「死の歌と踊り」予習教材その2
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2月19日の、ルネ・パーペのリサイタル@トッパンホール予習プロジェクト(?)その2です。
今度は、この作品ではなく(笑)ドイツリート関係にしようと思っていたのに…
ああ、結局こっちから離れられません(^^;
(サガだ…)
…とさじ投げしていたら、ドイツ物(+ドイツ語^^)に強いgalahadさんが記事立てして下さいました。こちらをご参照下さいませ
えい、もうこうなったら、とことんこっちの予習(というか、探求?)しようと決めました。
(もしかして、私の推奨プログラムに沿って?予習して下さるかたもいるかもしれませんしっ)
前回
「今度のパーペのリサイタルではピアノ伴奏なので、この作品にまだあまり馴染みのない方は、できればピア伴のものから聴いた方がいい、オケ版は派手なので、耳がそちらになじむと、ピア伴が地味に聞こえるから」
という、私の独断で(笑)ピア伴のジョージ・ロンドンのものをお勧めしました。
プレイリストURL http://www.youtube.com/view_play_list?p=90E66621B66EE424
初めて聴いた方もそろそろ、この作品になじんできたところでしょうから?今日は別の方が歌っているものをいくつかご紹介します。
1)ディミトリー・ホロストフスキー
プレイリストURL http://www.youtube.com/view_play_list?p=95560A220C7F52E4
ロンドンのだと、歌いクチが古い!!なんだかよくわからん…という方もいらっしゃるでしょうから(笑)
今日はまず、現代的オーソドックス歌唱のお手本・ディミトリー・ホロストフスキー氏のものを聴いてみましょう。
ホロストフスキー氏の大ファン・我が家のお客様でもある娑羅さんに協力をお願いして、ピア伴のものを探して頂きました。娑羅さん、ありがとう!!
この音源を聴いてびっくりしたのは「えっ、ピアノでもこんなに色合いがつけられるんだ」ということ。他のピア伴の音源だと、歌7割、ピアノ3割ぐらいの印象ですが、このクリップは、フィフティ・フィフティ(に、私には感じる)。
このぐらいピアノが前に出てくると、オケ版と殆ど遜色ないような印象すら受けます。
逆に、ここまでピアノの存在感が強くなると、並の表現力では歌の方が埋没しかねないと思いますが、そこはこの作品を十八番にしていらっしゃるホロ氏。言葉の一つ一つのニュアンスの付け方から、メロディラインの処理の仕方など、さすがに上手いです。ロシア語も美しく聞こえます。
2)ガリーナ・ヴィシネフスカヤ
プレイリストURL http://www.youtube.com/view_play_list?p=D995B3414099C453
私がこの作品のことを話題にするとき「ヴィシネフスカヤのが…」とよく言ってますが、そう、私のこの作品のデフォルトは、実は彼女のCD(EMIから出てます)なのです。だいぶ前に紹介記事を書いてます。こちら
主に低音男声に好まれるこの作品ですが、女性も歌います。その先駆けとなったのが、ヴィシネフスカヤなのですが、私が持っているのは、ショスタコーヴィチが彼女のために手がけた管弦楽バージョンです。
(オケ版は他にもいくつかありますが、現在よく演奏されるのは、ショスタコ版)
で、これを聴いてしまうと…どんな男性歌手でも、この表現には敵わないんじゃないかしら?と思うほど、強烈なのです。
(なので、実はヴィノグラドフのクリップを聞き始めの頃、ソプラノのキーからバスのキーになじみきるまでは、けっこう違和感があったのですよ^^;)
そんな彼女の歌うピア版がなんとYTに上がっていて、びっくり(@。@!
