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140211 ショスタコーヴィチ交響曲第13番【バビ・ヤール】@オーケストラ・ダスビダーニャ

ショスタコーヴィチの交響曲の中でも演奏されることが滅多にない13番。何故か今シーズン東京では、昨年11月末の都響での演奏会を初め、ほぼ二ヶ月に一度の割合で演奏されるという、13番の大当たりシーズンとなっております。

13番愛好家としては嬉しい限り…ですが、都響の時は、平日夜公演ということで二の足を踏んだのですが、今回(と4月の新日フィル)は昼間の公演とのことで、ほぼ片道2時間、まだ雪が残る中、すみだトリフォニーホールへ足を運んで参りました。



ダスビダーニャ・オーケストラ(通称ダスビ)は、「ショスタコーヴィチしか演奏しないアマオケ」ということらしい…と都響で13番が演奏された後にツィッターで流れていたのを見て「へえ〜そんなアマオケがあるのね」と、その時初めてその存在を知りました。13番が演奏されるのは、16年前に続いて、今回が2度目とのことです。


抱き合わせで演奏されたのは、映画「女ひとり」の音楽による組曲からの抜粋でした。これは初めて聴いたんですけど、ま〜〜大音量で鳴らすこと鳴らすこと^^;

ダスビの演奏会に過去も足を運んでいらっしゃる方のお話に寄れば「元々大音量のオケ」とのことですが、正直驚きました。



アマオケと思って多少甘く考えていたんですが(ごめんなさい)

まあ、ショスタコしか演奏しない…ということは、皆さん、好きで好きでたまらないんでしょうね。その熱が思いっきりダイレクトに伝わってきて、終わった時はすっかりホットに。分厚いムートンのコートを着て出かけてきたんですが、休憩中はコートを羽織ることなく(クロークに取りに行くのが面倒だったのもあったんですが)ちょっと外の空気に当たりたいわ…と思うぐらい、熱い演奏でした。



この演目で一番興味深かったのは(多分同じように思っていらっしゃる方がいるはず^^)

電子楽器のテルミンの生演奏を初めて見た(聴いた)こと!

ハコのようなものを前に、なんだか空気をかき回すような仕草で、どこにも手は触れてないのに、何をやっているんだろう??



でも手を動かすと、ちょうど夏の肝試しにうってつけのような^^;「ひゅ〜〜どろどろ〜〜〜」みたいな音が鳴ってるし、あれも楽器なんだろうか??と

頭の中は???だらけだったのですが、後でパンフレットを読んで納得。なるほど、あれがテルミンなんだ〜〜と、大変に興味深かったです。



******************



で、頭を冷やして13番。

初めてこのブログを読んで下さっている方の為に改めて書いておきますが、私はアレクサンドル・ヴィノグラードフという、若手のロシア人バス歌手のファンサイトの運営者でもあります。



オペラが本業ですが、ショスタコーヴィチの声楽曲にも精通している彼は、

2009年にバレンボイム指揮のもとシュターツカペレ・ベルリンと

2013年にはフィリップ・ジョルダン指揮のもとパリ管弦楽団と

そしてその年の9月には、彼と同い年のロシア人の新鋭指揮者であるヴァシリー・ペトレンコ指揮のもと、リヴァプール・フィルと共にこの作品を歌っています。



ペトレンコはナクソスレーベルにて、彼の手兵リヴァプール・フィルとショスタコ全交響曲のCD録音も行っていて、昨年9月の演奏会が、その13番のCD録音の一環を担っていました。

(ちなみに14番も昨年5月に録音していて、こちらもバスソロはヴィノグラードフ。この13、14番が出れば、ペトレンコの交響曲は全部揃うとのこと)



彼がレパートリーに入れた頃からの、5年弱の付き合いの13番ではありますが、この間に色々、CDの演奏も聴いてきましたし、ベルリンとパリの演奏会は、実演を聴いています。

なので私がこの作品を実演で聴くのは、今日が3回目・・というか、(ベルリンでの演奏は2回行われたので)実際の回数は4回目になります。



そして、昨年5月のパリでの演奏会に合わせて、数年前からロシア語を習っている学習者の拙い訳ではありますが、この作品の全訳に挑みました。

聞き手としては自分の出来る範囲で、それなりにこの作品に対する私なりの理解はある…と思っています。



そういう私ですので、普段はオケ<ソリストという感じで聴いてしまうんですが、今日はこの作品が「交響曲」なのだ・・・ということを改めて実感しました。

指揮者の長田氏(遠目で見ていると、ちょっとバレンボイムに似た感じの風貌にお見受けしましたけど^^;)はよく鳴るオーケストラを、よくまとめていたと思います。オケの鳴り方と煽り方は、去年のパリでのスマートなP.ジョルダンの演奏よりも、うんと私好み。特に第一楽章の最後の残響は、本当はああいうものなのか・・!と耳から?ウロコで、思わず涙が出そうになりました。



私の想像ですが、恐らく、多くの日本のショスタコ好きの方の好む演奏は、やっぱりロシア臭の強い、ぐおんぐおん煽るコンドラシン盤のような演奏なのでは?と思います。ダスビの演奏は、その辺りを意識しているのか、しなくてもそういう風に自然となってしまうのか…ある意味、日本人の理想的なショスタコの演奏の一つの形を成している…と感じました。



ソリストの岸本氏は、ロシア音楽の第一人者ということで、16年前のダスビの13番の時もお歌いになられたとのこと。ロシア歌曲をライフワークとし、精通なさり、ロシア本国からメダルも頂いていらっしゃる。そのような方ですら、日本人がこの作品を歌いこなすのは、言葉、技術、そして体力、声の厚み…等、全ての面において、どんなに大変なのか・・・!と感じました。ゼスチャを交えながらの心のこもった熱演でしたが、できれば、16年前の氏の歌声を聴いてみたかった。



合唱は嬉しいビックリ。あれだけ歌って下されば満足です^^



あと、詩を訳した経験上、字幕にも注目していたのですが、親しみやすい感じでまとめてありましたね。パンフレットの方の訳も、通り一遍の訳文ではなく、詩を読んだだけではピンと来ない部分(が、確かにいっぱいあるんです^^;)を補う形を取っていて、

これは自分の勉強の為にも、とても興味深い資料になりそうです。



それにしてもダスビ、アマオケだからと言って、ホントに侮れません。

実演って、多少の傷があっても、音楽に勢いが欲しい!と思う私にとっては、ああいう熱と心の籠った演奏は願ったり叶ったり。まだ雪が残る寒さの中、足を運んだ甲斐がありました。



「好き」の情熱って、やっぱり凄いんだわ。色んな可能性が生み出せるのね。

私ももっと精進せねば:P



まず、この↓続きを作るとかね。早くやらないとCDが先に出ちゃうかも^^;





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2014年2月11日

オーケストラ・ダスビダーニャ 第21回 定期演奏会@すみだトリフォニーホール 大ホール ★★★★



*ショスタコーヴィチ 映画「女ひとり」の音楽による組曲 より抜粋

*ショスタコーヴィチ交響曲第13番【バビ・ヤール】

 指揮:長田雅人

 バス独唱:岸本 力

 合唱:コール・ダスビダーニャ

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