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130112 ばらの騎士@コーミッシェオパー・ベルリン:★★★★

★チケットはネットで購入、セルフプリントOKです。うっかり間違えてボックスオフィス引きとりを指定してしまったのですが、メールで問い合わせたところ、後からのセルフプリントへの変更はできません、とのこと。
開演前にAbend Kasse(英語だとevening box office)にて引きとって下さい、との指示がありました。ウンターデンリンデン通りに面したボックスオフィスで、朝11:00頃から引きとりが出来ます)

この日、ベルリンドイツオペラでは今シーズンプレミエの【パルジファル】を上演。
パルジファルは一度も実演に接したことがないな、とも思ったのですが、
コーミッシェオパーの【ばら】は、2006年プレミエで、当時大変に話題になったアンドレアス・ホモキの演出。機会があれば観ておきたい…と、ずっと願っていた演出だったので、こちらを選びました。

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ベルリンには3つのオペラハウスがあります。
ここコーミッシェオパーは、ウンターデンリンデンのブランデンブルグ門からもさほど遠くない位置にあり、ロケーションも悪くありませんが、

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出演歌手の知名度があまり高くなかったり、演出がちょいと?!過激だったり、
今でも独語上演を続けていることも手伝ってか、
オペラ好きの人たちの間でも、ここはあまり話題に上ることがなく、

現在は国立歌劇場がベルリンドイツオペラと近い西側に引っ越ししていることもあり、東のコーミッシェオパーへは、我が家も足を運ぶ機会が減ってしまいました。

しかし、この日はこちらを選んで良かった。もちろん【パルジファル】に行っていれば、恐らく【パルジファル】観て良かったね・・・と言ってたと思うのですが。

アンドレアス・ホモキの演出には縁があるのか、2002年ミュンヘンでの【アラベラ】
2005年ここコーミッシェオパーでの【メリー・ウィドゥ】
そして2010年には新国立劇場での【フィガロの結婚】に引き続き、4回目です。

彼の舞台の特徴は、登場人物の一人走って違う方向へ向かって行くと、その他大勢の人々も、わ~~~っと後を追って走って行く、コントのような人の動かし方と、
斜め舞台・・・【アラベラ】と【メリー・ウィドゥ】の時は、舞台に置いてある家具や装置そのものが斜めに刺さって、色彩もポップで、シュールレアリスティックな感じでしたが、

【フィガロ】とこの【ばら】では、舞台の上の白い箱(劇中劇っぽい雰囲気が、ここからして伺い知れます)が、時間の経過とともに、どんどん斜めに傾いて行く…という手法。色彩もモノトーンです。

6
(新国フィガロ:2010年)


130113-02
(少し違うけど、でも似てるよね)

どちらもまるで、おもちゃ箱の中で皆さんが歌い演じている・・・というような雰囲気になってます。

歌手陣が皆さん、びっくりするほど良く、特にオックス男爵のJens Larsenは声も身体も大きく(2m以上あるんじゃない?!というほど、でかかった^^;)斜めの舞台を走ったり、大暴れしたりと大活躍。でも不思議とどこかに上品な感じすら漂わせていて(これ、オックスには重要よ)
今まで実演で見たオックスの中では、一番良かったと思います。

そして、マルシャリンのJohanni van Oostrum! 若々しく、マルシャリンとしては少し細すぎる声かも、なんですけど
ものすごく歌を丁寧に歌っていて、フレーズの一つ一つがはっきり聴こえ、とても好感が持てました。声量が足りない人でも、このようにして歌えば、決して聴き劣りしないんだ…と感じました。

「ばらの騎士」という作品は、上演回数も多いですし、やる時にはどの劇場でも、全身全霊を捧げて演奏する!という気合が入るのか、
これまで実演で見た演奏は、どれも「酷い^^;」ということは一度もなく、今回もオケも指揮もキレがあって心地良く、皆さん一生懸命やっている!というのがよく伝わって来たんですが、
やはり連日連夜、時差ぼけと戦いながらのオペラ鑑賞はきつく・・・どうしても睡魔が襲ってくる時がありました。
どんなに良い演奏でも、疲れと生理現象には勝てない、と思った晩でもあります。

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この演出は、最後にヒネリがあります。通常、女声3重唱が終わり、マルシャリンが退場した後、舞台上には若い二人が残り、甘美な二重唱をきかせますが;
舞台上に残るのは、ひとりぼっちになったマルシャリン。舞台裏から二人の二重唱が聴こえてくると、彼女は取り乱して頭をかきむしり、
着ていたロココ風のドレスを脱ぎ、くるくるカールの鬘も取ってスリップ一枚になり、呆然と座り込みます。

そして、通常では召使いの男の子が、ゾフィーの残したハンカチを拾いにやってきますが、ここでは、よろよろと立ちあがったマルシャリンが、部屋の片隅に落ちていたウィーンの「ばら」の入った箱を手に取り、それを、召使いが奪って行く・・・という、なんともキツイ、苦いラスト。

