タンホイザー@新国立劇場
チケットを買った時には楽しみにしていたんですけど、いざ公演が近づいてくると、なんとなく億劫な気持ちが先に立つ+予定外の【ドン・ジョヴァンニ@ベルリン国立歌劇場来日公演】に2回も足を運んでしまった為、今月の舞台鑑賞力はもう残ってないかもーー;と、あまり気乗りしないで出かけたんですけど…
行ってヨカッタです!!大満足できました(^^)v
チケットを買った時には楽しみにしていたんですけど、いざ公演が近づいてくると、なんとなく億劫な気持ちが先に立つ+予定外の【ドン・ジョヴァンニ@ベルリン国立歌劇場来日公演】に2回も足を運んでしまった為、今月の舞台鑑賞力はもう残ってないかもーー;と、あまり気乗りしないで出かけたんですけど…
行ってヨカッタです!!大満足できました(^^)v
よくよく考えてみれば《初めて》が凄く沢山あった、今回の上演。
《初めてその1》
まさかのフライング初来日…なにはともあれ、アレクサンドル・ヴィノグラドフが日本でオペラの舞台に立つのは初めて。よって、日本の劇場で、私がいながらにして彼を観るのも、初めて。
《初めてその2》
バカ高い来日公演に自ら足を運んだこと。しかも、2回も…ええもう、彼が初日に休んだお陰で、エライコトになってしまいました(^^; 穴を埋めるべく、しっかり仕事しないとf(^^;
《初めてその3》
彼のキャンセルに遭遇したのは今回が二度目で、そのこと自体は割り切ってますけど…
いくら端役でも、会場のたった一箇所の配役表だけちょこっと訂正して、アナウンスもなし、配役表もそのまま…ってのは、初めてだわ!!
《初めてその4》
双眼鏡持参で劇場に行ったこと。
生の舞台を観る時は、どんなに遠くても舞台全体の雰囲気を味わいたいというポリシーから、部分的拡大が可能な双眼鏡を使うことによって、全体の流れを見損ねてしまう可能性が高くなるため、今まで手を出さずにいたんですけど…
去年バレンシアでの舞台を遠くから見たときに「ああ、やっぱり双眼鏡が欲しい!!」と痛切に思ったので…誘惑に負けました(^^ゞ
そしてやっぱり、「ナントカの部分的拡大・特定の誰かの動きを双眼鏡で追うこと」ばかりに気をとられ、舞台全体への集中度は完璧にお留守になりましたーー;
《初めてその5》
正真正銘・若い男性の役(しかも微妙なラブシーン付き♪)の彼を生で観たこと。殆ど素に近い状態、しかも田舎臭い役とくれば…
《初めてその6》
同じ作品の中で、違う役を観比べることができました。レポレッロ ⇒ マゼットですから、役的には逆戻りで、微妙に複雑な気分もナキニシモ…だったんですけど、でも実際に見聞きしたら、もうそんなことは、どうでもよくなってしまいました(^^ゞ
《初めてその7》
マゼットをこんなに真剣に見聞きしたのは、初めてでした(^^ゞ
以下、激甘砂糖菓子超長文なので、胸焼けしてもいいよ!という覚悟がある方、時間のある時に、心して読んで下さいねf(^_^;)
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《演奏の出来、歌手の出来…初日と比べて》
初日の方が良かったと思います。歌手陣はマゼットと騎士長以外は全員お疲れモード…だったかもしれません。
特にアネッテ・ダッシュ@エルヴィラは精彩を欠いてたと思います…段々良くなってくるかな?と思ったんですけど、最後まで同じような感じで、これにはかなり不満が残りました。
ペーター・マッティ@DGも、初日の方が良かったかしら。特に「シャンパンの歌」は明らかに初日の方がよくって、6日は途中でちょっとばてちゃった、って感じが…でも2幕のセレナーデは、あま~く聴かせてくれました。
ハンノ・ミュラー=ブラッハマン@レポレッロも、イマイチノリ切れてない感じで…
ただ、彼の鑑賞に関しては、私の気の持ち方に左右されたかも。初日は演奏途中でヴィノグラドフ@マゼットが出てないことに気がついて、そのお陰で?!彼に集中できたんですが、6日は…(*vv だとすれば、ブラッハマンにしてみれば、エライ迷惑な話です(^^;
