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140122 カルメン@新国立劇場

2回目の公演を見てきました。

最初に断っておきます。私はこの演出の初演時(2007年)には6回全ての公演を見に行きテレビ放送も浴びるほど見て、さらに2010年の再演時にも一度足を運んでいます。一つのプロダクションを、実演を含めてこれだけじっくり見ているものは、市販されているソフトは別としても、他にありません。私にとっては最もなじみ深いプロダクションと言っても過言ではないと思います。



今回、良いと仰っている方の方が多い公演です。でも私には非常にストレスの溜まる公演でした。

もしかしたら、この日は低調…で、残り3回の公演は化けるかもしれないという期待を込めて、あえて厳しく言ってしまいますが、



いつまでダラダラやってるの!!どうしてここでこういうテンポになるの?何故ここでこんなにズレるの?と感じた箇所が、残念ながらたくさんありました。



時間の長さの感じ方って、物理的に長い短い、だけではなく、その時の状況、体調、心理状態にも寄る所大だと思うんですけど、

とにかくカルメンが、こんなにだらだらと長く感じたのは初めて。

おまけに(前はなかった)幕ごとのカーテンコールまでご丁寧にあったもんですから、ものすっごく、長く感じました。

初日の公演はかなりテンポが良かったとのことで、サクサク進む…のかと思いきや、

序曲でアレ?????

もう少し抑揚つけて欲しいな〜〜でも私も疲れているしな(このところプライベートで忙しく、この日も午前中走り回った挙げ句、開演ギリギリになんとか辿り着いたという状況)…と思っていたら、



なんとまあ、これまでどんな時でも、絶大なる信頼を寄せていた新国の合唱団まで、なんだかバラバラで、合ってない?!

これはどうしたことかと思っているうちに「ハバネラ」…

えー?こんなにゆっくりだっけ・・・これじゃ、寝ちゃうよーー;



私はカルメンの歌の中では「ハバネラ」よりも、カルメンがホセを誘惑する「セギディーリャ」と2幕の酒場の場面の導入部が好きで、この曲を私好みに歌ってくれるかどうかで、好きなカルメンを推し量っているんですけど、

今回がロールデビュー、期待のケテワン・ケモクリーゼ嬢、噂に違わず美人なんだけど…

(「ハバネラ」が始まった途端、周囲の男性陣が一斉に双眼鏡でガン見を始めたのが可笑しかった・笑)



スカラ座来日公演の「リゴレット」のマッダレーナのTV放送でも、声が細いな・・・これでカルメン、大丈夫なのかな・・・?と思ってたんですが、肝心のところで聞こえてこない。それが好きな部分だったりすると、ものすごいストレスを感じるのです。



くるっと回りながらドレスの裾をたくし上げて、美しいおみ足を惜しげもなく晒してくれるのも、何度も続くともういいよ…またそれで誘惑するの?って思っちゃう。ホセは誘惑できるかもしれないけど、観客はそういう方法だけでは誘惑できないでしょう。やっぱり歌手なんだし、オペラを聴きに劇場に来ている以上、歌で聴かせて欲しい。



2幕の最後、ホセが密輸団に合流して自由を謳歌する合唱とカルメン&ホセの声が絡まり合うところ、初演時にはこの演出の白眉とも言える秀逸な場面でしたが、回を重ねるごとに簡略化され…今回も「お姫様抱っこ」はなし。最後のカルメンの一音も上げてくれなかったので、カタルシスが感じられず。。。



あと、彼女は小柄で華奢故、日本人に混じっても体格差を感じさせない…つまり、遠目で見ていると埋没してしまって、カルメンがどこにいるのか、すぐにはわからないのもちょっと残念(これはドン・ホセも同様)

やはり、出てきただけで空気感がさっと変わるとか、いるだけで雰囲気が変わるとか、そういうカリスマ性みたいなのも欲しいんですが、残念ながらまだそこまで至ってないな…と思いました。



