映画【ドストエフスキーと愛に生きる】
映画館に行くのなんて(メトのライブビューイングを除けば)いつぶりだろう〜〜?と過去のブログを漁ってみたら、なんと2007年の【良き人のためのソナタ】以来、実に7年ぶりでした(^^;;;;;
いかに自分の趣味、行動が幅狭いのかを改めて実感。。。
TLに流れてきたお友達のツィートがなければ、この映画のことも気がつかずにやり過ごしていたことでしょう。感謝、感謝です。
☆日本版公式サイト
☆予告編(日本版よりこっちの方が作品のエッセンスをぎゅーっと絞ってる感じ)
キエフ生まれの84歳の露文独訳女性翻訳者の半生を追ったドキュメンタリー映画。台詞を全部暗記しちゃいたい!と思うぐらい、スヴェトラーナさんの語り口が美しい。ドイツ語もロシア語も。
スクリーンに映し出されるドイツの風景、ベルリンからキエフへの夜行列車、キエフの町並み等等、私のストライクゾーンにびしびし決まるものが次々と、しかし淡々と繰り出され、琴線に触れるとはまさにこういうことを言うのだな、と強く感じました。
ベラベラと感想を語ることさえおこがましいような気がしてならないので、メモ程度に抑えておきます。
原題はDie Frau mit 5 Elefanten. これはアメリカ版DVDのパッケージだけど、センスが◎ |
日本人的には「翻訳者」というと、外国語で書かれたものを日本語に訳している人だと認識しがちですが、彼女は母語のロシア語の小説を外国語であるドイツ語に訳してます。この点は「あ、そっか、そりゃそういう翻訳もあるわけだわね」と目からウロコでした。
言葉を自分の血肉として、自分の中に取り込み、練り上げ、訳して行く。その緻密な作業。オリジナルに対する究極の憧れ。ドイツ語ではどうしても訳しきれないロシア語のニュアンス。そのくだりを静かに、でも目をキラキラと輝かせながら語るシーンでうるっと。。。
(ちなみにスヴェトラーナさん、ドイツ語を話しているときは少しトーンが低くて、ロシア語を話している時は、まるで少女のようにワントーン高くなる感じ。この辺、とっても興味深かったです)
ドイツ語もロシア語も、ちょっとかじっている程度ですが、特にロシア語のニュアンスの深さは、本当に立体的。スヴェトラーナさんの仰ることが、私にも1%くらいは体感としてわかるだけに、泣けてきたんだと思います。
そしてオリジナルに対する究極の憧れ、畏敬の念…私がやっていること(=歌の歌詞を訳してみること)も、遥かに程度は違いますが、本質は同じなんだと思います。どう頑張っても近づけない、でも少しでも理解できれば…との思いで、ロシア語の勉強も細々と続けているわけですから。
それにしてもキエフという街は、本当にずっと翻弄され続けているのですね。
見終わったあとからずーっと、小さな卵のような暖かなものが、静かに心の中に生まれて、その卵をゆっくり、手のひらの中でコロコロと転がしているような、そんな感覚が続いています。
映画を見終わった後は、日当りの良いレストランでランチ。お一人様主婦にはちょっぴり贅沢でしたけど^^;
静かで、心穏やかな余韻をじっくり感じるには相応しい過ごし方だったかな・・・と思います。良い休日でした。
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