ピアノはご主人のロストロポーヴィチ氏。完全に伴奏に徹して奥様の歌をサポートしていらっしゃいます(笑)
最初からコレを聴くと、あまりにも味がこゆいですが(笑)
慣れてきたら、一度は是非聞いて頂きたい。
そこはかとなく憂いを携えた透明感のある声+凛とした存在感。男声でしか聴いたことのない方には、目(耳)から鱗、この作品に対するイメージが根底から覆るかもしれません。
ロシア語の「死」"смерть"は女性名詞です。
「死」がテーマのこの作品。女性が歌ってもおかしくない…というか、むしろこっちの方が理にかなっているのかな…という印象を受けます。
(この辺りの興味深い解説は、歌曲でおなじみ梅丘歌曲会館さまでも、どうぞ^^)
ちなみに「運命」"судьба"や、大地とか、川とか、山とか(笑) そーいう「懐深いイメージがするもの」って、大抵女性名詞なんですよね。母なるヴォルガ川…とかも言いますでしょ。
私はロシア語を勉強し始めて、この辺りの深みに、非常におもしろさを感じています。自分で訳せるようになったら、この辺のことを織り込みながら訳してみたいなぁ。(いつになることやら)
ただ、女性なら誰でもいい!というわけではなく^^;実は私の「ファースト・死の歌と踊り」は、ドイツの名メゾ・ブリギッテ・ファスベンダーの歌ったCDでした。
でもね…う~~ん、ちょっと違うんですよねぇ。何が違うのか、よく分からないんですが、先日久しぶりに聴いてみましたが、やっぱり何か違うなぁ、と思いました。
それで、えーと。。。
そう!ピア版でもヴィシネフスカヤの表現力は圧倒的で、それこそピア版だということを聴いているうちに、すっかり忘れてしまいました(^^;
こうしていくつか聴いていくと、もちろんオケ版の弦楽器の美しさとか、なんとも郷愁をそそられるような音色は、ピア版では味わいきれないんですが、歌唱という点に絞ると、オケ版だろうが、ピア版だろうが、最終的には歌手の表現力にかかっているのかな…と思いました。
ということで、オケ版もちょっとご紹介。
3)ジョン・レリエー
こちらから。(by InstantEncore)
これも娑羅さん絡みで教えて頂いたのですが、オケ版ですが、ショスタコーヴィチ版ではないですね。微妙に違うところがあります。何方かご存じの方がいらっしゃれば、ご教示下さいませ。
今年、メトの来日公演で初来日の予定のカナダ人のバス、ジョン・レリエーは、近年ロシアものに力を入れていて、こちらのコンサートは昨年の春にフィラデルフィアで行われたものだそうです。
実は最初に聴いた時は「んんー、声色が明るいし、やっぱりなんか違うかなぁ?」と思ったんですが、よくよく聴いてみると、こういうのもアリかな、と思います。
ちょっと力任せになるところもありますが、特に最後の「司令官」は、迫力があって、こういうのを聴くと「低音男声で聴く楽しみここにあり」という力強さを感じます。
4)アレクサンドル・ヴィノグラドフ
プレイリストURL(除:「子守歌」) http://www.youtube.com/view_play_list?p=68D111BBC30AA49F
えー、またぁ?もういいよ…とか言わないで(笑)
(そりゃ、ここは《Valenciennes Traeumereien》、ここの女主人はヴィノオタですから(笑)特にロシアもの関連には、もれなく彼がくっついてきますよぉ)
そろそろ、真面目に分析して聞こうかと思っているんですってば。
世代的にも近いレリエーと比べると、面白いですよ。
今回紹介した方々の中では、一番声が暗いのよ(笑)
この作品、ショスタコーヴィチが1962年に管弦楽バージョンを編曲し、その後彼が、この作品の、ある意味「続編」という形で、交響曲第14番「死者の歌」を作曲しています。
今回上げた方々の中で、両方歌っているのは、ソプラノのヴィシネフスカヤ(これまた名演!)と、ヴィノグラドフだけですが、そのことは曲への解釈に対して、何らかの相乗効果があるのかもしれません。
思えばこの2年間で、ショスタコの13番(バビ・ヤール)、14番(昨年春、トリノでの演奏が放送されました)に加えてこの作品(2006年に、リヨンで一度歌ったことがあるんですが)も歌ってくれたのねぇ。
しかも(この作品の「子守歌」以外は)私個人は、ほぼ全部聴けているんですから…すごい幸せかも(笑)
次回は、私がこの作品で最も愛している「セレナーデ」について、個々のクリップから探ってみたいと思います。
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
ところで、クリップを紹介 → YTのプレイリストも便利ですが、ネットに繋いだ状態でPCに張り付いてないと聴けないのは辛いですよね。
私はクリップをRealplayerでDLして、音だけMP3でコンバートして、iTunesに放り込み、こちらでプレイリストを作ってiPod touchに取り込みました。
touchやiPhoneをお持ちの方なら、iTunesでMP3ファイルの「プロパティ」を開くと、そのファイルの詳細を編集できますが、ここに「歌詞」というタグがありますので、日本語の対訳なり、ロシア語のオリジナル歌詞をコピペして、貼り付けると、touchやiPhoneで再生するときに、歌詞を確認しながら聴けて、便利です。
(語学教材を聴くときにも、ここに該当テキストを入力すれば、いちいち大きなテキストを持ち歩かなくても、センテンスの確認が出来ます^^)
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コメント
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お知らせ、ありがとうございました~
・・・と、気軽に遊びに来たら・・・す、すごい!
本当に深く勉強なさってますね!
こんなにこの曲を知り尽くしたaudienceがいると知ったら、パーペさんも歌いにくいのでは?
