわせないのかしら?)
私は手紙の二重唱、大好き。素直な唱歌みたいじゃないですか。
そちらでもチョーフィが椿姫を歌ったんですね、2月の新国立行きたいですが、交通費もかかるし、厳選して見ざるを得ないので今回はパスです
投稿: straycat | 2011/01/10 10:39
straycatさん:
どもども。ただいまです~
>30年も
そーなんですよ。でも同じモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」は今シーズン新演出を出したので、フィガロもそろそろ新しいものに変わるのかもしれません。
>手紙の二重唱
ソプラノ二重唱のお手本中のお手本ですもんね
♪
私も「好きじゃない」というと言い過ぎなのかもしれませんが、ソプラノ二重唱なら「コジ」の姉妹の方が好きです(笑)
チョーフィーの椿姫、そうなんですよね~~新国でも歌うんだよねぇ、だったらここで聴いておいた方が、割安だよねぇ…とは思ったんですが、
あまり椿姫という作品に思い入れがないもんですから(こういうことばっかり言っているから、考え方が偏るのです)
パスしちゃいました。
8日間の滞在で、コンサートとオペラ合わせて4回の鑑賞でしたが、今回はこれ以上盛り込むと、体力的にきつかったと思います。
夜コンサートに行くって、その時間だけが拘束されるわけじゃなくって、前後数時間も絞られてしまいますし、行動範囲が限られてしまいますからね。
色々観たい、聴きたいのはヤマヤマですが、まさに
>厳選して見ざるを得ない
のは、いつでも、どこででも同じですね
投稿: ヴァランシエンヌ | 2011/01/10 22:00