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120119 ファウスト@Metライブビューイング

前回のライブビューイング@DGでご一緒した、オペラに足を踏み入れ始めたばかりの若いお友達から「ファウストにも行きませんか?」とお誘いを受け、忙しい合間を縫って行って参りました。

本日、横浜のシアターでは「上演フィルムの差し違えハプニング」がありまして、最初に流れたのは、終わったはずの「ジークフリート」^^;

「ありゃ?おかしいけど、ジークフリートは5000円、今日は3500円でこれが見られるなら、まあそれも良しだね」などとお友達と話していたのですが、数分間ルネ・フレミングの挨拶が流れたものの、すぐにストップし、無事「ファウスト」の上演が始まったのでした。


さてその「ファウスト」ですが、目下の私にとって、非常に悩ましい作品です。
「グノーの軟派な旋律はどうも肌に合わん」と跳ね付けてきたのですが、数年前からわがゴヒイキさんが、この作品の事実上の主役とも言える、メフィストフェレスを持ち役に入れ、しかも本人もたいそう気に入っているということで

「ああ…そろそろちゃんと真面目に取り組まないと(^_^;)」

と思いつつ、いつまで経っても「金の子牛のアリア」を「金の子羊のアリア」と言い間違えたり、どうもよくわからないまま。
同じグノーの「ロメオとジュリエット」には、比較的すんなり馴染めたんですけど。

今回、字幕付きでじっくり見て、初めてこの作品のアウトラインがつかめました。
昔、ケン・ラッセルが演出した「ファウスト」では、マルガリータを修道女に設定したのがスキャンダラスだった…という話を聞いて、それが何を意味しているのか、全く理解できなかったのですが、今日やっとわかりました。

演出家は「宗教色を極力排した」と仰ってましたが、私たちから見たら、充分に強いと思います。メフィストが十字架を極度に恐れたり、最後にマルガリータが正気を失いながらも祈りを捧げて天に召されるところなど、肝心の部分はわかりやすいほどに描かれてますし。

もしかしたらこの作品の、そういう側面をちゃんと理解していらっしゃる方々には「説明的過ぎる感」があるかもしれません。でも私にはちょうど良かったかも。
アトミックな場面は、必然性が感じられなかったので、見ていてあまり気持ちの良い場面ではありませんでしたけどね;;

*************************

カウフマンのファウストは、良心の呵責にさいなまれている科学者(そして女の口説き方もろくに知らない型物)ファウスト博士…というキャラクターには合っているんだけど、ちょっと、深刻過ぎるきらいがあるというか。
彼が考えているコトはただ一つなのですから、もっと甘えた感じの声のテノールの方がいいかな。

やはり声色が暗い+低いので、重唱(特にファウスト、ヴァレンティン、メフィストフェレスの男声3重唱)での対比がつきにくいのは残念でした。尤も、ファウストはタイトルロールではあるけれど、聞かせどころは殆ど前半で終わってしまいますからね^^;

対する御大ルネ・パーペ…ああ、またまた膨張し、心なしか髪の毛も薄くなりましたけど(←相変わらず失礼極まりない^^; ファンの方、ごめんね)
貫禄充分。胡散臭い魔術師っぽいのにダンディで、サマになってました。
(お友達は「インタビューでの素のお顔は、目がまんまるで愛嬌のある方なんですねw」と言ってました~~^m^)

はー。
確かにこの作品、メフィストの比率が高い…
今のパーペは、この役をもう何年も歌い込み、プロダクションも6つめと話してましたけど、演技と歌唱が非常に高いレベルで結びつき、落ち着き払ってました。
今日は本当に、素直にパーペに賛辞を送ります。立ち姿も背筋がピシッと通って、丹田に力がぐっと籠っているのが伝わってきて、見ていて安心できました。

マリーナ・ポプラフスカヤのマルガリータが出色。私は去年のライブビューイング「ドン・カルロ」のエリザベッタの時も、感情の変化の付け方がとても良かったと思っていたのですが、この役の方が見た目的にも、声的にも向いているかも。

マルガリータは貧しい階層の女性ですから、たとえばお姫様お姫様した立体感の強い顔つき、身体つき(ボリューミィという意味じゃなくって)の女性だと、キャラクター的に乖離する気がします。その点でもポップちゃんは理想的。

未婚の女性がお腹を孕ませて、仲間や肉親からも蔑まれる点に関しては、古今東西、共通かもしれませんね。

それと、合唱も大活躍するのですね。オーケストレーションも後半に向けては、かなりダイナミックになりますし。
(指揮者がセギャンくんだから?←去年6月のスカラ座の「ロメジュリ」でもダイナミックだった

アウトラインがつかめたと言っても、まだよくわからないのが
・何故メフィストフェレスは、あそこまでマルガリータを追い詰めるのか
(聖=信仰と邪=悪魔の対比? しかも十字架を怖がっているのに、どうして教会にいるの??^^;)
・追い詰めておきながら、最後にファウストに「マルガリータと逃げろ」と助けようとするのは何故?
(助けるのではなくって、それもメフィストの策略なの?)
というとこら辺り。

