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111017 イル・トロヴァトーレ@新国立劇場

千秋楽に行ってきました。去年の《フィガロ》千秋楽以来の新国での夜公演でしたが、2階席は3分の1ぐらい(4,5列目の真ん中エリア)ががっさり空いていて、勿体ないぐらいでしたが、お陰でラクに観ることができました。
(私は隅の方でした)


時間的に厳しいことが多いので、夜の公演は出来るだけ避けているのですが、ガラス越しに見える灯りなどが綺麗で、それだけでも気分が盛り上がりますね。やはり、オペラは夜の道楽なんだなあと思いました。

そういえば、外国人のお相撲さんが二人ほどいらしてました。前回「オテロ」でイヴェーリが歌った時も、お相撲さんを見かけたという話を聴いた記憶がありますが、グルジア出身のお相撲さんでしょうか?

実演で《トロヴァトーレ》を見るのは初めてです。今年は5月に、メトのライブビューイングでも堪能しましたし、トロヴァトーレの当たり年?
いやー。やっぱりイタリア・オペラ!ヴェルディだねぇ(笑)

ヴァルテル・フラッカーロのマンリーコのは、力で押す典型的なイタリアンテノールで、「武人マンリーコ」の王道ではないでしょうか?
これはこれで、よくあるタイプですが、まずまず良かったと思います。
高音も良く出てましたが、3幕のマンリーコの聞かせどころの「ア~ア~~~~~~~」(←わかります?)のところは、最高音に僅かに届きませんでした。
ブラボー!!と大拍手の中、一部ブーが聴こえましたが、それまでに思いっきり大熱唱してましたし、曲の流れが断ち切れたわけでもないのですから
あの音が出なくても充分、私は堪能しましたし、良くやった!!!と思いましたけど。。。

ルーナ伯爵のヴィットリオ・ヴィテッリ(Vittorio Vitelli)。旧ブログにいらして下さった方々から口々に
「凄くいいですよ!」と聞いていたので、楽しみにしてたんですが、確かに!!!!!
小さくまとまっている感はありますが、歌もスタイリッシュで貴族的。
最初に出てきた時はハイバリトンで「マンリーコと声の高さがあまり違わない???」と思ったんですが、
2幕のアリア「君の微笑み」を、とてもノーブル且つエレガントに歌っていて、「これはいい!」と、引き込まれました。

古い話に遡ると、この役の金字塔、故エットーレ・バスティアニーニのような、押し出しの強さと黒光りするような輝かしい声で、過剰なまでの自信、ナルシストっぷりを表現するのが常套かと思いますが
彼のルーナは、ちょっと違うアプローチ…
芝居がかったようにコテコテに恋に狂っている…という灰汁の強さはなく、少しひんやりした感じですが
「ああ、こういうやり方もあるんだな」と思わせるところが良かった。とにかくノーブルでした(←これ重要)

それと、スタイリッシュな声で小回りが効くので、同じような歌唱タイプのイヴェーリとの相性がダントツに良かったと思います。4幕の二人のやり取りは、小気味良いリズム感が緊張感を生み、聴き応えがありました。

もしかしたら《ドン・カルロ》のロドリーゴの方がもっと向いているかも。今後も注目して行きたいです。
(やっぱり、こういう「少し小ぶりでエレガント」な歌手が好きなのねぇ、私。。。^^;)

アズチェーナのアンドレア・ウルブリッヒ。ムーミンだったか、セサミストリートだったか(或いはもっと別だったか^^;)に出てくる、赤い毛むくじゃらのキャラクターみたいな、モフモフしたような衣装^^;妙に似合ってました。
この役は、ドラマのキーパーソンですが、なかなか難しい役ですし…個人的にはもう少し、存在感が欲しかったかなぁ。