パヴォル・ブレスリク@オッターヴィオも、6日の出だしはどうなることやら?!ってハラハラしちゃったけど、なんとか後半は持ち直したかな。オッターヴィオの人格やアリアの内容はともかく(^^; あの2つのアリアの旋律は割と好きなので…
声量小さめだけど、デリケートな歌い回しで、好感が持てました。ボリス@リンデンの聖愚者で聴いた時はよくわからなくって、もう少し歌うところが沢山ある作品で聴きたいと思っていたので、今回聴けて嬉しかったです。
アンナ・サムイル@アンナは、最初にリンデンでムゼッタを聴いた時から、な~んか垢抜けないな…って思ってるんですけど…やっぱり垢抜けないような(^_^;) Webラジオで聴いた今夏の《オネーギン》のタチアーナは、いいと思ったんですが…
声だけは大きくって、ところどころハッとするところもあるんですけどね。
シルヴィア・シュヴァルツ@ツェルリーナも、お歌の出来としては、初日の方が良かったかも…でも、マゼットとの絡みは、贔屓目かもしれないけど、昨日の方が良かった(*^^*)
アンナとエルヴィラって、やっぱり声楽的に難易度が高いのかも。それでいて、どっちも強烈な性格表現を求められますが、今回の2回を含めて合計4回実演に当たりましたが…
一昨年のコーミッシェでのドイツ語版DGも、去年のバレンシアでのDGも、アンナとエルヴィラは、どうも満足行かなかったんです。で、結果的に女性陣ではツェルリーナが一番印象的になるという…
クリストフ・フィシェッサー@騎士長は、初日には、いい声なんだけどなんとなく騎士長には物足りないなぁ…と思っていたんですが、6日は特に、地獄落ちのところではいい感じにデモーニッシュでした。彼もリンデン2回実演に当たっていますけど、その時はかなり大柄な歌手かと思っていたんですが、何しろ今回はタイトルロールのマッティが190センチの長身なので、カーテンコールでは随分小さく見えました。↓の方よりも、大きいですけどね(^_^;)
アレクサンドル・ヴィノグラドフ@マゼットは、初日には歌わなかったので、比較のしようがないんですが、今まで実演・ネット放送合わせて聴いた中でも、相当良い出来だったと思います。ホッとしました(^^ゞ
彼はスロースターターなので、最初の方はモタモタ気味でしたが、徐々にデリケートな低音がよく響いてきました。初日に無理しないで休養したのが効いたのか、役的にさほど難易度の高い役ではなかった為なのか?まあ、その両方かな(笑)
マゼットって、やっぱりバスの役だぁ~~って思いました。もう何度もクラクラしましたけど、これについては別立てで長く語っていますので、興味のある方はどうぞ(#^.^#)
《初日と明らかに違ったところ》
長いバカンスを取っていたんですが、涼しくなってきましたし、決して無理をしないで、自分の書きたいことがある時だけの不定期更新+申し訳ありませんが、TBは受け付けない…という限定ではありますが、少しずつ再開します。
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来日公演は高すぎる、事情が許せば現地で建物の雰囲気まで味わって…というポリシーから、手を出すまいと固く心に誓っていたのですが:
本拠地へ行きたいと思えど、なかなかそうもいかず、久々にシュターツカペレの生音も聴きたいし…どうしようかな、ということで、急遽初日の公演@ドン・ジョヴァンニに駆けつけて参りました。
以下、とてもまともな「鑑賞記」ではなく、「私の心の激動記録@DG」ですので、あしからず。
《オランダ人》を劇場で観るのは、昨年のお正月のベルリン国立歌劇場での観劇以来、2度目です。タイトルロールと指揮者が同じなのは奇遇ですが、何度か実演を観るうちには、こういうことも出てきますね。
総合的な感想としては、まずまず。没入できたところもありますが、音楽とドラマ性の持つ緊張感が持続せず、せっかくいい感じで盛り上がってきた…と思うと、アレ?って感じることもあったりと。
