121023 ローマン・トレーケル&原田英代 ドイツ・リートの夕べ
ささっと書いて、28日の東響とのジョイントコンサートへ向けて盛り上げるつもりだったんですが(^^ゞ
プログラムの前半はブラームスとシューベルト、後半がシューマンの「詩人の恋」でしたが、前半は予定されていた順番から「演奏者の強い希望により」変更されていました。最終的な曲順は以下の通りです。
(曲目の日本語訳はピアノの原田英代さんが解説&訳付なさった、当日のプログラムに準拠)
シューベルト:
音楽に寄す D547
夜曲 D672
タルタロスからの群れ D583
挨拶を送ろう D741
さすらい人が月に寄せて D870
ミューズの息子 D764
ブラームス:
五月の夜 op.43-2
愛の歌 op.71-5
永遠の愛について op.43-1
眠りの精(砂の小人)
そよがぬなま暖かい空気 op.57-8
昔の恋 op.72-1
わが女王よ、なんと君は op.32-9
セレナード(月は山の上に) op.106-1
-休憩-
シューマン:詩人の恋 op.48
ローマン・トレーケル バリトン(Roman Trekel, Bariton)
原田英代 ピアノ (Hideyo Harada, Piano)
2012年10月23日 浜離宮朝日ホール (Hamarikyu-Asahi Hall)
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前半の曲順、シューベルトとブラームスが入れ替わったことは、個人的にはウェルカム。
シューベルトの歌曲はちょっと苦手で、後になると集中力がそがれるような気がしてたので(笑)
ブラームスは全て、予習記事⇒⇒⇒ で初めて聴いたものばかりでしたが、予習の段階で、こちらの方がトレーケルの暗い音色の声質にマッチしている気がしましたので◎
特に予習段階では、いい音源が女声のものしか見つからなかった《眠りの精(砂の小人)Sandmannchen)》は、こりゃトレーケルで聴いたら素敵だろうなぁ~との読みはズバリ的中(^_-)-☆
子守唄は、女声の天使のようなソプラノ声で聴くのもいいのですが、
私は女性ですから(笑)
男声の絞った弱声を駆使して歌われると、ほわ~~ん、と、なります(#^.^#)
一曲終わるごとに、ピアノの原田さんとにっこり微笑み合い、穏やかに、緩やかに進む時間を、彼もかみしめているかのように見えました。
ところで、トレーケル×原田さんのリートリサイタルは今回で2度目ですが(前回は5年前)その時も彼のいでたちは、黒服のロングコートみたいな、チョウラン?(いわゆる燕尾服ではない)でしたが
今回も同じでした(昨日の東響コンサートでも同じだった)
さらに、ベルリン在住の方に伺ったところ、リートの時はいつもコレだそう、なんですが、パッと見にはね…こーいう感じなのよ(笑)
← ・・妖○人間ベ△。
これは、
声楽家としてはありえないほどの長身痩躯(単に背が高いだけじゃダメ。腹が出てる人はもってのほか)&小顔&スキンヘッド(髪の毛がふさふさだったら、様にならん)の個性的な風貌の彼だからこそ、出来る格好。
チョウランの下からも、まだ足があんなに余ってる~~と、歌声に耳を傾けつつ、そんなことを思っていた、フトドキモノです(笑)
(念のため、彼のスキンヘッドは、意図的にしているのではなく、自然の摂理…のようです。若いころは、こんな感じだった⇒⇒⇒)
…こほん。
余談はこの辺にしておいて、後半。
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「詩人の恋」と言えば、去年2月にトレーケルの盟友ルネ・パーペ(Bs)がトッパンホールで歌ってくれたこともあり、更にその時の収録音源を今年4月にNHKFMで再放送したのをちょこちょこ聴いていることもあって、絶好の聴き比べのチャンス。
考えてみれば日本にいながらにして、ベルリン国立歌劇場の主軸のお二人が、この2年間で「詩人の恋」のリサイタルを東京で開いてくれたのですから、なんとまあ贅沢なこと。
リンデン・ファンとしては、この上ない喜びです。
トレーケルの「詩人の恋」は既にCDも出てますし(私は未聴)リート歌手として定評の高い彼ですから、一定以上の水準は保証されているようなもの。
パーペが歌う時にも話題になったんですが、あの、めそめそしたハイネの甘ったるい詩を、どうやって歌うのよ?!ということが鑑賞の一つのポイントになるかと思います。
パーペの解釈も比較的ドライで(音域が下過ぎて重くなる印象を与えるというのは別として)胸にもたれない感が、とても良かったんですが、トレーケルの表現は、もっと厳しさを突きつめたもの。
甘さ、めそめそ、感傷などとは全く無縁、孤高の旅人が北ドイツの寒風吹きすさぶ荒野にさすらいながら、自分の心の傷と向き合うような感じの、厳しい解釈でした。
「冬の旅」の旅人の延長線上にあるという感じかな。。。