姿も雰囲気も、ボローニャの来日公演の時のキューバ・カルメンで頑張っていた、同じグルジア出身のニーノ・スルグラーゼとよく似ているので、もしかしたらあのような個性的なプロダクションの方が、彼女には合っているかもしれません。

新国のオーソドックスなプロダクションは、歌手の裁量に任せられているような感じですから、それゆえ「自分のカルメン像」のビジョンがしっかり根付かないうちだと、逆に難しいのかも…と思いました。衣装もこの手の古風なものより、ワンピースなどの現代的な方がいいかも。







ドン・ホセのガストン・リベロは年末にシラー劇場の「トロヴァトーレ」のマンリーコの代役に立った若手。ホセにはどこか抜けているような、あっけらかんとした、空気読めない感じが欲しいので(メソメソしたりとか、目つきが深刻なのは勘弁してほしい)その点では及第点。

でもホセやマンリーコは、まだちょっと早いような気が。彼もやはり「役を自分の手中に収めている」という所にはまだ到達していない感じで、最後の懇願シーンなども、ぼーっと立っているだけに見えてしまって、緊迫感が伝わって来ない。



いいものを持ってはいると思うので、個人的には今はまだロドルフォとか、ロメオ等もう少しリリックな感じの方が、いいんじゃないかなあ?と思いました。

(彼、公演の合間を縫って、宮城県名取市で震災復興の支援コンサートも開くそうです。そういう心遣いは嬉しいですね)



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歌手で一番安定していたのは、エスカミーリョのドミトリー・ウリアノフ。

まー、この演出では、エスカミーリョがどこから出てきてどういう動きをするのか、ということは、基本的に頭に入ってますから:P

もう、トレアドールの直前の「エスカミーリョが来たよ!」という、あの音楽を聴いただけで条件反射的にときめくの(´∀`)♡



おまけにウリ様をしっかり観察せねば!のミッションに燃えていた故、ウリ様が出る度、双眼鏡でガン見していた私…あらやだ、ウリ様のファンだと周囲の方には思われていたかも:P







ウリ様、どっしりなさっているのはお姿だけではなく、声もどっしりのバスカミーリョで、初演時のエスカミーリョの動き、けっこう研究したね…と思われるふしが。

だってだって。アレやってくれたのよ、アレ。机の上からのジャンプ(笑)



これは初演時のエスカミーリョ、アレクサンドル・ヴィノグラードフの専売特許ともいうべき技

(というほどでもないんですがトレアドールの【牛をしとめるぞ!】ってところを歌う時に、その場にある机、もしくは椅子の上等、高いところから飛び降りる。本人曰く「エスカミーリョの勇ましさを表している」らしい^^;)

で、これまで他の歌手がやっているのを見たことがなかったんですが(ありそうでないんですよねえ〜〜意外と)

ウリ様が、大きな身体をちょこんと揺らしながら、かわいくジャンプした時に「よし合格!!!!!」とヴァラリン、太鼓判押しちゃいました。も〜、時々ちょっと音程とリズム感が怪しかったりしても許しちゃうわ。



それに彼、メイクすると素顔よりもうんといい男…というか、男気に溢れた精悍な感じに見えるんですよね。ちょっとイルダール・アブドラザコフに似てるかも…と、双眼鏡越しに覗きながら思ってました。



ホセとの決闘は、一歩間違うと!どすこい!の世界になりそうなところでしたが^^; 決定的にヴィノグラードフ・エスカミーリョと違った動きが、決闘の後立ち去る前&4幕のカルメンとの二重唱のところで、カルメンにちゅー(´ε` )♡したこと(どこ見てるの^^;;;;;)。

(これ、2回目のエスカミーリョ、ジョン・ウェーグナーはしてました)



ヴィノグラードフの初期の頃のエスカミーリョって、惚れた女に簡単には触れないんだ…的なストイック感ありありで、そーいうことをしないところもすっごく好きだったのよねえ。ま、最近はしてるみたいですけど:P いいの、それはそれで(笑)