バレンシアのサイトに初日(12月16日:エルヴィラはバルバラ・フリットーリ)の舞台写真が掲載されました。カーテンコールの様子も観られますので、興味のある方は♪こちら♪からどうぞ…
それぞれの写真をクリックすると、大きくなります。こちらの記事の写真も、バレンシアのサイトから拝借してきたものです。
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前の記事からの続きです。★こっち★の方が読みやすいかも。内容は同じです。長いですので、読みやすいほうでどうぞ…
貴族の家には、使用人がつきもの。このお屋敷にも当然そういう使用人夫妻がおりました。この夫妻は出すぎず、物事をわきまえ、仕事熱心なので、当主夫妻の信頼も大変厚いものでした。
ある年の初夏、当主夫妻にめでたく跡取り息子が生まれました。その年の冬、使用人夫妻にも男の子が生まれました。
この使用人夫妻の息子ならば、賢くしっかりした人物に育つに違いない、きっと我が息子をサポートできる、良き相談相手となるだろう…と、小さいときから若様と一緒に、遊びから勉強も常に一緒、そして貴族としてのマナーも一通りわきまえさせようと、息子と同じような教育を受けさせました。
使用人夫妻にとっては、この上ない幸せ。息子には常々「常に賢く、品良く振舞いなさい。でも決して若様よりも、出すぎてはいけないよ」と言い聞かせておりました。
双方の親たちの思惑通り、子供たちは、とってもいい関係をキープ。
若様はとっても破天荒で、いたずら大好き。「ったく、トロイやつだけど、こいつには安心してわがまま言えるからな」と、使用人の息子には、かなり無茶なことも言ってみたりして。
使用人の息子は、思慮深くていつでも慎重。遊びでは若様にいつも振り回されながらも、目を離すことが出来ないんだ…と、後ろから若様の洋服の裾を引っ張りながらトコトコついていく様子が、お屋敷の内で外で、小さい時から見受けられました。
こんな不思議な信頼関係の下、二人の青年は、年頃を迎えました…
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★1月15日追記:バレンシアのサイトに初日(12月16日:エルヴィラはバルバラ・フリットーリ)の舞台写真が掲載されました。カーテンコールの様子も観られますので、興味のある方は♪こちら♪からどうぞ…
それぞれの写真をクリックすると、大きくなります。こちらの写真も差し替えてみました。
★こっち★の方が読みやすいかも。内容は同じです。長いですので、読みやすいほうでどうぞ…
さて、紆余曲折?!を経て、開演一時間前にようやくゲットしたチケットで観た《ドン・ジョヴァンニ》。
果たして正常な精神状態で鑑賞できるんだろうかと、内心ドキドキだったんですが、始まってみると(チケット買うときに、レポレッロが本当に彼なのかどうかを確認し忘れていたので、出てくるまでは気が気ではなかったですけど)意外と冷静に鑑賞できました。
演出は、殆ど「あってないようなもの」でした。壁面も含めて全面黒塗りの舞台の、向かって右側の奥まった位置&左側の前の方にテーブルが2つ、対角線上な感じで置いてありました。装置は全編通してこれだけ。幕もありません。
こういう演出の時には、逆に個々の歌手の個性や解釈が、そのまま役作りに現れるような感じがするので、歌手にとっては個性を試される、ある意味難しい面もあるかもしれませんね。
この公演が始まる2週間前に、舞台装置のトラブルに見舞われて、構想を一から考え直さないといけなくなったそうですから、本当はもっとゴージャスな舞台だったのかもしれませんが、いずれにしても、至極オーソドックスな演出というコンセプトに変わりはないんじゃなかったのでは?と睨んでいますが。
ドン・カルロを実演で観るのは、2004年の夏、私が初めてベルリン国立歌劇場へ行った時の「(*1)あの」上演と、その4日後にドレスデンで観て以来ですから、かれこれ2年以上前、これが3回目となります。実演で当たった回数としては、これで「マイスタージンガー」に並んだということですね(^^;
