★こちらに置いてあったものを引っ張ってきました。読みやすいほうでどうぞ…
私の個人的思い入れにより今やドイツ一、いやいやもしかしたら、世界一充実したオペラハウスであろうと信じているベルリン国立歌劇場が誇る?!斬新演出の『コジ』です。
この演出は2001年6月のプレミエで、2002年7月までに合計14回の公演を行い、座席占有率99%という大成功を収めたそうです。
ドイツの女性映画監督が演出した舞台で、映像処理にもセンスの良さが随所に現れます。
序曲のところから、歌劇場の内部の様子や、観客がこの演奏をワクワクしながら待っている様子が映し出され、自分もその場にいるような雰囲気が味わえます(#^.^#)
時には指揮者も芝居にからみますし、お客様に訴えかけるような『視聴者参加型』の場面もあります。
『コジ』の映像はベーム指揮の映画版、ガーディナー指揮&演出/パリ・シャトレ座ライブのに続いて、これが3つ目だったんですけど、初めて「あ〜〜次、どうなるんだろう?」とわくわく、どきどきしながら、最後まで見れました。
この作品は、私よりも主人が大のお気に入りで、その関係でCDはけっこう色々聴いてる(聴かされてる?^^;)のですが、それでも一幕が限界・・で、二幕の面白さがイマイチわかりにくかったのです。
ベームのも、どこか作り物めいた、御伽噺のような感じで、これはこれで『古きよき〜』といった趣がそれなりに好きですが、今回のは、登場人物の心理がリアルに描かれていて、モーツァルトというよりも、シュトラウスやワーグナーの心理描写に近い感じがしました。
特にフィオルリディージの二幕のアリアを、こんなに綿密な心理表現を盛り込んだ歌い方は、レシュマンが初めてかもしれません。
『モーツァルトは音楽性が大事だから、あまり演劇的表現が合わない作品だ!』という意見もあるでしょうが、個人的には(やりすぎはよくないですけど)劇的表現があるほうが好きなので〜〜
この辺の『音楽性云々』については実はよくわかっていないですし、突き詰めれば、好みに合うか合わないか?ということでしょうか(^_^;)
ニ幕の、フェランドとフィオルリディージの二重唱・・まるで『ワルキューレ』のジークムントとジークリンデの二重唱を聴いている様な錯覚に陥りました。
二人ともちょっぴり太めで、とても美男美女とは言い難い・・面もナキニシモでしたが、そんなの吹っ飛んでしまうくらい、色っぽくって、心理描写が優れている場面でした。ウルウルしちゃいましたもの^^;;;
船で旅立ちの場面を、飛行機にしたり、楽師がやってくるところを、ヒッピー達(彼らは俳優さんなのでしょう・・やたら美男美女が目立ちます^^;;;)のマリファナ・パーティにしたりするのは、歌詞と違う!ということに対しての批判もありますが、そもそもこのオペラの物語性って、ナンセンス^^;ですし、作品が出来た頃には『不道徳』だったわけですよね?
ということは、現代の感覚では、これくらいはやってくれても、大いに結構なのでは?
