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111219 ドン・キショット(演奏会形式)@テアトロレアル・マドリード

先日、マドリードのテアトロ・レアルで見て(聴いて)きたのは、マスネの「ドン・キショット」(演奏会形式)とショスタコーヴィチの「ムツェンスク郡のマクベス夫人」。
順番は逆なんですが、先にドン・キショットの感想メモを上げておきます。
(チケットの取り方や劇場内部レポは、また別立てしますね^^)

「ドン・キショット」は、その存在自体は知ってましたけど、一度も聴いたことがありませんでしたが、キャストを確認したところ、タイトルロールのドン・キショットに、フェルッチョ・フルラネットの名前が!!!

おお~~フー様(我が家ではそう呼んでいる)を生で聴くチャンス♪ ということで、慌てて予習。
マスネの軽快な音楽は耳触りも良く、けっこう泣かせる音楽+殆どがバスの独壇場。これはもう、フルラネットを聴くためだけでもいいわ、と思いました。

席は平土間の前から3列目の右端。この劇場の音響は、上の階の方がいいです。平土間では音が、頭の上から抜けてしまうので、ちょっと物足りなかったのと、椅子が硬くてあまり快適ではありませんでした。

さて、慌てて予習したとはいうものの、やはり完璧に音楽の流れ&物語の流れが頭に入ってなかったので、ところどころ、うつらうつらする瞬間も(^_^;)
まあもう、フルラネットをこの目で観た、聴いた、素晴らしかった…!としか、言えないのが本当のところです(笑)
(フルラネットが出ている間は、しっかり起きて聴きました^^)

私にとってのフルラネットは、若いころのカラヤンとの「ドン・カルロ」のフィリッポ二世の映像に始まり、最近では今年の初めに観たメトのライブビューイングでの同じくフィリッポ二世…なんですけど、声もさることながら、演技力が本当に卓越していて、いつも感心していたのです。コンサート形式でさえ、やはりその演技力は健在。

最初に数人出てきた人たちは、前を向いたまま、ホントに「コンサート形式!」という感じでしたけど、フー様はそのようなことはなく…というか、恐らく、歌っていると自然に体が動いてくるんでしょう。
そんなフルラネットに引きずられて、徐々に皆さん、熱が入ってきた…という感じ。特にドン・キショットが恋をする相手、ドゥルシネのアンナ・カタリーナ・アントナッチには、そんな感じを受けました。
お歌としては、部分的にはいい声なんだけど、もう少し、軽やかさがあったほうが、この役のちょっと軽薄な感じがより良く表現されるかな?と思いました。

ドン・キショットが山賊から真珠の首飾りを奪ってきて、ドゥルシネに向かって、高々とその首飾りを掲げた時の得意満面の表情や、求婚するところなんて「老騎士」の顔じゃなく、まだまだ「現役の男」の表情。時々ニヤッと笑ったり、考え込んだりする様子…堂に入ってました。それに、ぐいっと胸を反らせた立ち姿がステキ。

それでもって、失意のうちに死んでしまう最後のシーンでは、老いの寂しさも垣間見せたり…観客を引き込むべきところでの集中力、舞台センスといい、本当に素晴らしかった。
長年舞台に立っている歌手ならではの、味の濃い演技とでもいうのかな…そういう表現しかできないのが、もどかしいのですが…

お声は、まさにいぶし銀。でも涙腺を刺激するバス声じゃあないんですよね。
しかし、よく鳴っているし、声量という点でも、他の歌手を凌いでました。
失礼ながら、年齢的にそろそろ、どうかしら…と思っていたのですが、まだまだ行けますね。
「若いもんにはまだ負けん!!」という風格が漂ってました。夫も大絶賛でした^^

できれば自分がもっと詳しく知っている作品の中で、きちんとしたオペラ上演の形で聴きたかったかなぁ。
でも今の感じですと、まだまだ大丈夫でしょうから、きっと良い機会があると思います。

ベテランの風格漂う立派な演技歌唱。バスは本当に長く活躍できるんだなぁと、しみじみ感じました。

この役、かのシャリアピンが初演ではタイトルロールを務めてますし、バスにとってはなかなか、美味しい役ではないかな?と思います。
いつか、もう少し年を取ってからでいいから^^;
私のゴヒイキさんにもこの役歌って欲しいなぁ。そしたら、最後の死んじゃうところなんて、おいおい泣けちゃって、しょーがないかもしれませんが^^;

けっこう泣けちゃう(フルラネットとはカラヤンのドン・ジョヴァンニで共演している)サミュエル・レイミーの歌唱。
星空のもと、従者のサンチョ・パンサに抱かれて死ぬ…という設定を上手に視覚化した装置も美しいです。こういう感じでフルラネットも聴きたかった!!
(フルラネットの歌唱の方が、もっとキビシイかんじ。泣けないの(笑))

http://youtu.be/tdCH-bLnJZ0

*********************
Jules Massenet Don Quichotte @ Teatro Real, Madrid
Dec.19, 2011

Direccion musical: Marc Piollet
Direccion del coro: Andres Maspero

La Belle Dulcinee: Anna Caterina Antonacci
Don Quichotte : Ferruccio Furlanetto
Sancho Panca : Eduardo Chama
Pedro : Elena Copons
Garcias : Anna Tobella
Juan : Roger Padulles


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2011 Dec.マドリード二人旅」カテゴリの記事

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コメント

うゎ、素敵な音楽!チェロの叙情的な旋律も堪能できる素敵な歌ですね!
フー様(!笑)のも聞きたいでーすぅ。いいなー。私のフー様はじめは、映像でボネル演出のグルベローヴァと共演のコシのグリエルモでしたが、このグリエルモフー様、若くて色っぽくてすっごく素敵で、そのあとMETの若かりし頃の宗教裁判長から飛んで、フィリッポ2世で老成しててびっくりしました。さらに、実演で去年のボローニャのエルナーニでぐっときてしまったので、何度も聞きたい歌手の一人になっています。ほんと、「現役」感がすっごくあって、お色気びっくりですよね?!他の演者を巻き込む力がある歌手って、ほんとにいますよねー。にしても、ヴァランシエンヌさんを泣かせることができないとは!!フー様もまだまだですねー。ふふふ。
(今、フー様主演のメフィストーフェレのDVD買おうか迷っているところです。)
そうそう、アントナッチが生で聴けたのもうらやましいです。マドリッドレポ、さらに楽しみにお待ちしておりまーす!

amamamourさん

お待たせしました(笑)、そう、すごく素敵な旋律でしょ?
もっとこの作品の予習が、がっちりできていれば(せめて音楽のアウトラインだけでも頭に入っている状態で臨みたかった)
もっと楽しめたかもしれない…と、ちょっと残念です。

以前、新国でも上演されたらしく、DVDも出ているそうですが、そこまでしなくてもいいかなぁと思ったんですが、甘かった(笑)

やっぱり、一度は日本語の字幕つき映像若しくは対訳と突き合わせてCDを聴いておくべきでした。
(新国の「ルサルカ」を、思ったほど楽しめなかったのも同じ原因。私は予習をがっちりしないと、劇場で楽しめないタチなんだとつくづく思いました^^;)

>グリエルモフー様

うんうん。あのフー様、本当にまだ若くて男盛りの頃ですから、ステキですよね(^m^)
私もあの映像、好きですよん^^

エルナーニの時も、評判良かったですもんね。あれも聴いておけばよかった。
でもやっぱり、フィリッポ二世とか「ボリス」のような作品で聴きたいわ~~

マドリッドレポ、早く書かないと忘れちゃいそうですので、また催促して下さいね(笑)

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