ドン・カルロ@Metライブビューイング
ベルリンでの鑑賞記は後回しにして(笑) 今日はこっち。
とても楽しめました。
今回の映像は、アラーニャのカルロに尽きる!!と思います
「ドン・カルロ」はカルロがタイトルロールですが、役としての存在感が薄く、低音パート重視で語られることも多いと思いますが、私はそれでは、やはり片手落ちだと思います。
でも今日のアラーニャのようなカルロだと、物語がカルロを軸に展開している…というのが、よくわかります。幕間のインタビューで「若々しさを表現するのがだんだん難しくなってきているけど…」と話してましたが、どうしてどうして。
一幕(ホントは私、この幕はいらん!!と思っているんですが。。。だって長くなるし)のエリザベッタとの出会いの場面なんて、ほんとにティーンエイジャーのような無邪気な振る舞いですし、その後の落胆や、かなりクレイジーに走り気味になる瞬間などを通して、終始一貫、若々しい情熱が感じられます。華もありますし。
そうそう、そういえばそのインタビューの中で、彼が最後に「フランスの皆さんに一言いい?」と断って、何やらフランス語で話したあと、最後に「アリガトウ」と言ったような気がしたんですけど
(夫とも思わず顔を見合わせて「今《アリガトウ》って言ったよね?!」と確認したのですが^^;)
同じように聴こえたかた、いらっしゃいますー?(笑)
⇒⇒⇒ けっこう、あっちこっちの映画館でどよめき(笑)が起こっているそうなので、追記しておきますネ。コメント欄に頂いた情報によると、
《アラーニャはフランス語で"A bien tout!"(じゃあ、又!)って言った》
のだそうです。これから行かれる方、注意して聴いてみて下さいね!
(コメントをお寄せ下さったマドモワゼルさん、ありがとうございました)
それから(あまり評判は良くないようですが)エリザベッタのポプラフスカヤ、役作りが丁寧で、私には好感が持てました。歌の方は、けっこう危なっかしいところもありましたが、それが逆にこの役の危うさ、脆弱さとうまくマッチしていると思いました。
アラーニャ同様、一幕ではティーンエイジャーらしい娘らしさから、突然今、目の前にいる愛しい人の父親に嫁がなければならなくなったやるせなさ、場面場面で起こる心の葛藤や最終幕のカルロとの別れの場面に至るまで、彼女は「成長」しているんだな…というのが、わかりやすかったです。所作もちゃんと「王妃」の振舞いでしたし。
フルラネットのフィリッポは、野卑で「ああもう、こんな王様、傍にいたらエリザベッタじゃなくてもイヤだよ…^^;」と思わせるところが名人(笑)
実在のフィリッポ二世は、仕事があまり出来なかったにもかかわらず、仕事大好き人間だったとかいう話を聞いたことがありますが(上司にしたくない^^;)
今日のフルラネットは、その辺をちゃんと鑑みて?!こまかく書類のチェックをしたりとか(^^;
フィリッポ二世は、壮年期のバス歌手が歌うと「まだ枯れてないフィリッポ」というか、息子のカルロに対して、男としてのフィジカルな面での嫉妬心が見え隠れするような感じがして、そこが面白かったりするんですが、本来は今のフルラネットぐらいの歌手が歌うと、ちょうどいいのかな。容姿的にもドンピシャでしょうね
とにかく「ものすごくイヤな王様」と心底思ったので、まんまと彼の表現の術中に、はまった…のかもしれません(笑)
しかし、過去のカラヤン指揮の映像などで見聞きするフルラネットは、あまり鳴る声ではないのかな?という感じを受けていたのですが、今日のキャストの中では、ひときわ大きな声で、よく響く声だなぁと思いました。
もっとびっくりしたのが、彼の地声の低さと美しさ!!思わずうっとり~
キーンリサイドのロドリーゴは、彼の演技は、やっぱりイギリス的だなぁと思うのですがインタビューでのロドリーゴという役に対する彼の解釈が理にかなっているわ~~と、納得。
それから修道士役のAlexei Tanovitsky!!聴いた瞬間「おおっ、ロシアの声」とピンと来たんですが、やっぱりロシア人でしたか(笑)
はい、素晴らしい声で、うっとり~~
特に最後は場面が引き締まった、と思います。
細かいことを言い出すと、きりがないんですが、総じてとても楽しめましたし、行こうかどうしようか迷っている方は、是非是非。
もしDVDになったら、買ってもいい!!と思います
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
Roberto Alagna (Don Carlo)
Marina Poplavskaya (Elisabeth of Valois)
Simon Keenlyside (Rodrigo)
Ferruccio Furlanetto (Philip II)
Anna Smirnova (The Princess of Eboli)
Eric Halfvarson (The Grand Inquisitor)
Alexei Tanovitsky (A Friar)
Layla Claire (Tebaldo)
Eduardo Valdes (The Count of Lerma)
Jennifer Check (A Celestial Voice)
Tommaso Matelli (Priest Inquisitor)
Anne Dyas (The Countess of Aremberg)
Donovan Singletary, Keith Harris, Christopher Schaldenbrand, Joshua Benaim, Tyler Simpson, Eric Jordan (Flemish Deputies)