マルシャリンにはまだ若さを残した役作りが好きで、それは「諦念」なんていう概念なんて、あり得ないから・・・と私は考えているんですが
(この記事⇒⇒⇒から、古い「ばら」の鑑賞記に色々辿って行けます)

そんな私にとって、目の前の現実を突きつけられたこのラストは、胸の奥に猛烈な痛みを残しました。演じていたオーストラム(と読むのかな?)の役作りが、若奥様風だったので、尚更痛々しくて。

ドレスを脱ぎ、鬘を取った瞬間に「諦念」という概念を外して、素のマルシャリンに戻ったのかな・・なんて、考えました。

たとえ演奏中、半分ぐらいうつらうつらしていても、このラストだけでも見る価値が充分あると思います。
そして面白いことに、オットは私とは、全く逆の感想を、このラストに抱いたそうで。
男と女、鑑賞の仕方、見方の違いはこんなにあるのね^^;
ということで、彼の考えもご紹介しておきます。

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薔薇の最後の二重唱の美しさは、若さの残酷さを忘れさせます。なぜなら観客にマルシャリンへの同情心さえわすれさせてしまうからです。観客は若い二人に感情移入してマルシャリンを忘れます。その状態こそ若い二人の心理そのものだから。

なので、彼女に頭をかきむしらせて、舞台裏から二重唱であざ笑う、という、マルシャリンのリアルな感情を反映させるのは、ヤボだと思う。そうした演出の可能性を追求してみたい気持ちは分からないでもないけれど。

薔薇の騎士の終わり方は卓越しています。その仕上がりを壊してしまっては不満が残ります。
所詮はオペラです。最後はお客さんにいい気分で帰ってもらうのが洗練された芸術家です。その代表がR.シュトラウス。

リアルな感情表現でもよいけど、加害者になりたくありません。若い二人は加害者だけれども、それを忘れるくらい若さの快楽があるんです。
二重唱は若さの快楽です。観客も二人と一体になって老いを忘れます。
心の底に罪の意識を感じながら、この快楽でそれを忘れる。そこが醍醐味ではないでしょうか。加害者意識をマヒさせるのが二重唱の役割です。

ばらの騎士は苦いオペラだけれど、最後は苦さを忘れさせて終わります。その忘れさせ方が卓越しているのです。罪の意識を背後にした強い快楽を構成するのは、最上の技術。文学作品でもそれを上手に扱った物があります。

罪の意識のみを拡大するのもありだと思いますが、技術的にやや幼稚だと思います。そう言った意味でこの演出家は、決して悪い意味では無く、精神的に若い。

シュトラウスもホフマンスタールも多分、経験豊富な芸術家で、ありとあらゆる方法を駆使できる人たちだったんでしょう。その人たちがあの終わり方を作り出した。老いに苦しむ結末を見ても未熟で幼稚にしか見えないでしょう。

しかし、老練な芸術家、永遠に幼稚な芸術家、どちらも存在して、どちらが貴重という訳には行きません。下手でも価値はある場合が多々あります。そういった意味で、これは種類の違いであって優劣ではありません。

マルシャリンが去った後のオーケストラのフォルテは、邪魔者は去ったこれからは若いものだけの快楽の時間だという悪魔の叫びに聞こえます。それも力づくなので抵抗できない。その後に麻酔のようなあの二重唱。終わると召使がハンカチを拾いに来てやっと現実に引き戻される。

こんな仕掛けが仕上げの完璧な作りで出来上がっている。感嘆するしかないです。
この部分を無視するのは、随分度胸のある演出家だと自分は思います。


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終演後は、出口でお客さんに、こんなチョコレート↓も配布していました(^^)v
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思うことに違いはあれども、(初演からも既に6年以上経過していますけど)演出家も含めて、演奏者の白熱した熱気を十二分に感じられ
チョコレートまで頂いて:P 劇場側の一生懸命さが伝わってきた、心にズシンと響く公演だった…という点では一致。

やっぱり、この「ばら」を選んで、正解だったね・・・と話しながら、ホテルまで戻りました。

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Der Rosenkavalier@Komische Oper Berlin ★★★★
2013年1月12日 2F左寄りのLoge1列目で鑑賞

Musikalische Leitung : Henrik Nánási
Inszenierung : Andreas Homoki

BESETZUNG
Die Feldmarschallin Fürstin Werdenberg : Johanni van Oostrum
Der Baron Ochs auf Lerchenau : Jens Larsen

Octavian : Karolina Gumos
Herr von Faninal : Tom Erik Lie
Sophie : Maureen McKay
Valzacchi : Christoph Späth
Annina : Caren van Oijen
Ein Polizeikommissar : Hans-Peter Scheidegger
Der Haushofmeister bei der Feldmarschallin / Der Haushofmeister bei Faninal : Peter Renz
Ein Notar : Hans-Martin Nau
Ein Wirt : Stephan Spiewok
Ein Sänger : Timothy Richards
Modistin : Ariana Strahl
Jungfer Marianne Leitmetzerin : Mirka Wagner

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