(*1) フィリップ・ヒンメルマン演出ベルリン国立歌劇場での上演。2幕終了部、異端審問の場面では、2004年6月プレミエ時に、激しい賛否両論を巻き起こした。現在も同劇場では継続してレパートリー上演を行っている。
★超長文です。こちらのページの方が読みやすいかも。内容は同じです。
《ボリス・ゴドゥノフ》に求めたいのは、「栄光と苦悩、そして狂気」そしてそれに対峙する「静寂と安らぎ」+加えて「民族性」。
私の愛聴しているカラヤン盤CD(リムスキー=コルサコフ版)や、ケーゲル盤ドイツ語ハイライトCDを聴いていると、自然とそういう情景が目に浮かんできます。
ドラマ進行は、あまり演劇的に優れているとは言い難いと思うのが正直なところですが、これらのCDを聴いていると、そういう矛盾も超越して、独特のカタルシスを味わえる…そんな気がします。
この上演は2回観ました。同時期に同じ演目を複数回観ることは、初めての経験です。最初の席では、1階席(Parkett)のかなり前の列の左端、2度目は2階席(1.Rang)の中央寄り左側の、前から2列目でした。
この演出では、舞台は2012年のロシア、新しい支配者が権力の座に就いたけれど、民衆は政治には無関心という設定で進みます。
自分のことだけしか構っていない民衆(=合唱)は、携帯電話を片手に、バラバラな動き。誰も新大統領には関心がなさそう。
ボリス新大統領の支持者たちが、音頭を取って何とか関心を引き寄せようとするけど、無駄。
どでかいパペ@ボリスの顔写真つき看板が、まず「逆
さま」に出てきて、「それは逆、逆!!」みたいな動きがあり、続いてパペ@ボリスの顔写真つきTシャツを着た支持者がズラズラ(今の日本風に言うと「ボリス・チルドレン?^^?」)出て
きます。看板は元通りにおさまり、何とか大統領就任にこぎつけます。
お友達ブログのフンメルさんが「民衆がボリスのツァーリ(大統領)就任を求めるシーンで、ルネ・パーペの顔写真が舞台に溢れるのです」と書かれていますが、このことね、と、ククク…^^;
●戴冠式の場:
ボリス就任演説(=戴冠式の場)は、舞台にはボリス一人っきりです。合唱は2階席(1.Rang)の左右両サイドのバルコニー席から、書記官長シチェルカーロフの音頭で始まりました。これはなかなか効果的だったと思います。
大好きな場面なのですが、いつも聴いているものよりも、うんと地味に感じました。
加えて、指揮が…なんというか…
抑揚がついてないわけじゃないんです。ダイナミックなんですが、そのダイナミズムの波が、私の求めているものや、刷り込み演奏のものとは違うというか、ちょっと乱暴な感じがするんです。
で、どうもノリキレナイワ…との思いが拭えな
くって…
戴冠式の場が終わると、ボリスはそのまま机に座ったまま、時が流れます。
●ピーメンとグレゴリ
ーの対話:
左から、胸に十字架のペンダントをかけた、よれよれだらしな系の退役軍人・アレクサンドル・ヴィノグラドフ@ピーメンとブルクハルト・フリッツ@浮浪者風グレゴリーが入ってきて、パソコン画面を見ながら仕事を続けるボリス(メールチェックしていたという説有り)の前に
、向き合って着席します。
ピーメンの「あと一つの物語で年代記が終わる…」という美しい旋律。歌い出しの第一声から引き込まれました。記憶の通りの彼の声…
この声も、ノドにひっかかるような歌い方も、予想通りロシア語だとプラスに働きます。
美しい旋律、声。
…一年待ったんだもの、浸れる限り、浸りたい…
この私の、ラブラブな甘い気持ちに思いっ切り水を差したのが演出です。
今まで「演出が音楽の邪魔をする」という主旨の発言を色んなところで散見し、そのたびに「そんなことってありえるんだろうか?」と思ってきたんですが、初
めて実感しました。
音楽に、彼の声に浸りたいのに、首をぐいっと掴まれて、浸るのを拒否させられるような感じです。