比べてみると、パーペの表現は色彩豊かなオペラ歌手、トレーケルはモノトーンの色合いのリート歌手、だと改めて思います。
前半では原田さんと顔を見合わせ、お互いの意思確認をするかのような笑みを交わしていたことに加え、
身体全体も感情を込めて、少し揺らし気味の体勢を取っていたのですが、
「詩人の恋」では、殆ど仁王立ち。直立不動で、眼光鋭く、じっと前を見つめる感じで、
原田さんも彼の意図を、彼の表情ではなく、歌声と彼の雰囲気から察知なさってました。
この作品の一つのキーポイントは、第7曲の「私は恨まない Ich grolle nicht」だと思います。調性も何気にユーモラスで、歌詞の内容とは裏腹に
「いや、アナタ絶対恨んでるデショ?^m^」
と突っ込みを入れたくなるような曲で、とても好きなんですが;
この曲でさえ、彼の厳しさは徹底していて。有無を言わさず
「絶っっっ対に恨まない」と言い切るかのような感じ。
パーペのこの曲には、声質の明るさも相まって(音域は低いけど)少年っぽさも感じられるのですが、彼の表現は確かに大人の男性の凛とした、強固な意志の強さを感じさせるものでした。
そして全曲の白眉は、弱音のアカペラで始まる「私は夢の中で泣いた Ich hab' im Traum geweinet」だったと思います。
彼の絞った弱音は本当に美しく、これを生かす曲に於いては本当に、当代随一のバリトンじゃないかとさえ思うんですが、涙の音が、ぽちゃんと響いて聴こえるかのような呼吸と、間の取り方が素晴らしかった。
会場全体が彼の弱音に、全神経を集中させて聴き入っているのがわかりました。これを聴けたのが、この夜の一番の幸せ。東京でリサイタルを開いて下さってありがとう…と、しみじみ思いました。
アンコールは「歌の翼に」とシューベルトの「セレナーデ」。
セレナーデの前に携帯?アラーム?ちょっと「リンリン♪」みたいな音が響いたのですが、彼はにっこり首をかしげながら「ん?!」みたいな感じで、ご愛嬌
恐らく、8時50分終演予定だったので、その時間に合わせてアラームつけてた人がいたのではないかと(^_^;)
去年、新国の「コジ」では精彩を欠いていたし、その後調子を崩していらして、暫く休養もされていたようですが、このような小ぶりのホールのリサイタルで聴く分には充分、復活なさった…と思います。
もともと声量のある方ではないので、今後もこのような活動を中心になさるのでは?と思いますが、
次にオペラで聴いてみたいのは昨年リンデン(シラー劇場)でも歌った「ヴォツェック」と、数年前に歌った「エフゲニー・オネーギン」。
どちらもニヒリスティックで暗い、彼の声質にマッチしてると思うので。。。
あと、変わりどころとして?!今年バーデン・バーデンで上演された
「愛の妙薬」がBSプレミアムにて(11月12日(月)【11日(日)深夜】午前0時~午前4時)
放送されます。
こちらではうって変わって、ユーモラスにハジケたベルコーレを見ることができるかと、思います(^_-)-☆
(素の彼は大変、面白いかただそうですヨ^^)
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長くなりついでに、当日のこのリサイタル関連&付随事項のツィートも貼りつけておきます。
- すんごい変な天気。夜、築地に行く予定だけど大丈夫かしらん。お寿司でも食べてから、コンサートへ行こうかと目論んでいるのだけど(違^^;) posted at 10:32:31
- @tukinohone1 ヴォルフラムを実演で聴いていらっしゃるのですか。それは羨ましいです。昨年は調子を崩してらしたので、恐らく新国コジの時は絶不調だったと思います。小さいホールでのリートが一番彼の良い面が堪能出来ると思いますので、どの程度復調なさってるか、楽しみですね! posted at 11:24:26
- クラシック・ニュース ピアノ:原田英代 名バリトン:トレーケルと!: http://t.co/GzA7CyUJ 良いピアニストと組める歌手は本当に幸せだと思う。パーペ&ラディケは「阿吽の呼吸」が素晴らしかった。原田さんとトレーケルも同じような空気を運んでくれることを祈りつつ。 posted at 11:38:08
- 大江戸線って、築地に行く為には新宿西口駅からだと、都庁前で乗り換えの必要があるのかw(°0°)w 帰りは間違えないで新宿で降りないと(@_@;) posted at 18:01:34
- しかも都庁前で降りてから階段登って別のホームに行かなきゃならんのね。 …おまけに「六本木方面」だなんて、なんて曖昧な行き先表示なのっ(?_?) これでホントに合ってるんだろーか…不安だ(@_@;) posted at 18:12:29
- 5年前に来た時のことなんぞすっかり忘れていたので、けっこう難儀したけど、なんとかたどり着いた。年配率高い… posted at 18:50:58
