110608 コジ・ファン・トゥッテ@新国立劇場
「現代風に読み替え」て「衝撃の結末」となれば、そりゃ当然、こういう形になるよね、苦い結末になるよね…でもそれ、別にもう新しくないよ…とシニカルに思ってしまう。
次、どうなるんだろう? と、ドキドキワクワクしながら観た、あの映像の記憶と、つい比べてしまう。
好きなオペラのはずなのに、何故かノレなくて。
うーん…上手く言えないのですが、
「頭の後方から、別音源で聴こえてくる音楽&舞台上で人形が動いているのを見るような、乖離感」
とでも言ったらいいのかな…そんな感じです。3階サイドの席だったので、双眼鏡を持って行けば良かったなあと、ちょっと後悔してます。そうすれば、歌手の表情もよく見えて、もっと違った感想になったかもしれません。
演出は、確かに装置は凝っていて、現代的でした。でもそれが何?と言う感じで、特に目新しさは感じませんでした。それと、木が多すぎ…もう少し間引いても良かったんじゃないかしら
ドラベッラ(それこそ双眼鏡でガン見したい!!と女の私が思うほど、スタイルがいい~~ 奔放な感じが良くお似合いでした^^)
とグリエルモ(ハイバリのキレイな声で、足場の悪い中での激しい演技しながらでも、頑張って歌っていたと思いますが、表現力が少し物足りなかったのと、私はこの役は、もっと低めのバスバリトンが歌う方が、男っぷりが増す気がして、好きだわ)
は、まずまずだったと思います。
フェランドは、年末にシラー劇場で観た時に、本来キャスティングされていた歌手が急に体調不良で、舞台上で演技だけし、別の歌手が歌だけ歌っていたのですが、その時の代役くんでした。
あの時は「殆ど初見?????」というぐらい、緊張して楽譜と首っ引きで歌ってましたけど、今回も代役とは言え、多少の準備期間があったでしょうから、さすがにプロの歌手さん。上手にまとめてきたなあという感じを受けました
久々に聴けるのを楽しみにしていたアルフォンゾのローマン・トレーケルは、彼がアルフォンゾを歌うと、どうしても陰険で凶悪な感じ(^^;になるんですけど、この演出には良く合っていたかもしれません。
しかし、音響の良い新国でも、声が響いて聴こえて来なくて(特に低音部が;;)やっぱりこの役には、彼の声は高過ぎるのかなぁ。。ちょっと残念でした。
フィオルディリージは、半端なく難しいですから、こんなもんでしょ的。デスピーナは、私にとっては今回、存在感が薄かった…
開演前に、お仲間のgalahadさんと帝国ホテルで「コラボレーションケーキ《ルネ》を食す会」なんぞを設けて、お腹いっぱいの昼下がりの公演。
そのせいもあって、実は途中で、記憶が飛んだ部分もあります(^^;
「う~~~ん、眠い…ああ、モーツァルトの生み出すα波が、日ごろ疲れている私を、心地よく眠りの世界に誘っているのね…」ってな感じでまったくもって集中できませんでした;;
思い返してみると、新国でモーツァルトを聴いた時には「これぞ!!」という「当たり感」が少ないかもしれません
去年のフィガロで感じたことと、同じ類のフラストレーション…とりわけオケの色気というか、息遣いが、まだ「自分たちの血肉になってない」感とでもいうのかな。
躍動感や求心力に欠ける気がしました。
年末にシラーで観た時も、部分的にうつらうつらした瞬間もあったし、あの、大好きな演出を実演で観てさえ、完璧とは言えなかったけど(それほどに、この作品は難しいんだと思います。色んな意味で)
オケの息遣いはやっぱり絶妙だったし、コメディとシリアスが程よくブレンドされた、ハイセンスな演出。全てにおいて、一枚上手だったなぁ…と改めて思いました。
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
《コジ・ファン・トゥッテ@新国立劇場》
2011年6月8日 3F左サイドより鑑賞
【指 揮】ミゲル A・ゴメス=マルティネス
【演 出】ダミアーノ・ミキエレット
【美術・衣裳】パオロ・ファンティン
【照 明】アレッサンドロ・カーレッティ
【フィオルディリージ】マリア・ルイジア・ボルシ
【ドラベッラ】ダニエラ・ピーニ
【デスピーナ】タリア・オール
【フェルランド】グレゴリー・ウォーレン
【グリエルモ】アドリアン・エレート
【ドン・アルフォンソ】ローマン・トレーケル
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
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コメント
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お疲れさまでした~。
私もまた「あの映像」を見てます。 何度も見てるんだけど飽きないんですよね。
やっぱりグリエルモはバスバリです!!
トレーケルさんもなにかしら頭にかぶってたほうがいいな。
ちょっと眠くなる演奏でしたし、ケーキのせいばっかりじゃないと…
投稿: galahad | 2011/06/09 20:54
galahadさん:
お疲れ様でした~~久しぶりのお喋り、楽しかったですね!!
>何度も見てるんだけど飽きない
そうなんですよーー;
やはり、ディティールも凝ってますし、コメディセンスもすごく洒落ているんですよね。
まあ、本場と比べるとまだまだ日本は、モーツァルトを演奏する歴史が浅いですものね。
あと一回公演があるんですが、昨日は空席が目立ったのも気になりました。
平日昼間の公演には学校団体が入ったりもしますが(フィガロの時もありましたよね)昨日はそんなこともありませんでしたし、私の周囲は、おじさんばっかりでしたし(^^;;;
投稿: ヴァランシエンヌ | 2011/06/09 22:31
やっぱり~~
そうだったんですね~
帰りの初台からの電車ご一緒だったわたぶんチラッとだったから……
私も8日観てましたよ
ロビーでは遭遇しませんでしたね~
投稿: midori | 2011/06/10 11:27
midoriさん:
ええ~~~っ、もしかしたら、休憩時に3階のロビーにいらっしゃいました?
なんか、私も「似た方がいらっしゃるような気が…」と思ったんですが、わー!!お声かけすれば良かった
きっと「皇帝の花嫁」の放送が、引き寄せたんですね
一週間ありますから、ゆっくりお時間のあるときにお試し下さると嬉しいです。
投稿: ヴァランシエンヌ | 2011/06/11 06:40
ヴァラリンさん
私ベルリンのあのコジはダメなんです~
今回の方がいいと思ったほど
訳が映像と全く乖離しているせいもあるかもしれません
それにアルフォンソ十分陰険だったと私には思えました。
それも物足りなかった原因かも
モーツァルトって陰険さとは無縁だと思うので・・
わーん、ケーキご一緒したかったです~(涙)
投稿: straycat | 2011/06/11 22:58
straycatさん:
お返事遅くなってすみません(^^;
そうでしたか、あのベルリンのは・・・でしたか。あれは好き好きがはっきり分かれますからねぇ。
>モーツァルトって陰険さとは無縁だと思うので・・
そうそう。それは大事なことですよね。フィガロの伯爵も、そうなってしまうと面白くありませんから。
その後体調は如何ですか?ケーキ、またきっとご一緒できる機会がありますよ
投稿: ヴァランシエンヌ | 2011/06/15 23:20