まずピーメンがひとくさ歌い、この後弦楽器の、それはそれは美しい伴奏(ピーメンの万感極まりない…という胸中がよく表れていると思うのですが…)のところで、おもむろにタバコを一本取り出して一服。
ホントに一服というか、ちょっとだけ吸い込んで、ですけど、火をつけるところ、2回ともあまり手馴れてない感じがしたので、普段は吸わないんじゃないかなぁ?と思いたいな…^^;
ちょっと自分の思いに浸ったように、上向いてふーっと煙を吐いて。また歌が始まると、今度は上着のポケットから鉛筆を出して削り、ついでにペンライトも出して何か書いて…
ここで机に突っ伏していたグレゴリーが目覚めます。この目覚めるところの音楽がすごく好きなのですが、ここの「入り」も、地味でなんだかノレませんでした。グレゴリーの声は、申し 分ないのですが…
グレゴリーはピーメンが一晩中起きていたことに恐縮して、お茶(ミルクティ)を入れようとします。その手が滑って牛乳パックをこぼして、それがピーメンの太ももや書類に、びちゃっ とかかって濡れちゃうのですが、ピーメンは「グレゴリーはしょうのない奴だなぁ…」って感じで対話が進みます。
グレゴリーが「私は若くして世を捨て、楽しいことは何も知らない。あなたは若き日には戦争で祝杯をあげたこともあるのに…私も宮廷で酒でも飲んでみたいのです」(←註:意訳)と歌 ったところで、
グレゴリー、炭酸ミネラルウォーターのペットボトルをぶしっ!と開け → またピーメンの書類濡れる → グビグビ飲む → ここで上半身裸になる → ペットボトルの水を身体にびちゃびちゃつける → バスタオルで身体を拭く → その後髭剃り…
このグレゴリーの意味不明の動きの間、ピーメンはボリスの皇子殺しについて熱っぽく語っています。途中で語りが高揚してくると、お茶の入ったグラスをどん!とテーブルに置いた勢い で、また袖を濡らしてましたけど…^^;
初演版は、この皇子殺しの「語り」が通常よりも長いのですが、ここでピーメンは亡霊のように座っているボリスの前に身を乗り出し、ボリスの机のキャビネットから何か書類を一枚ずつ 出して、ますます語りは熱く…
ボリスはホントにただ「座っている」だけで、特に二人の話を聞いているという感じはしませんでした。この謎の場面を解き明かして欲しい!と期待なさっていた方には非常に申し訳ないのですが(^^;実は2回とも、私の角度からは全くパペ@ボリスが、グレゴリーの身体で隠れて見えなかったので、そこでボリスがどうい
う表情をしていたのかは全くわかりません。
でも動きからして、ただ「亡霊のように座っている」だけにしか感じなかったので、別段深い意味があったとは思えませんでした。
…誰ですか「ピーメンにしか目が行ってなかったんでしょっ」とかいう人はっ?
一応これでも、全体を見渡そうと努力したんですけど…やっぱり彼しか、目に入ってなかったみたいf(^^;
しかーし!脇ではグレゴリーがひたすら飲み食いを続けているし(自分から質問しておきながら、人の話聞いてるの?!この男はっ^^;)何故人が熱心に語っているのを、ジャマするよ
うな動きをさせたのか、意味不明でした。
私の頭が上気でぼうっとしていて、曇っていたせいで意図を把握できなかったせいかもしれませんけど…
ピーメンはお友達?のやかんとお茶のグラスを持って退場…
●旅籠
屋の場面:
ここは、楽しい場面です。だったら舞台の真ん中で堂々とやってもらいたいんですが、左端でこそっとやってる!って感じ…
初演版だと女将さんの歌もないし、ワムラ
ールの歌も、微妙に「入り」が違ったり、歌自体も地味でしたが、こそこそと隅っこで歌わせて…歌自体は悪くなかっただけに、勿体無いと思いました。
●ボリスの居間の場面:
ここはまぁ、取り立てて言及することがないというか…一つだけ上げると、シュイスキー公がボリスにあれこれ言って、ボリスが激昂(つまり「時計の場」
の直前)したとき、シュイスキーはボリスに、グラスの水を掛けられて「出て行け〜〜」みたいな感じの動きがありました。
●時計の場:
ボリスの「栄光と苦悩、そして狂気」は、勿論激しい表現も求められると思いますが、それ一本槍では、特に「苦悩」の部分から狂気に至る過程は見えてこないでしょ
う。
それは、目に見える(舞台情景)と歌手の歌い方(表現力)どちらか一方が欠けても、説得力に欠けると思います。
上背も充分、胸板も厚くて肩幅がっしり、この役だと、あの特徴あるルネ・パーペの顔でもあまりマイナスにならないし、悔しいけど、華奢でよれよれのピーメンとは比較にならないくらい、かっこよく見えるんです。
でも何故か、苦悩も狂気も見えてこない…狂乱している様子は目で見てわかるんですけど、心に響いてこないんです…
●聖愚者の場面:
実は聖愚者はボリスの居間の場面から、舞台の隅っこにじーっと座っていたんですが、それが特に意味を成していないというか…
これも、何故どこかの
御曹司風な、いいカッコ…をしていたのかは意味不明です。
気の毒だったのは、テンポの取り方があまりにも雑で、まともに歌わせてもらっていないように感じました。評判の高いパヴ
ォル・ブレスリクには期待していたのですが、これでは判断のしようがないというか…確かに可愛いお顔+声はキレイでしたが…
●貴族会議の場面:
ごちゃごちゃとした動きで、何を意図していたのか、私の頭では理解不能でした。特に???だったのは、シュイスキーが貴族会議の招集をかけながら、歯磨きしたことです。歯ブラシ入れたまま歌うシュテファン・リュガマー@シュイスキーも、大変…(^_^;)
●Rasskaz Pimena(ピーメンの語り):
歯磨きして身なりを整えたシュイスキー、ピーメンを連れてきました。この時のピー
メンは、ちゃんと帽子を被って、黒い服の神父さまスタイルで登場です。
咄嗟に「か、かっこいい…」(←オンナゴゴロのサガ…)と思ったのですが、だったら最初からどうしてその格好で登場させなかったのかしら?という怒りもフツフツ…
最終的に「神父さま」にしなければいけないのだったら、最初のよれよれ退役軍人は、一体何だったのよーー;
それはともかく、シェイスキーがピーメンを連れて来て、すでに廃人同様と化したボリスの横に座らせて、「語り」に入るんですが、この時も、脇のシュイスキーがいきなり脱ぎ出して、服を着替えます。
ピーメンの語りと、この動きに一貫性が全く感じられないし、気が散るし…で、特に一回目の時は、全く浸れませんでしたーー;
この語り、大好きだし、それはもう、歌自体にはケチのつけようがない!と思いましたけど、こう、脇の人物がごちゃごちゃ動いては…
2回目の時は、それこそピーメンだけを、穴が開くほど凝視し、シ
ュイスキーの動きが目に入らないように、頑張ったんですけどね(^。^;
語り終えてボリスが苦しみ始めたら、シェイスキーがピーメンの首を絞めて、殺害。その後シェイスキーは逃走…
そして15分ほどのボリスの語りののち、ボリスこと切れる…で、幕。
*************************************
…必要以上に人物を気高く描いて欲しいとは言いません。でも、意味を感じられない人物の矮小化は、こちらの神経を苛立たせるだけのように感じます。
誤解のないように書いておきますが、「まるでギリシャ彫刻のような、輝くザラストロ!」として、一年前に私の心に飛び込んできたヴィノグラドフが、バーコードのカツラを被り、よれよれのおっさん退役軍人スタイルで再び私の目の前に現れたことが嫌だったと言うのではありません。
そんなことは、どうだっていいんです。
私が言っても全然説得力がないかもしれませんが、似合ってました。大したものだと思いました。歩き方とかも、ちょっと背中を丸めるような感じで、おじいさんそのものでしたもの。
ボリスに対峙する「静寂と安らぎ」 これに当たるのがピーメンでしょう。
清貧の極みと言っても過言ではないピーメンに、まるで「締め切りに追われた三文小説家」のような動きをさせること、歌っているピーメンから気を逸らさせるかのごとく、脇の人物に無意味な動きをさせることに何の意味があるのか?