そしてそして。
急きょレオノーラを歌ってくれた、私の大のお気に入りソプラノ、タマール・イヴェーリ(Tamar Iveri)。
メトHDの鑑賞記を書いた時に「レオノーラには、小股が切れ上がったような「いい女風きりっと感」が、歌にも佇まいにも欲しい」なーんて書いてますが、彼女はそういう感じではないんですけど、凛とした声、丁寧で心のこもった歌唱には、心を打たれました。
初役ということでしたが、私は最初に彼女の声を聴いた時から涙腺が緩みっぱなし。(←どこかのバスを聴く時にも、ここまで条件反射的にウルウルしない^^;)

声に余分な脂肪がないというか、運動神経がいいので、レオノーラの「タラッタラタッタ~~」という旋律にとても良く合っていたと思います。旋律線が綺麗に出るので、余計な装飾がなくても、ちゃんと心に響くんだと思います。
見た目は、すこぉしフクヨカになられたでしょうか?でも、充分許容範囲ですし、女性らしい仕草、表情(彼女の顔は、日本人には親しみやすいと思うのですが…)に、本当に引きこまれ、彼女に浸りきった3時間でした。

フェランドの妻屋さんも、少しもたつくところもナキニシモ…でしたけど、存在感充分。いいバスの声を堪能しました。

******************

衣装は古典的、演出は、特に設定をいじったとかいうわけでもなく、オーソドックスの範疇でしょう。
戦場の風景写真をスクリーンのように下げていて、各幕の初めに状況説明の文字がタイプされて行くんですが、個人的には
「これはいらん!!!」と思いました。特に、幕が変わる時にそのぶん、間があいてしまうので、せっかく音楽が盛り上がってきたところ、流れを妨げるような感じで、少し残念でした。

それからマンリーコの処刑シーン…エレベーター(リフト?)みたいなのに乗せられたマンリーコが
「ガ~~」という感じで、大きな骸骨の中に吸い込まれていったんですけど、あれはどうなんだろう?^^;

死神のように現れる死んだ先代のルーナ伯爵?と、間違って火あぶりにされてしまったアズチェーナの子供?は…
うーん、私はこういう「話の中に出てくるけど、実際の作品の中には出てこない人」が、舞台上で何らかの役割を持って(持たされて)暗示的に出てくるのは、説明的過ぎて、あまり好きじゃないと感じることが多いのですが、今回は場面によっては、非常に効果的だったと思います。

3幕のマンリーコとの結婚式の直前に、何物からかブーケを渡され、一旦はにっこりして受け取るレオノーラが、一転して「これは死神からだわ!」と気がついて、おびえてブーケを押し戻したところと、
4幕の舞台裏からのマンリーコの声とレオノーラの重唱の場面。ここで、マンリーコが歌っている時にレオノーラが死神とダンスを踊らされたところ。この2点は、なかなか良かったと思います。

あと、旧ブログに頂いたコメントで、密かに注目していた
《3幕のマンリーコとレオノーラの場面で、バックに桜「死とはそういうものだとおれは思う」のところで、桜吹雪が舞ってきた》
シーンですが、予め織り込み済みとはいえ
「おお!これが噂の?!《演歌場面》ね」と、ぷぷっと笑ってしまいました(隣の人も、中央よりに移動していて、傍にいなかったしね)
2幕のジプシーの場面の古戦場跡ののぼり?旗?も、何気に和風でしたけど、妙にマッチしてたと思います。

総じて、大変楽しめました。自宅のソフト再生では弱音まではしっかり聴こえない音も有りますが、合唱にしろ、オケにしろ、そういう音までちゃんと聴こえる劇場での鑑賞を楽しむことができ、良かったです。特に合唱は◎
ま、新国のコーラスは、定評がありますものね。

せっかくなので、もう一度ぐらい行っておきたかったです。でも、期せずして大好きなイヴェーリが聴けたこと、本当に嬉しかったです。

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イル・トロヴァトーレ@新国立劇場
2011年10月17日 2階●列右端にて鑑賞

2011/2012シーズン [New Production]
Giuseppe Verdi : Il Trovatore
ジュゼッペ・ヴェルディ/全4幕 【イタリア語上演/字幕付】