基本的には喜劇だから、何でもやってちょうだい^^とか、思っちゃいます〜
旅立ちの場面の舞台の構図だって、とても美しかったですし(危ない〜〜と思いつつ、ハシゴに座るトレーケルのポーズが、なかなか決まってた^^)ヒッピー達登場場面も、楽園みたいで夢がある、キレイな構図で、え?もう終わっちゃうの〜〜と思っちゃいましたもの^^;;;
あ、そうそう^^
フェランド役のWerner Guera、なんか冴えないなーー;と最初は思ったんですが、ヒッピーに変装してから、それっぽく見えたのが可笑しかったです(#^.^#)
フェランドって、自分の恋人は先に掠め取られちゃうし、自分はなかなかうまく誘惑できないでいるし、結構情けない役のような気がします^^;
だから、ハンサムなグリエルモに対して、こういう、ちょっと人のよさそうな、冴えない感じの人を使ったのって、もしかして演出意図なんだろうか?^^;と思ったりしました^^誠実そうだし。
でも、演技もハマってたし、声がとてもキレイだったので、許しちゃいます^^;;;フェランドのアリア『裏切られても嘲笑されても』がカットされていたのがとっても残念。
何と言っても、どんな突飛な舞台であろうが、最終的には『演出を生かすも殺すも歌手次第』かもしれません^^;
この映像の歌手達は、ホントに皆演技達者だし、旋律を含めて歌を理解してる!と感じました。
フレッシュな歌手達が、めいっぱい頑張って歌ってる姿だけでも感動的(@。@;
通常、年配の男性・・という設定のドン・アルフォンゾですが、この演出では、他の登場人物との年齢差が殆どない風貌の、ローマン・トレーケルが手掛けています。で、勿論『老哲学者』ではなく、『若いわけあり風の男^^;』なわけです。
これはシニカルな感じがなかなか効いていて、役に合ってると思いました。歌そのものの表現はちょっと単調かなぁ?!と思いましたけど(^_^;) 彼は演技達者ですし、生の舞台で見るととても魅力的なので・・許しちゃいます^^
何故か彼はデスピーナにちょっかいをかけるわけですが、美男美女ってこともあって、この二人の絡みも視覚的に美しいです。
それから、ラスト部分の扱い方にも、この演出の面白さ・・というか、ある意味真面目に演出した点として、特筆するべきところだと思います。この演出では、最後の場面、決して『和解』ではないです。
恋人達は、男も女もやってはいけないことをしてしまった・・って風に見えると思います。そう、とっても苦い結末ですもの。
この作品、そもそもこのストーリー性を真面目に考えたら、とんでもない女性蔑視になりかねませんし、騙した男達の方だって、黙ってはいられないはず。真剣にストーリー性を追求していけば、最後は6人で立ったままニコニコ笑って・・なんて、できないと思うのです(^_^;)
男の側から見た『貞淑で、言うことをよく聞いて・・美しくって!』という女・・『オンナは慎ましやかに、貞淑に・・』と、潜在的に思っている男性から見た演出というのが、今までの映像では多かったと思います。
この点を炙り出したのは、やはり女のヒトの演出だからかな?思います。
漫然と同じことを続けていくのは、演出家の怠慢ですし、この作品の新しい可能性を、真剣に作り上げた、真面目な舞台です。
特に、輸入版DVDのジャケットの印象が『ふっざけてるぅ〜〜』という感じなのですが、中身は決してそんなことはありません!
『コジ』は『フィガロ』や『ドン・ジョヴァンニ』と比較して、どうも馴染めない・・と思っていらっしゃる方、古典オペラは演劇性がなくって、ちょっと退屈だな・・と感じていらっしゃるには、是非オススメします。一見の価値あり!です
(個人的には、この演出をベルリンで、生で見たい〜〜と切望してます(#^.^#))
→生でご覧になっていらっしゃるフンメルさんの楽しいレポートはこちらからGo!
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フィオルリディージ・・Dorothea Roeschmann (ドロテア・レッシュマン)
ドラベッラ・・Katharina Kammerrloher (カタリーナ・カンマーローアー)
グリエルモ・・Hanno Mueller-Brachmann (ハンノ・ミュラー=ブラッハマン)
フェランド・・Werner Guera (ヴェルナー・ギューラー)
デスピーナ・・Daniela Bruera (ダニエラ・ブルエラ)
ドン・アルフォンゾ・・Roman Trekel (ローマン・トレーケル)
指揮:Daniel Barenboim(ダニエル・バレンボイム)
演出:Doris Doerrie(ドリス・デーリエ)
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新しい記事をひねりだす気力が湧かないので、HPに置いてあったものをこちらに持ってきました。これ、サイト開設後間もない頃に書いたもののような気もするんですけど、トレーケルの実演に当たった話を織り込んでいる所をみると、去年の初め頃なのかしら?それとも、その部分だけ、後から付け足したのかもしれませんけど…
なんだか語調が今とは微妙に違うような気がしますね(^。^;
最近は、少し落ち着いてきたのかもしれません…(年取ったってことかしら?^^;それとも…?)
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