でも、確かにこの作品は奥が深いし、じっくり対峙したいと思いました。新国でも、やってくれないかな~~
(もちろんメフィストは…(笑) でもでも、今日のパーペぐらいにならないと私、とてもとても、安心してわがゴヒイキさんのメフィストを聴く(見る)ことなんて、できそうにないわ(^_^;)
ハラハラし通しで、またフィガロの時みたいに精神不安定になりそう・・;)

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Metライブビューイング」カテゴリの記事

コメント

こんにちは~。新しいブログ作られたのですね♪
ブックマークに追加させていただきました(^^)

さてさて、カウフマンについてはほぼ同じ感想です。
もう少し甘さが欲しかったかなぁ。
ポップちゃん、良かったですよね!
苦手だった歌手さんの健闘は嬉しいです!

パーペさん・・・・やっぱり頭髪ヤバいですよね?(汗)
なでつけてるから、余計に目立ってしまって・・・。
ま、誰かさんも人のこと言えないんですが^^;

>「宗教色を極力排した」

そう、無理ですよね~。
いたるところに宗教と絡んだエピソードが出てくるんですもの。

投稿: 娑羅 | 2012/01/20 13:13

私も横浜で観ました!15日だったのですが、日曜日なせいか、満席に近くてびっくりでした~。
ヨナス好きとしては、良かったら何度も見に行く予定だったのですが
演出がどうも受け付けられず、1回で十分でした(とにかくあのアトミックな場面、胸が苦しくなって
なんだか演出家の人格を疑ってしまうような、無神経さを感じてしまって・・。)
宗教色も安易に濃い気がしました。

ヨナスの声、確かにもう少し甘い声だったら、違うドラマに見えたのかもしれませんねー。
でも細やかに細やかに歌いこんでいて優秀ではないでしょうか(とつい援護したくなって
しまいます)
ポップちゃんの感想にはわたしも賛成です!あの役にはとっても合って(歌も演技も容姿も)
いましたよね?ドン・カルロ日本公演のとき感じたかすかす感はなかったです。
そしてパーぺ!巧いですねー!余裕ですね~!でも、ボリュームアップには
気がついたのですが、頭髪には気がつきませんでした!
(上のコメントで娑羅さんの「誰かさん」ていうのは、娑羅さんの「誰かさん」
なのでしょうか?!気がつかなかったのですが、やばいんですか??気になります)
「ファウスト」は初めてみるので、今度は、他の演出で他のソリストで
他のオペラハウスのものも観たくなりました。
もちろん、ヴァランシエンヌさんのごひいきさんでも!

投稿: amanamour | 2012/01/20 18:23

ヴァラリンさんがオペラを見始めたばかりのお友だちと行かれるということで、ちょっとこの演出ではどう思われたか心配になりました。
演奏の良さで、曲全体の冗長さが目立たなかったはよかったのですが、物語自体がわかりにくくなってしまっていたのではないかと思って…。 いかがでした?
まあ御大が膨張するのは今にはじまったことではないですし、頭髪はしょーがないですよね^^
よく動けてたし、踊りがあんなに上手に(ヘンだけど)できるし、言う事ないですよん。
ポップちゃんもグレートヘンな雰囲気がすごくあってよかったです。
ジーベルのロジェ、ROHでもジーベルだったんですけど、実際見た方が姿も声も可愛いかったです。 録音だとちょっと損なタイプかなと思いました。 

投稿: galahad | 2012/01/20 21:28

娑羅さん:

いらっしゃいませ♪ はい、やっぱり雑談は雑談で分けたくなったので(笑)
ブックマークして下さって、ありがとうございますm(__)m
ファンサイトの方もぼちぼち更新しますので、あちらも引き続き、宜しくお願いしますm(__)m

>もう少し甘さが欲しかった

そうなんですよ。やっぱり彼は、ヒロイックな役の方がいいかなぁと思いました。

パーペの頭髪は、特に脳天の辺りがヤバイかと(笑)

宗教色…私は今まで、それをまったく理解してなかったので「ええっ?!こんなに?!」と逆にビックリしたの^^;

投稿: ヴァランシエンヌ(Valencienne) | 2012/01/20 22:16

amanamourさん:

そうそう。確かamanamourさんはカウフマンをお好きだっと伺った記憶があるので、もしかしたら…と思ってたんですが、やはり行っていらっしゃいましたか^^

今回、横浜はいつもの小さい部屋に戻ってしまったせいもあって(前回見に行ったドン・ジョヴァンニの時は、もう少し大きな部屋でした)
昨日も平日だったにも関わらず、8割ぐらいは埋まってました。年配の方が殆どでしたけど(^_^;)
(よって、ヨナスのファンがどのぐらい占めていたのかの判別はつかず^^;)

パーペは確かに余裕綽々でした。何しろ、ウチに集う(若しくはこっそり読んでいらっしゃる方々)は、パーペのファンが多いもんですから、どうも私は斜に構えてしまうのですが(^m^)
今回は本当に良かったと、心から思いました。

>娑羅さんの「誰かさん」ていうのは、娑羅さんの「誰かさん」
なのでしょうか?!