【指 揮】ピエトロ・リッツォ
【演 出】ウルリッヒ・ペータース
【美術・衣裳】クリスティアン・フローレン
【照 明】ゲルト・マイヤー

キャスト

【レオノーラ】 タマール・イヴェーリ
【マンリーコ】 ヴァルテル・フラッカーロ
【ルーナ伯爵】 ヴィットリオ・ヴィテッリ
【アズチェーナ】アンドレア・ウルブリッヒ
【フェルランド】妻屋秀和
【イネス】小野和歌子
【ルイス】鈴木 准
【老ジプシー】タン・ジュンボ
【使者】渡辺文智

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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コメント

こんばんは。いつもお見かけしておりましたが、初めましてでしょうか。
私も昨日行きました。
ちょこちょこと?というのはあったものの、演出含めて総合的には求心力のあるものだったと思いました。
私もこれでMETHDを合わせて2回目です。
METの時はちょっとソプラノさんに違和感があったりして飽きちゃいましたが、今回は‘勢い’もありましたが、‘とても美しいオペラ’だと実感できました。
イヴェーリさんとても良かったですよね。私も彼女が歌うと涙腺が緩んで、、、。
少し高音はきつめでしたけど、中低音がすごく魅力的でした。
私は4幕が特に素晴らしかったと思ったのですが、フラッカーロさん、なかなか重唱イケる方ですね。ちょっとふらつく歌い方がどうかなとは思ってましたが、4幕のはまりっぷりで私の中で一気に急上昇しました。

ヴィテッリさんの「君の微笑み」は私はちょっとイケてないんじゃないかと思ってしまいました(^^)。唯一あそこだけ、眠くはなりませんでしたが、ちょっと意識が逸れてしまいそうでした。それ以外はなかなか良かったかと。
ウルブリッヒさんは最初の歌こそそんなにでしたけど、後はなかなか気持ちが乗っているように聴こえました。
感想もそれぞれですね(^^)

お相撲さんなんていたんですか。
ちゃんと座れるんでしょうか?専用の椅子で観るんですかね。

投稿: sora | 2011/10/19 00:39

こちらのブログにもはじめてお邪魔いたします、valenciennesさん、イル・トロヴァトーレ、いらしたんですね~!!「演歌場面」の言葉に、思わずぷぷぷと笑ってしまいました!!「演歌」ですよね!ぷぷぷ。
ヴィットリオ・ヴィッテリは、soraさんのように
「君の微笑み」がイケテナイ、という感想をお持ちの方も何人かいらっしゃるみたい
なので、新国立って(新国立に限らず、かもしれませんが)座る位置で
聴こえかたがかなり違うのかも、と思ってきました。あの、ジャングルジム(?)に上りながら歌う、という演出のせいもあるのでしょうか。
わたしも、おそらくvalennciennesさんと似たような位置に座っていたので
声が通ってこないとか、歌いまわしが平板すぎるようには聴こえなかったのですが・・。好みの問題以上に、聴こえ方の違いも大きいのかなと思えてきます。
(前に、アンドレア・シェニエで上~の方の階に座ったときには、
全員の声が大大音量で聴こえてきて耳が痛くなるほどびっくりしたことがあって)
ヴィッテリ、ノーブルでこじんまりな感じ、って、まさにそうですね!!

あと、イヴェーリさんの、MET映像があったんですね!しらなかったです。
私は、昨シーズン(かな)のオテロのデズデーモナが初めてでした。雰囲気がとても
かわいらしいですよね。日本でもっと受けそう。あと、中低音がよい、というのはほんとうにそうだなあと思います。
オペラって、生で観ると自宅で観てるのとは
また違うわくわく感がすごくて、valenciennneさんのこちらの記事で
またあのわくわく感を思い出すことができて嬉しいです!