音楽の美しさと全然連動していない!と感じました。
私の邪推かもしれませんが、特にピーメンが歌うところは、脇の人物の動きが目障りだったような気がします。
そして、旅籠屋の場面もそうですが、合唱の動きがあまり意味をなしていなかったことからも、この作品に必要不可欠な「民族性」すら、この演出では否定しているように感じました。
この作品に元々備わっているはずの「いい場面」を、徹底的に否定しようとでもいうのか、新しいことをするな、なんて、本当は言いたくないのですが、この演出では残念ながら意味を見出せませんでした。
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本当は、この公演は駄作(この場合、駄演?)だとはっきりと言いたいんです。
でも言えないのは、やっぱり好きな歌手が出ていて、そして彼の「歌と表現」に関しては、私にとっては良かった…ということで、すっぱりと切り捨てられない…この一点が引っかかっているのです。
上演に対する良し悪しは、冷静に判断したいし、好きな歌手が出ているからということVS上演の良し悪しは、同じ次元で語ってはイケナイ…と思ってるんですが、いざこういう局面に当たってみると、どうしてもその点が曇ってしまう…
自分で見て感じたものが全てだと思ってますから、あちらの新聞批評は極力読まないようにしていたんですが、この演出のピーメンには、資本主義に対するスターリン体制の象徴としての側面もあったようです。
それにしては、描き方(描かれ方)が不十分だったと思います。
もし、そうだとしたら、それこそ最後まで徹底して、よれよれの格好で出てきて、ボリスに絡みながら(ボリスの顔にお酒でも吹きかけるんじゃないかしら?!って、実は期待してたんですけど…^^;)「ピーメンの語り」を歌った方が、人物像としてはっきり、すっきりすると思うんですけど…最後の最後に、人の良さそうな、おとなしそう(で、ちょっとカッコイイの)神父さま姿で出てくるなんて…なんだか徹底しきれてないみたいで…ずるいわ。
何度か書いているように、私は基本的には「オペラの演出には、何でもあり」だと思っています。代表的な記事はこちら
見えるものが「ト書き」どおりではなくても、結構トンデモ…なことをやっていても、音楽と、すごくピッタリとハマるときって、あるじゃないですか。
作品の魅力を上手に伝え、こちらの気持ちにぴったりと合うようなものなら、どんな形でも楽しみたいと思っています。
今回、どうしてダメだったのか…ということを、上手く表現できなくてもどかしい思いをしていたのですが、コメント欄でTAROさんが書いて下さった
【結局、設定を変え新たな解釈を施すことでことで、見えてくるはずの作品の新たな側面みたいなのは、なにもなかったということでしょうか。「新たな次元が提示されないと、ウザいだけ」の典型みたいな舞台だったのでしょうか】
という表現が最も適切な気がします。それと、私の過剰期待も原因のひとつでしょうね。
じゃぁ観に行かなきゃよかったの?!
それは勿論「No!」。
彼の母国語の歌を生で聴くのは、この一年ずーっと願ってきたことだったから、2回も聴けたのは、やっぱり嬉しい
!そして、忘れないように追記しておくと…
彼は、この上演に満足してた…んじゃないかな?
カーテンコールで飛びっきりの笑顔を見せてくれましたから(^^!