Conductor: Yannick Nezet-Seguin
Production: Nicholas Hytner
Set & Costume design: Bob Crowley
Lighting design: Mark Henderson
« 110102 フィガロの結婚@ベルリン・ドイツ・オペラ | トップページ | 101230 コジ・ファン・トゥッテ@シラー劇場(ベルリン国立歌劇場) »
「実演鑑賞記」カテゴリの記事
- 150129 辻井伸行、ヴァシリー・ペトレンコ&ロイヤル・リヴァプール・フィル@愛知県芸術劇場(2015.02.07)
- スペイン・バリャドリッドのミゲル・デリベス文化センターについて&140529-30 R.シュトラウス【変容】withカスティーリャ・イ・レオン管弦楽団(2015.01.22)
- 141206 ドン・カルロ@新国立劇場(2014.12.17)
- 140707 イマジン七夕コンサート ルネ・コロさよならコンサート(2014.07.08)
- 140528 ドン・カルロ@ベルリン・シラー劇場(2014.07.02)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
« 110102 フィガロの結婚@ベルリン・ドイツ・オペラ | トップページ | 101230 コジ・ファン・トゥッテ@シラー劇場(ベルリン国立歌劇場) »
アラーニャはフランス語で"A bien tout!"(じゃあ、又!)って言ったのですね。私の周りでも「『ありがとう』だって」という囁きがかなり聴こえましたよ。これだけレベルの高い「ドン・カルロ」は滅多に見られないかと思います。2回目のチケット買ってしまいました。
投稿: マドモワゼル | 2011/01/09 17:54
マドモワゼルさん:
いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
>"A bien tout!"(じゃあ、又!)
ああ、なるほど…フランス語にそういう挨拶があるのですね
書いておくものですね~~勉強になりました
ありがとうございます♪
本当に、良い上演でしたね。私ももう一度行きたいのはやまやまですが、日程的に厳しいのが残念です。
そのうちTV放送するかもしれませんし、また見る機会がやってくるのを楽しみにしています
投稿: ヴァランシエンヌ | 2011/01/09 20:03
ヴァランシエンヌさんも行かれたのですね。私も、(当然?)土曜日に見に行きました。大盛況で最前列からの鑑賞でしたが、十分堪能できました。平日は仕事なのでもう一度見に行けないのが悔しいです。私も、NHKで放送されることを祈っています。
>フィリッポ
>今のフルラネットぐらいの歌手が歌うと、ちょうどいいのかな。
私も、そう思います。今、フルラネット以上に老王の哀れさ・寂しさを表現できる歌手はいないと思います。
>最後に「アリガトウ」と言ったような気がした
私も、あれ?空耳だ~と思ったのですが、映画館内がどよめいたくらいはっきり「アリガトウ」って聞こえましたよね。マドモワゼルさんのお陰で、私の疑問も解決しました。ありがとうございます。
投稿: Sardanapalus | 2011/01/10 20:11
サルダナさん:
やっぱり初日だったんですね
キーンリさん、調子良さそうで何よりでした。ファンの方は嬉しいでしょうネ。
>>「アリガトウ」
夫に話したところ「フランス語の会話を聞く機会がないので、こう聞こえるのかな」
と申してましたけど、似たような音で自国の言葉とすり替わった語句として聞こえてしまうことって、時々ありますよね?(笑)
(フィガロの結婚での、伯爵の「タスカリマスカ」とか。。。)
投稿: ヴァランシエンヌ | 2011/01/10 22:24
私も見てきました~♪
うんうん、アラーニャ良かったですよね!
そして、私も「アリガトウ」と聞こえました。
なんだ~違ったのか~。
アリガトウは世界共通語になりつつあるのか!?と思ったのに(笑)
投稿: 娑羅 | 2011/01/11 12:42
娑羅さん:
おお、ここにも「アリガトウ」支持者が
それにしても、アラーニャも何気に自分が喋った「じゃあ、またね(@^^)/~~~」が、まさか日本ででこんなふうに話題になっているとは、びっくりでしょうね(笑)
投稿: ヴァランシエンヌ | 2011/01/11 21:37
私も今日観てきました~。
やはりアラーニャの「アリガトウ」にどよめきが起こってましたよ。 私はこちらで教えていただいたので「お。これか~」と思いました。 アラーニャはよくしゃべりますね。 フルラネットの地声もほんとに素敵でした。
平日も観客わんさか! 「ボリス」の閑散としてたのはいったい何?とちょっとムッとしました。
投稿: galahad | 2011/01/12 21:37
galahadさん:
>「アリガトウ」
これから見る方は、ここをチェックして下さればバッチリ!!ですよね
記事にも追記しておきましょう。
ホント、アラーニャはよくしゃべりますが、ああいう天真爛漫さが、スターたるゆえんかな・・とも思います。私は嫌いじゃないですよ(笑)
> 「ボリス」の閑散としてたのはいったい何?とちょっとムッとしました
まあまあ、抑えて
名古屋では6月に、Metの来日公演で「ドン・カルロ」が上演されますから、その影響だと思いましょうよ
投稿: ヴァランシエンヌ | 2011/01/13 11:53