投稿: amanamour | 2011/10/19 18:45

ごめんなさい、soraさんのコメント、よく読むと「イル・トロヴァトーレ」がMET映像に続き2回目、という意味ですよね?間違えてしまいました。すみません。
METの映像、わたしも楽しく観ました!!ホロ様とアルヴァレスが素敵でした!
ホロ様はDVDのよりもさらに良かったです。
でも、いずれもソプラノが私はいまひとつ乗り切れませんでした。トロヴァトーレの、ソプラノがよいバージョンを是非観たいです。

投稿: amanamour | 2011/10/19 18:51

soraさん:

あっちこっちですれ違ってますが、直接お話しするのは初めてですね。ご訪問&コメントありがとうございます(^^/
同じ日に行かれてたんですね。

>演出含めて総合的には求心力のあるものだったと思いました。

同感です。久々に新国では「当たり◎」と思いました。TV収録はしてないのでしょうかね?

イヴェーリ、気に入って下さって嬉しいです。彼女の声に涙腺を緩ませるという方は、他にも何人か伺ったことがあるんですが、何が理由なんでしょうね?
私は初めて聴いたのは、5年前のWebラジオ放送でのヴェルレクのソリストの時なんですが、その時からぐぐぐっと来てしまったので、それ以来注目しているんです。
ですので、二度も(しかも、急な代役で!!)来て下さって本当に嬉しいのです。

4幕は大きなアリアもあるし、バリトンとの2重唱、そしてテノールとの重唱と聞かせどころが満載ですから、歌う方は大変だと思いますが「終わりよければ全てよし」ではないですけど、この幕がいいと締りますね。

お相撲さんは、ちょうど私が新国に着いた時に、チケット売り場のところで見かけたので「別の日の公演チケットを買いに来てるのかな?」と思ったんですが、その後2階の長椅子のところで、オペラが始まるのを待ってボケ~~~っと座ってた時に、目の前を通り過ぎて行ったので、ちゃんと鑑賞なさったんだと思いますよ(笑)

「同じものを見聞きして、何かを感じたことを話したい」と思うことは至極まっとうなことですし、そういう場を設けている者としては違う感想でも、こうしてコメント下さるのはとても嬉しいです。
またいつでもいらして下さいね。お待ちしてます(^^/

投稿: ヴァランシエンヌ | 2011/10/20 15:05

amanamourさん:

新居にようこそ(^^/ ありがとうございます。

>演歌場面

やー、amanamourさんが教えて下さってたので「絶対にこの場面は見逃してなるものか 8-O 」とワクワクして、桜吹雪が舞うのを今か今かと待ってたんです(笑)
期待通りの場面で…可笑しかったです(^▽^)
トロヴァトーレは、何気に和風ちっくな旋律もありますから、ああいう演出って面白いですよね!!

ヴィッテリは主役4人の中で一番感想が分かれているんじゃないでしょうか?仰るように、あのジャングルジム?に登りながら歌うのは、大変そうではありましたね。
(私はあれが、募る恋心にもがくルーナみたいで良かったんですけど^^;)

確かに、席位置によっても変わるかもしれませんし、彼の声はNHKホールのようなところでは、あまり聴こえない可能性もあると思います。
そういえば彼も、今、ウチで話題にしているOperaliaに出場していたんですね。1996年の3位入賞者です。
http://www.operaliacompetition.org/competition/winners?year=1996

この作品、CDでも色々聴きましたけど、4人がガチで揃うことがなかなかない(どこかには必ず、不満が残る)と思うんですけど
思い返してみれば、男声よりも女声に対する不満の方が多いかもしれません。
キャラクター的にも、わかりやすい男たち(笑)に比べて、複雑ですもんね。

イヴェーリはオテロの時には「めんこいの~~~」などと書きまくってましたけど、今回はちょっぴりフクヨカになられたかな?と思いました。
でもまだまだ、可愛いし、役の雰囲気をきちんと出せて良い◎です。
また来てほしいですね。今度は急な代役ではなく、オリジナルキャストで来て頂けるように祈ってます。

投稿: ヴァランシエンヌ | 2011/10/20 15:43

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