そりゃあ、娑羅さんが仰る「誰かさん」はきっと、あの方に違いないと思うんですが…

…どーなのぉ?!娑羅さ~~~~~んっ?!

「ファウスト」日本語の字幕がついた映像自体が少ないんですよね。昨年秋にROHで再演されたものと同じ、マクヴィガー演出のプロダクションの映像もありますが、日本語版はあるのかな?
私は輸入盤を買ったまんま、ほったらかしてますが^^;
今度ちゃんと見てみますね~~

投稿: ヴァランシエンヌ(Valencienne) | 2012/01/20 22:31

galahadさん:

>オペラを見始めたばかりのお友だち

私もその点が気になっていたので、誘おうかどうしようか迷っていたんですが、彼女の方が乗り気でしたからねぇ。
ミュージカルを見慣れているせいか、すんなり受け入れていましたよ。
「長かったけど、今回も面白かったです!!」とご満悦でしたから^^;

>物語自体がわかりにくくなってしまっていたのではないかと思って…。

いやあ(^_^;)これも私自身が、あまりにも今まで無知だったということに、やっと気がついたぐらいですから^^;
ただまあ、宗教的な側面の本質を捉えることは、難しいかもしれません。でも、そこに渦巻く登場人物の感情の動きという点においては、宗教的側面を超えた何かがあるのは確かだと思いました。
マルガリータの哀れさには、素直に感情移入できましたしネ。

>ジーベル

そうだったんですね。この役を見ながら「ロメジュリ」のティバルドのことを思い返しておりました(笑)

投稿: ヴァランシエンヌ(Valencienne) | 2012/01/20 22:39

はい、「誰かさん」はあの方のことです♪
髪の色があれですからね・・・時々地肌が透けて見えたりして、
ファンはぎょっ!としたりします^^;

投稿: 娑羅 | 2012/01/20 22:55

パーペのダンスをぜひ見たいと思っていたのですが、どうしても時間が取れず映画館に行けませんでした。ロンドンとMETの両方で批評家にたたかれていた演出にも興味があったのですが、テレビ放送まで待つことにします。

今回、字幕付きでじっくり見て、初めてこの作品のアウトラインがつかめました。
どんな作品でもそうですが、やっぱり字幕を見ながら通して鑑賞すると頭に入りやすいですよね(^^)「ファウスト」はゲーテの原作からして100%キリスト教思想ベースですし、オペラだとかなり世俗寄りになってるんですけど色々理解し辛い部分はありますよね。

あ、ちなみにメフィストが必死になってマルガリータを堕落させようとするのは、仰る通り聖(信仰)の象徴としてのマルガリータを堕落させられるか、悪魔のトップであるメフィストが神に対して「悪」x「聖」のゲームを仕掛けているということらしいです。(メフィストの勝ちかと思いきや、結局最後は神の力で救われるので神の勝ち~)そして、
追い詰めておきながら、最後にファウストに「マルガリータと逃げろ」と助けようとする
のは、ファウストの生きている間はメフィストが僕になって全ての願いを叶える、という契約を交わしているからだと思います(その代り死後のファウストの魂はメフィストのもの)。

この辺の疑問点は、DVDをお持ちのROHのマクヴィカー演出で見ると結構納得できるかもしれません。苦手オペラはなかなか見る気になりませんが、ご贔屓さんのためにも挑戦してみてくださいね♪

投稿: Sardanapalus | 2012/01/21 10:51

娑羅さん:

ああ~~やはり、そーだったんですね^^;
まあ、西洋人の宿命と言えば宿命かも…
(私のゴヒイキさんも、出会った頃と比べると、なんとなくおでこが広くなったような気が(^_^;))

投稿: ヴァランシエンヌ(Valencienne) | 2012/01/21 20:12

サルダナさん:

いらっしゃいませ~^^
そして、色々ご教示ありがとうございます^^

>パーペのダンス

予想よりも短くて(^_^;) その点に関してはちょいと不満でした(笑)

>「ファウスト」はゲーテの原作からして100%キリスト教思想ベースですし、オペラだとかなり世俗寄りになってるんですけど色々理解し辛い部分はありますよね。

ああ~~やっぱりそうなのね(←今頃知る阿呆)
ゲーテの「ファウスト」が、なかなか日本人だと読みこなすのが困難だと言うのが、今更のようにわかったりして(もちろん私は未読です)

>ファウストの生きている間はメフィストが僕になって全ての願いを叶える、という契約を交わしているからだと思います(その代り死後のファウストの魂はメフィストのもの)

なるほどね!!
以前「炎の天使」の時にもサルダナさんには堕天使(ルシファー)と悪魔のこと等、色々と教えて頂いて、ちょっと理解できた気になったので、今回もありがとうございます(^^♪

んも~、単に悪魔と言っても、日本的な閻魔さまとかとは意味合いが全く違うんですよね。キリスト教圏での「悪魔」についても、また少しずつお勉強して行きたいと思います。

>DVD

はい。頭の中の道筋が出来上がりつつある今が、チャンスかもしれません(^_^;)

投稿: ヴァランシエンヌ(Valencienne) | 2012/01/21 20:23

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