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チャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』 作品概要

今回、トリノ・レッジョ劇場で見てきたのは、チャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」。
これは今年の2月にROHで上演された、カスパー・ホルテンの新演出のものと同じ演出でした。

舞台写真はこちら⇒⇒⇒

感想を書く前に、自分のこの作品に対する考え方をまず、明らかにしておきたい・・・と思って、
そういえば昔のHPに「オネーギン」について、まとめたページを作ったことがあったはず・・・と思い出し、引っ張り出してきました。

書いたのが8年ぐらい前ですので、なにぶん私も、まだ若かった(笑)
アメリカで駐在妻をしていた頃ですね・・・
でも、作品に対する私の基本的な考え方は、当時と変わってませんので、
感想を書く前に、こちらを上げておきます。

<作品概要>

オペラを聴き始めた頃から、ものすごく「気になる」作品でした。理由は・・

『内気な少女が、都会風インテリの男性に一目惚れするものの、あっけなく振られる。彼女はその後、地位も名誉もある裕福な年上の男性と結婚し、ある日昔好きだった男に再会。今度は男の方がアプローチ。でも彼女は今の生活を守る・・と、彼の申し出を拒絶する』

このシチュエーションに、密かに自分を重ねてみたくなりませんか?^^;思い当たるフシのある女性、実は結構多いのでは?^^?と思います(^o^ゞ

ロシアの文豪・アレクサンドル・プーシキンの小説を題材としたこのオペラの主人公は、タイトルロールのエフゲニー・オネーギンではなく、彼を愛したタチヤーナこそ真の主役だという解説は多いですし、確かに表面的にはそうかもしれません。物語を説明するのには、その方がわかりやすいですし、胸をときめかせながら男性に初めてラブレターを書く・・などのタチヤーナの行為には、比較的容易に感情移入ができます。

でも本当は、この物語の恋愛部分は、隠れたスパイスに過ぎないと思います。。
オネーギンにとってのタチヤーナは、若さの象徴であり、タチヤーナが自分から去ったことによって、彼は『永遠に失うはずのない若さ』を失った・・と考えるのが本筋でしょう。

何をやっても退屈で(舞踏会へ行っても『あーー退屈だぁーー;』って歌ってばかりですものね^^;だったら行かなきゃいいんでしょうけど、そういうわけにもいかなかったのでしょう・・;)
自信過剰だった若き日の彼は、『簡単に手に入るはずの』タチヤーナを振り、親友レンスキーをからかい、彼を死に追いやってしまいます。その後、半ば自暴自棄状態で旅に出ますよね。でも戻ってきても、彼はちっとも成長してないって思いませんか?

グレーミン公爵の妻自慢アリアも、歌詞をよぉっく読んでみると『単なるオヤジのノロケ』ではなく、

傍若無人な若さは永遠に続くものではないのだよ・・君もいい加減大人になったらどうだね・・

という、オネーギンに対するお説教になっているかと思います。

終盤にはきっと、オネーギンは真綿で首を締め付けられるような気持ちになっているはずです^^;
それは単純に、昔馴染みの女性に振られた、いわゆる『遅すぎた恋』に対する後悔の念だけではなく、彼女に象徴される『若さ』をも失ったことによる自責の念の方がより強いと私は思います。

でも勿論、単純に『遅すぎた恋愛』のシチュエーションに、自分自身を重ねて?鑑賞するのも、アリでしょう!^^!

バレエ音楽やポロネーズなどの、いかにもロシア~~っ!という感じの、舞踏音楽がふんだんに使われています。そしてチャイコフスキー独特の抒情性もたっぷり堪能できると思います。

言葉の問題がある為に(特に)ドイツ語圏では長年ドイツ語上演が主流だったと思いますが(今でもそのように上演されている所も多いと思います)出来ればやっぱり、わかんなくってもロシア語で聴きたいし、ロシア系のオケやキャストで、近年魅力的な映像が出てきたのは嬉しい限りです。

そして、国際的に知名度の高い非ロシア系歌手が、必ずしもいい演奏を聴かせてくれる・・というわけではないのが、この作品の不思議な魅力でもあるかと思います。ロシア系若しくはスラブ系キャストには(言語面でも勿論そうですが、役への踏み込み方や演技面なども含めて)かなわない・・のではないかと思ってます。

いずれにせよ、最近の映像でやっとこの作品の良さがわかってきたような気がしますので、一度良い実演に当たってみたいですね・・できればロシア系キャストで(*^_^*)


<作品理解への手助けとなるもの>

・プーシキンの原作(岩波文庫をはじめ、翻訳が数点出版されています)を読んでみると、隠された部分が色々わかって面白いのではないか・・と思います。
残念ながら、私は未読です。機会を見つけて是非・・と思っています。

・2000年頃公開された『オネーギンの恋文』(原題:Onegin マーサ・ファインズ監督、リヴ・タイラーがタチヤーナ役)という映画があります。これは、先述のプーシキンの小説を映画化したもので、オペラにはない部分(レンスキーの死後、オリガは姉のタチヤーナよりも先に別の男性と結婚する箇所など)も入っています。
但し、映画の中で使っている音楽はチャイコフスキーのものではなかったように記憶しています。私はオペラを見る前に、レンタルDVDで一度だけこの映画を見たのですが、なかなか印象的でした。筋を理解するのにはもってこいだと思います。


<個人的お気に入り場面>

・序曲(正確にはこの作品の場合『導入曲』と呼ばれているそうです・・by『スタンダード・オペラ鑑賞ブック【5】』)物悲しい感じがいいですねぇ(#^.^#)

・何と言ってもタチヤーナのアリア『手紙の場』でしょう。ドラマティックに歌われる方が私は好きです。歌詞もとっても美しいと思うし、多くの人は同じように感じたことは一度や二度はあるんじゃない・・かしら?^^;

・二幕のレンスキーのアリア。これも歌詞、メロディ共に美しいです。死を予感した若者のセンチメンタルさがよく現れていると思います。

・映像で観る時には、決闘の場面も見ごたえがあって好きです。

・グレーミン公爵の妻自慢^^;は、結構繰り返しも多くって、とりたてて好きではないのですが・・「いつまでもこの声を聴かせて欲しい!」と感じるような、バスの美声で聴いてみたい・・です(^o^ゞ
要するに某若手ロシア人バス歌手の今後に期待しているってわけですf(^-^;) (←8年経って、その願いを叶えたというわけですなw)

・終盤のオネーギンvsタチヤーナの応酬。最後は劇的なカタルシスを味わいたいものです・・この幕切れ部分、『カヴァレリア・ルスティカーナ』にちょっと似ているわ~~と思うのですが・・

・全編を通じてふんだんに使われる、バレエ音楽や民族舞踏音楽も、ロシア音楽の醍醐味を感じさせてくれるような演奏だと、本当に素敵!って思います。


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