…こほん。

それはさておき、ツィッタでも軽くつぶやいたんですが、ウリ様、意外にもこの4幕のどピンクのお衣装が一番似合ってました。歴代(ったって、3人だけど)のエスカミーリョの中でも一番似合ってたかも。





思うに、4幕ではお帽子も被るので、少し広くなっていらっしゃる額がカバーされていたこと、それに、ピンクのマントでうまくお腹を隠していらっしゃったので、それまで黒スーツでは、ちょっと目立っていたお腹も気にならなかったことが要因かと。



あのピンクの衣装、ある程度身体に厚みがある方が似合うんだわ〜〜ということを、今日初めて悟りました。当時ヴィノグラードフは今よりもうんと痩せていて、蚊トンボみたいとか言われていたので、男らしく着こなしているというよりも、可愛いかんじが否めなかったですし。

でも今回のウリ様は、立派な大人の男気に溢れていました。







歌は…やっぱりスタイル的に合ってないかな?と思う所もあったり(でもこれはウリ様のせいではなく、だらだらした指揮のせいだと思う)しましたが、それは同じロシアンシンガーのヴィノグラードフも同様。

ここは一つ、やっぱり シ ョ ス タ コ 1 3 番 でガチンコ勝負させたいわ…と思ったり。へへへ。



こういう脳内比較もけっこう楽しかったので、終わった時にはもう「いつまでやってるの!!!」というくらいのスローテンポにイラッとしたところも多々ありますが、書いてみるとそれなりに楽しんでいた…のかもφ( ̄ー ̄ )ノ



でもやっぱり、たとえ一番のお目当てがエスカミーリョで劇場へ行ったときでも、カルメンとホセが主役ですから、二人に説得力がなければ上演としては片手落ちだと思うのです。今回の二人には、残り3回の公演、もう少し頑張って欲しいです。



それと、群衆、密輸団、酒場の人たち等の合唱団の動きも(今、久々に初演時の録画を流して確認してますが)明らかに雑というか、

なんか所在無さげにしている…かと思いきや「トレアドール」の直前で、酒場の人たちからぴーぴー!きゃー!な歓声が入るところなんかは、異様にテンションが高いというか、騒げばいいだろ!的な部分もあったり。



新国の再演時にはリハーサルの期間が短くなってしまいますから、そのようなことも影響しているのかもしれません。いくらオーソドックスな演出とはいえ、基本的な動きすらまとめる人がいなかったのでは?と思うぐらい雑然としていて、その場しのぎ的な動きが見られたのは本当に残念でした。



これを書く為に、過去二回のデータと見比べていて初めて気がついたんですが、前回、前々回は東フィル、今回は東京交響楽団がピットに入ってたんですね。なんだか今までと違って聞こえたのは、指揮のせいだけじゃなく、オケも影響しているのかしら???



(一応貼っておく。初代カルメン、フェミニンな魅力で私の心を鷲掴みにしたマリア・ホセ・モンティエル&初代エスカミーリョ、まだ蚊トンボ時代のアレクサンドル・ヴィノグラードフ(ノ´ー`)ノ)


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ところでこの日は着物率が異様に高く、また男子学生さんもたくさんいらっしゃって、なんとなくいつもの平日昼公演とは違う雰囲気だわ…と思っていたら、こういうこと↓だったらしいです。なるほどね♪


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2014年1月22日 カルメン@新国立劇場 (★★)

2階上手後方で鑑賞



アイナルス・ルビキス(指揮)

鵜山 仁(演出)

ガストン・リベロ(ドン・ホセ)

浜田理恵(ミカエラ)

ケテワン・ケモクリーゼ(カルメン)

ドミトリー・ウリアノフ(エスカミーリョ)

東京交響楽団

新国立劇場合唱団、TOKYO FM 少年合唱団




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【過去のカルメンレポート】

2007年11月〜12月 このプロダクションの初演時6回全ての鑑賞記+TV放送のレポ

2010年6月 再演時

2011年9月 ボローニャ来日公演

2013年1月 ベルリンドイツオペラ(現地鑑賞)

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