27日はタイトルロールのルネ・パーペと並び、ひとことふたこと言葉を交わしていたようでしたが、最終日(30日)は、ワムラール役のMaxim Mikhailov と並んでいて、こちらとの方が、 おしゃべりが弾んでいたように見えました。
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音楽面ですが、バレンボイムの指揮はテンポの取り方があまりにも雑というか、せかせかと早く進むのも、こちらの気持ちに水を差しました。特にピーメンの場面(思い入れありすぎのせいかも…)と聖愚者の場面は気になりました。
オケの音も、鳴らせばいい!というものではないと思います。特に、最後の「ボリスの死」のところなど、ボリスの声が消えてしまうほど鳴らさなくても…
静けさと大きな波の、緩急が欲しかったのですが…
それと、初稿版って、マリーナの場面がないだけじゃないの?!くらいの認識でしたが、オーケストレーションも色々違うところがあるんですね。
馴染みのあるところは、刷り込み演奏とつい比較して「なんかノレないーー;」って思うんですが、皮肉なことに聴き馴染みのない旋律は、美しく聴こえるんです。でもやっぱり全体的に地味。それは女声がない云々だけの問題ではないと思いました。
専門家の方々にはこちらの方が優れている…というご意見が多いとのことだそうですが、私みたいな俗っぽいオペラファンにとっては、オーケストレーションの派手なリムスキー=コルサコフ版などのほうが、馴染みやすいです…刷り込みのせいも多分にあるのでしょうけど。
それに、グレゴリーは確かに見た目は厳しかったのですが(ご、ごめんなさい^^;)上半身脱いだ時には「その肉、隣のピーメンに分けてあげてよっ」って真剣に思うような体つきでしたが、声はキレイ。
歌い回しも悪くないし、あれならマリーナとの場面も、難なく歌いこなしたと思うんですが、この版では、ピーメンとの対話+旅籠屋の場面だけでおしまい。最後の「いざモスクワへ!」というところもないですし、「見せ場」が少ないから活かしきれないなぁ、勿体無い!!と思いました。
もう一点、これはあとから思い当たったことですが、指揮者のバレンボイムを始め、演出家、比較的若いソリストで固めた主要歌手陣、オケのメンバー、合唱云々…この上演にかかわる殆ど全てのひとびとが、この作品自体、初めて…というメンバーでしたから、何となく未完成な感じを受けたのは、仕方ないのかも…
バレンボイムを実演で聴いたのは初めてでしたが、リンデンでは噂に違わず、大人気なのですね。上演が始まる前、彼が入場してきた途端、お客さんが立ち上がって拍手喝さい!だったのには驚きました(@。@;
そんなわけで、2回見たんですけど、なんだかよくわからない…
一年前に一度聴いたっきり、わずかな録音と情報に情熱を注いだアレクサンドル・ヴィノグラドフに再会できたのは、本当に嬉しくって…
願いどおり、ロシア語の歌を聴けたのは夢見心地…なのは事実なのですが、なんだか釈然としない、手放しで喜べない、もやもや感がいっぱい残った上演でした。
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ヴィノグラドフを去年、初めて見た時に「あまり背は高くないな」と思ったのですが、改めてまじまじと意識して見ると、ホントに華奢で小柄だと実感しました。
去年よりも、少し痩せたかもしれません。夫にはジェラシーがらみで?!「タテは今更仕方ないけど、ヨコのほうはもう少し貫禄がつかないと舞台栄えもしないし、声も響かないよ!」と言われちゃいました(^^ゞ
まして、この演出ではよれよれな服を着てますから、華奢さがより一層、際立って見えたと思います。
歌は…私が言っても説得力ゼロですけど、ホントに繊細且つニュアンスいっぱいで、デリケートな表現が際立っていました。高くほそーく、弱音を響かせるところ、ほぉ…(#^.^#)って思いました。
ロシア語は、殆ど理解不能ですが、美しい言語なのだ!ということが、彼の歌を聴いているとわかります。
29歳になったばかりですし、声の方は、夫が言うように「まだ熟しきってない」と、私も思いますが、今の時点でよく頑張ったと思います。
いつか、もっとピーメンを大切に扱った演出+適切な指揮で、もう一度彼のピーメンを聴きたい、観たい…心からそう願っています。
************************************* プレミエ直後、舞台写真を見て盛り上がった
ときの記事
《関連記事》
・ボリス・ゴドゥノフ@リンデン vol.2
私の、ピーメンに対する熱い?思い入れ…
・Rasskaz Pimena
レパートリーから:ピーメン(Pimen:ボリス・ゴドゥノフ)2006.11月下旬~連載中です。
・Vol.1 ・Vol.2
*************************************
2005年12月27日・30日 ベルリン国立歌劇場
ロシア語上演
指揮 Daniel Barenboim
演出 Dmitri Tcherniakov
ボリス・ゴドゥノフ Rene Pape
フョードル Raimonds Gravelis
クセーニャ Sylvia Schwartz
クセーニャの乳母 /居酒屋の女将 Rosemarie Lang
シュイスキー公 Stephan Rugamer
書記官長シチェルカーロフ Alfredo Daza
ピーメン Alexander Vinogradov
グレゴリー Burkhard Fritz
ワルラーム Maxim Mikhailov
ミサイル Peter Menzel
聖愚者 Pavol Breslik
プレミエは2005年12月11日。
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