私のご贔屓さんを2人ともご紹介いただき、ありがとうございます♪
ホロストフスキー・・これ、確か2005年の映像だと思います。
今と顔違う~(笑)
ちなみに、この時は前半にチャイコフスキーとムソルグスキー、
後半にデュパルクとラフマニノフというプログラムで、これは2006年の来日公演でも同じでした。
時間の都合で、今日はそれぞれ1曲ずつ聴かせてもらいました。(「セレナーデ」の聴き比べ♪)
ホロストフスキーはあくまでレガートに徹していますね。
彼の“Ты Моя!”の表現はやっぱり好きです♡
ヴィシネフスカヤ、いいですね~。
ソプラノが歌うこの曲、なかなかイメージしづらかったのですが、
言葉のニュアンスを大事にしていて、とても表情豊か。
レリエはまだこれからだと思いますが、仰るように迫力では抜きん出てますね
ヴィノさん、確かに声が暗い!w(゚o゚)w
ホロストフスキーも大概暗いんですが、その上をいきますね~。
そして、同じバスのレリエと比べると、レリエがわりとゴツゴツした感じなのに対して、
ヴィノさんは柔らかいんですよね。
やっぱりdarkhoneybassです
投稿: 娑羅 | 2011/02/09 00:54
娑羅さん:
「シモン」モードでホットなご気分のところ、お呼び立てして、すみません(笑)
いやー、深く勉強するもへちまもないですよぉ。単にYTとジョン君の音源を貼りつけただけですし
でも一度作っておくと、時間がある時&「ちょっと聴いてみようかな」と気が向いた時に利用できますものね。
>ホロストフスキーはあくまでレガートに徹していますね。
ですね。それと、ここでの彼の歌は、非常に装飾性豊かだとも感じました。軟母音(яとか)がはっきりしてますし。
それに「子守唄」の最後あたりで、やけに色っぽい(?)部分がありませんか?(笑)
>ヴィシネフスカヤ
でしょ、でしょ。
私、ドイツ歌曲は女声が歌うと、言葉がはっきり聴こえない感じがして(特にドイツ語は、かちっと響かないと面白くないですしね)少し抵抗があるんですが、ロシア歌曲は彼女もいいですし、チャイコフスキー歌曲なんかでのボロディナなどもいい!と思います。
>同じバスのレリエと比べると、レリエがわりとゴツゴツした感じなのに対して、
ヴィノさんは柔らかいんですよね。
ああ、いいことを仰って下さいました
ヴィノさんのは、この中で声は一番暗いんですけど、一番おっとりしているように感じるのは、そこに理由があるのかも。。。
レリエのが「お前を力づくであの世に連れて行くぜ」的だとすれば
ヴィノさんのは「君を毛布で包んで、あの世に連れて行こうか…」的な感じかな…
二人のピア伴での演奏も、是非聴いてみたいし,まだこの作品を手掛け始めたばかりですから、今後どう変わるか、楽しみですね^^
投稿: ヴァランシエンヌ | 2011/02/09 15:04
聴きがいのあるクリップのご紹介ありがとうございます。
レリエさんの野望(ロシアもの進出、いつかボリスを歌う)はほんとだったんですね。 レリエさんは悪魔っぽいし、ホロさんはロマンティック、ヴィノさんはさらに声が暗いけどやさしいわ。
ヴィシネフスカヤは私にはすごく不思議な感じがします。
ロストロポーヴィチのピア伴のほうに驚いてたりして。
私も中途半端ですが、詩人の恋の記事書きました。
こちらのリンクをさせていただきましたが、不都合がありましたらお知らせください。
投稿: galahad | 2011/02/09 21:19
galahadさん:
リンクして頂いて、ありがとうございます(笑)
私もgalahadさんの記事をリンクさせて頂きました。相互効果がありますように!!
ホントのことを言うと、御大のリサイタルにかこつけて(笑)ヴィノさんの歌を少しずつ読み解いて行きたいの

やっぱり、これが一番やりたいことですから(笑)お薬とも言えます
>レリエさんの野望
そーなんですよぉ。でも、この音源を紹介して頂いた時にはよくわからなかったんですが、今回改めてしっかり聴き直してみて「けっこう、いいじゃん!!」と思いましたよ。
確かに荒っぽいし、娑羅さんが仰るようにゴツゴツした感じですが、これが決してマイナスになってないと思います。
レリエやヴィノさんのような、若さが勝っている感じの解釈の方が、今の私にはぴったりくるのかもしれません。改めて色々聴き比べていたら、前回紹介したジョージ・ロンドンのだと、やはり古めかしさは否めないですし
あとは顔芸に優れたミーシャ(笑)のが揃えば、もう完璧なんですけどねぇ
>ヴィシネフスカヤ
以前galahadさんが紹介して下さった音源の中に、リポウジェクのがありましたが、彼女のともちょっと違うんですよね。
オケ版の方が、もっと鋭い感じがしますから、そちらの方がgalahadさんには馴染みやすいかも
投稿: ヴァランシエンヌ | 2011/02/10 20:26