- トレーケル@浜離宮終了。前半のシューベルトとブラームスは当初の予定から変更されてたので、慌ててプログラムを確認。以前よりさらに痩せた?顔が一回り小さくなった気が。弱音までしっかり聞こえたので、とりあえず安心。 posted at 21:54:37
- 山奥まで帰らないとイケナイ身の上故、余韻もそこそこにアンコール済んだらダッシュなんて情緒の薄いことなんか、本当はしたくなかったのになあ(;^_^A 検証のため御大の詩人の恋を聴きつつ、なんとか予定より一本早い特急に乗れてホッ。続きは近日中にブログにまとめます〜 posted at 22:10:40
- やっと家に着いた〜(≧∇≦)何で隣の県なのに2時間以上かかるの( ̄▽ ̄) しかも電車、こんな時間でも結構混んでた。みんな体力あるね〜とりあえず早くお風呂に入ってあったまってくる! posted at 23:15:26
- @tukinohone1 やっと帰宅しました。ブログへのコメントもありがとうございます。どうなさったかと案じてましたが開演に間に合って良かったですね。そうか、原田さんのファンの方が多かったんですかね。パーペの時とは明らかに客層が違って面白かったですw またブログに書きますねー。 posted at 23:24:59
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コメント
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トレーケルさんのリサイタルご鑑賞記、楽しみにお待ちしておりました!
リサイタル当日、帰宅後少し酔っぱらいの状態で(笑)予習音源リストのところにコメントさせて頂き、後からアヤシイ変換間違いに気づいてかなり焦りました(^-^;
こちらで改めてお詫びさせてくださいませ。
トレーケルさんのステージ衣装、実は少しびっくりしたのですけど(歌ってると暑そう…)以前のリサイタルでも東響のコンサートでも同じお衣装なんですね。
確かに彼の身長とスリムな体型だからこそ着こなせるスタイルかも。
オペラでは、ヴォルフラム、グンター、クルヴェナル、ドン・アルフォンソと聴きましたが、私はリサイタルは初めてです。
繊細な声質が魅力的と思ってましたが、浜離宮ホール程度の大きさのホールだとかなり力強く迫力ある声なのに驚きました。
そしてヴァランシエンヌさまの仰る通り、弱音の響きの美しさ、素敵でした!
あのppの響きは大きなオペラハウスではじっくり味わうのは難しいかも?
雨の中、週の前半に苦労して聴きに行ったのが十二分に報われたコンサートでした。
投稿: Ree | 2012/10/29 20:51
トレーケル、わたしも行きたかったです!!
お衣装ですが、昨年のメトロポリタンオペラの来日公演とコジがかぶっていたせいか、来日公演を見にいらしてたトレーケル、やっぱりおなじようなコート?のような
黒っぽい、迫力の衣装でした。前方のまんなかへんの席にお座りで、すっごくインパクトありましたよー!
投稿: amanamour | 2012/10/30 20:44
Reeさん:
お返事遅くなってすみません。28日のサントリーホールと、両方聴いた人は少ないかもしれませんが、やはりリートの方が宜しいかと思いました。
仰る通り、あの程度の大きさのホールだと、迫力もありますものね。
しかしやっぱり、私は彼の弱音が好きなのです。
オペラだとReeさんがお聴きになられている中で魅力的(と思われる)なのは、ヴォルフラムでしょうか。【夕星の歌】は、弱音が美しくないと良さが半減してしまいますし、役柄的にも高潔な感じで良い◎と思います。
とにかく、山奥で暮らしているもので(笑)都内のコンサートホールへ出向くのに、乗り継ぎを含めると片道二時間以上かかるものですから、夜の公演には滅多に出かけないのですが、これは行っておいて本当に良かった、と思いました。
Reeさんはオケ物、歌ものに関わらず、色々幅広く出かけていらっしゃいますし、また面白そうなコンサートがあれば、是非ツィートして下さいませ(^_-)-☆
ツィッター始めてから、展覧会やコンサートの情報が格段に入手しやすくなり、出かけてみようと思うことも増えてきたので、宜しくお願いします。
投稿: ヴァランシエンヌ | 2012/10/31 21:26
amanamourさん:
お久しぶりです~~! お元気でしたか??
>来日公演を見にいらしてたトレーケル、やっぱりおなじようなコート?のような
黒っぽい、迫力の衣装でした。
えっ∑(゚∇゚|||)
なんと・・・・・!舞台の為だけの用途ではなかったんですねw
では彼は、来日時のお衣装は、どこへ出かけるにも全てアレで賄っているということ…でしょうか?^^;
それは、荷物削減に繋がりますな~~( ̄ー ̄)ニヤリ
投稿: ヴァランシエンヌ | 2012/10/31 21:30